グレートジャーニー   作:照喜名 是空

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魔王①

おい……なんで核攻撃が最速可決してんだ……

たった一日でスターステイツの議会は魔王領全土への核攻撃を可決してしまった。

まあ、私もどう説得しようかな~と思ってたから好都合ではあるんだけど。

 

一応、その攻撃範囲と威力、毒性については説明したんだけど『なんかすごい爆弾』としか理解されてない気がする……

私が『ゴメン、私にも切り札あるんだわ。そんでもってなんかついこないだ盗まれてた。こうなったら全部魔王領にぶっぱなすしかないと思うんだけど、どうする?』って言ったら逆に歓声が上がった時は私は心底恐怖したね。

 

ファンの鑑……私のパシリやってるあいつは『スゲエ!さすがイブキさん!魔王領を焼き払うなんていつでもできたんだー!』ってはしゃぎだしたときは頭はたいちゃったね……

 

で、今最前線で三百発の核をナールウェンと作り終えたってわけ。

 

「よし、転移魔法で飛ばすぞ。順番に起爆しろ」

「……ああ」

「3,2,1……ゴー!!」

 

三百発の核が順番に消えていく。

これは方眼状に『まんべんなく』魔王領を焼き払う。

ああ……スゲー遠くでキノコ雲が上がったわ。

これからじっくりと魔王領がウェルダンに焼きあがるわけだ。

万歳、畜生。

 

「……地獄だ。私は地獄を作っちまった」

 

ナールウェンが無表情にタバコをふかす。

 

「……これは勝利と栄光を称える花火だ。きっとミッドユーロからも見えるぞ?お祭り騒ぎだろう今頃」

「何一つ救いになってねえよ……」

 

私たちはグラサンをかけて伏せた。

ここの100キロ手前までは本当に太陽表面みたいにする計画だ。

ちなみに、ここの10km手前までは気化爆弾でこんがりやる。

逃げ場はねえ。終わりだ。……私は地獄に落ちるな。

それはそれとして、すっげえまぶしい。

 

「……まるで夜明けだ」

 

ローランが呆然としたように言った。

 

「そういうの言わないでくれる?」

「……すまない」

 

誰も彼も、静まり返っていた。誰も何も言わなかった。

戦争は終わった、けれどそこに快哉も歌もなかった。

ただ静かに、みんなで世界が焼けていくのを冷ややかな気持ちで見ていた。

ただ、この光景は目に焼き付いて離れないだろう。

みんな、わかっていた。こんな事許されるはずがないと。

 

「やーやー!めでたいのう!めでたいのう!ようやった!子よ!」

 

なんだ?誰だ?すんげえうるせえ拍手だ……

見た先にいるのは、一見獣人に見える女。

狼耳に、豊満な体、いくつものしっぽ。毛皮のような衣服。

だが……あの顔は!

 

「め、女神……さま?」

「うむ!母はおぬしら子らのいう星の意思、女神じゃよ。そして、おぬしらの言う魔王でもある」

 

ウッソだろ……どういうことだ……?なんで、なんで『笑ってる』んだ?

ここから……何が起こる?

 

「な、なんで……?」

 

それは私の声だったろうか?それとも誰の声?

 

「いや~素晴らしい輝きじゃったのう!これじゃよこれこれ!この命の削りあいの中から生まれた極限の輝き!決断!これが見たかったんじゃよ~!いや~母は鼻が高いぞ~!」

 

『そういうこと』かよ!?全部自作自演の?なんで?いや、そうか。こいつただ『見たかった』んだ!ゲームの駒みたいに!

「で、ではまさか女神様……これまでのすべてが、女神さまの自作自演で、それはただの娯楽だったと……?これまでの戦争、これまでの悲劇すべてが?」

「これは異なことを言う。『ここ』はすべての生命が輝くための試練の場じゃぞ?魔族もまたそのための駒の一つ。おぬしらはそれを超えて、試練に打ち勝った!母はうれしかった!感動した!ようやったのう!」

 

膝をついた道清に大魔王はかけよってとてもうれしそうに頭を撫でた。

道清は気絶して倒れた。

誰も彼もが静まり返った中、私は生涯で一番怒りに満ちたギターリフを奏でた。

 

「ふざけんなよ。それが何一つ面白くねえっつってんだ!誰がそんなん求めたんだよ!?だから、あんたの物語だろそれは!」

「これこれ、そう怒るではない。おぬしもまた、駒を超えて我が子になった。すばらしい輝きを見せてくれたのじゃよ?」

「ふざけんなぁーっ!!」

 

私はさらに全力で怒りを込めてギターを弾く、道清が立ち上がり、勇者が剣を構え、そして全員が戦いの構えを取った。

今だけは喜んでお前を殺すために音楽を使ってやる。

音楽は神をも殺す!殺してみせる!

 

「私のママはお前じゃない!山田ヒビキたった一人なんだよ!」

 

私は高らかにママの名前を叫んだ。ヤツはまだ笑顔だ。

 

「おお、そういえばそんな貰い子もいたのう。あの子もよう輝いた」

 

ママが別の世界からこっちに来たのもお前のせいってことでいい?

ふざけんなよママがどんな気持ちだったかお前にわかるか!

 

「お前がママを語るんじゃねえ。うるせえよ、それは私の物語じゃねえ!私の歌を聞け!」

 

女神が笑顔のままゆらりと構えを取った。

 

「ふーむ、そうかそうか……これは少ししつけが必要じゃな」

「お前は殺す!お前だけは私の意思で絶対に殺す!!」

 

始めよう。神と人、どっちが生きるかくたばるか!!

 

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