多分遊戯王世界に転生したんだけど事件にも巻き込まれずアラサーになってしまった 作:道長(最近灯に目覚めた)
別にデュエルはしないですし、ただの雑談回です。
「さて、心当たりはありますか? マスター」
M∀LICE*1が映っているデスクトップの前で正座させられている自分。何故こんなことになってしまったのか。心当たりはそれなりにあるから、自分から口を開くと墓穴を掘りそうで怖い。
「なるほど。黙秘権を行使すると。では検察のシルヴィさん。罪状を読み上げてください」
そして何故か、透けているとはいえ現界している『シルヴィ』。なんで?
私に精霊を見る素質は皆無なはずなんだけど。
「はい。被告は『黒魔女ディアベルスター』。本名『アステーリャ』と買い物の行き帰りで淫らな行為をしたとして……」
「ちょっと待ってくれ『シルヴィ』」
更に自分の隣には同じく正座させられている『ディアベルスター』。『シルヴィ』の言葉を遮るように身を織り出す。
「アーリャ。正座」
「いや。私は『ディアベルスター』……」
「アーリャ」
「はい……」
笑顔のシルヴィに気圧されて、大人しく座りなおす『ディアベルスター』。前も言ってたけど、本物ではないにしろ姉なんだっけ? とは言え『ディアベルスター』がここまで押されるとは……。
「妹が失礼しました。裁判長。続きを読み上げます。具体的な行為としては、先々週は行きで○○○○○。帰りに○○○○で○○○○。先週は行きに○○○○○○しながらの○○○○、帰りに○○○○○○○」
「ちょっと待ってくれ『シルヴィ』さん」
「『シルヴィ』です」
「……『シルヴィ』。その……なんというか、そのような単語を君の口から聞けるとは思ってなくてね……」
「ふふ……。女所帯とはいえ、それなりに生きていますので知識くらいはありますよ?」
顔は笑ってるけど目が笑ってない。そりゃ本当の姉妹じゃなくても、妹にこんなロクでなしが手出してたらキレるよね。うん。
でも視線の先にいるのは私の方じゃなくて『ディアベルスター』の方なんだよね。なぜ?
「裁判長。主様には情状酌量の余地があるかと」
「弁護人のシルヴィさん、どうぞ」
検察と弁護人が同一人物とかどんな裁判だ。法の公平性はどうした法の公平性は。精霊だから関係ないのか(諦観)。
「淫らな行為は大抵、買い物の行きと帰りの両方で行われていた模様。たまにならともかく、ほぼ毎回というのは男性としていささか辛いものがあるのでは?」
「マスターはアレで結構な変態ですよ。抜かずの2連戦がイケるのなら十分可能だと思いますが」
「それは裁判長や私達の存在に気付いて外で処理するようになってからです。一部はもう色々手遅れですけど。定期的に発散の機会があればその限りではないかと。毎週同じでは飽きが来るでしょうから」
「申し訳ない。私が悪いのは全面的に認めるから、これ以上乙女の口からそんな単語聞きたくないんで、どうかやめていただけないでしょうか」
ホント、頼むから。自分の下半身周りのだらしなさは認めるから。絵面と字面の両方でヤバいのよ。片方は教え子っていうか娘みたいなもんだしさ。心が拒絶反応示してるのよ。
「「ダメです」」
「なんで?」
笑顔で告げられる無慈悲な宣告に泣きたくなった。アラサーにもなって年下の女の子二人相手に説教受けてるんだ。自分。自業自得だけど。
「……マスターには直接どうこうより、良心に訴えた方が良く効きそうですね」
「もう、しょうがない人ですね……。それはそれとして、アーリャ。アナタ人払い以外に魅了の魔術も使ってましたよね?」
「いや、それは……」
「アーリャ」
「……使ってました」
「え。初耳なんだけど」
んなもんなくたって『ディアベルスター』からお誘いしてもらえたら、ホイホイついてくけど。確かに毎回2戦目はしないかもしれないが。
「アーリャ」
「はい」
「ゆっくりお話ししたいので、こっちに来てください」
「はい……。すまん。迷惑をかけたな」
「こちらこそ、何とかなったらまた来い。飯と風呂と寝床は準備しておくから」
「助か……に、睨まないでお姉ちゃん……」
消えた『シルヴィ』の後を追うように『ディアベルスター』が消えた。タイマンで詰められるのはキツイなー。
「そもそも入れられる方が乗り気じゃないと、M∀LICEさんが気付かないほど早くは終わらないんですよ。その辺りはまだまだですね……」
『シルヴィ』が去り際にボソリと何か言ったが、良く聞こえなかった。なぜなら
「マスター、まだ終わりじゃありませんよ」
何せ目の前には弁護士、検察官、被害者を兼任するウルトラ裁判長がいるのだから。
「と、いうことがあってね」
「オレは一体何を聞かされてるんだ?」
長期休み中で戻ってきた遊守くんに誘われて、久しぶりにいつもの所でデュエルもそこそこに駄弁り始めた我々。いきなり「高校生の誘いにホイホイ付いてくるなんてさ。オッサンて彼女いないの?」と言われた。
適当に誤魔化そうとしたら思ったよりしつこかったので、以前起きたことをかいつまんで話したらドン引きされた。最終的に週1は許すからせめてラ○ホでやれと言われた。最もな判決にぐうの音も出なかった。最初は内容の報告義務もあったが土下座してなんとか勘弁してもらった。。そんなことしてまでやりたいのかって? うん(まっすぐな目)。
でも遊守君の気持ちもよく分かるよ。話してる自分も完全に三股かけたダメ男にしか思えないもん。実際は違うんだけどねぇ。だれが好き好んで冴えないアラサーのオッサンと付き合うというのだ。『ディアベルスター』に関しては、本人も手近な性欲解消手段としか考えてなかっただろうし。かなり力のある魔法使いだが、定住していないのもあって、生活は質素だろうから娯楽は少ないに違いない。たまに違う次元に足を運ぶそうだが、最近は『耀聖の森』なんていう所を訪ねたそうだ。
一度見てみたいなと言ったら、長い逡巡の後
「……やめておいた方が良い。無いとは思うが。仮に案内するとしても3日が限度か……。言い方はキツいが面倒見が良くて内心落ち込んでいる姉キャラに、比較的安定した仕事に就いてる物分かりの良いダメ男か……」
どこか呆れるように首を振られた。流石に無謀すぎる発言だったか。『白き森』に行った時も、ただの人間が暮らすのは相当な慣れが必要そうだった。お客様扱いでそれだからな。装備が最低限の旅先となればもっと厳しかろう。
なんでこんな話をしたかって? 私は自覚があるが、遊守くんはその辺りは薄そうだからね。
「君、モテるだろう? 二股や三股くらいはしてるんじゃないか?」
「なんでそれで二股、三股に発想が飛躍するんだよ。そりゃ仲の良い女子はいたし、付き合ったこともあるけど、アカデミア入学でちゃんと別れたぜ? あとオッサンほど無軌道じゃないって」
「だれが無軌道だ。お互い身体だけの関係だ。避妊もしている。流石にデキたら、相手がだれであれ責任取らにゃならん」
最初に話題になったきり話してないが、子どもは難しいとのことだ。あんまり根掘り葉掘り聞こうとは思わないから、詳しいことは知らないが。
「もっとダメじゃん。いや責任取るって言ってるからマシなのか? オレは絶対に参考にしたくないけど」
心外と言わんばかりだと、あと侮蔑も込めて睨みつけてくる。ダメな大人なのは認めるが、こっちにもそれなりに情報を持っているわけで。
「ちょっと整理しよう。まず青生さんだろう?」
「青生のためにも冗談はやめてくれ。やっとアイツにとって念願の普通の家族になれそうなんだ」
「アイスブレイクだと思ってくれ、いきなり兄妹になって色々大変だったと思うが、仲は良さそうで何より。青生さんの方はそう思ってないみたいだけどな」
流石に中高生にもなって、妹がベッドに潜り込むのはあり得ないのよ。しかも義理で家に来た当日の夜。その後すぐにアカデミアへ行ったからそれ以上は無かったから良かったものの。
「『ヴァンパイアフロイライン』がいるじゃないか」
「フィー……、アイツは帰れるようになるまで、居候してただけだよ。最近は姉ちゃんとこにいるし」
「とりあえず問題は解決しただろう? もう帰って良いはずだが」
「人間界が面白いんだってさ。たまーに授業見に来てる。実は今もそこでカード達見てるし」
「私には見えないけどねぇ。ということは自分はデートのお邪魔虫じゃないか」
「オレも『シグマ』がきっかけで、ちょっと視えるようになっただけだから大差無いって。アイツは由緒正しいお嬢様だぜ? オレなんか眼中に無いよ」
「そういうものかい?」
ちなみに『フロイライン』の件はM∀LICEが一枚噛んでいる。アカデミア内のネットワークから、警備の面でたまに様子を見てくれているのだが、たまたま『フロイライン』が連れ帰るための準備をしようとしていたので、現地にいた『白き森』の力を借りて止めたらしい。
「聞いての通りおっさんが思ってることは何もないよ。それより一つ相談なんだけどさ、今度姉ちゃんとデートしてくんない?」
「随分唐突だね。 前『シルヴィ』の希望でやっただろう? なにか理由が?」
「……おっさんはピンと来ないと思うけど、姉ちゃんは筋金入りのコミュ障でさ。このまま行くと、交際経験0で社会に出そうで……」
「それはまぁ……、ピンとは来ないが何となくはね。ただ精霊が見えるっていう最大の原因にも、少しずつ折り合いをつけてきているんだろう? きっと大丈夫さ。何より本人の意思に背いてまで、冴えないオッサンに付き合わせちゃいけないね。前も警察にお世話になるところだったんだから」
完全にパパ活の絵だったからね。そのままポスターにしていい位の。事情聴取される前に、真遊理さんが自分で教え子と師と明言してくれたから助かったけど。あの時は珍しくはっきり言いきったから、少し驚いた。
毎回子どもに助けられているな。情けない大人である。デュエルの方もしばらく負けっぱなしの状態で、アカデミアに行っちゃったし。
すると遊守くん、期待していた返事を貰えなかったからか、少し考え込むと。
「ぶっちゃけ姉ちゃん貰ってくんない?」
「えっ。正気?」
少なくとも頬杖をついて夕飯のリクエストを答えるような気軽さで言うことじゃないよね?
「正気。認めたがらないけど、あれ完全にホの字だから。そもそも警戒心が強い姉ちゃんが、親父以外の異性に自分から関わろうとするなんて見たことない」
「えっ。本気?」
「本気。入学した時、「彼氏作るんだ」って意気込んでたけど、起床から3時間でいつも通りに戻ってた。卒業までの残り時間はずっとあのままじゃね?」
「一回り以上離れているオッサンに大事な姉を任せるの?」
「うん」
いつの間にか父さん呼びから親父呼びに変えられているお父様に無常さを感じつつ、遊守くんの顔が微笑みを浮かべつつも目が本気なことに気が付いた。
えっ。クッソ困るんだけど。真面目に答えなきゃいけないやつじゃん。
「流石に早計だと思うが? これからいくらでも機会はあるだろう」
月並みな言い訳を絞り出した。無理だ。この状況で気の利いた答えなんて出せんぞ。
「確かにね。だから姉ちゃんが卒業するまでに彼氏がいなくて、オッサンに良い人がいなかったらお願いできない?」
「それなら……、じゃないねぇ。真遊理さんはかわいいと思うけど、そういうのとは違うねぇ。ダメな大人だけど、犯罪者になる気はないねぇ」
冷静に考えなくてもそれは犯罪だろう。常識的に考えて。
「三股してる時点で、人として終わってるのでは?」
「人聞きが悪いこと言わないでくれるかい? 何だか店長からもの凄い視線を感じるんだけど」
観念して目を合わせると、ごく自然な動きで中指を立てられた。笑顔なのに真顔というよく分からない顔で。いや、アナタ既婚者で子どもいるでしょ。自分にとってはそっちのが羨ましいんですが。
「……裏切ったら裏切ったで、一生頭上がらなくなるタイプだろうし。大丈夫。姉さんが結婚できるなら、犯罪者に嫁がせる覚悟がオレと母さんにはある」
「犯罪だとは思っているわけだ。そして肝心のお父上が入ってないんだけど?」
「そこはオッサンの愛の力でなんとか……」
「どう転んでも一番犯罪者に求めてはいけないものでは? 愛」
愛してないと言えばウソになるが、恋愛となると途端にイメージが湧かなくなる。そういうのに身を預ける自分が想像できない。見合い結婚でいいよ。自分は。
「ただ、合格祝いもまともにしてないし、今度カイバーランド位は奢るよ。二人だけだと青生さんに悪いから、三人一緒でね」
「……まっ、いっか。ただ本気で考えてくれよ? 青生を引き離せばイケるか……?」
「はいはい。真遊理さんなら心配しなくても大丈夫でしょ。どうせデートモドキになるなら、君にも付き合ってもらおう」
いやー他人の恋愛模様を見るとストレスが和らぐからね。デュエルは負けっぱなしだし、たまには良いだろう。真遊理さんには悪いけど、その時は1人で回ってもらってもいいし、カフェでのんびりしてもらってもいい。
これ以上話すと余計なことを言って変な言質取られそうだし、本題に入ろう。
「日程は後で聞こう。こうやって話すのもいいが、悩み事があるのだろう?」
3連休という本土に戻るには微妙な日数で戻ってきたのは、自分に相談があるとのことだったのだ。中高生の恋愛模様も興味深いが、そっちの方が優先度は上だろう。
「そうそう、デッキ構築で相談があるんだ。実は先輩が悩んでてさ」
「先輩ねぇ……。ちなみに男かい?」
「いんや、女の人」
「あっ。ふーん」
サラッと言ってるけどこれはヤッてますわ……。本人は何の気も無いのは分かるんだけど。この子困ってる人は、とりあえず助けるみたいな精神があるからね。流石主人公、自分にはとても出来ない。
「テストはDM、一般教科共に問題ないけど、実技がからっきしでさ。今年度改善の兆しが無ければ、留年、あるいは退学かもしれなくて。親切な先輩だから、なんとか助けたいんだ。」
「切実な問題だな。原因に何か心当たりはあるかい?」
「とにかく事故るんだよ。手札が1色に染まるなんてザラ、試しに何かに偏ったデッキを使うと、今度は引きたくないカードばかり引くし」
「テストが問題ないなら、プレイングも最低限のラインに収まるだろうし、そうなるか。致命的にDMに向いてないタイプか、それとも何か変なものに憑かれているタイプか」
いるんだよね。たまに。ホビーアニメ特有のカードゲームに関してとことん運が悪い人。あとは精霊に嫌われてたり、変なのに憑かれてるせいで一部のカードが絶対に引けない人間。
当たり前だが(当たり前?)、カードの精霊という存在がいれば利益も不利益も存在するし。ホビーアニメでチャンピオンになり得る、勝ち続ける主人公もいれば、どうあがいても負け続ける、やられ役になる人もいる。
元いた世界でも社会は弱肉強食だったが、運の要素があって、本来勝敗の確率が50パーセントに近づかないといけないカードゲームでそこまで偏るのは。どうしても異常に感じてしまう。
確かにショップ大会の決勝卓に毎回のように残る人はいたけどね。でもそれは、やる人間がそもそも偏っているのが原因だ。これだけ社会的に広まって、分母が大きい環境でそんな偏りが出るのは明らかに変な力が働いているのだろう。
もう少し情報が欲しいな。
「遊守くん。その先輩はいつから自分の偏りに気が付いた?」
「聞くと小さい頃からずっとそうらしいんだ。1回戦負けの常連だったって」
「そりゃ筋金入りだ。よくアカデミアに入学できた、というより志そうと思ったね」
大抵の人間はその前に、別な道を選びそうだが。DMの影響力が大きいこの世界ならなおさら。
私の素直な言葉に遊守くんは「そうだよなー」と苦笑しながら。
「でも好きなんだって、DMが。プロになれなくても、この楽しさを広められる人間になりたいって」
「それは他の人が軽々飛び越えていくか、或いは避けていく壁に頭を打ち続ける行為だ。それを生涯続ける気かい?」
「流石にそこまでか分かんねえよ。でも……、先輩なら言いそうだな。ただ留年に話をした時先輩がボソッて言ったんだ」
“こんな自分の入学を認めてくれたクロノス校長に、退学という言葉を言わせたことは本当に申し訳ないなー”
「多分、独り言のつもりだったんだろうけど。んで、来期の試験の相手がオレになりそうなんだよなぁ。こう見えて今の所1学年で実技トップでさ。例年1学年の1位は、2学年の最下位と当てられるんだよ」と、顔を逸らしながら遊守くんは呟いた。君も独り言みたいな言い方するね。
2人とも相談しても、どうにもならないことを分かっているのだろう。それがこの世界の当たり前だ。DMには勝者と敗者には技術とか、知識とか、カードパワー以前に、どうしようもない壁が存在すると。
とっくの昔に気が付いていた。それでもその道を歩き続けて、どうしようもない
終わる側と終わらせる側が仲良しってのいうのは、ちょいとベタな悲劇かも知れんが。
「なんとかなんねえかな。センセイ」
縋るように呟かれた。
弱音も吐いた。折れることもあった。それでも最後は自分の力で乗り越えてきた遊守くんが初めて他人を当てにしている。でも普通に考えて
「DMではムリだ。君のように適性が絡んでいることもあるが、そういう子はそこまで極端にならない。仮に精霊絡みなら君や真遊理さんの方が得意だろう? 私は見えないし」
「……そう、だよな。ゴメン。聞かなかったことにしてくれ」
「でも」
私がやってるのは『DM』じゃなくて『遊戯王OCG』なんだよね。遊守くん。君と真遊理さんも片足ツッコんでるけど。
これが他のカードゲームなら無理だろう。マナを払ったり、ライフ周りやトリガー等に不確定で確認不可の非公開領域があるならどうしようもない。
だが『遊戯王OCG』だけは別だ。時に金払ってじゃんけんするゲームとも言われ、あまりにも1ターンが長くて新規が入らず国内TCGシェア1位から陥落したこのゲームは。
「……コレは劇薬だ。もしコレを使うならその先輩と真遊理さん、あとはクロノス校長なら問題ないだろう。これで克服可能かは未知数だが。最悪、私も行くからホントの身内で回した方が良い」
デッキケースを1つ、テーブルに出す。
「劇薬?」
「君のことだ。また厄介事に巻き込まれたのだとおもって、お守りとして渡そうとしたデッキさ。実際は厄介事でも思ったのとは違ったが」
ケースを開け、40枚で組まれるメインデッキ、15枚のエクストラデッキを広げる。メインデッキの多くのモンスターがレベル4、EXデッキは15枚全てが真っ黒。
「ところで遊守くん。君は手札誘発を何枚引きたい?」
「手札誘発って……『うらら』とか『増G』のことだよな? 相手によるけど姉ちゃん相手なら2~3枚は欲しいな。1枚だと貫通されたり『指名者』くらうから。逆に……あんまり言いたくないけど、強くないヤツに誘発握ってても腐るだけなんだよ。」
「正しい感覚だと思う。先攻制圧に抗える唯一と言っていい手段がそれだからな。逆にしない相手には邪魔臭いわけだ。ただ妨害するだけなら素直にトラップ使った方が余程強い。今まで『うらら』や『増G』があっても使われなかったし、近年までショップで投げ売りされていた理由だ」
「……ところでオッサン。その近年値上がりした『増G』と『うらら』がフル投入されてるし、他の誘発や『指名者』系も揃ってるけど、いくらだったんだ? これ。フリー席で無造作に広げたら、強盗が発生するレベルだと思うんだけど?」
「値段見ると精神衛生上良くないから、しばらく確認してないな。去年の値上がりは君達姉弟が主な原因だろ? あんなバカスカ打って」
ユースの全国大会後、意味わからん値上がりしたけど、一般的なデュエルでは打ちどころが無かったせいか、ゆっくり下落していったからな。それでもまだとんでもない高止まりしている。レアリティにもよるが、1枚100万までは行かないので、この世界ではまだマシな方だ(白目)。
なんでカード1枚にこんな値がつくの?
遊戯王だからか。
「いや、渡してきたのはオッサンだよな? 俺たちに一通り渡してまだ予備あんの?」
「安かったころに目に付いたら買ってたからねぇ。あと今でもパック開けるとやたら入ってる」
「えぇ……(困惑)」
デュエリストの習性で、手札誘発は無限回収してたからまだ予備がある。ちなみに『儚夢みずき』だけは例外で、出た当初からそれなりに取引があった。この世界でライフ回復系はどんな形であれ需要はある。あとは『死者蘇生』が妨害できる『屋敷わらし』。
「気軽に札束の札束をポンポン渡されるのはこっちも困るんだよ……。姉ちゃんなんてデッキ丸ごとだろ? 前、先輩が試算してくれたんだけど、仮にオークション出したら、億からスタートらしいんだけど。それでも安いって」
「気にするな! カードは遊ぶためにあるんだから。『シグマ』だってどこかに飾られるより、君と戦えた方が幸せだろう?」
「言う通りなんだけど、なーんか引っ掛かるんだよな……」
値段なんて気にしてたら私のデッキの殆どが遊べなくなるからね! 前世感覚でデッキを組むと平気でアタッシュケースの現金が必要になるから。そういえばユタカくんのご両親から随分丁寧な手紙(意訳)を渡されたな。適当なこと言ってゴリ押して、受け取ってもらったけど。
それでも変に使わないでいたり、配るのをやめるとカードの精霊が不機嫌になりそうで。
「カードの精霊も絡んでくるから野暮な話は置いといてくれ」
「野暮かこれ……?」
「話を戻そう。結論から言うと、そうなると初期手札5枚の内2枚が誘発となるのが理想、なら40枚のデッキの内、単純計算16枚前後を誘発にしたいわけだ」
「いや、これ常識の話……、話進まないか。16枚? ちょっと多くね?」
「その通り。誘発2枚抱えたら残り手札は3枚。動けはするが、デッキによってはぎりぎりだな。私の『シャドール』が最近まで*2そうだった。君だって毎回1枚初動を引けるわけじゃないから、これにエンジンカード以外を引くことを考えれば、これはかなり不安になる数字だ。だから大抵のデッキは誘発3枚×4セットの12枚が一つの基準になるわけだけど」
改めて広げたデッキを見て、デッキパーツを役割毎に分けていく。
「このデッキは手札誘発15枚、手札誘発を弾くカード3枚、後攻の捲り札3枚、1枚初動9枚、それをサーチ出来るカード6枚。メインギミックのギアパーツが5枚という構成だ」
「なんか変なことが聞こえたんだけど。1枚初動9枚? それをサーチ出来るのが6枚? 実質1枚初動15枚?」
「言ってる私も首を傾げたくなるが事実だ。単純な確率的に5枚の内2枚が1枚初動だから、相手の妨害を1回貫通しつつ手札誘発2枚、余計物を1枚抱えられるわけだから。私は何を言ってるんだ?」
マジで何を考えて刷ったんだろう。あの『デモンスミス』*3でさえドロー誘発に弱かったし、召喚権使わない初動は基本6枚だぞ? あれは出張要素が強いから単純比較はできないが、こっちは何故か止まり所あるし、サーチ含めれば召喚権使わない初動札が9枚は積めて、条件付きまで範囲を広げれば12枚。
おかしいだろう。おかしいよな。何か間違ったこと言ってる?
「でも先輩なら余裕で事故ると思うぞ?」
「だから誘発枠も、指名者枠も、そして捲り枠も全部レベル4の召喚権使わない展開パーツとそのサーチにします」
「今凄いバカなこと言わなかったか? オッサン。でもそしたら、元々のデッキのメインギミックにはどうやって触るんだよ?」
鋭いね。こっちでは『ラヴァルバル・チェイン』*4が禁止じゃ無いから採用もありなんだけど、このテーマにそんな小細工いらないんだ。なぜなら。
「EXデッキにサーチエンジンがあるタイプだから大丈夫」
「いや、普通に考えてテーマ名称が絡まなきゃ召喚出来な……。もしかして名称指定なし?」
「Exactly。 エースの方は名称指定を持ってるけど、エンジンの方の条件はレベル4モンスター2体以上としか書いてないんだよねー」
「印刷ミスかな?」
なんなら1枚で良いなら汎用Xモンスターでもいける。つまり基本的にどんな状況であれ、レベル4モンスターが2体並んだ時点で、そのテーマにアクセス出来ちゃうのよ。
となればレベル4やランク4が増える度に強化されるという拡張性まであるわけで。あまりのガバガバ具合に最初は誤植を疑った。
「というわけで、これなら絶対に回るから大丈夫でしょ。ちょっとパーツ探してくるから、申し訳ないが明日もう一回来てくれ。先攻取られたら、君たちですら厳しい相手だと思うよ」
「マジかよ。ちなみエースはどれなんだ?」
「これさ」
誰が言ったか『令和のルーラー』。他にも『デッドネーダー・ハラスメント』、『なぜ破壊効果に同一チェーン上発動不可を付けなかった』、『ランク4だし攻撃力2500だと思って殴ったら3000あった』、『3000で殴ったら何故か破壊耐性を持ってた』、『後手自信満々で泡打ったら何故か自分で自分破壊して、何事も無かったように自己蘇生して帰ってきた』等々、デュエリスト達が悲鳴染みた名言を絞り出した。
まさに環境も運命もぶち壊す、勝つためのテーマ。
「『ライゼオル』*5。これならどんなに運が悪くても妨害が無ければ、ほぼ絶対に回る」
TCGのやられ役って、多分運命レベルで勝てないと思うんですけど、OCGなら運命力無視して勝てる気がするのは私だけでしょうか。実際にはあるんですが、ホビーアニメ環境的な意味で。
現代遊戯王って誘発無視すれば、絶対回るデッキ作れるよなって思って書きました。異論は受け付けます。
以前のアンケートを見たら意外と恋愛やR−18が多くてびっくり。何を期待してらっしゃるんですかねぇ?
以下いつも通りの駄文。
おっさん
最近は通常業務が多く、少し余裕が出来ている。そのため急に欲望を自覚する場面が増えて本文のような事態に。一応『シャドール』たちは見ているのだが、その辺は長い付き合いのためお互いにスルー。元々3ないし4大欲求はそれなりに強い方だが、M∀LICEの管理のせいか肉体的に健康だが欲求不満という状態だった。とは言っても健全とは言い難いので流石に反省。
カイバーランドには3人連れていくつもりだったが、青生に「ユタカも誘っていい?」と言われ、了承。後日、双子から追及され、後ろで青生が後ろで必死に笑いをこらえるという絵に。
しばらくして大分マシになったという報告を受けて、そういう子達向けのレンタルデッキという名の治療薬を作成。ストレージで保管されていたクs……パワーカード達が活躍できる場を作れてホッとした。世に解き放つにはあまりにリスキーなカード達だったが、それと同じくらい押入に入れっぱなしというのも心苦しかった。
後に『ドクターC』という都市伝説が生まれるが本人は知らない。というよりDM関係の都市伝説の3割くらいが自分というのも自覚していない。恩恵を受けた側としては、本人が匿名を希望しているため、言うに言えないのもそれを助長させている。
日乃森 遊守
絶賛主人公体質発揮中のアカデミア1年生。学科系は並み程度だが実技は姉を抑えて1位。先攻制圧特化の姉より、後攻の対応が上手い点が評価されてのこと。カイバーランドでは2人に振り回される。
アカデミアの問題を解決したメインメンバーということ、落第寸前の生徒を手助けをしたということは、クロノス校長の知り合いや教え子の一部に伝えられており、その内誰かが訪ねに来るかもしれない。
2学期はしばらく平穏な日々が続くが、ある日『ウィッチクラフトマスター・ヴェール』が訪ねてきたところで、アカデミア編2期がスタート。精霊界のいざこざに巻き込まれる。
アカデミア卒業までは人間関係に大きな問題は無かったが、二十歳の誕生日でひどい目に遭う。M∀LICEに恋心を抱いてしまったのが話をややこしくした最大の原因。
日乃森真遊理
高校デビューが3時間持たなかった。正確には入学式後のホームルームでの自己紹介で心が折れた。ただ実技2位、学業においても上位のため、中学のように目立たないのは難しい。ただ同級生や、遊守の言う先輩が分かってくれているため何とか居場所が出来ている。打倒日乃森姉弟を掲げていた同学年の生徒も、弟とのあまりの違い様に毒気を抜かれてしまった。今では生暖かい目で見られている。
しばらくしてパックから『耀聖の花詩ルキナ』が出てくる。勿論精霊付き。そしてその後、オッサンのストレージに『エルフェンノーツ』が増えた。
カイバーランドに行った際、青生が連れてきたユタカに対して何かを察知。色々考えた結果プロになるところまでは決意。他にも何か決めたようだが、「試験で1位を取ったら」、「総合1位を取ったら」、「卒業したら」、「プロで1勝したら」、「チーム戦でリーグ優勝したら」、「プレーオフを制したら」と、何故か引き延ばしている。
ちなみにチームでは初年度リーグ優勝。2年目でプレーオフを制した模様。今度は「個人タイトルを取ったら」に変更したが……?
弟の対人関係は不健全と思いつつ、後に修羅場を傍目にス○ゼロを飲めるくらいには成長した模様。ただし。半分も飲めずにギブアップし、翌日激しく後悔。でもその日、飲まないとやっていけないという意味を心で理解した。主にオッサンの女性関係と酒の入った弟の告白のせい。
M∀LICEの倫理観がガバガバなのは、もしや元になった自分のせいでは? と思った。
先輩
何引いても初動になるデッキにより世界的なものが誤認。何とかドロー力は中央値よりチョイ下くらいにまとまる。元々基礎はあったため最下位は回避、退学は免れた。紆余曲折を経て『マギストス』関係の所有者に。その後は成績上位で卒業、『デュエルインストラクター』の資格を得て、自分と同じ境遇の子を指導している。
いつでも遊守の財布になる準備は出来ているヤバい女。ただこの世界基準としては妥当な気もする。本人としては恩返しのつもり。
M∀LICE
もちろんラ○ホのカメラを通してみている。何とか生身を得た際、早速実践しようとしたが軽くあしらわれて結局寝かしつけられる羽目に。完全にギャグ枠。
ちなみに真遊理は自分のオリジナルにあたるため、複雑ではあるが認めてはいる。彼女の場合常に側にいるため、自分が一番という自負があるのが主原因だが。方向性の違いはあれど認識は間違ってはいない。
具体的に言えば、真面目な場面になると相棒兼しっかり者の娘になってしまう。
シルヴィ
真遊理を末っ子として可愛がっているため、自分から抜け駆けする気はない。あっちから手を出されたら話は別だが。そのためディアベルスターことアーリャのしたことは本気で怒りつつも、強くは言えないという微妙なライン。判決については完全に誘ったため制裁対象。
それはそうと内容についてはしっかり確認する。
ディアベルスター
腹がくちくなる。安全な寝床。暇な時間。宿代という4枚初動でムラっときたので誘ったらずるずる行ってしまった。一応経験済みだったため、最初はこんなもんかと思ったが徐々に彼女主体に。
長年の戦いや罪宝の影響でほぼあり得ないが、万が一の場合はまぁ1人でもなんとかなるかと思っている。
オッサンのストレージで眠っている愉快な仲間たち
脱獄囚とも言う。時たまシャバの空気を吸えるようになってイキイキしている。とは言っても自覚はある奴等のため常日頃は模範囚。まれに本当にヤバいヤツ相手に駆り出された際は、全盛期もかくやという勢いで暴れまわる。
この世界ではそのカードパワーで使用者の運命すら捻じ曲げる。試合結果もそうだが、常時ブン回りが基本のため、使いすぎると使用者の運命力が世界の中央値に寄り始める。
需要調べ(反映出来るかは別)
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どうでもいい話(思いついたら)
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シリアス込み長編系(恐らくは飽きる)
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恋愛系(別に書いてもろてええですよ)
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R-18(言い出しっぺの法則はご存知?)
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その他(その時はメッセージや活動報告で)