今回で「目覚めたら、亡国の王子でした」は完結となります。
「何、投石機がすべて壊された!?」
「はっ、王国の軍勢を迎撃している隙に、例の2人が投石機を破壊したという情報が――」
「ええい、何たる失態だ!」
オルガスは立腹のあまり、杯を投げ捨てる。
「いかがいたしましょう、オルガス大将」
「……アレがなければ攻略は難しい。忌々しいが、新たに作り直すほかあるまい。投石機の製作指示を出せ。本国からの増援も検討に――」
「た、大変です!」
突然、オルガスのもとに1人の兵士がやってくる。見る限りひどく憔悴しているようだった。
「一体どうした。また敵襲か?」
「旧クマイ、旧カダルカで大規模な反乱が発生!」
「反乱だと!?」
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ソルトラ王国、王妃のもとに伝令兵がやってきた。
「メアリー王妃、手筈通り、クマイとカダルカの方面で兵士たちが蜂起したようです」
「武器支援をしてくれたアガム王国に謝意を伝えてください」
「やはり、彼らもシュルス帝国の暴挙は見過ごせなかったのでしょうか」
「……彼らの真意はわかりかねます。しかし、今が好機であることは確かです」
「向こうが反乱の対処に軍を割いてくれていたらいいのですが」
「兵たちに伝えて。今こそ決戦の時よ」
「はっ!」
王妃の指令を受けた兵たちは各所へ駆け回り、決戦に備えるよう伝えた。
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剣と盾と弓矢を持ち、出撃の用意を済ませたトーマスは、エイミーに挨拶を交わしていた。
「じゃあ、行ってくるよ、エイミー」
「この戦いに勝つことで……やっと貴方の戦いは終わるのですね」
「うん。そしてみんなで村に戻ろう」
「ええ、待っています、トム……いえ、トーマス」
トーマスとエイミーはしばし抱き合い、そして離れた。
トーマスはエイミーに背を向け、陣地の門に向かう。
外へ向かう門の前には、すでに兵士たちが立ち並んでいた。
「トム。兵の準備は整ってるぞ」
「ありがとう、ソーマ」
「ざっと数えてみたが騎馬80騎含めて2000人くらい……ちょっと不安だな。相手は5000ほどだったろ?いくらか減らしてもこの差はきついんじゃないか?」
「ソーマ、戦いというのは単なる数で決まるもんじゃないんだよ。敵を攪乱させることができたら、数的優位はなくなるんだ」
「で、僕たちはその攪乱の役目ってわけか」
「そういうこと。さあ、行くよ」
トーマスは兵の方に振り向いて、叫ぶ。
「敵は今、混乱のさなかにある!強大な敵を打ち破る好機は、今を置いてほかにない。門を出て、すぐに陣形を整えよ!」
「「「おうっ!!」」」
「ルーカス、号令は頼みました」
「はっ!騎兵隊、常足!」
騎兵隊は一歩一歩前に出て陣地の門を出る。
門を出た騎兵隊は、歩きつつ横4列の陣形を整えた。
「騎兵隊、駈足!」
号令とともに鐘を鳴らす。途端、騎兵隊の脚は速まり、全速力を出す。
「おおーーーーっ!!」
帝国側の最前列はまともな準備もできてない段階であり、騎馬突撃を見るなり慌てて逃げる有様だった。
「散開せよ!敵を蹴散らしてしまえ」
指示通り騎兵隊は散開し、それぞれ逃げまどう兵士の掃討を行った。トーマスとソーマもあとに続き、逃げていく敵兵に追いつき、倒していった。
掃討のために奥に進んでいくと、敵兵は騎兵隊に対抗しようと陣形を整えつつあった。
「トーマス!敵が陣形を整える前に殴り込みをかけるぞ!」
「わかった、行こう!」
2人は敵兵に対して殴り込む。まずソーマが大槌を振り回して槍を片っ端から折っていき、そのまま一薙ぎで数人をまとめて叩き飛ばしていく。
トーマスはソーマの開けた陣形の穴に入り込み、内側から斬りかかる。対騎兵用として小回りの利かない槍を持っていたことで、トーマスの内側からの攻撃に対処することができていなかった。
そして敵兵たちがトーマスを攻撃しようと距離をとって散開したところ、王国の騎兵が次々と敵兵に襲い掛かった。複数方向からの攻撃で敵兵は戦意を喪失し、また逃げ出してしまう。
そして逃げた先には、敵の騎兵隊が姿を現していた。
「敵の騎兵隊だ!機動戦に備えよ!」
トーマスはそう叫び、弓矢を構えて馬を狙って射る。放った弓矢は次々と馬に命中し、落馬していく。倒れた馬に躓いて落馬する騎兵も出ていた。
斯くして、騎兵同士の戦いが始まった。トーマスとソーマもそれに混ざって敵兵を倒していくが、やがてそれはソーマの言葉で中断を余儀なくされる。
「トム、左から何か来る!」
「ん!?」
トムはとっさに後ろにステップして左から来るものを避ける。それは、アンナが放った光の弾と酷似していた。
「何だ!?」
疑問に思ったのも束の間、何者かがトーマスに向けて斬りかかってきた。トーマスはそれを弾き、二撃目が来る前にトーマスは何者かを蹴飛ばした。
トーマスが改めて何者かの全体像を見ると、黒装束に見覚えのある顔がそこにあった。
「お前はグラニア将軍の……」
「そうだ。お前たちに殺されたグラニア将軍、その子供たちだよ」
トーマスが視線を奥にやると、今話している人と似たような黒装束を来た人が3人いた。前に立っている人からそれぞれ剣、ナイフ、弓、杖を持っていた。
「……目的は復讐か」
「わかっているなら話が早い。確かに俺たちの父さんは、お前の父さんを殺した。父さんに対する恨みもあっただろうと思う。ただそれでも僕たちにとって、父さんは大切な人だった。僕たちに武術を教えてくれたり、時々一緒に買い物をしたり――」
「長話を聞いている暇はない。君たちが僕を殺したいほど憎んでいるのはわかった。でも僕も生きなければならない。悪いけど、そう簡単に首をくれてやる気は無いよ」
「……わかった。では」
剣持ちはトーマスに対して距離を詰め、突きを繰り出してきた。トーマスはそれを弾き、反撃に出ようとする。しかし、弓持ちから矢が放たれ、トーマスの剣はそれを捌くために使われた。同時に剣持ちに蹴りを入れ、距離をとる。
「ぐっ!?」
弓持ちがさらに矢を番えるも、ソーマの大槌が近づいてくるのが見えたことで追撃を止め、間一髪で躱した。ソーマは弓持ちを追い詰めようとするが、横からナイフ持ちの妨害に遭う、ナイフ持ちは上段と中段を中心としてソーマに連続攻撃を仕掛けるが、ソーマは全て回避する。
トーマスはナイフ持ちの視界外から攻撃しようとするが、杖持ちの放つ光の弾がトーマスめがけて撃ってきたため、踏みとどまった。光の弾は、トーマスの目の前を飛んでいった。
ナイフ持ちは中段突きを繰り出すが、ソーマは体を捻りつつ跳躍そして宙返りで回避、そして勢いそのまま大槌を振り回す。ナイフ持ちは前に出した足を踏み込み、重心を後ろにずらして何とか回避する。
トーマスは剣持ちと剣を弾き合い、剣持ちの突きを左薙ぎで弾き、その勢いのまま半回転して左脚で剣持ちを蹴り飛ばす。
そのまま剣持ちに近づこうとしたが、やはり杖持ちによる光の弾の妨害に遭うことを予測したトーマスは、周りを見る。すると弓持ちがソーマを狙っているのを目撃した。
ソーマは着地してすぐ、大槌を前に構えてナイフ持ちに突進を仕掛ける。ナイフ持ちは避けようとするが、このままでは避けきれず大槌にぶつかる。
弓持ちはソーマの攻撃を妨害しようと矢を番える。ソーマがそのまま突進してきたら当たるだろう場所に矢を射る。
ソーマは弓持ちからの攻撃を警戒して頭を腕で隠すようにしている。このままだと頭には当たらないものの腕に、矢が当たることになる。しかし、ソーマはそれでも突撃を止めなかった。矢はそのままソーマに迫っていくが、突如、横から矢が飛んできて、ソーマに向けた矢に命中。コースは逸れてソーマに当たらなくなってしまった。ソーマの大槌はナイフ持ちに当たり、ナイフ持ちは1mほど飛ばされた。
「マオロ!!」
目の前の光景に弓持ちは驚愕し、別の矢の放った方を見ると、トーマスが弓持ちに対して矢を射る。弓持ちはギリギリで命中を免れた。
「この野郎!!」
剣持ちがトーマスに斬りかかる。トーマスはそれを躱し、地面に突き刺していた剣を抜いて二撃目の横薙ぎを上に弾く。剣持ちがよろめいた隙をトーマスは見逃さず、前方へ跳躍してラリアットをかました。
「ぐふっ!?」
剣持ちは首への直撃は免れたものの、その下の胸部分に直撃して2mほど吹き飛ばされた。
「もうやめようよ。復讐のために死んだって何にもならない」
「うるさい!」
剣持ちはトーマスに斬りかかるが、難なく避ける。続く振り下ろしを避けてトーマスは剣持ちの後ろにつき、アームロックで首を絞める。
「ぐうっ……!」
「もうやめてくれ!君たちはこれ以上関わるなとグラニア将軍が遺言として残したはずだろう!?」
「……っ……や……れ」
「え!?」
トーマスは剣持ちが自身を犠牲にしてまでトーマスを仕留めようとする執念に驚愕した。
そして杖持ちが魔法を唱え、危険を感じたトーマスは腕を放そうとするものの、剣持ちがトーマスの腕をそのまま固定させようと掴んでいた。
トムは致し方なしに剣を振るおうとするが、突如右の二の腕あたりに矢が刺さる。
「ぐぅっ!」
「トム!」
ソーマが助けに行こうとするが、弓持ちとナイフ持ちの2人に阻まれて助けに行くことができない。
(クソ、ここまでか……?)
トーマスがあきらめかけたその時、光の弾を生成中の杖持ちに向かって別の光の弾が飛んできた。
「アレド!!」
光の弾は杖持ちに命中し、閃光とともに大爆発を起こした。トーマスと剣持ちは爆風で別々に吹き飛ばされる。
爆風が収まり、閃光があったところを再び見てみると、そこはクレーターを作って消し飛んでいた。
「アレドォォォォ!!」
トーマスが周りをみると、馬に2人乗りをしているのを見かけた。ジェフとアンナであった。
「この野郎ぉ!!」
ナイフ持ちは未だ体が痛む中でソーマに対して攻撃を行ったが、先ほどより俊敏さが衰えていた。右の逆手でソーマを刺そうとするが、ソーマに手首を掴まれ、頭突きをくらわされる。
「がぁっ!?」
ナイフ持ちはまともに立っていられないほどのダメージを受けて、その場にしゃがみ込む。弓持ちはソーマを狙い、矢を番え、弓を引き絞る。が、突然左手に何かが当たり、はずみで右手も弦を放してしまう。矢はソーマの方に向かず、どこかへ飛んで行った。飛んできた方向を見ると、トーマスが何かを投げる動作をした光景が映っていた。
ソーマは大槌を大きく振りかぶり、そして、ナイフ持ちに対して渾身の横薙ぎを喰らわせた。直撃したナイフ持ちは大きくたたき飛ばされ、木に激突し、地面に落ちて、それ以降動くことはなかった。
「マオロ!!」
「トム、大丈夫か!?」
「僕は大丈夫だ、速く弓持ちのところへ!」
「わかった!」
ソーマは弓持ちのところに向かった。弓持ちは逃げようとするが、速力の差は歴然であり、数刻も経たずソーマに捕らえられ、気絶させられた。
「く……っ!」
「これ以上の犠牲は出したくない!早くここから去るんだ!」
「クッソがああぁぁ!!」
剣持ちはトーマスに対して全速力で斬りかかる。トーマスも全速力で剣持ちに向かって走る。
そしてトーマスは剣を左手に持ち換え、投げつける。剣持ちはそれを弾き飛ばすが、その直後に跳んできた右ストレートを躱すことはできなかった。顔に直撃し、5mほど飛ばされ、起き上がらなくなってしまった。
「……馬鹿野郎」
トーマスはそう呟いた。
「トム!腕は!」
「矢が刺さっただけだ。一足先に陣地に戻るよ」
トーマスが周りを見回すと、ジェフとアンナの馬と、騎兵2騎がトーマスのもとにやってきた。
「トーマス王子、そのお怪我は!?」
「大丈夫、大したことは無いよ。でもいったん陣地に戻って治療だね」
「お兄様!」
「ありがとう、アンナ。アンナがいなければ、僕はもういなかったかもしれない」
「アンナはその騎士の馬に乗って、引き続き攻撃を続けてくれ。トーマスは俺が陣地に運ぶ」
「頼みました」
「ソーマ、そいつはどうするんだ?」
「こいつも陣地へ運んで行ってくれ。僕はまだここに残って敵を掃討する」
「わかった。もう1騎に運ばせよう」
こうしてアンナは別の馬に乗り、ジェフの馬にはトーマスが乗り、もう1騎には弓持ちを運ばせた。
「じゃあ行こう、アンナ」
「ええ、ソーマさん。……お兄様……どうかご無事を祈ります」
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陣地に到着したトーマスは、真っ先に治療所に運ばれた。
治療所には、やはりというべきかエイミーが治療活動をしていた。
「トーマス!?」
エイミーはトーマスに気づくなり、無我夢中で駆けつける。
「その腕は!?」
「ちょっとヘマをしてしまってね……」
「そこに座らせて、今すぐ治療をします!」
エイミーの指示通り、トーマスを近くの椅子に座らせ、エイミーによる治療が始まった。まず腕をきつく縛って血の流れを抑え、トーマスに気付け薬を飲ませる。そして傷口を切開して鏃を探す。
「ぐ……うう……」
「ジェフ、トーマスの腕をできる限り抑えてて」
「わかった」
「……見つけた!」
エイミーは鏃を見つけそれを慎重に抜いた。傷を縫合して、布を巻いて軽く縛り、右腕を上にあげた状態で天井から吊り下げた。
「しばらくこうしてもらいます。傷がある程度治るまで、寝ないでください。不便でしょうけど、我慢してください。」
「うん……わかったよ」
「頑張って、トーマス……生き延びて……」
「エイミー、ありがとう」
「話し相手は任せてくれ。メアリー王妃と交代で何とかしよう。」
「わかりました。あとはお願いします」
エイミーはほかの兵の治療に回った。
「さて……何から話そうか」
そして、トーマスはジェフとメアリーとの長話を始めるのだった。
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その後、ソーマとアンナの活躍もあって遠征部隊が壊滅したことでシュルス帝国側はソルトラ側の出す「50年の不可侵条約」を呑まざるをえなくなった。こうしてソルトラ王国は独立を勝ち取った。捕虜となった弓持ちは解放された。どこか放心状態なのか、ふらふらと姿を消した。
ソルトラ王国は王妃の語った通り、王政を捨て、共和制へと移行することになる。
トーマスの傷も無事治り、リハビリの末、日常生活に支障がない程度に動かすことができるようになった。
「後は私に任せて」とメアリーに言われたトーマスは、エイミー、ソーマ、アンナとともにロスク村に帰り、トーマスはエイミーと、ソーマはアンナとそれぞれ結ばれた。英雄たちの結婚式と会って、騒ぎは三日三晩続いた。
トーマスとエイミーの夫婦は、エイミーの家業を継ぎ、除虫効果のある植物を使った日用品を売ることで財を成した。
ソーマとアンナは、ソーマが貴族の家督を継いだことで、安定した生活を送る事が出来ていた。アンナの「お兄様」呼びは王子でなくなったあとも止めていないが、トーマスの方もあまり気にしてはいないようだ。
両夫婦とも、子どもに恵まれ、充実した人生を送っていた。
やがて、トーマスは年老い、病床に伏せ、余命幾ばくもないことを自覚した。傍らにはエイミー、そしてその子、孫たちが寄り添っていた。
(思い返せば、充実した人生であったな。いろいろな苦難もあったが、それを乗り越えたからこそ、この人生があるのだと、今なら思える。思い残すことは……)
そこまで考えたところで、ふと、あることを思い出した。
(結局、元の世界には帰れずじまいだったか……この世界での生活は悪いものではなかったが、それでも元の世界での生活が懐かしく思えるほどに恋しかったのだな)
そう思いつつ、トーマスは最後の息をつき、眠りについた。
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「ん……んん……」
少年はゆっくり目を開ける。
見慣れたと同時に懐かしさを覚える壁、家具、何よりも天井にある照明。
「あれ……」
少年は周りを見る。時計があったので見てみると、昼寝してから3時間しか経っていなかった。
何が起こっていたのか全く分からなかった少年。
「あ、トーマス、起きたのか?」
少年にとって見慣れた顔、トーマスの父親が話しかけてきた。
「今日の晩飯を買いに行くんだけど、トーマスも行くかい?」
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翌日、トーマスは仏壇を模様替えした祭壇の前にいた。
「では、行ってきます、母さん」
そう話しかけると、トーマスは玄関に向かった。
「学校行ってらっしゃい」
「行ってきます」
玄関を出ると朝日が差し込んでくる。
トーマスは昨日あったことを不思議に思いながら登校していた。
「おはよう、トム」
そんなトーマスに話しかける、同じ制服を着た男子がいた。
「ああ、相馬くん、おはよう」
「どうしたんだ?朝から浮かない顔をして」
「ああ、うん。実は……」
トーマスは相馬に昨日夢で見たことを話した。
相馬は多少長かった話に1回あくびをしたが、トーマスからの夢の中の人生の話を聞いた。
「それってあれか?もしかして『邯鄲の夢』ってやつじゃね?」
「かんたんの……なにそれ?」
相馬は『邯鄲の夢』について解説した。
古代中国の盧生という青年は、特に大きな目的もなく邯鄲という街に出かけたところ、呂翁という道士に出会う。
盧生は呂翁に自身の身分や生活について不満を漏らしたら、夢が叶うという枕をくれた。
盧生はその枕を使ってみると、夢の中で波乱万丈の人生を送ったが、目覚めると寝てからわずかな時間しか経っていなかった。という話である。
「へえ、そういう話があるんだ」
「まあこれは『人生というのは斯くも儚いものである』という意味で使われることが多い」
そういいつつ相馬は空を見る。
「ただ、もしかしたら」
「もしかしたら?」
「自分たちが寝てる間、誰かの人生を歩んでるのかもしれないな」
「誰かの人生を……」
相馬は続ける。
「あるいは今生きてるこの人生は誰かの夢だとか?」
「それを確認する方法は?」
トーマスの問いに相馬は少し考えるが、
「しらね」
そう答えるだけだった。
-Fin-
これにて、「目覚めたら、亡国の王子でした」は完結です。
詳しい後書き的なあれこれは、本日12時に投稿予定です。
1話から最後まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました!