機動戦士Gundam GQuuuuuuX 自由の奴隷 作:スペースデブリ
ふと書いていて思ったのですが、コレ、今年中に終われるのかな…?私がサボらなければ終われるはず!
皆様の感想にて「ナルホド…それもいいなぁ…」とインスピレーションを頂くこともあるのでドシドシ感想お待ちしております…!
「くっ! 邪魔しないでよ!!」
アマテ──は怒りと焦りを込めて叫ぶ。ジークアクスの推進機が火を噴き、ボカタ機の方へ切り込もうとした──その瞬間。
《悪いが、嬢ちゃん!》
通信越しに声が響く。
《“魔女”さんの邪魔は……させないよ!》
ボカタの機体──ゲルググが身を翻す。左腕のビームガンが閃光を放った。
高速のビームが直線を描き、ジークアクスに迫る。
「まずっ──!」
アマテが反応する間もなく、ジークアクスは左腕を構えた。ジークアクスのシールドが即座に展開される。ビームが直撃──しかし。
盾の表面に薄い光の層が貼られ、ビームの熱と粒子を円形に分散させていく。
Iフィールド・バリア。ジークアクスの盾に内蔵された、対ビーム拡散システムが作動していた。
「……っ! ありがとう! ジークアクス!」
ビームは貫通せず、全て拡散される。だが、衝撃はそれなりに大きく、ジークアクスが後方へ流れる。
コックピット内で警告灯が数度点滅し、アマテの呼吸が乱れる。
(……っ、こんなこと……してる場合じゃないのに……!)
視界の隅では、シイコの機体と赤いガンダムのスラスターの光が不規則に動き続け、時々爆発の閃光が見える。
(フブさんだったら……っ!)
焦りが、心の中を焼いていく。アマテの喉がひりつくように乾いた。ボカタのゲルググが、再びバーニアを噴かせて近づいてくる。
《さぁ、嬢ちゃん、 お遊びはここまでだよ!》
だが──アマテの瞳に、決意の光が戻る。
「……遊びじゃないよ。私は……私の意志で、ここにいるんだ!」
アマテは目を細めると足元にいたハロが声を上げる。
「ロックガハズレルゾ! マチュ!」
「……行くよ! ジークアクス!!」
──OMEGA PSYCOMMU ACTIVE──
アマテが叫んだ瞬間、機体が反応する。
操縦桿が突如として引っ込み、代わりに両側からスライドするように展開された新たなインターフェース。
手のひらのようなアームレイカーはアマテに手を乗せろと言わんばかりに固定される。
金属音と共に、ジークアクスの頭部が変形を始める。額部のフェイスガードがスライドし、内部に隠されていた“目”──ツインアイが、眩い光を放って発光した。
まるで眠れる獣が、主の呼びかけに応え目覚めたかのように。
(……いける……今なら……!)
目の前には、立ちはだかるゲルググ。熟練の兵士らしい緩急ある射撃と、読みづらい間合い。──でも、動きが見えないわけじゃない。
(でも……どうすれば、この状況を突破できる?)
手持ちの武器はヒートホークただ一つ。パワーでは勝てない。相手は遠距離武器を持っている。状況としては不利。
しかし──アマテの脳裏に、電光のような何かが走った。
(……ッ!?)
その瞬間、意識の奥に何かが触れたような感覚。宇宙空間の全体像が、頭の中に“拡がる”。
──否、“流れ込んでくる”。
辺り一帯すべてが、自分と繋がっているかのように。
(……あれ……?)
自機から数十メートル先、空間の片隅に光る“何か”が見える。金属片? ……破損した機体の残骸?
その質量と形状、位置。直感が言っていた──使える。
「……いける」
小さく、しかし確かな確信をもって呟いた。直後、ジークアクスのバーニアが轟く。
全スラスターを全開にし、目の前のゲルググを避ける軌道ではなく、“その光る何か”へと向けて突進する。
ボカタの目が驚愕に見開かれる。
《なっ……!? 》
通信越しに戸惑いの声が響くが、アマテは一切振り返らない。
(止まってなんていられない。……私は、“魔女”を、シイコさんを止めに行く!)
コックピット内のHUDに、オメガ・サイコミュによって補正された、超高精度の軌道予測とタイミング表示。光る目標が、接近してくる。
アマテの目が、直感的に“それ”を捉える。
(……ビームライフル!?)
散乱する破片の中に、不自然なほど整った輪郭を持つひとつの兵装──少し塗装の剥げた銃身、しかしその形状とジークアクスの「取れ」と言わんばかりの警告音が、アマテに語りかけるようだった。
(ジークアクスのなんだね……!)
説明はいらなかった。彼女の中に流れる“感覚”が、それがジークアクスに設計された正式装備だと理解させていた。
「──ありがとう」
小さく呟きながら、アームレイカーごと右腕を伸ばし、それを掴み取る。
接触と同時に、HUDが点滅し、システムが自動リンクを確立。
【兵装:ビームライフル 接続完了】
後方から追ってくるゲルググの推進音が背中に迫る。
《おいおいおいおい! なんでこんなとこにビームライフルが落ちてんだよ!?》
ボカタの動揺混じりの声が通信に割り込んできた。だが、アマテの視線は冷静そのものだった。
「──ごめんね。私はフブさんじゃない。綺麗に倒すなんて……無理そうだったから」
照準がわずかに赤く点滅し、トリガーが軽く引かれる。
「だから……撃つね!」
鮮烈なビームが空間を裂く。ゲルググは咄嗟に姿勢制御をかけるが、間に合わない。
ビームはその両脚を正確に捉え、爆裂と共に装甲が吹き飛び、ゲルググは脚部を失いながら横回転で弾かれた。
《嘘だろ!》
回避も反撃も叶わず、ボカタ機は戦闘不能に陥る。アマテは一瞬だけ、その姿を見つめ──そして視線を前へ戻す。
「……行かなきゃ」
ジークアクスのスラスターが再び唸りを上げる。その先には、まだ踊り続ける魔女と赤いガンダムがいる。
──
艦橋では、シャリア・ブルと彼の部下たちが、クランバトルの中継を食い入るように見つめていた。
赤いガンダムと、見たこともない白い機体が空間で舞い、翻弄し、ぶつかり合う。その姿に、エグザベが声を荒げた。
「な、何ですかあれは! 」
画面には、動けなくなったボカタ機の残骸が漂っている。その直前まで映っていたのは、確かにゲルググ。
「gMS-01……! ゲルググはまだ、運用中の現役機体です! 民間には……いまだ一機も払い下げられていないはずです!」
焦燥に駆られた声に、コモリがすぐさま口を挟む。
「──“グールズ”のゲルググも同様です。間違いなく、軍内部に流出させている者が存在すると見て間違いありません、中佐!」
だが、シャリアは応じなかった。全く反応を見せず、ただ前を見つめている。その視線の先──白い機体が、赤いガンダムを翻弄していた。
まるでその機体だけ、パイロットの意思とは何か別の意思があるかのように
「これは……まさかとは思いましたが……」
エグザベが震える声で叫ぶ。
「な、なんて動きなんだ……!? あれはモビルスーツの挙動じゃない! どうなっているんですか!?」
その問いに、シャリアが静かに口を開く。
「……駆動系の摩擦キャンセル技術でしょう」
一瞬、艦橋が静まり返った。驚きに声を失っていたセファが、ようやくの思いで口を開く。
「し、しかし……! その技術はまだ実用化の報告が……!」
「……いや……」
シャリアの目がわずかに細められる。
「何と言ったか……元連邦軍の、あの技術士官……」
白い機体が赤いガンダムの武器であったハンマーを破壊する。赤いガンダムは距離を取ろうと離脱を図るが、追従するように白い機体は離れない。
「……っ! ガンダムが……追い詰められている……!」
艦橋に響くエグザベの怯えた声。その目には、今まさに赤いガンダムが白い機体に翻弄されている姿が映っていた。
だが、シャリアは静かだった。じっとモニターを見つめ、低く語り出す。
「……あれが魔女の"
「ス、スティグマ……?」
「一年戦争時、性能で劣る“軽キャノン”でありながら、幾多のキルスコアを叩き出した連邦軍ユニカムの必殺戦術……」
その言葉に、エグザベの目が見開かれる。
「エントリーネームだけでは確証が持てませんでしたが……」
シャリアの瞳が細く鋭く光る。
「──本物の“魔女”だ」
モニターには、白い機体──ジム系のカラーリングを纏いながらも異質な存在感を放つその機体が、赤いガンダムの周囲を円運動で取り囲みながら攻撃を仕掛けている。
その動きはまるで、獲物を中心に踊る死神のようだった。
各所に設置されたビームライフルやマイクロトラップのような装備が、まるで先読みしたかのように軌道を封じる。
赤いガンダムは反撃の機を得られず、回避行動に徹するしかなかった。
「AMBACで、あんな動きが可能なんですか!?」
「……無理でしょう」
シャリアは即座に否定した。
「“
シャリアの声に、わずかに感嘆すら含まれる。
「……流石、“魔女”の渾名は伊達ではありません」
赤いガンダムが、僅かに姿勢を崩した。
その瞬間、白い機体がワイヤーを巻き取り、機体を強引に引き寄せるような挙動を見せる。さらにそこに、置かれていたビームライフルが自動で発火。
赤いガンダムが振り回されるその様は、さながらダンスを踊っているようだった。
──
「シイコ!! 拘りすぎだよ!!」
宇宙空間で漂う半壊したゲルググのコックピット内。機体制御を何とか取り戻そうと、ボカタは両手でパネルを叩くように操作しながら、無線に叫んだ。
「そいつは……“あんたの仇”なんかじゃないんだよ!!」
だが──その訴えは、狂気の波に飲み込まれる。
《あははははは!!》
通信機のスピーカーが、女の笑い声で満たされた。それは冷静さも、理性も、すべてを投げ捨てたような声。
《どうだっていい!! これなら……倒せる!! 赤いガンダムを!!! 赤い彗星を!!! そうでしょ!? ガンダムゥゥゥ!!!》
画面に映る白い機体──シイコのガンダムが、回転を止めることなく、まるで狂ったオルゴールのように舞い続ける。
ブーストの制御すら逸脱し、動きは次第に“攻撃”ではなく“破壊”へと変貌しつつあった。
「シイコ!!」
必死に呼びかけるボカタの声も、もはや届かない。
(……なんなんだ! 本当にシイコなのか……!?)
脳裏に浮かぶのは、出撃前の穏やかな笑顔を見せていた彼女の姿。まるで憑かれたようにガンダムを追い続ける魔女に、ボカタは戦慄した。
「……くそっ!」
握り拳が、無力さに震える。
「せめて、せめて動いてくれさえすれば……! 止めに行けるのに……! シイコ……っ!!」
彼女の声が虚空に吸い込まれる中、モニターにはなお、白と赤の機体が高速で交錯し続けていた。“魔女”の狂気が、戦場を塗り潰していく。
──
「シイコ! 相変わらず仏頂面だなぁ! ほれ! 笑顔だ、笑顔!」
あの日の記憶──ヘルメット越しでもわかるほど、無邪気に笑っていた。
「ちょっ、やめ……やめてよ!」
照れ隠しの声と共に、肩を小突く。そんな些細なやり取りが、胸を締めつけるほどに鮮やかに蘇る。
「ははははっ!」
──私のマヴは、“ニュータイプ”かもしれない。そう──思ってたのに。
《シイコ!! 逃げろ!! 今ならまd》
その声が途切れるのと同時に、彼のモビルスーツは爆炎に包まれた。“赤い彗星”が、それを呆気なく奪った。
機体が消え、彼の気配が空間から断ち切られた。
──何も、残らなかった。
「……残念です。お悔やみを申し上げます。彼の遺品は、どうなさいますか?」
無機質な声。白い部屋、軍の事務官。
机の上に置かれた、IDチップと、彼の記録が入った一枚のディスク。それを見つめたまま、私は何も答えられなかった。
──この世界は結局理不尽で、望むもの“すべて”を手に入れる“選ばれた人”なんていない。
──そう思っていた。そう納得して、「普通の生き方」を受け入れた。
彼と築く未来を、ニュータイプへの幻想も、全部、置いてきたはずだったのに。
──それなのに。
「シイちゃん……、見てよコレ……」
「ん〜? どうしたの? あなた」
「同じサイド6らしいんだけど、クランバトルとか言ってモビルスーツの戦闘があるみたいなんだ……こっち方面ではやらないとは思うけど、何かあったらいけないと思って」
「──赤い……ガンダムっ」
“赤いガンダム”が、それを掻き乱してくる。
──どうして……あの時、私じゃなかったの?
──どうして……“お前”が、生きていているの……?
──
「あはははは!!」
白いガンダムが、戦場の宙を舞うように跳ね回る。
「赤いガンダムッ!」
その名を、怒りと喜びの入り混じった声で叫ぶ。
「お前が“選ばれたやつ”じゃないと! 証明してやる!!」
──だから、私は……
「私のために、死んで!! ニュータイプゥゥゥ!!」
その瞬間、シイコの機体のコックピットに、冷たく無機質な電子音が響いた。
──EXAM SYSTEM STANDBY──