Re:Born・Build─生まれ変わりのビルド─   作:LEIKUN0227

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第12話 学校生活壊すモノ

 

 

 

 

─────

 

──第三者視点──

 

夏帆「……ふぁーあ。ねぇ、美織。今日は真美ちゃん来るの遅いねぇ」

 

春の柔らかな陽差しが教室に差し込む中、

夏帆の間延びした声が響く。

 

美織は机に肘をつきながら、小さく笑った。

 

美織「真美ちゃんは少し忘れっぽいからね、また約束場所を忘れて迷ってるのかも。」

 

夏帆「今度からメモしてもらおっかなぁ…」

 

どこか抜けたそのやりとりも、

三年生になった彼女たちの日常の一部になっていた。

 

美織「今日で3日目…創破…今日も来てないな…」

 

創破の姿がないまま、今日で三日目が経過し、

美織は少しだけ寂しそうな表情をする。

 

進級式での"事件"以来、創破は心のケアが必要だとされ、

自宅療養中と伝えられている――表向きは、だが。

 

美織「……あれ? なんか騒がしくない?」

 

美織の席は窓側の席に座っていたのだが、

ふと教室の窓の方に目を向けた時、

教室の窓から見える校門に人集りが出来始めている事に気が付く。

 

美織「…何か、あったのかな。」

 

美織が不安げに目を細めたその瞬間、

校舎の入り口に居た人集りが

まるで蜘蛛の子を散らすように散っていき、

その中心から異形の影が姿を現した。

 

いや、出現したというよりも変化したというのが正しいだろう。

 

美織「あれは……フラ…イングスマッシュ!?」

 

美織は創破から教えてもらったビルドの知識で、

あれは空を飛べる事が出来るスマッシュである事に気が付くと同時に、

あの時の進級式でのストロングスマッシュの様に、

自ら変化したスマッシュだという事にも気が付く。

 

美織「新島(ニイジマ)先生!ここからだと1番離れているのは体育館です!避難しましょう!」

 

この時の美織は冷静に判断をし、

フライングスマッシュのいる場所から1番離れている場所が体育館であると理解して、

黙々と昼食を教室で食べていた3年A組の担任である新島へと話しかける。

 

新島「へっ…?避難?」

 

どうやらご飯を食べる事に集中していた様で、

キョトンとした顔で美織を見る担任に、

美織はすぐさま現状を告げる。

 

冷静になっているおかげで噛んだり、

早口で喋る事なく、

直ぐに理解出来る様に話した事で、

担任も直ぐに自体を把握した様である。

 

新島「この場にいる皆さんは体育館に避難して下さい!これは訓練では無いです!至急避難してください!」

 

教室に残っていた生徒に急いで知らせると、

教師は我先にと教室を飛び出した。

 

キョトンとしてまだ事態を把握していない生徒達を置いて教師に着いていく美織は、

飛び出した教師に声をかけようとした。

 

美織「新島先生!階段はそっちには…」

 

美織は我先にと飛び出した教師が階段とは真逆の方向…

2組の教室しかない方に走り出すのを見て、

階段の方を間違えた様に見えたからだ。

 

だが、美織は教師の意図を直ぐに理解して、

自分は階段に駆けた。

 

すぐ後ろで教師の声が聞こえる。

 

新島「怪人が入り口に──逃げて──────!!」

 

どうやらあの数秒で教師は他のクラスに避難勧告をする判断を取っていた様である。

 

────

 

──体育館──

 

指示に従って避難してきた各クラスの生徒が体育館に集まってくる。

 

担任の的確な指示もあり、

彼女たち3年生は比較的早く体育館へ避難することに成功する。

 

美織「ふう……とりあえずここなら」

 

美織が安心したのも束の間、

体育館の上部にある窓の一つが突如として粉々に砕けた。

 

豪快にガラスが割れると、そこから1つの影が降り立つ…

 

「っ!?」

 

「ナイトローグだぁぁ!」

 

降り立ったのは黒き装甲の戦士――ナイトローグ。

その蝙蝠を模した複眼が、

生徒たちを冷酷に見据える。

 

「さぁ、誰が"アイツ"かをはっきりさせよう…」

 

その呟きと共に、

彼の手に握られていたスチームブレードが二閃。

 

刃先から放たれた霧が、

近くにいた二人の男子生徒を包み込んだ。

 

「やめて……っ!」

 

「グァッ…ウガァァァ!!」

 

霧に包まれた2人の生徒の身体が激しく捩れ、

やがて変貌を遂げる。

 

一体は全身が鏡面のように煌めき、

分身のような像を揺らす姿――ミラージュスマッシュ。

 

もう一体は顔面が正方形の巨大モニターのように変化し、

そこに映像の歪みを生じさせる――スクエアスマッシュ。

 

「逃げて……スマッシュよ!!」

 

教師が叫ぶ間もなく、

ミラージュスマッシュは分身を数体生み出し、

生徒たちの視界を撹乱。

 

一方のスクエアスマッシュは光のスクリーンを展開し、

逃げ道の感覚を狂わせる。

 

「なんで……こんなことに……!」

 

美織「…」

 

美織は混乱する生徒たちの中で、

ただ呆然と立ち尽くしていた。

ミラージュスマッシュの分身の中の一体が、

スライスマッシャー(ミラージュの持つ剣)を向けこちらへと迫ってくる。

 

その瞬間、頭の中に“何か”がフラッシュバックする。

 

――自分が見上げた時、誰かが去る姿、左手、苦しい霧。

 

美織「っ……わたし……っは」

 

微かに、しかし確かに蘇ろうとする記憶。

 

だが、その思考を断ち切るように、

ミラージュスマッシュが斬撃を繰り出した。

 

美織「……っ!!」

 

美織は咄嗟に身を翻し、

斬撃は左腕を掠める。

制服の袖が裂け、血が滲んだ。

 

美織「いッっ……」

 

足がもつれ、床に倒れ込む。

 

スクエアスマッシュが頭上にスクリーンを浮かべ、

まずは彼女の逃げ道を塞ごうと迫る。

 

美織「もうダメ……かも……」

 

美織がそう呟き、諦めかけたその瞬間、

轟音とともに空気が震えた。

 

スクエアスマッシュの前に割って入る影――それはスーツ姿の男。

 

先ほどまで見当たらなかったはずの彼――新任校長だった。

 

校長「生徒に手を出すとは、見過ごせんな」

 

その声には、不思議な重みと凄味があった。

 

次の瞬間には、彼は驚異的な速さで蹴りを繰り出して、

目の前に居たミラージュスマッシュの分身を消滅させ、

更に、迫ってきたスクエアスマッシュの腕を素手で受け止める。

 

美織「え……」

 

驚く美織の前で、

校長は一閃の勢いでスマッシュを吹き飛ばす。

 

校長「君は…無事じゃないな?」

 

校長が赤く染まった袖に触れる。

 

美織「……はい、腕が切られて…」

 

校長「手を貸す、逃げるぞ。」

 

美織は校長に支えられながら立ち上がり、

共に体育館から脱出する。

 

後ろから聞こえる悲鳴から目を背けて二人脱出をした事に負い目を感じ、

体育館に取り残された同級生達の安否が気がかりでならなかった。

 

腕の痛みをこらえながら、美織は校長に訴えた。

 

美織「校長先生、私よりも、まだ中にいるみんなを助けに行かってあげてくれませんか……」

 

それに対し、校長は静かに首を振り、

先ほど出てきた体育館の出入口を指さした。

 

校長「心配はいらない。見てみなさい。」

 

美織がその方向に目を向けると、

体育館の出入口に入っていった一人の戦士の姿が目に入った。

 

赤と青のカラーリング、特徴的な複眼のヘルメット。

 

それは、彼女が何度も見たことのあるヒーローの姿だった。

 

美織「仮面ライダービルド…そっか」

 

彼女の声は驚きと安堵に満ちていた。

 

校長もまた、その光景に微笑みながら頷いた。

 

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