すいません!
俺は初代を超える王になるよ。絶対に。
L('ω')┘2└('ω')」
アーサーがアリシア・ランスロットを家臣にしてから数日後、キャメロット現国王。バナード・ペンドラゴンが病で倒れたのだ。
魔術師達がいくら治療を施しても、最新医療を持ってしても治る気配は1つも無かった。
そして俺は知ることになる。
別れという名の哀しみを。
己の無力さを。
俺は今。王の寝室の扉の真っ正面の壁に背中を預け王室の扉を凝視していた。
俺は……
何一つ。いいことをしていない。むしろ迷惑ばかりかけていた。
ペンドラゴン家の跡取りは血縁上、俺となる。
元一般人だ。
俺には王なんて絶対無理だ。
王なんて俺の器じゃ収まりきらない。
顔を伏せ頭を掻きむしる。
……
俺は……どうすればいいんだよ。
今更打ち明けるのか……?
ずっと黙って抱え込んでいたことを。
不意に寝室の扉が開く。
俺は顔を上げ勢いで立ち上がり出てきた物の名前を呼ぶ。
「マーリン!」
寝室から出てきたマーリンはそのまま俺のもとへ歩み寄り耳打ちする。
「……アーサー様。よく聞いて。国王は今日の夜明けぐらいが峠よ……その間に言いたい事を言ってあげて」
「ッッ!」
俺は感情のまま無礼を承知で寝室の扉を開ける。
とそこには弱弱しくベッドで身体を横にしているアーサーの父がいた。
すると顔だけ此方に向けいつもと変わらぬ柔和な笑みを浮かべて口を開けた。
「アーサー……。ちょうどいい。私もお前の顔が見たかったんだ。来なさい」
俺は歩いてではなく走って父のもとへ行く。
そしてそのまま弱弱しくなった右手を両手でそっと握る。
それから父は俺の昔話を語りだした。
「お前が生まれたことは私は絶対に忘れない。アーサー。お前が生まれた時間はこの世にキャメロットに星が綺麗に輝く夜だったよ。私は無事に子供が産まれますように。と吹き抜けの礼拝堂でひたすら祈り続けた時のことだったよ。ふと、夜空を見上げるとな、夜空に無数の流れ星が輝いたんだ。私はその瞬間にキャメロットの言い伝えを思い出した。『夜空に無数の流星が駆ける時。全てに終わりを告げる覇王があらわれん。それは古から続く戦いにして赤き血脈と覇王との黄昏の兆しとならん』との言い伝えを……その時だよ。お前がこの世に産声をあげたのは。私はこの流れ星を見た時に迷っていた名前を決めたんだよ。お前と同じく聖王剣を抜きこのキャメロットを建国させた偉大なる王。アーサーから、な。それと同時にお前の母と約束したのさ。アーサーを言い伝えのような覇王にしないと。アーサーにそんな事をさせないと……。それからお前は私たちに愛と優しさを教えてくれたよ。特に湖に遊びに行った時なんかはーーーー」
俺が生まれた時から今に至るまで、父は話し続けた。
俺は、ただ、手を握り話を聞くことしか出来なかった。
不意に父が指摘する。
「アーサー……なぜ泣く? 泣くことも無いだろう?」
「……え?」
今まで気付かなかった。
俺は右手を頬に添えるとそこには生ぬるい涙が伝っていた。
そして父は決意したように俺の諭す。
「アーサー、私からお前に言いたい事がある………アーサー。私はもう長くない。だから……お前を次の王としてキャメロットを治めて欲しい」
「俺には無理だ! 俺は王なんて器じゃないし……! それに」
あんたの子供。アーサーじゃないんだよ!
と言うよりも早く、父は口を開いて驚愕の事実を放つ。
「分かっていた……。お前が本当のアーサーでないことを」
「!?」
俺の顔色は驚きの一色で染まる。
「じ、じゃあ、なんで俺を次の王になれなんて言うんだよ! 分かってたなら……さっさと追い出してもよかっただろ!? なんでしなかったんだよ!」
声をあ上げる俺を余所に父はずっと天蓋を見つめている
「さぁ……私にも分からん。だが……お前は私達の大事な子供。アーサー・ペンドラゴンであることには変わりはない」
「でも!」
「……アーサー。人はたくさん笑ってたくさん泣いてそれから死んでいくんだ。お前もそれを分かる時が来る」
「訳分からねぇことを並べてるんじゃねぇよ! 俺は……! 俺は……!」
途中から涙をぼろぼろ流しながら言葉を発する。
それを見た父は小さく笑ったあと左手を俺の頭にそっとのせゆっくりと撫でる。
安心する……。なんというか……優しい感じが身体の芯まで届く。
より一層、涙を流す俺に父は言う。
「アーサー。お前は私の大事な子供で王を象徴する剣。コールブランドを抜いたのだ。お前は王になる資格は充分にある。だから……」
一拍置いた後、脇に置いていた、王のみが被ることが出来る初代アーサー・ペンドラゴンの時代からずっと使われているクラウンを俺の頭にそっとのせた。
「アーサー。この国を、その先にある未来をこのクラウンと共にお前に託す……次の世代へ、つなぐ。約束だ」
その言葉に俺はただ、涙を流し頷くことしか出来ない。
そして、父は言葉を続ける。
「お前は……この国言い伝えにある修羅の道を歩くことになるだろう。だが……私はお前を信じている。お前なら千年続くこの運命の連鎖を断ち切ってくれる。と」
「………」
俺は顔を俯けただ泣くことしか出来なかった。
そして
「アーサー。お前は本当に優しい子だ」
と父が頬笑みながら言ったのを俺は生涯忘れない。
キャメロット国王、バナード・ペンドラゴンは夜明とともにこの言葉を最後に静かにこの世を旅立った。
「うぁぁぁぁぁああああああああああああああ!」
俺は泣いた。
涙腺のダムが崩壊したかのように泣いた。
喉がイカレるまで泣いた。
俺の泣き声を聞いて母とルフェイ、マーリン、が入ってくると同時に何が起きたかを察した。
ルフェイは母に抱きつき泣き始めた。
母はそっとルフェイの背中をさすりながら父の死を悲しんでいる。
マーリンは顔を背け涙を流していた。
父の葬儀は国を挙げて行われた。
父は民を思い、民の為に政治を行った。故に民から好かれていた。
民は父の死を嘆き悲しんだ。
火葬が終わり遺灰になった父を見ても俺は泣かなかった。
それから俺は父の遺灰の入った袋の中から一握りの灰をとり、別の袋に入れその袋を手に父のとの思い出の場所へ走っていく。
それは、父とよく気分転換と称してよく来ていたこのキャメロットの海を一望できる断崖。
時刻は午後5;00。日が沈み始め空が夕日に照らされ綺麗な緋色に輝く。
俺はこの風景を父と見るのが好きだった。
しばらくこの風景を観賞した後、袋から遺灰を手に握りゆっくりと開く。
手を開いていくとサラサラと父が風に乗ってキャメロットの海へ飛んでいく。
父は俺に言ってくれた。
俺を大事な家族だと言ってくれた。
俺を王になれると言ってくれた。
俺を優しい子。だと言ってくれた。
俺を王の証であるクラウンを頭に載せてくれた。
ありがとう。父さん……。
俺、頑張るから。
俺、もう泣かないから。
俺、もう意地っ張りな所、叩き直すから。
俺、もう見え透いた虚生張らないから。
俺、初代も越える王になるから。
だから……今は、ここで一旦お別れ。
そっちへ行くのはかなり後かも知れないけど、そっちへ行ったらさ。
また話そうよ。
くだらない世間話でも父さんの昔話しでも。俺の人生の事でも。
今まではさ、ずーっと俺が聞き手だったけどさ、次は父さんが聞き手で俺が語り手だから。
だから……みんなを見守っていてよ。
俺の尊敬するキャメロット国王、バナード・ペンドラゴン。
完全に手の中から遺灰が無くなるとずっと我慢してきた涙がホロリと一筋流れ、その涙は風に乗りキャメロットの海へ静かに消えていった。
本来ならもう少し続くはずだったんですが、それだとかなり長くなってしまうので切りが良いここで終わらせました。
さぁーて、次の話は……。
05 アーサー王と円卓の黒騎士団
です!
次回をご期待下さい!
感想、評価、激求めです!
それから皆さん、良いお年をお迎えください。