機動戦士Gundam GQuuuuuuX 自由の奴隷   作:スペースデブリ

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片桐陽さん、まーろんさん、誤字報告ありがとうございました。


久方ぶりの再会

 

 

 

 

 

「やはり……シャロンの薔薇は海中にありました。──君が言った通りにね」

 

 シャリアは穏やかに笑みを浮かべる。

 しかしフブキは首を振った。

 

「俺は何もしてない。ただ……夢で“そこにある姿”が見えただけだ。で? そのシャロンの薔薇はどうなった?」

 

「現在はジオン軍の湾岸警備隊の基地に収容されています。このソドンには、ジークアクスとキケロガ、そして……貴方の黒いガンダムがある。万が一にもゼクノヴァが起こってしまったら、ただでは済みませんから」

 

「賢明な判断だな」

 フブキは短く呟いた。

「薔薇はどうなるんだ? また解析に戻すのか?」

 

 シャリアの表情に翳りが差す。

 

「それが……少し嫌なことを耳にしました」

 

「……嫌なこと?」

 

「本国で計画されている、“シャロンの薔薇”を使った──地球環境整備システムの建造です」

 

「環境整備……?」

 フブキは眉をひそめる。

 

「ええ。太陽光を集積し、核の冬によって失われた環境を元に戻すための、大々的なものだと」

 

「……」

 

「──しかし」

 シャリアは視線を伏せ、低く呟いた。

 

「それに“シャロンの薔薇”を使うというのが、どうにもきな臭い」

 

 フブキは静かに目を閉じ、息を吐いた。

 

「……同意見だな。だが、恐らくジオンがそんなに大々的に作ると言うなら、シャアもその場に現れる可能性は十分にある。アマテにその事は?」

 

 フブキの問いに、シャリアはタブレットを確認しながら答えた。

 

「まだです。今彼女はメディカルチェックを受けています。ノーマルスーツなしで大気圏突入したわけですから、どこかに深刻な怪我があってもおかしくはありませんでしたが……幸いなことに軽い打撲で済んでいます。それに……誰かからの応急手当てを受けていた形跡もありました」

 

「そうか……」

 フブキの胸が僅かに緩む。

「……何もなくてよかった」

 

 シャリアは彼を横目で見て、口元に薄く笑みを浮かべた。

 

「……会いに行きますか?」

 

 フブキは少し黙り、視線を外した。

「……あんたに協力すると言ったとはいえ、俺の立場的に大丈夫なのか?」

 

「問題ありません」

 シャリアはきっぱりと言い切る。

「何か言う人間がいれば、私から説明します。それに──彼女にも、話しておかなければいけませんから」

 

 フブキは短く息を吐き、頷いた。

 

「……わかった。行こう」

 

 二人の足音が、艦の通路に響き渡る。

 やがて辿り着くのは、アマテのいる医療区画。

 正直言ってアマテとの再会は、喜んで良いものか……結局あの子はサイド6を追われてしまった……

 

「失礼します」

 

「……ん? あらあら中佐。いかがされましたかな?」

 火のついていないタバコを咥えた医官が顔を上げた。

 

「彼女の面会に。様子はどうです?」

 

「ふ〜ん……報告した通り軽い打撲だけですよっと。骨にも異常はありませんでした。……? そちらの彼は?」

 

「……ああ、彼が例のパイロットですよ。私に協力してくれることになりまして」

 

ほーん、なるほど……君が……

 医官は眼鏡を上げ、納得したように頷いた。

「では、私は昼食でも摂ってきましょうかね。マチュ君は──こちらのベッドですよ。ああ、くれぐれも騒がないように」

 

 白衣を靡かせ、鼻歌を歌いながら医官は立ち去る。シャリアは苦笑いしながらゆっくりとカーテンを開く。

 そこにはベッドに横たわり、布団を肩まで引き寄せて眠るアマテの姿。

 小さな寝息を立てながら、まるで何事もなかったかのように静かに眠っていた。

 

「……どうやら眠っているようですね」

 

「……ああ。アマテにも話すことがあると言っていたが、どうする?」

 

 一瞬、シャリアの視線が揺れる。

 だがすぐに、いつもの穏やかな笑みに戻った。

 

「……! いえ、彼女が起きてからでいいでしょう。フブキくん──マチュ君を任せます。私も昼食に行ってきます」

 

「は? お、おい!」

 

 フブキが呼び止める間もなく、シャリアは軽やかに医療区画を後にした。

 残されたのは、眠るアマテと、その傍に立つフブキ。

 

 静寂が降りる。

 艦の振動音と、かすかな寝息だけが耳に残った

 

 

「まったく……何でいきなり……」

 

 フブキはぼやきながら、近くの椅子を手繰り寄せ、ベッドのそばに腰を下ろした。

 布団から覗くアマテの顔は穏やかで、寝息すら規則正しい。

 

 ためらいがちに、その鮮やかな赤髪へと指先を伸ばす。

 さらさらとした手触りは、初めて会った頃から変わらない。

 ただ──ここ最近の騒動続きで、少し伸びているように見えた。

 

「……髪の色……少しだけ抜けてきたか? 新しく染めようにもな……」

 

 その時。

 

「…………フブさんは、どっちがいい?」

 

「っ──!」

 フブキは思わず肩を跳ねさせた。

「……起こしたか。すまん」

 

 布団の中から、アマテが小さく笑う。

「ううん。最初から起きてたよ」

 彼女の瞳が、布団の中でじっとフブキを見上げていた。

 

「それより──どうなの?」

 

「俺は……どっちでも……」

 

 アマテの眉が、くすっと弧を描く。

「優柔不断は嫌われるよ……?」

 

 フブキは目を伏せ、かすかに苦笑を浮かべた。

「……今まで、そういったことに無頓着だったから……。分からないんだ……すまん」

 

「ふ〜ん……まっ、良いけどね。……ねえ、フブさん。今更だけど……聞いていいかな?」

 

「ん?」

 

「……好きな人とか、居たの?」

 

 フブキは少し眉を寄せた。

「……好きな人……それは、親愛という意味か?」

 

「ううん」

 アマテは首を横に振り、布団を握りしめた。

「私がフブさんに思ってるようなもの」

 

 一瞬、フブキは言葉を失った。

 やがて静かに答える。

 

「……これまで、普通の生き方を知らなかった。戦うことが生きることだった。だから……他人の人生に興味を持ったことは、なかったよ」

 

 アマテは小さく息を呑み、視線を逸らさずに続けた。

「……じゃあ、私は? 私はどう?」

 

「……本人を目の前に言えと……?」

 

「うん。……言って?」

 

 フブキはしばし逡巡し、視線を泳がせた。

 それでも、搾り出すように声を落とす。

 

「……嫌いではない」

 

「もぉ……! いくじなし!」

 

 アマテは頬を膨らませ、枕に顔を埋めた。

 その仕草に、フブキは苦笑しながら小さく頭を垂れる。

 

「すまん……」

 

 静かな医療区画に、二人の静かな笑い声だけが交じり合う。

 それは戦場の喧騒とはかけ離れた、ひどく温かい時間だった。

 

「まったくフブさんは……ん……」

 

 アマテはそっと体を伸ばし、フブキの唇に触れた。

 それは短くも確かな、ほんの少し長いキス。

 離れた瞬間、唇の間に銀の橋が糸のようにかかる。

 

「……っ」

 フブキの喉が小さく鳴る。

「怪我は……大丈夫なのか?」

 

 アマテは微笑みを浮かべ、茶目っ気を込めて囁いた。

「ふふ……見る?」

 

「……揶揄うな」

 

「大丈夫だよ。ほら」

 彼女は上衣をそっと捲り、体に巻かれた包帯を見せた。

 

 フブキは言葉少なに、そっとその部分へ手を伸ばした。

 硬い指先が慎重に触れる。

 

「……もっと自分を大事にしろ」

 

 アマテの身体がわずかに跳ね、思わず声が漏れる。

「んっ……くすぐったいよ……」

 

 布団の中で笑う彼女の顔は、傷つきながらも確かに生きている証。

 フブキはその温もりを確かめるように、手を離せずにいた。

 

 アマテが再びフブキに近づこうとした瞬間、背後から落ち着いた声が響いた。

 

「おほん! 失礼? 仲が良いのは大変よろしいですが、そろそろ」

 

 振り返ると──シャリアが微笑みを浮かべて立っていた。

 

「っ! シャリア! お前、昼に行ったんじゃ……」

 

「いえいえ。少々ワインを飲みすぎたようで、やはりやめておきました」

 

「こ、こいつ……!」

 

 シャリアは涼しい顔で歩み寄ると、軽く手を叩いた。

「まあ、マチュ君も起きたことですし、話を再開しましょう」

 

「? フブさん、話って?」

 

 フブキは少し顔をしかめたが、シャリアが渋々と答える。

「……フブキさんには既に言いましたが、彼には私に協力してもらうことになりました。彼の立場は……ある意味、傭兵のようなものですかね」

 

「……傭兵? え? ロイドさんの会社は?」

 

 フブキはわずかに視線を逸らし、低い声で答える。

「……アマテに言ってなかったな。俺は会社をクビになった。周りの制止を振り切って、タナトスを"勝手"に持ち出したんだ。……当然だ」

 

 アマテの瞳が揺れる。

「……私のために……?」

 

「……あの時はまだ、ジークアクスにお前が乗ってると思ってたからな……」

 

 一瞬の沈黙。

 だが、アマテはふっと笑みを浮かべ、勢いよく飛びついた。

 

「ふふ。嬉しい。──よっ!」

 

「うおっ! ……まったく……抱きつき癖、酷くなってないか?」

 

 そんな二人を見て、シャリアは小さく首を傾げた。

「……本当に仲がいいですね。では、話の続きをしても?」

 

「うるさいなぁ、ヒゲマン」

 

「おいアマテ……」

 

 フブキの声が低くなるが、シャリアは逆に嬉しそうに微笑んだ。

 

「……ヒゲマン。……良いですね」

 

「……!? 何を言ってる、シャリア」

 

「やれ“灰色の幽霊”だの“木星帰りの男”だのと、仰々しいあだ名ばかりだったので……私も……コモリ少尉のようなニックネーム的なものが欲しかったのです」

 

「……? 私コモりんのこと言ったっけ……あっ! また覗いたな!」

 

 フブキは額に手を当て、深いため息をついた。

「……お前も苦労してるな……」

 

「さて、マチュ君。──貴女の力を貸していただきたい」

 

「……話が見えないんだけど……どういうこと?」

 

「シャア大佐の排除。それを手伝っていただきたい。貴女はジークアクスに選ばれた唯一無二の人です。ニュータイプとしての力を貸してください」

 

 アマテは視線を細め、少し口を尖らせる。

「それ……私に何かメリットあるの?」

 

 シャリアはわずかに口元を上げた。

「そうですね……あ、フブキさんと一緒にいられますよ? 彼は私に協力してくれる事になりましたから。貴女が拒否するなら……しょうがないですが事が済むまで艦内の営倉d──」

 

「やる」

 

 フブキが目を見開く。

「早いな、アマテ……」

 

「では、決まりです。時が来たら、力を貸していただきます」

 

 場の空気が落ち着いたかに見えたその時、アマテが唐突に口を開いた。

「……あ、ヒゲマン。聞きたいことがあるんだけど」

 

「ん? なんですか?」

 

「ヒゲマンも言ってたけど、シュウジは“薔薇”を探してた。でもシャロンの薔薇が見つかっても、シュウジは居なかった……ヒゲマンは見つけてないの?」

 

 一瞬だけ、シャリアの表情が揺らぐ。

 

「……確かに。彼が薔薇を探していたことは理解していました。しかし、回収されたシャロンの薔薇には何の痕跡も残されていなかった。付近の海底も捜索しましたが……赤いガンダムの姿は、どこにも」

 

「……シュウジは、どこに行ったんだろ……」

 

「今は身体を休めろ。取り敢えずシュウジの事は後回しだ」

 

「……うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……よかった……

 

 シュウジは光に包まれた空間で、柔らかく息を漏らした。

 目の前に広がるのは、キラキラと煌めく断片の世界。

 その奥に、館のテラスで微笑むメイド服を着た子供たちとララァの姿が映っている。

 

 ……ここなら、ララァが幸せに生きていける。長かった……本当に長かった……

 

 シュウジは微笑むと静かに笑う。

 

 ──彼女が幸せに生きていける。……こんなに嬉しいことはない

 

 ララァはまるで気づいたように、遠くから振り返る。

 その表情は柔らかく、どこか慈母のように穏やかだった。

 だが次の瞬間、光の粒がふっと散り、幻は掻き消える。

 

 ……ララァ……

 

 

 

 




やばいやばい。仕事が忙しいぃ〜かと言ってこれからはほとんどオリジナルなのでお話を考える為にいろんなものを漁らなきゃいけませんし、これを毎回やってるジャ◯プすげーな
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