機動戦士Gundam GQuuuuuuX 自由の奴隷   作:スペースデブリ

62 / 70
最終章
ソーラ・レイ強襲


 

 

 

 

《えー、所謂「核の冬」によります「地球寒冷化」これを修復すべく計画された平和目的のソーラ・レイが、この──「イオマグヌッソ」であります。

 これは、国家間の利害を超えた、まさに全人類のための事業と言えるものであり、明日の完成式典に我がサイド6も同席できることを、大変誇らしく思っております》

 

「以上、イオマグヌッソ式典場からのライブ中継でした。

 ここで戦場ジャーナリストで、現在も活躍しているホワイトさんにお話を聞きたいと思います。ホワイトさん、よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします」

 

「今回、ジオン公国が周辺サイドと協力し建造したとされるソーラ・レイ「イオマグヌッソ」に関して、戦場ジャーナリストとしてのご意見をお聞かせください」

 

「そうですね。まず言えることは──この「イオマグヌッソ」で、本当に地球の寒冷化を阻止できるのか? という疑問です」

 

 キャスターが少し身を乗り出した。

「と、いいますと?」

 

「ハッキリとしたことは言えませんが……“地球の寒冷化を防ぐためだけ”に、あれほどの巨大構造物が必要なのか? 私は、そこに大きな疑問を感じます」

 

「確かに、イオマグヌッソはかなり大きいですね。地上からでも肉眼で確認できるほどだと聞きます」

 

「ええ。それだけの規模のものが、太陽光を地球に向けて照射する……もし仮に出力の制御が狂えば、寒冷化どころか──地球そのものに深刻なダメージを与えかねない。

 言い換えれば、それは“環境修復装置”であると同時に、“惑星規模の照射兵器”にもなり得るのです」

 

 スタジオが静まり返る。

 キャスターは一瞬、言葉を探しながらも話題を切り替えた。

「……な、なるほど。ちなみに、この完成式典にはジオンのキシリア様が参加されるとのことです。ギレン総帥については、まだ出席の情報は入っていません。地球連邦政府からも、式典に参加するかどうかの発表はありませんね」

 

 ホワイトは皮肉を込めた笑みを浮かべた。

「それは当然でしょう。連邦はジオンを“敵国”として見ている。

 ジオン主導の式典に姿を見せれば、それだけでジオン公国の事業を認めると受け取られかねない。──つまり、イオマグヌッソは政治的にも非常に危険な装置なんです。

 表向きは“平和の象徴”。ですが、誰にとっての平和か──そこが問題なんですよ」

 

 キャスターが息を呑み、硬い笑みを浮かべる。

「……ホワイトさん、貴重なお話ありがとうございました」

 

「いえ。どうか、あの光が人類にとっての“希望”であってほしいですね」

 

 

 

 

 

 

 ──

 

 

 

 

 

 

《ご覧ください! あれが“イオマグヌッソ”です! 大きいですね! 

 地表からも肉眼で確認できるほどの規模です! 

 これほどの大規模な事業は、宇宙世紀85年の歴史の中でも、“首相官邸ラプラス”と並ぶ特筆すべき出来事であり──》

 

《連邦政府からの出席は予定されておらず、“平和目的”であるというジオン側の主張にも影を落としそうな事態です。次のニュースです──》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レーダーモニターの光点が大量に映り、セファの顔を照らす中、驚いたように声を上げる。

 

「式典は明日なのに……もうこんなにマスコミが集まってるんですね……」

 

 彼女の背後では、オシロが双眼鏡を覗き込みながら手早く数を確認していた。

「……Mark.4、6……9…国家親衛隊のビグ・ザムが4機。最近配備されたばかりの“13号機”も見えますね」

 

「ふむ……ギレン総帥は? もう入られているのか?」

 艦長ラシットの問いに、通信官のベノワがマイクを押さえながら答える。

 

「グワランでいらしたのなら……おそらく、すでに式典会場に入られているかと」

 

 オシロは眉をひそめ、レーダーの反応を見ながら小さく呟く。

「こんなにビグ・ザムを集めて……情報封鎖、徹底してますね。これ」

 

 ラシットは椅子にもたれ、深いため息をついた。

「はぁ……臆病すぎる。兵の前でこれでは示しがつかん」

 

 艦橋に一瞬の沈黙が落ちる。

 その沈黙の中、レーダーに小さく新たな点が浮かび上がった。

 

「あ……キケロガ、ジークアクス帰投します」

 セファの声が艦橋に響き渡る。だが、その報告を聞いたオシロは苦笑を浮かべた。

 

「こんなギリギリまで訓練なんて……」

 

 ラシットは頬杖をつきながら、無機質なモニターを睨んでいる。

「ふん。殊勝なことだな。──だが、そうは言っても“国際手配中のお尋ね者”だ」

 

 その言葉にセファは小さく眉を寄せる。

 彼女はアマテと艦内で何度か食事を共にしていた。

 無鉄砲で、思い込みが強いが、根は真っ直ぐな少女。

 それが、どうして国際指名手配の対象になるのか──セファには理解できなかった。

 

「でも、マチュは……フブキさんに脅されてってことになってるんじゃないですか?」

 

「さあな……」

 ラシットは軽く息を吐き、椅子に深く背を預けた。

「ま、中佐には何か考えがあるんだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ドッキング完了。全システム安定》

 整備士たちの声が交錯する中、無線が開いた。

 

《お疲れ様でした。シャリア・ブル中佐。いよいよ明日ですね》

 

 暗いコックピットの中で、シャリアは静かにヘルメットを脱ぐ。

 照明が落とされた操縦席には、わずかな計器の光だけが残り、

 その瞳に映るのは、明日を見据えた冷たい決意だった。

 

「ええ……。ギレン総帥とキシリア様が同席される、この時を待っていました。──この件は私から彼女に伝えます。キケロガの整備を任せます、シムス大尉」

 

《はい。お任せください》

 

 通信が切れ、静寂が戻る。

 シャリアはゆっくりと目を閉じ、

 低く、自分自身に言い聞かせるように呟いた。

 

「……あの光が、再び人を焼かぬように──」

 

 

 

 

 

 ──

 

 

 

 

 

「もぉ……! マチュ! ちゃんと支給されたパイロットスーツを着なさい! ヘルメットもなしで……あの黒いやつはどうしたのよ!」

 

「よっ……と。こっちの方が着慣れてるからさ。それにフブさんからの反応もいいし」

 

 アマテは、クランバトルに参加していた時のパイロットスーツを身に纏い、頭にはいつもハロに被せていたニット帽をかぶっていた。

 ある意味、これが彼女の“戦う時の素の姿”なのだろう。

 

「もう……! 中佐からもちゃんと指導してください!」

 コモリは半ば呆れ声交じりに無線へ報告を送る。

 

 すると通信の向こうから、のほほんとしたシャリアの声が返ってきた。

 顔は見えずとも、“やれやれ”という表情が容易に想像できる。

 

《まあまあ、コモリ少尉。彼女は軍人ではないから》

 

「むぅ……」

(そんな子供に最新モビルスーツを任せるなんて……。いくらジークアクスがマチュにしか動かせないとしても、他に方法はいくらでもあるでしょ……)

 

 コモリの内心のぼやきをよそに、アマテは笑顔で軽口を飛ばす。

「はぁ〜あ。コモりん真面目すぎ。ヒゲマンはそんなこと気にしないよ?」

 

「シナイシナイ!」と、ハロまで調子を合わせる。

 

「もうっ! マチュ! 中佐のこと“ヒゲマン”って呼ぶのはやめなさいって! 一応この艦のトップなのよ!? はぁ……まったく……」

 コモリは呆れたように肩を落とすが、どこか微笑ましさも混じっている。

 

「とりあえず、営倉に戻るわよ?」

 

「は〜い」

 

 

 

 

 

 

 アマテはコモリとともに営倉に戻る。

 扉が閉まると、薄い照明が静かに灯り、無機質な壁に彼女の影が伸びた。

 

 ベッドの上には、きちんと畳まれた服が置かれている。

「あ、コモりん、着替えいつもありがと」

 

「……し、仕事だから」

 コモリは少し頬を赤くしながらも、視線を逸らす。

「でもさ、私の服で良かったの? ほら、セファの方がゆったりしてるじゃない? その……」

 

「ん〜ん?」

 アマテはニット帽を軽く整えながら微笑む。

「私、コモりんの匂い好きだし。息ができないほど苦しいわけじゃないし」

 

「くっ……!」

 コモリの心臓が跳ねた。

(く、黒いガンダムのパイロットが惚れるのも……わかる気がする……!)

 

「じ、じゃあね!」

 耳まで赤くなったコモリは、慌ててドアを閉めて出て行く。

 

 ──カシャン──カチリ。

 

 静かな音が部屋に響く。

 アマテはベッドの端に腰を下ろし、ハロを抱き上げる。

 壁のパネルライトが微かに揺れ、彼女の瞳に淡い光を映した。

 

「……シャロンの薔薇。中には、ララァとよく似た人が眠ってる……か」

 

 

 

 

 

 

 

 ──

 

 

 

 

 

 

 

『モビルスーツのパイロットは第2種戦闘配置のまま待機! 繰り返す、モビルスーツのパイロットは──』

 艦内放送が鋭く響き渡る。ブリッジも整備区画も、すでに緊張の渦中にあった。

 

『ジフレド、リアクター起動。出力安定、エネルギー循環開始』

『ビームライフル接続、異常なし。ビームライフル・ビット共に充填完了。稼働時間、問題なし』

『Iフィールド、問題なし』

 

 各整備員の報告が立て続けに飛ぶ。

 多数のギャンの中に紫色の一際目立つジフレド。格納庫には作業員が忙しなく動いている。

 

『コアファイター、推進剤注入完了まであと10分!』

『ギャンのシールドミサイル搭載は20分以内に終わらせろ!』

 

 怒号にも似た声が飛び交う中、エグザベは無言でパック食を口に運んでいた。

 その隣では、ニャアンがコンチと戯れながら屈んでいる。

 

「今日の作戦は長くなるかもしれない。……食事は摂ったか?」

 

「……カオマンガイ作って残りはパックしといた……お兄ちゃんってエスニック好きかな……?

 

 エグザベは思わず笑みを浮かべる。

「チキンライスか……美味しそうだ。僕にも食べさせてくれよ」

 

「手料理食べたいって……まるで、彼女みたいじゃないですか?」

 

「え……いや、そんな深い意味はないんだが……」

 

「……好きな人のためにしか作りませんよ。手料理なんか」

 

 ニャアンは振り返らず、淡々と答えた。しかし、その横顔に一瞬だけ影が差した。

 

「そ、そうか……。なあ、ニャアン。初陣なのに……本当に怖くないのか?」

 

 艦内放送が割り込む。

 

『5分後に第1種戦闘配置。パイロット各員は気密ヘルメット、装備確認後、速やかに機体に搭乗せよ。繰り返す、5分後に第1種戦闘配置。パイロット各員──』

 

 警報灯が赤く点滅し、緊張が走る。

 だが、ニャアンは静かに息を整え、呟いた。

 

「私は……ディアブロだから」

 

 その声は低く、まるで自分自身に言い聞かせるようだった。

 

「ニャアン、そのペットロボットは置いて行った方がいい。余計な重量が増えるし」

 

「これ……私のお守りですから」

 

 コンチのランプが小さく点滅し、「ピポピポ」と短く鳴いた。

 ニャアンはそれを胸元に抱き、静かに微笑む。

 

 お守り。そう言い残して、彼女は扉の向こうへ消えた。

 閉まるハッチの音が、艦内の低い警告音と混じり合い、

 エグザベの胸の奥に、妙に長く残響した

 

 

 

 

『ミノフスキー粒子、戦闘濃度で散布開始。モビルスーツ隊、発進準備!』

 赤い警告灯が点滅し、艦内の空気が一気に張り詰める。

 重力制御の微かな揺れの中、整備兵たちの怒号とシリンダーの駆動音が交錯する。

 

『発進準備了解。第3ケージ、ハッチ解放。1番から15番までの安全装置解除完了。──モビルスーツ隊、発進どうぞ!』

 

 金属のハッチが開く音と同時に、格納庫全体が震える。

 冷たい宇宙の闇が、艦の中へと息を吹き込むように流れ込んできた。

 

「新人が先に出る! 皆は僕に続け!」

「「「了解!」」」

 

 エグザベの声が隊内回線に響く。

 

「……ニャアン、ジフレド、出撃します」

 

 ジフレドのスラスターが青白く閃光を放ち、艦の外へと滑り出していく。

 船体の影を抜ける瞬間、紫の装甲が光を受け、まるで彗星の尾のように尾を引いた。

 

 だが、その刹那──

 白いギャンが並走し、盾を軽くジフレドの胴に当てる。

 

「聞こえるか? ニャアン」

 

「はい」

 

「事前の作戦に沿って、まずはビグ・ザムを無力化する。グワランの陰から突入し、死角をつくぞ。──訓練通りだ。行くぞ!」

 

「了解」

 

 短い言葉の交換の後、二機はスラスターを最大出力に切り替え、閃光のように宇宙を駆けた。

 レーダーに映るのは、巨大な機影。特徴的で威圧的なフォルムを持つ一年戦争から今も現役の機体──ビグ・ザム。

 

 ジフレドのコックピットの中で、ニャアンは唇を噛みしめた。

 

(…………嫌な匂い……)

 

 スラスターの噴射音が、心臓の鼓動と重なる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──始まったか。

 

 ソドンの営倉で、フブキはゆっくりと顔を上げる。

 扉の格子窓から照明の影が頬を撫で、彼の瞳には、まるで宇宙の星々が映り込んだような"キラキラ"とした光が揺れていた。

 

 

 




 機種変したら書いてたデータ全部すっとんだマヌケは私です。みんなはちゃんとバックアップしてからデータ移行しようね!
 もう10月中旬なのにまだ暑いってなんで?寒冷化どころか温暖化してるんですが。セカンドインパクトじゃないんだから早く残暑消えて欲しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。