Re:Born・Build─生まれ変わりのビルド─ 作:LEIKUN0227
──体育館──
「ただトイレに行っただけ…か。」
私はお腹を抱えて体育館を後にするクラスメイトである生丈創破の後ろ姿をチラッと見て小さく呟く。
創破と私は同じクラスで、
一昨年…この学校からの付き合いだ。
彼はいつも1人で突っ走ってしまう性格で少し子供っぽい…幼さがあると言った方が良いのかな?
目を離しておくと何をしでかすかわからない不安材料、
そんな彼の事が自然と気になって目がいってしまう。
だから何かあったのかと目を向ければ、
ただお腹が痛くてトイレに行ったみたいだった。
思い過ごしだったようで、
私は再び前を向く。
進級式半ば、校長先生の話に移った。
校長の話が穏やかな口調で進んでいく、
いつも通りの年次行事だ。
生徒たちは皆椅子に座ったまま、
特に興味があるわけでもなさそうに、
それでも礼儀として静かに耳を傾けている。
例外として2席隣のクラスメイトとその隣のクラスメイトはぐっすりと寝ているけどね。
「皆さんは新しい学年を迎えるにあたり、それぞれの目標を定め――」
校長先生がマイクを持って話をしていたその瞬間、
突然舞台上で爆発が起こり、
煙が巻き起こる。
その直前には校長が吹き飛ばされたように見えた。
私…"美織"はその光景に目が釘付けになっていた。
「何だ!?」
「爆発!?」
「えっ、何が起こったの!?」
「あ…あれは…」
生徒たちの間に混乱が広がり、
あちこちから叫び声が上がる。
誰もが息を飲んである1点を見つめいている。
私も、状況が飲み込めず息を呑むことしかできなかった。
目を舞台に向けると、
そこには謎の煙が立ち込めていた。
爆発の衝撃で舞い上がった埃とは明らかに異なり、
黒く、不気味な煙だった。
その煙はゆっくりと広がりながら、
やがて徐々に晴れていく。
美織「囚人…?」
煙の中から姿を現したのは一人の男性。
首にはジャラジャラとした少し小さめの鎖が巻きつけられ、
服装を身にまとっている。
その鋭い目つきと冷たい雰囲気に、
私は恐怖で体が凍りつくように動けなかった。
教師たちも初めは状況を呑み込めない様子だったが、
次第に危険を察したのか、
次々に顔色を変え始める。
誰もが固唾を飲んで舞台上の男を見つめ、
体育館中に張り詰めた緊張感が伝播していくようだった…
そんな中、教頭と体育教師は、
舞台上の男を危険と判断し、
すぐさま行動に移り男に向かって走り始めた。
「君!そこで何をしている!」
「危険だ!早く取り押さえるぞ!」
男は二人の教師の声に反応することなく無言で佇んで、
冷たい視線を向けるだけだった
丁度その時、
男は懐から奇妙な小さなボトルを取り出したのを少し遠目からだけど、
確認する事が出来た。
美織「何だろう…あれ、凄く…嫌な予感がする。」
そのボトルには口を開けたゴリラの様な形状をしており、
男はそれを上下に振って、
左胸にそのボトルの口の様な部分を押し当てる。
すると、ガスの様で煙の様なものが男の体を包み込む。
ゴゴゴゴゴ…
煙赤黒いガスらしきものが霜の様に舞い、
彼の体にまとわりついて黄色と青色の装甲が形成されていく。
装甲は岩のように重厚であり、
その姿はいつかは覚えていないけれど、
創破から見せてもらった仮面ライダービルド?に登場する"ストロングスマッシュ"っていう名前の怪人そのものだった。
その姿はいつかは覚えていないけれど、
創破から見せてもらった
仮面ライダービルド?に登場する"ストロングスマッシュ"っていう名前の怪人そのものだった。
特徴的な巨大なパワーアームと分厚いボディフレームが現れ、
その威圧感は圧倒的。
美織「何が起こってるの…?ショー…じゃない。まさか空想の産物が現実に現れた…いや、それは無いか。」
ストロングスマッシュへと変貌した男は、
一歩前に踏み出すと、
教頭と体育教師に向かって蹴りを放った。
《ドゴォンッ》と壁が砕ける音と共に2人の教師は一瞬にして壁に叩きつけられ、
そのまま埋め込まれるように倒れ込む。
その蹴りの威力は常人では到底耐えられるものではないと、
私はすぐに理解出来た。
美織「嘘…」
教師が衝突した事により歪んだ壁から赤い液体が《ぽたぽた》と滴り落ち、
壁に衝突して数秒間は聞こえていたか細い声が、
今では全く聞こえなくなっていた。
二人の教師が死亡したと私を含めた生徒全員が理解するのに、
そう時間は掛からなかった。
たった今起きた殺人にパニックに陥る生徒達。
「どけよ!俺が先だ、どけぇっ!」
「やめて、押さないで!痛い、痛いってば!」
「出口だ!早く、早く逃げろ!」
生徒たちは理性を失った獣の様に、
我先にと出入口へ殺到する。
椅子を蹴飛ばし、他人を突き飛ばし、
叫び声と泣き声が渦巻いている。
誰かが転び、誰かが踏みつけられ、
体育館はまさに地獄絵図と化していた。
「うっ……うぇっ……!」
「やだ、やだ、やだぁぁぁ!」
「あぁ神様…なんて残酷なんですか」
恐怖のあまりその場で嘔吐する生徒、
泣き叫びながら本来守るべき生徒を押しのけて逃げ出す若手の女性教師、祈り始める生徒、誰もが自分のことで精一杯だ。
「美織、早く!」
クラスメイトの1人…私と仲が良い友達が私の腕を掴んで引っ張る。
私はその子と一緒に出入口に向かって必死に走ろうとした。
その時――
「邪魔だ!」
突然、後ろから誰かに強く突き飛ばされた。
美織「きゃっ――!」
私はバランスを大きく崩して、受身が取れず床に思い切り倒れ込む。
受身が取れず床に思い切り倒れ込む、
鼻を床にぶつけ、鈍い痛みとともに鼻血が《どくどく》と流れ出ているのが感じる。
鈍い痛みとともに鼻血が《どくどく》と流れ出ているのが感じる。
「邪魔だ
振り返ると、私を突き飛ばしたのは同じクラスの男子だった。
そのクラスメイトは私にそう吐き捨てると人混みの中に消えてしまった。
「…!ご、ごめん……!美織、ごめん!」
美織「…え?」
私と一緒に逃げようとしてくれた友達が突然恐怖に引きつった顔で叫ぶ。
「お前が囮になってくれ!ごめん、俺は……俺は死にたくないんだ!」
彼はそのまま私を置き去りにして、
出口へと走り去っていった。
美織「……うそ、でしょ……?囮って…」
私は鼻血を垂らしながら、
必死に起き上がろうとする。
だが、その時――
「……!」
友達が私を置いていった理由を理解した。
嫌でも理解出来てしまった。
理由は目の前に誰かの身体の部位らしき物を持った血濡れのストロングスマッシュが立っていたから。
美織「ヒュッ…辞め…て、ください」
私は後ずさりしながら、必死に叫ぶ。
美織「誰か、助けて……!」
だが、周囲の生徒たちは誰も振り返らない。
皆、自分のことで精一杯で、
私の声は混乱の中にかき消されていく。
ストロングスマッシュは無言のまま、
ゆっくりと私に手を伸ばす。
直後、男の手から姿を変えたあの霧のようなものが私の視界を覆う。
だんだんと意識が薄れていく感覚に加えて、
創破を気にかけていた理由は一人で突っ走っていく性格が不安だった訳じゃなく…─
今回登場したキャラクター
謎の男
名前は出ていなかったが、
ゴリラロストフルボトル(劇中はおろか設定にも存在しない架空ボトル)を使い、
ストロングスマッシュへと変化した男。
美織
創破の同じクラスメイトであるクール系女子、
ヒロイン兼2号ライダーキャラの構想が練り固まったので早めに登場した。