機動戦士Gundam GQuuuuuuX 自由の奴隷 作:スペースデブリ
XやpixivでGQuuuuuuXのイラストを見ていると「本作のR-18版、需要あるんだろうか…」と思ってしまいます。まあ書くとしても本編終わった後になりそうですが…その頃まで覚えてるかなぁ?
モール内の雑踏を歩きながら、フブキはふとアマテに声を掛けた。
「……さっきの子たちのこと、本当に良かったのか?」
アマテは一瞬だけ歩みを緩め、そして誤魔化すように笑いながら返した。
「だ、大丈夫だってば。ほんと、たまたまあっただけだし!」
その頬がわずかに朱に染まっているのをフブキは見逃さなかったが、それ以上は深く問わなかった。
「そうか……ならいいが……」
それきり言葉を切ったフブキに、アマテは間を持たせるように話題を変えた。
「……ねえ、そういえば何買ったの? さっきの雑貨屋で」
フブキは手に提げていた小さな紙袋を一瞥し、少し照れを含んだような声音で答えた。
「……ちょっとした小物だ。大したものじゃない。気にするな」
「ふーん?」
アマテは首をかしげながらも、それ以上は問わず、興味半分のような、満足したような表情を浮かべる。
二人は再び、並んでモールの通路を歩き出した。煌めくガラスのショーウィンドウの前を通り過ぎるたび、すれ違う人々の喧騒のなかどこか穏やかな時間が静かに流れていく。
アマテの右手は、さっきまで服を選んでいたときよりもほんの少しだけフブキの袖に近づいていた。
二人はひとしきりショッピングを楽しみモールを後にすると、外はすでに薄闇が辺りを包み始めていた。
「もう暗くなる時間だな……送るよ」
フブキは、自然な調子でいうとアマテの隣を歩き出す。彼の両手には、いくつもの紙袋。一部フブキの服があるものの、その中身のほとんどがアマテの服だった。
それを見たアマテが、歩きながらちらと目を向けて口を開く。
「……本当に、良かったの? こんなにたくさん」
「俺はあまり服には詳しくないしな。選んでくれた礼だ、気にするな」
肩の力を抜いたフブキの返答に、アマテは少しだけ口元を緩める。そんな穏やかな雑談を交わしながら歩いているうちに、気がつけばアマテの自宅前に辿り着いていた。
「じゃあな」
フブキは手にしていた紙袋をアマテに渡すと、背を向けようとする。だが、その背中にアマテの声が追いかけた。
「待って! 連絡先、交換しようよ」
不意を突かれたように足を止め、フブキは少し呆けた表情を浮かべたが、やがて小さく笑いながら「ああ、わかった」と頷き、ポケットから携帯を取り出して差し出した。
「携帯ごと? 不用心だなぁ……」
アマテは呆れたように、けれどどこか嬉しそうに呟きながら操作を始める。
「……これでオッケー。はい、ありがと」
「見られて困るようなものもないしな……よし。じゃあまたな。マチュ」
フブキは、連絡先が登録された携帯を受け取りながら、ぽつりとそう付け加えた。
「ただいまー」
アマテは靴を脱ぎながら、いつも通りの調子で玄関に声を響かせた。
「おかえり〜」
リビングの奥から、母の柔らかな声が返ってくる。それに特段返事を返すこともなく、アマテはそのまま自室のドアを開ける。
部屋に入ると手に提げていた紙袋を床に置き、勢いよくベッドへ身を投げ出した。ふわりと跳ねる感触に、思わず小さくため息が漏れる。
しばらく天井を見つめていたが、やがてスマートフォンを取り出し画面を開く。新たに登録された名前——「フブキ」の文字を目にした瞬間、アマテの口元に抑えきれない笑みが浮かんだ。
2年前とは違う。
今なら、連絡を取ろうと思えば——本当に、その気になれば——取ることができるのだ。
(……まあ、会えるとは限らないけど)
そう心の中で小さく呟きながらも、その確かな繋がりにアマテはひとり静かに喜びを噛み締めていた。
「あ、服仕舞わないと……」
そう小さく呟きながら、アマテはベッドから身を起こした。床に置いた紙袋に手を伸ばし、ひとつひとつ服を取り出していく。その合間──ふと、何かがポロリとこぼれ落ちた。
「ん? ……あれ? こんなの、買ったっけ?」
拾い上げてみると、それは掌にすっぽり収まるほどの小さな箱だった。軽く首を傾げながら蓋を開けると、中から現れたのは、艶やかな紅のイヤリング。月のように弧を描いたそのフォルムは、美しく、どこか力強い存在感を放っていた。
「綺麗……」
思わずこぼれた声に、我に返る。だが次の瞬間、疑問が胸に浮かぶ。
(でも……なんで、これが私の袋の中に?)
そういえば、と記憶が繋がった。モールの雑貨屋にフブキが一人で入っていた場面。きっと、あの時に——。
(ん? ……え、え……!?)
アマテの脳裏に、柔らかに微笑むフブキの顔が思い浮かぶ。予想外の展開に思考が追いつかず、顔が一気に熱を帯びていく。
「っキザなことするなぁ〜〜〜……!!」
声にならない悲鳴が内心に木霊する。頬は湯気が立ちそうなほどに熱く、思わずその顔を両手で覆ってしまう。冷静を装おうとするも、火照った表情は隠しきれず、アマテはベッドに戻り、もぞもぞと毛布に潜り込んでひとり悶えるのだった。
翌日——
フブキは、ラフな格好でもなく、パイロットスーツでもなく、淡いグレーに警備会社のエンブレムが入った制服に身を包んでいた。胸元には“警備支援業務”のIDカード、腰には通信端末。ミリタリーポリス、軍警本部への派遣任務に備えた装備だった。
無言で歩く彼の足元を、重厚な鉄板が沈み込むように支える。施設前の広場には、軍警専用の警備型ザクが待機していた。ジャンク屋や、建設で使われている仕様ではなく、スタングレネードやマシンガンを装備している戦闘型。その赤いモノアイがゆっくりとこちらを向き、機械的な駆動音を響かせながら微かに動いた。
フブキは一瞥をくれただけで視線を逸らし、無言のまま正面玄関へと足を進める。
軍警本部——大半の構成員が戦争……いや、ジオンを険悪している雰囲気が漂う。そんな思想が“秩序”と“抑圧”を象徴し、民間からは批判を買う……皮肉な物だ。
受付に立つと、備え付けのガラス越しに事務担当の軍警職員が顔を上げた。
「お名前を」
「フブキ・アルジェント。民間警備会社からの派遣だ」
事務職員は端末を数秒操作すると、画面に情報を確認し、小さく頷いた。
「……確認が取れました。担当官が待機しています。こちらへ」
淡々とした口調とともに、透明なセキュリティゲートが開く。フブキは誘導に従って中へと足を踏み入れた。
——銃器の安全装置の音、階上から聞こえるブリーフィングの声、鋼の軋む足音。
全てが、“軍”とは異なる、だが確実に“武装”された社会の末端を物語っていた。
(まあ警備会社が軍警に……だからな。あまり歓迎されないだろうとは思っていたが……)
心の中でそう呟きながらも、フブキの表情は変わらなかった。無感情の仮面のまま、案内された廊下を進んでいく。
案内された部屋に入ると、そこにはすでに一人の男が待っていた。年の頃は40代半ば、仕立ての良いスーツを着こなし、軍警らしい簡素な徽章が胸に光っている。
フブキが入室するや否や、男は手元の資料から顔を上げると、軽く目を細めた。
「ん? ああ……確か、今日からだったな」
椅子から立ち上がり、書類を小脇に抱えながら、男はフブキに歩み寄る。
「初めましてだな。俺はこの施設の警備部の総長をやらせてもらってる。お前さんは……警備会社の人間だったな?」
「はい。本日より、警備会社より派遣されました。ザクの操縦指導を担当いたします、フブキ・アルジェントです。どうぞ、よろしくお願いします」
そう言って、フブキは小さく一礼する。軍の礼式に則るでもなく、しかし無礼ではない。簡潔で無駄のない所作。
「うん、堅いなあ……まあいい」
総長は苦笑を浮かべつつ、フブキの背中を軽く叩いた。気さくなその手つきには、どこか部下との距離感を心得た熟練者の余裕があった。
「もうすぐブリーフィングが始まる。そこでもう一度、お前さんのことを皆に紹介するつもりだ。変に気張らんでいい。——警備部門の奴らは然程……堅くないからな」
フブキは無言で頷く。その眼差しは変わらず冷静だったが、内心ではこの男の“軽さ”を一つの観察材料として記憶に留めていた。
時刻になると、ブリーフィングルームには人の波が流れ込んできた。スーツ姿の情報分析官らしき人物、巡回用の軽装備に身を包んだ現場隊員、戦術ベストにスタンバトンを下げた即応部隊の者たち——立場も階級も異なる者たちが、それぞれの席に無言で着く。軍隊ほどの統制はないが、その場を満たす空気は明らかに“現場を知っている者”特有の緊張感を孕んでいた。
やがて、部屋の前方にスーツ姿の部隊長が現れ、手にした端末を卓上に置いて立った。
「よし、全員揃ってるな。では始めよう」
室内に小さくざわめきが走り、空調の音さえ聞こえるほどの静寂が訪れる。
簡潔に日常業務の確認、今後の施設警備の動向、数件の注意喚起などを述べていく。流れるような口調だが、所々に皮肉や冗談が混じるあたりが、彼の性格を物語っていた。
やがて話題が一転し、部隊長はやや声のトーンを上げた。
「さて、本日から我々の警備モビルスーツ部門に新しい協力者が加わる」
前方のホロスクリーンには、フブキの名と企業ロゴが簡潔に表示される。
「ゼネラルリソース社より派遣され、モビルスーツ操縦訓練に従事してくれることになった、フブキ・アルジェント君だ」
部隊長はそう言いながら、片手でフブキの方へと軽くジェスチャーを送った。
「アルジェント君、こちらへ」
指名されたフブキは、無言で立ち上がり、前方へと歩を進める。隊員たちの視線が一斉に集まる中、フブキは壇上に立ち、落ち着いた声で挨拶を述べた。
「本日より、ゼネラルリソース社より派遣されました、フブキ・アルジェントです。モビルスーツ操縦に関する訓練指導を担当いたします。よろしくお願いします」
特別に礼をすることもなく、ただ淡々と、それでいて凛とした声だった。
部隊長は満足そうに頷くと、「以上で今日のブリーフィングは終了だ。各員、配置につけ」と締めくくった。
席を立つ音、装備を整える音、そして数人のさりげない視線が、壇上から降りるフブキの背中に注がれていた。
ブリーフィングが終了し、隊員たちが三々五々に散っていく中、部隊長が再びフブキに声をかけた。
「アルジェント君。ちょっとこちらへ」
彼が手招きした先には、軍警の制服に身を包んだ大柄な男が腕を組んで立っていた。鋭い目つきに、深く刻まれた眉間の皺。明らかに戦場の空気を知る者の風貌だった。
「こちら、うちのモビルスーツ部門の隊長、アラガだ」
アラガはフブキを一瞥すると、無愛想ながらも形式的に名乗った。
「……アラガだ。まあ、一応、この施設でザクのパイロットをやってる」
その言い方からして、歓迎の意は感じられない。フブキは特に表情を変えず、静かに応じた。
「フブキ・アルジェントです。今後とも、よろしくお願いします」
だがその直後——アラガの声が低く、わずかに棘を帯びた。
「先に言っておくがな。俺はお前を信用しちゃいない」
その目は正面からフブキを射抜いていた。
「民間の警備会社の人間に、パイロットとして教わることなんざ……俺には何一つないと思ってる。だから、余計な真似はしないでくれ」
室内の空気が一瞬、冷たく凍りつく。
フブキは、その敵意に似た雰囲気を確かに感じ取った。だが、微塵も動揺は見せず、静かな声で、形だけの敬意を返す。
「……そうですか。私も派遣された身です。足を引っ張らぬようにします」
表面上は礼儀を守った一言。だがその言葉の奥には、冷めた無関心と、薄く張りつめた距離感が滲んでいた。
(……まあ、こういうのはいつものことだ)
フブキは内心でそう吐き捨てるように思い、その場を後にしようとするが、総長が唐突に両手を叩いた。
「——じゃあ、早速だがアルジェント君の“実力”を見せてもらおうじゃないか!」
場の空気を読むでもなく、むしろ押し切るような明るい声。にやりと笑うその顔には、険悪さなど一片の影もない。
部隊長がアラガとフブキの間にすっと入り込むように立ち、そのまま手を回すようにして背中を叩く。
「訓練用のザクはもう回してある。模擬戦の準備も整ってる。アラガ、少し付き合ってやれよ。こっちは先生役がいるんだ、丁度いい機会じゃないか。認められないなら試してみろ」
「……チッ。了解です」
アラガは舌打ち混じりに頷いたが、どこか悔しげに眉を動かしたまま、無言で踵を返す。
その様子を遠巻きに見ていたブリーフィングルームの隊員たちから、ざわめきが上がる。
「おっ、やるのか? どっちに賭ける?」
「いいぞ、やれやれー」
「アラガさん、本気出すなよ〜?」
スーツ姿の分析官ですら、データパッドを抱えたまま苦笑を浮かべる。普段は張り詰めた空気が常のこの施設も、この瞬間ばかりは妙な熱気に包まれていた。
フブキはその騒ぎの中、どこか冷めたようにその様子を眺めていた。
(……なるほど)
視線の先には、変わらぬ調子で場を掌握し続ける部隊長の姿。
(やはり軍警の総長というのは伊達ではない。あの強引さと柔らかさの使い分けは……人を使う“技術”そのものだ)
決して派手ではないが、確かにその一声で場の重さを変えた。
フブキは小さく息を吐き、装備チェックのために用意された別室へと歩み出す。
マチュ、君はなんで笑顔なの…多分何も知らないからなんだろうけど…知ってる側からすれば母ちゃんが心配や。
皆さんは赤いガンダム手に入りましたか?私は手に入りませんでしたよ。ええ。作る時間もないですし、νを建造中ですからね。