「ケヒャア~!」
「ヒャッハァーッ!中原はエルフのものだァ~!」
うーわっ。何これ……
街の一部が竹林になってる。アスファルトぶち破ってタケノコがにょきにょき生えてきてる。
目に見える速さで成長する植物ってやっぱキモいな。
「お客様、下がってくださいであります!」
同じ顔のロボット兵士が私の前に数十人出てくる。
なんかこの街、同じ役割のやつは2,3人で無数の体を動かす……みたいな形らしい。
だからロボット兵士もめちゃくちゃいるんだけど、顔のパターンが5つくらいしかねえ。
こいつはええと……『ミリス6D』だっけ。人工筋肉と人工皮膚使ってるから、コスプレした人間にしか見えねえよ。
「いや、私こいつらをぶん殴りに来たんだけど?ミスラから聞いてないのミリスちゃん」
「はいであります!ですが、戦いで屈服させ、交渉につかせるまでお客様をお守りするのが本官のタスクでありますから!」
「あいつの家だからそこは従うけどさあ……不死身の人に護衛っている?」
「お客様でありますから!」
さっきからギターで出したソニックブームで雑に飛んでくるタケノコの矢を打ち落としてるんだけどめんどくさいよ……
ミリスちゃんはなんかスタイリッシュな流線形のライフルでビーム撃ちまくってるけど何これ?
うわっ、バンブーエルフ共が蒸発してるよ……えぐいなー。
「つっこめー!」
「いけすかねえ機械をしやがって!ぶっ壊せー!」
これがエルフの末裔の姿か?品性はどこに行ったんだよ。
まあ……ナールウェンが作ればこうなるんだろうね。
現実主義者のバトルマニアだからなあ。
力こそすべてっていう哲学がよく表れてるよ。
だからって竹槍かついでパンダに乗って突撃してくる半裸の蛮族がエルフってのはなあ……
「エルフってこんな感じなんですか!?だいぶ本と違いません!?」
「昔はこんなんじゃなかったよ。文句はナールウェンに言ってくれ。私も正直引いてる」
ラビがミスラから借りたドローンで道路に『ドア』を落書きして上を通ったバンブーエルフを落とし穴みたいに遠くに転送している。
なんでこんな簡単な罠で何十人も引っかかんだよ。まあ、ドアをよじ登ってまた突撃してくるけど。
「何でこの人たち見えてる罠につっこんでくるんスか!?こわいんだけど!?」
異様な気迫で真正面から突撃してくるんだよね。
しかも矢をバンバン飛ばして地面に刺さったタケノコから竹林を増やしてる。
そこにオルフェが両端にアンカーが括り付けられた鎖をぶんぶん投げてエルフごと竹をぐるぐる巻きにして拘束する。
できるだけ人の形したもんは殺したくない感じが出てて精神の余裕を感じるね。
……やっぱ戦場に連れてくべきじゃなかったな。ごめんな。
アダムはミスラにあずけててよかったわ。
「人海戦術で罠のキャパをオーバーさせようとしてるね。ミツバチじゃねえんだからさ……」
まあ、タフな兵士を武装させて人海戦術で突っ込ませるのがそりゃ強いんだよ。
あいつらのタケノコ矢もこっちの防衛陣地の鉄板ぶちぬいてるからね。十分に殺傷力あるんだ。
なら数に任せて突撃がまあ強いよ。人命については竹によるクローンで踏み倒す。
たぶんあいつら同じ竹から生まれたのは同じ遺伝子と人格を持ってるっぽいんだよね……
「ナールウェンさんさあ……塩戦術になっちまったなあ……そっちもやっぱ思う所あったんだね」
たしかに蛮族の高揚感はあるけど、なんかもっとこう……駆け引きとかロマンとかそういうの好きじゃなかったっけ?
最終戦争でなんかあったんだろうね……責任を感じる~!!
「今、かかさまの悪口を言うたかえ?」
殺気!私は全力で魔力の鎧を張った。
いってぇ~!30mくらいバウンドしたよ!空飛んだ!
「硬いのう、首を斬り飛ばせなんだか」
「人の事いえないけどさあ、もうちょいつつしみというもんを持った服装をしろよ」
首痛った。
ゴキゴキ鳴らしてふわっと空中で体制を立て直して相手を見る。
うわっ、痴女だ。
いやだって、襦袢っていうかバスローブみたいな形の薄い浅黄色の着物一枚しか着てないんだよこいつ。
いやマジで。後は黒い刀一本しか持ってなくって、靴すらない裸足だもん。
全裸に着物一枚羽織っただけなんだよ。
「ヒャハァ~!カグヤさま!我らの長!」
「大母ナールウェンの直系!尊いお方だぜェ~!」
あ~、ボス的なアレなのね。
ヒャッハー共は量産型、こいつはハイエンドってわけだ。
よく見ればミリスちゃんが半数くらい真っ二つにされてるじゃん。
気分悪いな。
「とりあえず、あんたをぶちのめせば話聞いてくれる感じ?」
「その前にかかさまに謝りや。もう一つ、そなたにやれるとは思えぬ」
「あ~、ごめんな?人の親をディスるのは悪かったよ。後で本人にも謝っとくわ」
痛った!頬切れた!
こいつ装甲の上から切ってきやがったよ~!
「けひゃっ、きひゃひゃっきひゃはっ!」
「いってぇ……」
「イブキさん!?」
笑いながらぶった切ってきやがんの。
カグヤの斬撃でさっきから地面に降りられないんだけど。
地味に細かい傷がいっぱいついてマジで痛い。
だんだん腹立ってきたな。降りるまで暇だから酒作って飲んでやろ。
竹林に大陸風の衣装……こういう時は老酒だな。
小さい酒甕ごと作って合間合間に飲む。
もうコンボで浮かされてるだけじゃない。逆に手玉にとっていく。
「正邪善悪醉中明、(正か邪か嘘か真か酔いどれこそ知る)
清醒太早意難平。(早く醒めてはあまりにつまらない)
狂放千秋一盃尽、(狂を解き放ち、千年を飲みつくす)
醉裡真我永不情。(酔っているときは真を忘れない)」
私の歌が竹林に響き、一瞬聞きほれてカグヤの剣が鈍る。
そこに私は剣の腹をたたいてパリィして着地した。
戦いの空気の中で飲む酒うめえな~!久々にまともに酔ってきたよ。
こういう所魔族の血を感じて嫌だね。
「人生好醜皆同道、(人生は醜くも美しい)
奮闘倒地命運同。(あがいて倒れろ。誰もが通る道だ)
莫笑愚者盃相持、(馬鹿にしたもんじゃないぜ、一杯やろうや)
盃中自有真心照。(盃の中に映るものだけが本当だよ)」
私は千鳥足でよたよた歩く感じで構えを取る。
実は私も世界が滅びる前に大陸に遊びに行ったんだよね。
そこでちょうどいい私向けのエクササイズを知ってさ。
酔拳だ。
「それは……旧世界の武術、酔拳なりや。楽師が拳をかまえるとは……楽しや」
「もうあんま音楽で殺しやりたくねえんだよ~、ほんで喧嘩がしたいんだろお嬢ちゃん。やってやるよ。まあ一杯やりなって!」
私は手元にデカいとっくりを錬金してとっくりの紐を持ってヌンチャクとして振り回す。
舐めんなよ、こちとらストリートファイトの国の初代大統領だ!