皇帝の小剣   作:橡樹一

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 今回も幕間となります。
 再会まで駆け足に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、都市掌握や惑星統一を書いたところ長いうえに面白くできなかったのでばっさりカットしたという理由があります。


少年と再会

 宇宙戦艦の艦内通路を、帝国宰相であるマルカドールが足早に進む。ベリサリウス・カウルから報告を受けたとき、彼は皇帝の座する旗艦に控えていた。

 内容を聞いた帝国宰相はまず誤報を疑い、次いで混沌の策略を疑った。希望や望む光景をちらつかせて堕落を誘発するのは、混沌の常套手段だ。

 しかし次いで送られた伝言を報告を読み、皇帝の側近は僅かな期待を抱いた。混沌が知るよしも無い、プロパトルの遺書に綴られた一言に対する言及。帝国でも知るものが限られる情報から、面会をする価値はあるとマルカドールは判断した。

 そして今、マルカドールは旗艦に造られた豪奢な扉の前にいた。専門の職人によって精緻な彫刻が施された扉は、皇帝専用の執務室へと繋がっている。

 

「マルカドール、入室いたします」

 

 一言断りを入れると、扉が音も無く開く。落ち着きながらも高貴な調度品に飾られた室内には、重厚な執務机が備え付けられている。部屋の主は書類に羽ペンを走らせていたが、入室した腹心へと視線を向けた。

 かつて将軍と呼ばれ、今や全人類の統合を果たすため帝国を打ち立てた超人。人類の皇帝その人である。

 

「陛下、火急のご報告がございます」

「お前が急ぐとは珍しい。機密か?」

「あまり広めるべきではないかと」

 

 マルカドールの言葉に、皇帝は静かに左手を上げた。部屋の隅で控えていた二人の人影が音もなく消える。

 数秒の沈黙の後、マルカドールが口を開いた。

 

「……アルファリウス様とオメゴン様は、順調に成長なさっておられるようですな」

「ああ。ある程度の執務ならば任せられる。未だ機密性の高いものは触れさせられぬがな」

 

 どこか柔らかい主の表情を見て、マルカドールはその変化に内心喜びを感じた。しかしその感情をおくびにも出さず、皇帝の腹心は報告を始める。

 

「周囲の惑星を調査していたベリサウス・カウルから報告がありました。プロパトルと名乗る人物から面会の要求があったと」

 

 その報告が空気を震わせた瞬間、皇帝の動きが止まった。天才的な職人が魂を削って産み出した彫刻のような硬直は一秒に満たないものだったが、僅かにでも皇帝と交流を持つ者であればありえない光景に息を呑んだだろう。常に理性をもって行動を律する超人である皇帝が、感情を理由に動きを止めるなどありえない光景だからだ。

 だが、マルカドールはその反応に納得していた。かつて本拠地であるテラを統一する戦いで、目立たずとも重要な働きをした臣下の一人。危険分子を謀殺した最後の戦いにおいて命を落とした忠臣を名乗る者がいるという事実は、内心穏やかではいられないだろう。

 

「……ありえると思うか、マルカドールよ?」

「私見でよろしければ、ありえなくはないと申し上げます」

「根拠はあるのか?」

 

 圧を込めた皇帝の追求。生半可な回答は許さぬという視線を受け、マルカドールはゆっくりと口を開いた。

 

「彼の者は魂の影響で、混沌に対して存在しないように振る舞っておりました。混沌に干渉せず干渉できない性質を考えると、死した肉体から抜け出した魂が混沌の領域を流れ付近の惑星に漂着する可能性は否定できません」

 

 本来、魂は死した後混沌の領域にて溶ける。溶け堕ちた魂は純粋なエネルギーとなって混沌の領域を揺蕩い、寄り集まって魂となり新たな肉体へと宿るのだ。

 悪魔(デーモン)あるいは邪神の捕食や魂の封印といった例外的な事柄がなければ、魂が上記のサイクルから外れることはない。だがプロパトルは、肉体に影響を与えるほどに混沌と縁遠い魂を有していた。ならば本来分解される混沌の領域を、プロパトルの魂が漂流することは十分にありえるとマルカドールは推測していた。

 そしてその推察は、皇帝も同様に考えている。

 

「否定できないだけの可能性はある、か。

 マルカドールよ、面会に応じ真偽を確かめよ」

「かしこまりました」

「偶然という線もある。悪意が無ければ放置して構わん」

 

 それは、悪意を持って利用していた場合の対処を言外に示している。

 それを読み取ったマルカドールは深く一礼し、皇帝が書類作業を再開したことを確認すると無言のまま退室した。

 

 

 

 プロパトルが帝国宰相であるマルカドールとの面会を要求してから数日間、彼はベリサリウス・カウル率いる艦隊旗艦内部にある来賓室で過ごしていた。当日の内に報告は済んでいたものの、マルカドールがこちらへ向かう時間があったために監視も兼ねての措置だ。

 地上との通信は機密の関係もあり禁止されているため、プロパトルは皇帝と名を変えた将軍の勢力について学んでいた。

 

「人類の帝国、か。あの御方は人のために動いていたが、ここまで直球の名前にするとは」

 

 自らの名を冠するに相応しい偉業を成し遂げてなお、あくまでも人類のためという姿勢を崩さない。皇帝らしいと納得しながら、プロパトル資料を捲る。

 

「大征戦か。ずいぶんと急速な拡張だが、歪みは出ていないのだろうか」

 

 皇帝の悪癖である、合理的であるあまり感情を無視する傾向を頭を思い浮かべながらプロパトルは僅かな不安を覚えた。同時に遺書に人の心を考えるよう諫言を書いたことを思い出し、不敬ではなかったかと今更ながらに冷や汗をかく。

 

「今更考えても仕方がない。閣下……いや、陛下はこそまで狭量ではないはずだ」

 

 内心を口に出して不安を払拭しようと試みるプロパトルの耳に、ノックの音が聞こえてた。

 

「どうぞ」

 

 声をかけると、側付にされた従者が頭を下げながら入室した。

 

「失礼いたします。

 プロパトル様、マルカドール様が到着する目処がつきましたとのことでございます。

 3時間後、面会を行うと通達がございました」

 

 その報告に、いよいよかとプロパトルの胸中が熱を持った。自己認識でも十年以上であり、皇帝が大征戦を開始してから数えても数十年ぶりに主の旗下へと帰参できるのだ。

 湧き上がる感情を押し殺し、努めて冷静にプロパトルは振る舞う。

 

「ありがとう。

 準備はどうすればいいかな?」

「我々がお手伝いいたします。

 ささ、こちらへ」

 

 促されるままに、プロパトルは片面が鏡張りの部屋へ通された。用意されていたのは数多くの礼服であり、着付けが必要になった場合に備えて数人の服飾師が控えている。

 

「お好みの礼服をお選びください。我々がそれに合わせたコーディネートをしますので」

 

 揃って一礼する服飾師だったが、プロパトルは内心困り果てた。今世で得た知識は帝国との文化が違うため参考にならず、サンダーウォリアー時代の知識は鎧が正装だったため役に立たない。元の世界では公的な場と縁が無く、結果として彼にこの場で活用できる知識は皆無だった。

 

「……失礼ながら、私は帝国文化の知識が疎い。選び方によっては知らずに不敬をはたらくかもしれない。

 文化礼節に精通する貴公らに選んでいただきたいのだが、頼めるだろうか?」

 

 傲慢にも最高幹部との面談を要求した男とは思えない要望に、服飾師は動揺する。しかしそれを外面にすることなく、優雅な一礼で答えた。

 

「それでは、お望みのモチーフなどはありますでしょうか?」

「では、雷の意匠を頼む」

 

 告げられた内容に、服飾師は侮蔑を全力で押さえ込んだ。

 眼前の男が帝国史を学んでいたことは把握しており、当然サンダーウォリアーは皇帝の忠臣として記されている。

 彼の戦士のように仕えるという、手垢のついた胡麻擂りでもするつもりなのだろうと予想しながらも、服飾師は責務としてプロパトルを飾り立てた。

 

「鎧と礼服を連想させる着飾りとなっています。

 模擬武器はなにになさりますか?」

「小剣を頼む」

「……かしこまりました」

 

 安直に力を示すため大剣か戦斧、あるいは戦槌を予想していた服飾師は、意識外だった小剣を指定され虚を突かれた。

 不届きにも伝説の英雄を模しながらも、しかし戦働きに遠かった小剣を選ぶ男。内情を知らぬ服飾師からすれば、プロパトルは理解できない存在だった。

 

 

 

 着飾ったプロパトルは、案内人に連れられ赤絨毯を進んでいた。着替えの部屋からそう歩くことなく、目的の扉へ到着する。

 

「こちらになります。

 私が同行を許されているのはここまでとなりますので、この後はお一人でお進みください」

 

 そう言うと、案内人は扉に向かい跪いた。

 

「お連れいたしました」

 

 その一言に反応してか、扉がひとりでに開かれる。見る者が見れば、強力なサイキックによるものだと一目でわかるだろう。

 ちらりと扉の奥へ視線を向けた案内人は、恐怖に身を固めた。幾重にも重なる、空間の歪み。並大抵の人間では足を踏みいれるだけで即死するであろう、超常の処刑場がそこには広がっていた。

 見た者が本能的に足を竦ませるであろう光景を前に、しかしプロパトルは平然としていた。

 

「案内感謝する」

 

 そう告げると、なんの躊躇いもなく致死の空間へ足を踏みいれそのまま進み続ける。ありえない光景に目を見開く案内人の目の前で、扉が音も無く閉じられた。

 荒れ狂うサイキックの嵐の中を、プロパトルは普段となにも変わらぬ様子で進み続ける。そしてついに、玉座横に立つ男の眼前にまで到達した。

 二人の男は無言で視線を交わし、数秒の沈黙の後プロパトルが跪いた。

 

「お久しぶりでございます、マルカドール様。プロパトル、ただいま遅参いたしました。

 再び旗下に加えていただければ、望外の喜びとなります」

 

 万感の思いを込めたプロパトルの口上に、マルカドールは眉一つ動かさなかった。手をプロパトルへと向けると、その掌にサイキックが凝縮される。数秒とかからず生成された衝撃の球体は、主の意志に従い放たれた。

 事前に定められた動線をなぞり宙を奔る必殺の一撃は、狙い通りプロパトルの頭部へ到達すると封じていた力場を解放する。

 サンダーウォリアーであっても即死する小規模な破壊の嵐が消失した後には、プロパトルの頭部が一切の影響を受けた様子もなく残っていた。

 それを確認し、マルカドールは立ち上がる。ゆっくり歩み寄ると、跪くプロパトルの肩へと手を置いた。

 

「……よくぞ、戻ってきた。

 将軍閣下はテラ統一の後に戴冠し、皇帝として人類を導いておられる。お前にやってもらうことは山のようにあるぞ」

 

 プロパトルは力強く握られた肩から、信頼と喜びを感じずにはいられなかった。より深く頭を下げ、期待に応えんと心構えを新たにする。

 

「約束を果たすことができ、胸のつかえがとれました。

 ……取り急ぎ、報告すべきことがございます」

 

 感情を押し殺し顔を上げたプロパトルの様子に、 マルカドールは眉を動かした。

 

「貴様が統治する惑星で、よからぬことがあったのだな?」

「お察しの通りでございます。

 混沌により、私が治める政府の技術開発部門が汚染されました。ベリサリウス・カウルと接触した同日に発覚したため精査こそできませんでしたが、極秘研究の命を与え他者との接触はできる限り制限するよう指示してあります。

 確実な抹殺のため、兵装運用の許可を願います」

 

 プロパトルの脳裏に浮かぶのは、科学庁長官が身に着けていた歪んだ三日月のチャーム。かつてオフィシオとして混沌の信者を狩っていたプロパトルは、それがなんなのか一目で理解していたのだ。

 変化と魔法の神、ティーンチ。大いなる策謀を巡らせる、悍ましき邪神の一柱が掲げるシンボル。それを身に着けていた以上、長官を人類の敵として処理するに十分な理由となる。

 そして長官が混沌へ堕している以上、その部下たちが影響を受けていないなどありえない。たとえ直接汚染されていなかろうとも、常人の精神では混沌の影響を無意識下に刷り込まれるのだ。

 

「人の身ではかつて身に着けていた対混沌兵装は扱えません。代わりの兵装を数点使用したいのです」

 

 マルカドールが沈黙した。彼の脳内で、多くの情報が高速で処理される。

 

「……許可しよう」

 

 数秒後、帝国宰相は嘆願に対して許可を下した。

 

「ただし、旗下に加わっていない惑星への助力はできぬ。混沌汚染が知られれば、惑星を浄化する意見も出よう。

 故に、貴様一人で処理せねばならん。できるか?」

「元より自らが手を下すつもりでありました。兵装の使用許可をいただければ、そう時間をかけず対処してご覧に入れます」

「ならばよい。

 望む兵装をリストにして提出せよ。数日で揃える」

「感謝いたします」

 

 二人の密談は、惑星時間で夜が明けるまで続けられた。

 

 

 

 プロパトルが治める都。その郊外にある庁舎で、大規模な宴が催されていた。科学庁に関わる者の近親にあたる者までが招待されたそれは、二つの題目が掲げられていた。科学の発展に功ある者たちを労うことと、今まで国の影に隠れていた技術集団の歓迎である。

 会場では様々な会話の花が咲いていたが、最も多いのは彼らの指導者が面会したという宇宙文明についてだった。

 

「……しかし、まさか宇宙にそれほど大規模な帝国が存在していたとは」

「彼らの外見は我々と同じ人類種というではありませんか。つまり散見されるかつて存在したとされる超技術を誇った星間国家の記録は、すべて真実だったということになります」

「あらためて記録の精査、そして技術の発達が急務となりますね。上位の文明人が、未発達の存在をどう扱うのか考えたくもない」

 

 驚きと不安が入り混じった会話の数々は、会場に一人の男が足を踏み入れたことで急速にその数を減らしていった。

 

「皆さん、今日はよくぞいらしてくださいました」

 

 正装に身を包んだプロパトルがよく通る声であいさつすると、その場の視線がすべて彼へと集中する。嬉しそうに傍へ近づいたのは、科学庁長官だ。首からは歪んだ三日月のチャームを誇らしげに下げている。

 

「プロパトル様。この度はこのような会を開いていただき、感謝の極みでございます」

「長官か。

 君が教えを乞うたという者たちの存在価値を考えれば、本来この程度の会では済まないだろうに。

 ……ところで、その三日月をシンボルとする方々はどちらに?」

 

 チャームを感情のこもらない目で確認したプロパトルは、会場全体を目の動きだけで一瞥した。喜びのあまりそれに気づかない長官は、笑顔で手を振る。

 

「紹介いたします。彼らが変化の教団、その構成員たちです」

 

 青いローブを身に纏った集団が、静かな動きで長官の背後へ整列した。一人、高齢の男性が進み出て深い一礼をする。

 

「紹介にあずかりました。変化の教団でございます。わたくしは代表を務めております」

 

 老人とは思えないほどしっかりとした体運びに、プロパトルは内心で疑いを一段と深くする。それをおくびにも出さず、にこやかに一礼した。

 

「これはご丁寧に。あなた方のような技術の集団をここにお招きできたこと、喜ばしく思います。

 技術者として高い知識をお持ちと聞いておりますので、あなた方にはぜひ長官の力になっていただきたく」

「願ってもいない申し出、感謝いたします。まさか団員全員をお招きいただけるとは、思ってもみませんでした」

 

 和やかな挨拶の後、プロパトルはふと思い出したように切り出した。

 

「ところで、皆様が身につけられているチャームにはいかなる意味が?

 寡聞にして、そのような紋章は存じ上げないのですが」

「科学的でないと驚かれるかもしれませんが、これは我々が信奉する存在の紋章なのですよ。

 興味がおありで?」

「ええ。あなた方のような集団がどのような神を崇めているのか、知っておきたいので。

 それと申し訳ないのですが、そのチャームにも興味があります。手に取っても?」

 

 その返答に、代表は深い笑みを浮かべた。

 

「どうぞ。これから我々と共に歩むお方に、断る理由などありません。

 先ほども申しましたが、そのチャームは我らが信奉する神の紋章をかたどったものになっております。かの存在こそ知識と進化の神。名はティーンチ」

 

 その名を引き出した瞬間、プロパトルは懐に潜ませていた純潔の印(ピュリティシール)にティーンチの紋章を置いた。途端、乳白色であった純潔の印が黒ずむ。

 紋章。名前。混沌に汚染されたチャーム。一つ程度ならば偶然の可能性も捨てきれないが、3つ重なればそれは強固な証拠となる。なによりも、純潔の印に反応する物体を持ち歩いている存在を許すことができるほど混沌は生易しい存在ではない。

 

「……残念だ。本当に残念だよ。

 混沌から人類を守るため、抹殺を決行する」

 

 呟くような声に反応できたのは、至近にいた長官だけだった。彼はプロパトルが懐から取り出した装置を起動させ、その場から姿を消す瞬間を目撃する。何が起きたのかと周囲を見渡した彼は、四方の壁が不自然に白く輝く光景に目を見開く。

 次の瞬間、会場にいた存在は灰を残すこともなく焼き尽くされた。

 その数秒後、科学庁とその庁舎は事前に仕掛けられていた重力爆弾により跡形もなく圧壊。プロパトル自身が指揮を執った調査により、この痛ましい事件は科学庁長官に取り入ったカルト組織によるテロ行為だと断定。惑星規模の浄化作戦を開始し、変化の教団は痕跡すら残さぬ徹底的な殲滅が行われた。

 




 ウォーハンマー40K用語解説

 あいうえお順

 ・混沌の汚染 こんとんのおせん
 歪みの存在は人間を誘惑し堕落させることができ、それらの影響を受けた状態は汚染と呼ばれる。
 主に思考の過激化や混沌神への忠誠といった形で思考を歪めていくのだが、一定以上に影響を受けると肉体すら変異させることとなる。
 思考汚染は無意識下で進むこともあり看破が極めて難しいため、影響を受けた可能性がある者は周囲の人間ごと排除することが基本的な対策となる。
 
 ・悪魔 デーモン
 神の力の一端を分けて生み出される存在であり、宿された紙によって姿や能力は大きく変わる。
 悪魔に限らず混沌の存在は物質宇宙へ干渉することが非常に困難であり、仮に物質宇宙に顕現したとしてもそれは仮初の肉体にすぎない。
 知的生命体を誘惑するのは彼らの力を補助する端末を生み出すためであり、ひとたび物質宇宙へ現れた悪魔は自らが従う神の力を広めるためにその力を使うのだ。

 ・ティーンチ
 魔術と変化を司る神であり、戦闘よりも策謀と取引を愛する。
 神の中でも知識において右に出る者は存在せず、その深い知識は強力な魔術となって敵対者を打ち滅ぼす。
 しかし策謀を愛するあまり、策謀そのものが目的となり結果として勝利を逃すことが少なくない。

 ・純潔の印 ピュリティシール
 特殊な儀式によって生別された羊皮紙であり、その表面には聖なる文言や身に着ける者が打ち立てた偉大な武勲が記される。
 混沌に対して強力な護符になると同時に、一定以上の歪みに曝されると黒ずみや焼け落ちるなといった形で危険を知らせる。
 プロパトルが使用したものは検査用に作られた品であり、護符として大した力がない代わりに混沌の力に強く反応する特別性。

 ※変化の教団 へんかのきょうだん
 プロパトル率いる国家の科学庁を汚染した、ティーンチを崇めるカルト教団。
 見込みのある少年少女に知識を与え依存させ、彼らの出世と共に政治中枢へ食い込むことを目的としていた。
 プロパトルに事前知識がなければ、長官の手引きにより国家中枢が短期間で混沌信仰に汚染されるという致命的な事態を招いていた。

 次回更新は7月末までを目標としています。
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