アーサー交響曲   作:妖叨+

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さて、出来てしまった。
匙憑依よりも先に出来たしまった。
俺の罪は山よりも高く海よりも深いな……。


02 アーサー王と忠誠の騎士

アーサー・ペンドラゴンが王を象徴する絶対的な剣にして聖剣の王。コールブランドを大岩から抜いてから早2年。

時が経つのは早いと感じた事は今更ではない。

アーサーは今年で11歳を迎える。

憑依してからは4年の月日が流れている。

既に、もう元の名前すら覚えていない。

家族の事、青春を謳歌していた学校の名前、親友の名前まで忘れてしまったのだ。

アーサーの心のには今まで埋められていたはずの穴が掘り返され教務な空間がただただ広がっていた。

 

 

 

 

現在時刻7:00

アーサーとルフェイは食事を終えアーサーの自室で一緒にモ○ハンをプレイしていた。

誘ったのは他でもないルフェイだ。

P○Pを二つ持ってきてルフェイは……

 

「アーサーお兄様! 私の狩りに付き合ってくれませんか?」

 

「もちろんだ」

 

と即答したのちにひたすら画面とにらめっこ状態で狩りを始めたのである。

 

 

 

それから3時間後……

 

 

 

「だぁぁぁぁああああああ! もっかいだ! もう一回行くぞ!! ルフェイ! くそ! 何故、何故俺にだけレウスの天燐がドロップせんのだ!?」

 

 

「アーサーお兄様……もう眠いです……」

 

P○Pの画面に食らいつき目を血走らせているアーサー。

それに対しルフェイは目をこすりながらようやく起きているといった現状である。

余談であるがアーサーとルフェイはひたすらG級のリ○レウス希少種を乱獲していた。

仮に行った回数。数にして50回。

ルフェイ、天凛を5枚ゲット。

アーサー、天凛をゲット出来ず。

その悔しさ故にルフェイを強制的に仮に参加させようとする。

 

「駄目だ駄目だ! 俺の天燐が落ちるまで寝かせんぞ――――――――ってもう寝てる!? もう寝るのmyシスター! まだ10時だぞ! 現代の子供でもまだ起きてる時間だぞ!?」

 

アーサーはP○P片手にルフェイを揺する。

 

「う~みゅ~」

 

と抵抗とばかりに簡易の風魔法を放って来た。

当然、アーサーはその魔法をもろくらい部屋の隅まで吹き飛ばされる。

背中が壁とぶち当たり鈍痛が身体を駆け巡る。

 

「つってぇ……さすがはルフェイだ。この俺をあっさりと吹き飛ばすとは」

 

「すぅすぅ……」

 

背中をさすりながら不敵な笑みを浮かべるアーサーを余所に夢の世界に落ちていったルフェイ。

 

「ってもそれとモ○ハンは別モノじゃあ! 起きろぉぉおおおお! ルフェイ! 起きぬかぁぁあああああ!」

 

アーサーは激しくルフェイの身体を揺さぶる。

 

「う~……やめてくださいよぉ~」

 

目をこすりながら言うルフェイにアーサーは爆弾発言をしたのである。

 

「今日は寝かせんぞ! 寝かせんからな!」

 

 

 

 

 

 

「アーサー様。そろそろ就寝のお時間です………よ?」

 

 

 

 

扉を開けたのは、残念系我が師匠。マーリンであった。

マーリンは口をあんぐりと開けこの光景に目を白黒させていた。

現在の状況は、涙目でパジャマがはだけているルフェイ。髪をボサボサにしてルフェイの肩をがっしり掴んでいるアーサー。

この構図でマーリンが導き出した答えは………

 

「あああああああ、アーさささささささささ様!? いつかはやると思っていましたがまさかこのお歳で禁断の………! と、とにかく見損ないましたよ!?」

 

「違う! 断じて違うぞ! マーリン! お前は壮絶な勘違いをして――――――」

 

「いくらご兄妹とは言えども越えてはいけない線があるのですよ!? しかもこの年で………ふ、不衛生です! 不潔です!」

 

マーリンは理不尽なまでに小型の水魔法で弾丸を形成しをれらをアーサーめがけ容赦なく放つ。

アーサーもただで喰らう訳もなく今まで培ってきた反射神経と身体能力で水の弾丸を回避している。

 

「なんでこうなる!? なんで!? Why(なぜ)!?」

 

犯罪者?(アーサー)は水の弾丸を回避しながら叫ぶ。その後をマーリンが追いかける。

 

「ほわいもほわっとも減ったくれも無いでしょう!? 実の妹に手をかけようとした分際で! 私の可愛いお弟子に手をかけようとしておいて!」

 

アーサーは逃げてるときに、マーリンについて気付いたことがある。

それは……。

 

 

マーリン、最近口が悪くなったなぁー……。

 

 

その後、アーサーはマーリンにつかまり……これからの事はここでは語られることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

L('ω')┘2└('ω')」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。

げっそりとしたアーサーは朝から既に力尽きたボクサーのようである。

しかし、今日はアーサーにとって大切な日である。

そう、今日はアーサー直属の部下を選ぶ日であるからだ。

部下、それは主人を支える大切な存在。

故に適当に選ぶことなどできはしないのだ。

アーサーは正装に着替え剣は大きさ的に腰にはまだ()けないので剣ことシャスティフォルは背中に佩く。

シャスティフォルはマーリンが魔術師たちを総動員して造らせた言わば魔剣。マーリン曰く「折れない魔剣」だそうだ。ついでに折れたとしても何事も無かったように刃が生えてくるそうだ。

このシャスティフォルは修行などでアーサーが使って居る剣で聖王剣コールブランドを使う為の練習用の剣だそうだ。

そしてアーサーは自らの部下を選ぶべく1人で訓練場へと足を運ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、アーサーは、とてもと言っていいほど落胆していた。

この訓練場に来てからアーサーは宣言した。

 

『俺と一騎打ちで勝てたら、俺直属の部下に抜擢だ。だからお前ら、全力で殺しに来い』

 

と言ったにもかかわらずアーサーは動きずらい正装のまま剣を抜かずに、つまり素手でこの訓練場から選び抜かれた騎士達を倒してしまったのだ。

アーサーが特別強い訳ではない。まだ子供で発展途上であるが故に弱さもあるがそれ以前に立ち向かってきた騎士達はどこか手を抜いていた。

国王の息子だから傷つけてはいけない。どうせ自分達を部下にする気などさらさらないなどと言った感情があるが故にどこかで手を抜いていたのだ。

 

「はぁ………」

 

アーサーは両手をポケットに突っ込みため息をついた。

そしてアーサーはここの訓練場を任せている騎士団長に尋ねる。

 

「これはどういうことだ? たしかに俺は訓練場から優秀な奴を上から10人選べと言った。はずだが――――――――なんだ? このザマは?」

 

ポケットから手を出して仲間に解放されている選び抜かれた騎士たちを顎でさす。

それを見た騎士団長は苦し紛れにこう返す

 

「わ、私はたしかに10人、選びました。私の訓練を受け成長した騎士たち10人を上から選ばせて頂きました!」

 

「それは本当か?」

 

アーサーはとても子供とは思えぬ眼光で騎士団長を睨みつける。

 

「ま、まことにございます!」

 

「そうか………」

 

と言って目線を騎士団長から離し背を向けて言う。

 

「という事はお前には見る目が無い。と見ていいんだな? 騎士団長」

 

「!?」

 

騎士団長は驚愕の表情を浮かべる。

アーサーは振り返りきっぱりを言う。

 

「聞こえなかったのならもう一度言う。お前には見る目が無い」

 

冷徹なアーサーの言葉に騎士団長は狼狽する。

 

「何ゆえでございましょうか!?」

 

「俺はこういったはずだ。訓練場から優秀な奴を上から(・・・)10人選べと」

 

「お言葉ですが! 先ほど私目は――――――――」

 

「騎士団長、あんたが俺の部下候補に推薦した奴は上から2番目から11番目のやつじゃないか?」

 

「ッッ!」

 

図星をつかれたように騎士団長は黙りこくる。

 

「騎士団長。最後のチャンスだ。ここの一番強い奴は誰だ?」

 

アーサーが尋ねると騎士団長は重い口を開く。

 

「………名をアリシア。姓をランスロットというものです」

 

「!」

 

ランスロット。

初代アーサー王に仕えていた円卓の騎士団の団長にして最強の騎士と教えられた事を覚えている。

それよりもアーサーは気になったことがある。

 

「アリシアと言ったよな? 騎士団長」

 

「左様でございます」

 

と返す騎士団長に驚きアーサーはジェスチャーを交えて聞く。

 

「………あれが、こう。なのか?」

 

アーサーは嫌らしい目で自分の胸を出発点に半円を何度も描く。

されを察した騎士団長はぎこちなく頷く。

騎士団長は思った。

 

「(あれ……? アーサー様ってシスコンじゃなかった?)」

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

L('ω')┘3└('ω')」

 

 

 

 

 

 

アーサーは訓練場のど真ん中で目いっぱい息を吸いこみ声を発する。

 

 

 

 

 

「アリシア・ランスロットォォォォォオオオオオオオオ!! 居るなら出てきやがれぇぇぇぇええええええええ!!!!」

 

 

 

 

空気を通じてビリビリと電流のようなものを感じ反射的に耳を押さえる騎士たち。

アーサーの近くに居た騎士団長や騎士たちに至っては失神してる。

 

 

砂ほこりが舞い風が吹く中、長い黒髪を風になびかせながら軽鎧(ライトアーマー)を身に纏い腰に剣を佩いている1人の美しい少女が歩いてきた。

 

「…………(アングリ)」

 

「あの……アーサー様? ちょっと~アーサー様―? 起きてられますか~?」

 

騎士団長は失礼を承知でアーサーの目の前で手を何度も振る。

手を振り続けること約5秒後。

 

「はっ! 俺はマーリンの実験(あっちけい)に付き合わされ―――――じゃない! ここは訓練所だ!」

 

アーサーはようやく自分が何をしたかを思い出し、ついでに思い出したくも無い事も思い出してしまい口を手で覆い膝をつく。

それを見たアリシア・ランスロットは落胆した。

最初の印象は最悪だ。

これがこれから国を治める王になる器だと言うのか?

とげっそりとしたアーサーは騎士団長に肩を貸してもらい立ち上がる。

 

「お、お前がこの訓練場の一番強い奴か……」

 

ガタガタと脚を震わせている姿はもはやダウン寸前のボクサーにしか見えないアーサーを無表情で見つめるアリシア。

アリシアは膝をつき敬意を表する。

 

「お初にお目にかかります。アーサー様。私目はアリシア・ランスロットと申します。以後お見知りおきを」

 

淡々と自己紹介を済ませるアリシアにアーサーは告げる。

 

「ついてこい」

 

と。ただそれだけだ。

 

「は?」

 

思わずすで返してしまうアリシアを余所にアーサーは踵を返して自分の馬を止めている所へ行く。

一瞬アリシアは何をすれば分からなかったがそこは騎士。ぶんぶんと頭を左右に振って馬小屋から馬を一匹拝借しアーサーを追おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

L('ω')┘4└('ω')」

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練所を出たアーサーは後ろを振り返ることなく広い広大な草原に馬を走らせている。

その10mほど後ろに巧みに馬を操り黒髪をなびかせながら草原を駆けるアリシアが必死に喰らいつている。

 

「(へぇ……さすがは名家、ってところか。馬術も仕込んでいると見るが正解か)」

 

と勝手に思考を張り巡らすアーサーを余所にアリシアは食らいついていくのに必死である。

アーサーは馬を走らせながらあたりを確認した後、手綱を引き停止する。それを見たアリシアも馬の手綱を引き止まる。

 

「ここならいいだろ」

 

独り言のように呟いたアーサーはアリシアに向きなおる。

そしてアーサーは目の色を変えたかのように周りの空気が一変する。

 

「抜け。アリシア・ランスロット」

 

単純な言葉であるがこの言葉にはかなりの重みが感じられる。

アリシアは覚悟を決め腰にある愛剣を抜く。

それを確認したランスロットも背中のシャスティフォルを抜刀。

 

「ここで殺し合いをする訳ではないが………俺を殺す気でこい。そうしないと―――――――――――――――――――お前が死ぬ」

 

アリシアは何を言っているか分からなかった。故に判断が一瞬遅れた。

アーサーが馬の腹を蹴り此方に突撃してくると同時にシャスティフォルが唸りを上げ斬りかかってくる。

アリシアは剣でなんとか受け流したが上体を大きく崩される。

それと同時に繰り出される刺突がアリシアに迫る。

それをアリシアは常人離れした身体能力で紙一重で回避する。

ただでやられる訳にもいかないのでアリシアは剣を振るいアーサーの攻撃リズムを崩す。

リズムを崩されたアーサーはアリシアと距離を取る。

 

「不意打ちとは随分卑怯ですね」

 

本音が漏れるアリシアにアーサーは笑いながら返す。

 

「ははは。そりゃ判断が遅れたお前が悪いんだろ? それ以前に不意打ちじゃないしな」

 

「そうですか。では、次は私の番ですね」

 

アリシアは剣を構えアーサーに向かって突進。

それを見たアーサーもシャスティフォル構え突進。

互いの攻撃範囲内に入ると同時に互いの剣がぶつかり合い甲高い金属音と火花を散らせる。

アリシアが斬戟を繰り出せばアーサーはシャスティフォルで弾き返し、カウンターとばかりに刺突を繰り出せばアリシアは最低限の力で受け流す。

激しい攻防が続く中アリシアの脳裏によぎることがいくつかあった。

 

「(このヒトの剣技……出鱈目だ。どの流派にも属さない剣。我流の剣技……やりにくい)」

 

時を同じくしてアーサーも脳裏によぎることがあった。

 

「(ちくしょう。女の子だって甘く見てた。ここまでの剣技をやるなんて常人じゃありえないぞ!?)」

 

と考えていると同時に両者が鍔ぜり合う。

 

「随分とお強いのですね。アーサー様は!」

 

声を張り上げると同時に剣を振り払う。

それを紙一重で回避するアーサー。

 

「悪いな。俺も伊達に剣をやってないからな!」

 

此方も声を張り上げながらアーサーはシャスティフォルを振るう。

振るわれたシャスティフォルをアリシアは巧みに受け流す。

受け流されたが故に体制を崩され一瞬の隙を見つけたアリシアは渾身の斬戟を放つ。

 

「(これで……!)」

 

「(来る!)」

 

本能でそれを感じ取ったアーサーは馬を後退させようとするが対応が間に合わないと悟るとシャスティフォルで刃を受ける。

 

「くっそ……!」

 

毒づきながら押し返そうとするが女性とは思えぬ腕力で徐々に押され始める。

 

「ぐぬぬぬ!」

 

「早くつぶれて下さい!」

 

アリシアが声を張り上げ言うがアーサーは聞く耳持たず。

 

「ぐぬぬ……だりゃぁあ!」

 

気合い一閃とばかりに瞬間的な力でアリシアの剣を弾き返す。

反撃が来ることを予期するアリシアはすぐにカウンターを狙う体制を取るがアーサーの取った行動が意味不明だった。

アーサーが急に自らの剣を放り投げ馬から降りいきなり大の字になったのだ。

 

「……何をなされてるのですか?」

 

「俺の負けだ~! 焼くなり煮るなり好きにしやがれ!」

 

「……はい?」

 

いきなりぶっ飛んだことを言い始めるアーサーについていけないアリシア。

よく分からないが戦闘状態ではないことを確認し剣を鞘におさめ馬を下りアーサーのもとへ行く。

 

「あの……アーサー様?」

 

怪訝な表情を浮かべるアリシアを迎えたアーサーの言動がまたまずかった。

 

「って言うのは嘘ッ!」

 

と襲いかかってきたアーサーに腹部にボクサー世界チャンプもびっくりクラスの一撃を加えたアリシア。

アリシアの鋭い一撃を綺麗に貰ったアーサーは腹部を抑え悶え苦しんでいる。

そしてアリシアがアーサーの腹部を思いっきり殴ったことを気付いたのはその10秒後の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

L('ω')┘5└('ω')」

 

 

 

 

 

 

 

 

広大な草原に大の字をかいているアーサー。

それを隣で見守るアリシア。

なんとも不思議な構図である。

不意にアリシアが口を開く。

 

「アーサー様」

 

「なんだね、アリシアちゃん」

 

「昼根は結構ですがこんなところで寝ていては風邪をひきます。それと、私は今15です。」

 

無表情のまま告げるアリシアにアーサーは得意げに指を立てて言う。

 

「心配無用だ。先人は言った「バカは風邪を引かない」と。それとアリシアたんは―――――――――」

 

「次は水月でいいですか?」

 

「以後自重いたします」

 

「それよりも、団長に聞いた話だと今日はアーサー様の部下をおつくりになるとのお話でしたが……」

 

アリシアは本題をきりだす。

 

「あ、それに関しちゃ心配いらねぇな」

 

「そうですか」

 

「反応薄ッ! もう少しまともな反応しろよ!」

 

「騎士ですから」

 

「そこ関係ないでしょ!?」

 

と何げない会話を交わすアーサーとアリシア。

 

「まぁ、俺の部下第一号は端から決めてたしな。焦る必要も無い」

 

と言いきるとアーサーは跳ね起きアリシアに向きなおり手を差し出す。

 

「アリシア・ランスロット。これから俺に絶対的な忠誠を誓え」

 

その目はまっすぐアリシアだけを見ていた。

だが、アリシアは

 

「………出来ません」

 

やっぱりな。とアーサーは心の奥で呟く。

今、時代が移り変わっても引きずっていること。

それは初代アーサー王との忠誠を裏切った事だ。

アーサーはアリシアの胸ぐらをつかみ声を張り上げて叫ぶ。

 

「ふざけな! 昔の事をいちいち引きずってたら前にも進めないだろ!? 何時までそんな鉄塊を背負ってんだよ!」

 

「………がかる―――」

 

アリシアが口を開き呟くがアーサーには聞こえていない。

 

「あ?」

 

「貴方に何が分かるの!? 私達、ランスロット一族がどうなったかも知らないで今更! 今更何も知らない子供がどうするのよ!」

 

アリシアも負けじとアーサーの胸ぐらをつかみ叫ぶ。

 

「んなもん知るか! お前らの一族がどうなったかも知らない! どんな扱いを受けていたかもしらない! でも………!」

 

アーサーは途中から顔を伏せ胸ぐらをつかむ手の力が強くなる。

 

「でも………それでも俺はお前を―――――――俺と似ていたお前を助けてやりたかったッ!」

 

途中から双眸から熱い涙を流しながら言う。

 

「似ていた……?」

 

「ああ! 何か訳分かんねぇ鉄塊を背負わせれて自分の歩いている道が進んでいい道なのか分かんねぇ。初めて、今日だけどさ……初めて会った時、そんな顔してたんだよ。お前は。だから、お前は俺とは違う道を歩かせたかったんだ! 運命づけられた道をぶっ壊して! 別の未来(みち)を歩かせたいんだ!」

 

「………」

 

アリシアは思った。

 

素直じゃない。と。

 

アリシアは思った

 

虚生ばかり張ると。

 

アリシアは思った。

 

泣き虫だ。と。

 

アリシアは分かった。

 

 

 

 

 

 

「(このヒトは、素直じゃなくて、虚生ばかり張っておまけに泣き虫だ。でも……それ以上に他の誰よりも優しい人なんだ)」

 

と。

今は泣きじゃくるただの子供。

わずか9歳で覇王になることを運命づけられた、悲しい人。

このヒトは、自分よりも凄いことを抱えていると気付いたアリシアは胸ぐらから手を離し自然とアーサーの背中をさすっていた。

そして自然と言葉を口にしていた。

 

「アーサー様。先ほどのご無礼をお許しください……。このアリシア・ランスロット。貴方様に生涯の忠誠をここに誓わせて頂きます」

 

そう言うとアーサーは一旦泣きやんだが再び声を上げてまた泣きだした。

悲しみではなく次は嬉しさの涙なんだろう。

広大な草原にただ二人、少し不思議な忠誠を誓った騎士と王がいた。

 

 

 

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