連続して投稿したから推敲不足かも
喫茶店の静けさは、まるで戦いの記憶を封じ込めるように落ち着いていた。
虎杖悠仁が席を立ち、店の外に出ていったあと。テーブルには、制服姿の三人だけが残された。
巴マミは手元のカップを静かに口元へ運ぶ。湯気が視界を曇らせる一瞬、その奥で彼女は思考を巡らせていた。
(あの男の話……にわかには信じがたい。けれど、確かに彼はあの“魔女”に有効打を与えた)
目の前には、まだ不安げな顔の鹿目まどかと美樹さやか。特にまどかは、どこか心ここにあらずといった様子で、時折じっとカップを見つめていた。
「……ねえ、巴先輩。さっきの“呪術師”って、本当に存在するんでしょうか。マミさんは見滝原中学に在籍してるけど……虎杖さんは身元もはっきりしてないし、少し怪しいですよね。でも…助けてくれたのは事実だし……」
おずおずと切り出したのはさやかだった。鋭くはないが、素直な問いだった。
「少なくとも私は、あんな存在、聞いたこともないわ。でも……確かに、あの人は魔女に有効な打撃を与えていた」
「魔女にダメージを通すなんて、マミさんみたいな魔法少女以外には無理なんですよね……?」
「一応あるにはあるわ。ただ、銃火器のような物騒なものでなければ倒せないでしょう。だからこそ、逆に危ういの。何者か分からないからこそ……利用される前に、私が知っておかなくちゃ。もちろん、魔法少女候補である貴女たちも」
マミの声音は、いつになく硬かった。
(“呪術師”という未知の存在、見たことのない技、そして彼の言葉にあった“政府の規制”や“呪いの災害”……)
情報が多すぎる。どこまでが真実で、どこからが偽りなのかすら分からない。
けれど、少女たちの命を預かる身として、曖昧なままにはしておけない。
「鹿目さん、美樹さん。恐ろしい体験をしたあなたたちに今、こんなことを聞くのは酷かもしれない。少し踏み入った質問をしてもいいかしら?」
「大丈夫ですよ、マミさん!」
「私も大丈夫です。……マミさんや虎杖さんが守ってくれたから!」
「ありがとう、鹿目さん、美樹さん。じゃあ単刀直入に訊くけど……さっきの戦いについて、何かおかしいと感じたことはある?」
二人は顔を見合わせ、やがてまどかが静かに頷いた。
「うまく言えないけど、空気とか、重さとか……それに、結界の中で一瞬だけ何か別の景色が見えたような……」
マミは目を細め、内心の不安をさらに深めていく。
(やっぱり、何かが“ずれて”いる。私が魔女の攻撃を受けてしまったのも……急に見えるはずのない“何処”かの景色に気を取られたから……!)
巴マミも、つい数年前までは普通の少女だった。だからこそ、常識を疑う余地を持ち続けていた。
(仮に私の知らない法則、或いは異能が持ち込まれたのなら……)
そのとき、ドアのベルが小さく鳴った。
まどかがふと顔を上げた視線の先に、誰かが戻ってくる気配があった。
虎杖が戻る前に、マミは小さく息を整える。そして、少女たちに静かに言う。
「……私が訊くわ。彼の言葉が真実か、嘘か。どちらにしても、見極めなければならないから」
それは、巴マミとしての——魔法少女としての責任だった。