グレートジャーニー   作:照喜名 是空

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国家予算の絡む交渉

それで大半が酔いつぶれた朝方。

つっても地下都市だから明るさ変わんないんだけど。

私はいよいよ本題に乗り出した。

 

「ほんでさあ姉妹。実は本題があるんだよね」

「せやろな。何買いたいん?」

 

私も姉妹もほとんど素面みたいなノリだからお互い呑兵衛が極まってると思う。

 

「『タリスマン』ってあるじゃん。魔力貯めておけるやつ。うちの国って魔力兌換紙幣使ってるからさあ……やっぱデカい魔力を貯めておけるもんが欲しいんだよね」

「なるほど銀行代わりやね。ちゅうことは相当な大容量やな……最終的になんぼ欲しいん」

「えーっとね……こっちの魔力単位だと百バレットが千ミスラくらいで~とりあえず十億ミスラくらいは欲しくって~……ほんじゃあ一億バレットを……工期……五年くらい……五年くらいで送ってくれねえかなあ~~~」

 

ちなみに百バレットとは魔弾百発くらいだ。千ミスラが一日分の食費だからまあそんなもんだろう。

当然のように姉妹はすんごい難しい顔してた。

 

「ん~~~~、一億バレット貯められるタリスを五年でかぁ~!五年……いや解んねんで?国家予算いうたらまあその位いるわな?それを貯めとくもん作れいうたらまあそうなるわ……いやけどな~五年?」

「じゅ、十年待つから!十年でなんとかならねえ?」

 

うーん、と二人してうなってしまう。いや私も無茶言ってる自覚はあるし、向こうも私が必要なもんだとはわかってるんだよ。

 

「いや年数の問題ちゃうねん!そんだけ輸出したらマジでうちらで使う分がないやん?」

「だよねえ~!なんとか……なんとかならねえ?要は魔力を貯めておければいいんだよ」

「んー、ほんならどっかの山とかをまるごとタリスマンにしてまうとか」

 

さすが技術者種族だぜ!私の無茶にポンとアイデアが出てくるから助かるんだよ。

「できるの!?っつうかいいの!?門外不出のやつじゃんそれ」

「まあそこは、そっちの国に行って施工するとか、術式だけある程度教えて後はそっちでやってもらうかやな。ほんでもやっぱ高いで何で払うん」

 

そりゃ要るよな!国家規模とはいえ買い物だもの!対価は絶対いる。

「アダマスの『不壊化』でできた宝石とか……あるいは、あいつの『不壊化』の加工をこっちでやって品物を送り返すとか……あるいは他の似たような加工も安くやるからさ……それでそのうえで魔力そのものもできれば、めちゃくちゃ売ってほしい……!」

 

姉妹は腰に下げた小さなそろばんをパチパチはじき始めて考える。

 

「ん~、もう一声やな」

「うちの鉱物資源とか農作物とかあるっぽいんだけど欲しいのある?」

「ほんなら姉妹(きょうだい)の作る薬売ってくれんか?とりあえず長寿薬と魔力増やす薬と傷薬、それぞれ百本で魔力一億ミスラと魔力ダム建設に必要なもんは全部出す。ええやろ」

 

提示された価格はわりと良心的だ。

っていうか私の薬で国家予算の一割が賄えるんだから破格じゃん。

 

「めちゃくちゃ良心的じゃん……」

「妥当な値段やで。それだけの効果があるからな。そっちも国が出来たてで苦しいやろ?うちも女王なりたてで実績いるしな。勉強させてもろたわ」

「悪いなあ、姉妹……!」

「姉妹の仲やんか~!」

 

姉妹がぐりぐりと私の頭をなでる。

こんないいやつと国家同士の付き合いが入るのは本当に心苦しいよ……

でも、私が始めちゃった私の物語だからな。

……やりきるさ。

 

 

「えっ!取引って私が寝てる間にまとまってたの!?」

「もうもらったよ。はいこれ魔力ダムの設計書とそれに必要な術式の魔導書。あと一億ミスラが国庫に入るぞ~」

 

昼頃になって寝てる頃にミスラが驚いてた。悪いなお前が入ると絶対交渉がややこしくなるからさ……

 

「それはお姉さまが懐に入れても許されるわよ!?」

「許されるわけねえだろバカ」

ほらきた!魔族だからこういう倫理観がねえ発言でややこしくなるんだよ~!

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