仮面ライダービルドの知識と技術を貰っても世界を救えるとは限らない─   作:LEIKUN0227

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第34話 バッタのスマッシュ

 

 

 

 

─────

 

俺、稲城翔(イナギク カケル)は少し前まではただの高校生だった。

そう、あの日までは──

 

─────

 

─夕焼けはすっかり夜へと変わり始めていた。

 

街灯の灯りがぽつぽつと点き始める中、

俺は自宅マンションの階段を上っていた。

 

翔「はぁ……疲れた……」

 

足が重い。

 

人を助けたからとか、

スマッシュと戦ったからとか、

そういう精神的な疲労もある。

 

だが何よりも。

 

今日一日で起きた出来事が異常すぎた。

部屋の鍵を開けてドアノブを捻ると、

そのまま雪崩込む様に中に入る。

 

翔「ただいまー……」

 

返事は無い。

 

当たり前だ。

一人暮らしなのだから。

 

部屋に入り、鞄を床へ置くと冷房をつけてそのままソファへと倒れ込んだ。

 

翔「はぁぁぁぁぁ……」

 

天井を見上げる。

つい昨日までは普通の大学生だった。

 

講義を受けて、

バイトをして、

ゲームをして、

動画を見て。

 

そんな何処にでもいる人間だった。

 

それが今は…

左手をゆっくりと持ち上げる。

そこには一本のボトルが握られている。

というか握っているのは俺なんだが。

バッタの絵柄が描かれた若緑色の成分が入ったボトル。

 

バッタフルボトル。

 

翔「……」

 

自然と握る力が強くなる。

少し冷たい感触が手に伝わってくる。

その中には確かに存在していた。

俺が変身した、あの怪人への変化出来る成分が。

 

翔「スマッシュ……か。」

 

数時間前の光景が脳裏に浮かぶ。

逃げ惑う人達や壊された建物の内から飛び交う悲鳴。

 

そして。

 

『かっこよかったぜ、おっさん─後は任せろ。』

 

翔「……」

 

思い返した瞬間、

少しだけ口元が緩んだ。

 

正直あの時は必死だった。

その場の勢いだったし、

考える暇なんて無かったが改めて振り返ってみると。

 

翔「なんか……」

 

少しだけ笑う。

 

翔「ヒーローみたいだったな……俺。」

 

誰もいない部屋。

だからこそ言えた言葉だった。

 

怪人になり、人を助けて、自分と同じ怪人と戦って

最後には人を救い出した。

まるで仮面ライダーみたいだった。

 

そう思ってしまうのも仕方がない。

 

翔「まぁ……見た目は怪人だけど。」

 

思わず苦笑した後、握り締めたフルボトルを見つめる。

不思議な気持ちだ。恐ろしい力、恐れるべき力のはずなのに。

少しだけ…いや、かなり頼もしく見えてしまう。

 

翔「…今日はもう寝るか。」

 

自分を巡って最近姿を表した仮面ライダーや、

自分をスマッシュ…後に存在を知る事になるハードスマッシュへと変えた存在が自分を探している事になど気付かぬまま、自分はゆっくりと目を閉じ、石井を手放した─

 




パラレルワールド的な世界に迷い込んでその世界の問題を解決するいわば映画的展開の話を投稿しようと思ってます。一応伏線を張ってるのでそこから発展させようと考えてます。
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