祈りの名を、いつか呪いが覆うとしても   作:名もなきうちは

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次の投稿は未定。プロットなどない。ライブ感しかない。推敲不足しかない。


呪殺連鎖ー結ー

 

 店の扉が開き、虎杖悠仁が静かに戻ってくる。

 

 その後ろを、白い小動物——きゅうべえが、まるで当然のように歩いていた。

 

「遅くなってごめん。外でもう一回、確認してみたけど……やっぱり圏外だった」

 

 そう言って席に着いた虎杖の視線が、巴マミと交差する。

 

 その瞳に、わずかに“決意”のようなものが宿っているのを虎杖は感じ取った。

 

「虎杖さん」

 

 マミが静かに口を開く。カップを両手で包み込むようにしながら、穏やかながらも鋭い眼差しで言った。

 

「私たちは、あなたの話を信じようと思っているわ。助けてくれた恩義もあるし、魔女に有効な力を持っていることも事実。でも……だからこそ、きちんと確かめさせて。あなたが何者なのかを」

 

 虎杖は真っ直ぐに頷いた。

 

「なんでも聞いてくれ」

 

「“呪術師”って、本当に存在するの? そしてあなたの“世界”では、それが日常なの?」

 

 一瞬、虎杖の表情がわずかに揺れる。彼の中で何かが迷っているのが見て取れた。

 

 魔女を前にしても冷静だった男が、今は言葉を探すように口を噤んでいる。

 

「……正直、オレの話はめちゃくちゃだ。信じろって方が無理がある。……頭のおかしくなったヤツの妄言だと思っても構わない。だけど、それでも聞いてくれるなら——」

 

 まどかとさやかが不安げに目を見合わせ、そして静かに頷いた。

 

 虎杖はそれを見て、覚悟を決めたように言葉を紡いでいく。

 

「……呪術師は、本当にいる。オレも、呪霊と戦ってきたし、仲間もいた。日本では“死滅回遊”っていう災厄が起きて、多くの人が命を落とした。あまりに規模が大きすぎて、政府も箝口令じゃ隠しきれなかった。でも、いまだにちゃんと報道されていない。中でも酷かったのは“渋谷”。街は壊滅して、今も復興してない」

 

 まどかとさやかの顔から、徐々に血の気が引いていく。

 

「……そんな話、聞いたこともありません」

 

 まどかがぽつりと呟き、さやかも小さく首を振った。

 

「ええ。この世界には、そういった記録は一切存在しないわ」

 

 マミは冷静にそう断言した。きゅうべえと裏でテレパシーを交わしていた彼女は、すでに虎杖の異質性に薄々気づいていた。

 

 そして、白い小動物きゅうべえが軽快に跳ねる。

 

「そろそろ核心に触れてもいいだろう、マミ」

 

「ええ。あなたの推測なら、私は信じるわ」

 

 きゅうべえは表情のない顔で、淡々とした声を発した。

 

「虎杖悠仁は、極めて特異な因果の流れに属する存在だ。時間、空間、観測——それらを越えてこの世界に到達したと見ていい。ボクの観測結果をまとめると——」

 

 一拍。

 

「——彼は、“並行世界”から来た人類である可能性が高い」

 

 その言葉に、まどかが小さく息を呑む。さやかも目を見開いて虎杖を見つめる。

 

 だが、マミだけは動じなかった。真っ直ぐ虎杖の目を捉えたまま、穏やかに訊ねた。

 

「……なら、改めて訊くわ。あなたは、どうしてこの世界に来たの? そして、これからどうするつもり?」

 

 虎杖は少し俯き、言葉を選びながら口を開いた。

 

「……正直、分からない。でも……このまま見て見ぬふりはできない。もしこの世界に“呪い”が存在するなら、オレが祓うべきだ。それが、呪術師としての役目だから」

 

 その答えに、マミはしばらく黙って彼を見つめ——そして、ふっと微笑んだ。

 

「……本当に、変わった人」

 

 その微笑には、ほんのわずかに——信頼の色が宿っていた。

 

 異なる世界の者たちの対話は、ついに大きな節目を迎えた。

 

 そして、この出会いが、やがて二つの世界の運命を大きく揺るがす——その前触れだった。




虎杖「さて、会計を済ませるかー」
店員「ん…。このお札なんかおかしくないですか」
虎杖「まさか……。別世界だからお金も微妙に違うのか…!」
店員「警察呼んだ方がいいかも……」
虎杖「」

この後、めちゃくちゃマミにお会計してもらった。

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