祈りの名を、いつか呪いが覆うとしても   作:名もなきうちは

4 / 23
まどドラ、ガチャ更新早過ぎる
連続して投稿したから推敲不足かも


呪殺連鎖ー巴マミの疑念ー

 

 

 喫茶店の静けさは、まるで戦いの記憶を封じ込めるように落ち着いていた。

 

 虎杖悠仁が席を立ち、店の外に出ていったあと。テーブルには、制服姿の三人だけが残された。

 

 巴マミは手元のカップを静かに口元へ運ぶ。湯気が視界を曇らせる一瞬、その奥で彼女は思考を巡らせていた。

 

(あの男の話……にわかには信じがたい。けれど、確かに彼はあの“魔女”に有効打を与えた)

 

 目の前には、まだ不安げな顔の鹿目まどかと美樹さやか。特にまどかは、どこか心ここにあらずといった様子で、時折じっとカップを見つめていた。

 

「……ねえ、巴先輩。さっきの“呪術師”って、本当に存在するんでしょうか。マミさんは見滝原中学に在籍してるけど……虎杖さんは身元もはっきりしてないし、少し怪しいですよね。でも…助けてくれたのは事実だし……」

 

 おずおずと切り出したのはさやかだった。鋭くはないが、素直な問いだった。

 

「少なくとも私は、あんな存在、聞いたこともないわ。でも……確かに、あの人は魔女に有効な打撃を与えていた」

 

「魔女にダメージを通すなんて、マミさんみたいな魔法少女以外には無理なんですよね……?」

 

「一応あるにはあるわ。ただ、銃火器のような物騒なものでなければ倒せないでしょう。だからこそ、逆に危ういの。何者か分からないからこそ……利用される前に、私が知っておかなくちゃ。もちろん、魔法少女候補である貴女たちも」

 

 マミの声音は、いつになく硬かった。

 

(“呪術師”という未知の存在、見たことのない技、そして彼の言葉にあった“政府の規制”や“呪いの災害”……)

 

 情報が多すぎる。どこまでが真実で、どこからが偽りなのかすら分からない。

 

 けれど、少女たちの命を預かる身として、曖昧なままにはしておけない。

 

「鹿目さん、美樹さん。恐ろしい体験をしたあなたたちに今、こんなことを聞くのは酷かもしれない。少し踏み入った質問をしてもいいかしら?」

 

「大丈夫ですよ、マミさん!」

 

「私も大丈夫です。……マミさんや虎杖さんが守ってくれたから!」

 

「ありがとう、鹿目さん、美樹さん。じゃあ単刀直入に訊くけど……さっきの戦いについて、何かおかしいと感じたことはある?」

 

 二人は顔を見合わせ、やがてまどかが静かに頷いた。

 

「うまく言えないけど、空気とか、重さとか……それに、結界の中で一瞬だけ何か別の景色が見えたような……」

 

 マミは目を細め、内心の不安をさらに深めていく。

 

(やっぱり、何かが“ずれて”いる。私が魔女の攻撃を受けてしまったのも……急に見えるはずのない“何処”かの景色に気を取られたから……!)

 

 巴マミも、つい数年前までは普通の少女だった。だからこそ、常識を疑う余地を持ち続けていた。

 

(仮に私の知らない法則、或いは異能が持ち込まれたのなら……)

 

 そのとき、ドアのベルが小さく鳴った。

 

 まどかがふと顔を上げた視線の先に、誰かが戻ってくる気配があった。

 

 虎杖が戻る前に、マミは小さく息を整える。そして、少女たちに静かに言う。

 

「……私が訊くわ。彼の言葉が真実か、嘘か。どちらにしても、見極めなければならないから」

 

 それは、巴マミとしての——魔法少女としての責任だった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。