一通り交渉終わったのでのんびりしてたら定期通信でなんかえらい知らせが入ってきた。
「えっ!魔王軍が攻めてきた!?」
『うむ、すでに撃退したがな。ああそれよりも……あちらから正式に『魔王教』の設立とこちらの『破門宣告』があった。わしらは魔族ではないそうだ』
「ありゃあ……なんか向こうも盛り上がってますね……勝手に……」
『セレナの入れ知恵よ。よほど腹に据えかねたらしいな。今まで魔王国に興味などなかったあやつが組織掌握に本気を出しておる。近々四天王になろうよ』
あいつか~!面倒な女だよ本当に……
『せっかくの機会だ。よい種族名を考えておくが良い。ああそれと、急いで帰ってくる必要もないぞ。もう二波三波はしのげよう。むしろ慌てて帰るところを襲撃される方がまずい。慎重にな』
「ウス……」
気が重いね……戦場はたぶんひでえことになったはずだ。
それを言わないでいてくれるイシュトアン様の優しさが沁みるよ……
気分転換に姉妹の部屋に飲みなおしに行ったら、『レコード』で私の歌を聞いててくれた。
レコードと通信機、その製法も献上品に入ってるんだよね。
まあ並大抵のものじゃ賠償できないからさ……
「おう姉妹。どしたん?しんどそうやで」
「ああ、魔王国がステイツに攻めてきたよ。まあ追い返したんだけど」
姉妹の部屋はドワーフらしく質実剛健でガジェットに埋もれている。
女子力からはほど遠い趣味の部屋だ。
私の話を聞いて姉妹は真剣に考えてくれてる様子だ。
椅子に座っていたが、机の上の『通信機』をばらして遊んでる手を止めてくれている。
「そうか……キツいな、それは。いっぱい死んだやろ」
「……らしいよ。なんか」
ドワーフの地酒、きっついウイスキーを勧めてくれる。
ありがてえ……効くねえ~これ!
「せやけど、国民の前で凹んだ顔したらあかんで。『ウチについてこい!』でええねん。まあ内心、迷うのはしゃあないけどな」
「ああ、やるしかないからね。そんで私ら魔族じゃねえ破門だってさ。まあそれはいいんだよ。ハナからそのつもりだしな。でもじゃあ、私は『何』なんだろうな……」
マーニーはピーナッツをボリボリ食べながら私に肩パンしてくる。
「なにて、そりゃ『鬼』でええんちゃうん。ジブンの歌にあるやんかしっかりせえ!そういう時はガーっと飲んでバーッと愚痴吐いて寝てまえ!」
「鬼か……いいね、悪くない」
そういえば、セレナと対バンしたときにそう歌ったっけ。
『私は人になる。人道を踏み外してでも。
そうだ、これが私の背負うもの、私の道、私の業だ。
ならば私は鬼に違いない』
口の中で転がすようにつぶやく。
そうだ、それが私の道だ。止まっていられない。
どれだけ傷が増えても私は進む。
「ほんで、そのうち見た目にもわかる違いがあったほうがええよ。とりあえず服から変えてみん?ジブンの着てるような派手なん流行らせたらええやん」
「いいね。それで行くわ。悪いな、姉妹……」
「ええんやで、こういうのはお互い様や」
私にはもったいねえダチだよ。
とりあえずその後はダイカザドに他の人間国家への書状を渡してゆっくり帰った。
内容は今まで本当に悪かった、勝手に停戦するから好きにしろ。くらいのやつだ。
通信機も一つおいてきたから何かあればすぐに連絡を取り合えるだろう。
これで他の人間国家の反応がわかる。……はずだ。たぶん。
「ほなな~!また遊びに来てや~!」
「おう!お互い生きてまた会おうぜ!」
「うふふ、うふふふふ……ああタリスマン、ああ、タリスマン……魔力フルチャージの……あ~資産があるって幸せ~」
行きに積まれた財宝は今は買えるだけ買ったタリスマンで埋め尽くされている。
これ本当にお守り袋みたいな形なんだな。
ミスラはその山に顔をうずめてゴキゲンだ。おかげで暗くならなくていい。
おまえが俗物で本当によかったよ……