現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦   作:ソル  

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見切り発車なので初投稿です


呪眼戴天
五条悟


 呪い。人間の負の感情から生まれるその力は、いともたやすく人を呪い殺すことができる。

 数時間前まで死とは無縁の世界にいた高校生、虎杖悠仁は、自身の体でそれを理解させられていた。

 

 自身の一撃はまるで効いていないのに、眼前の怪物……呪霊の攻撃は確実に自分を死へと誘う理不尽。

 

「呪いは呪いでしか祓えない、呪力のねえお前がいても意味ねーんだよ」

 

 さっさとそこの二人連れて逃げろ、と虎杖に告げるのは、先ほどあったばかりの青年、伏黒恵。

 強がってはいるが、その頭からは大量の血が流れ、今にも倒れそうなほど息が上がっている。このままこの場を離れれば、間違いなく彼は死ぬだろう。

 

 何とかする方法はないかと頭を回し、気づく。そもそも呪霊は何のために襲ってきたのだったか。

 

「なあ、なんで呪いはあれ狙ってんだ?」

 

「食ってより強い呪力を得るためだ」

 

「なんだあるじゃん、全員助かる方法。俺にジュリョクがあればいいんだろ?」

 

 確認を取るようにそう言った虎杖は、懐から取り出したものを口へと運ぶ。

 それは、一切の劣化が見られない人間の眼球。その瞳は、吸い込まれそうなほどに青く輝いている。

 おぞましさと美しさを兼ね備えたそれは、明らかに人知を超えた気配を漂わせていた。

 

「馬鹿!! やめろ!!」

 

 伏黒の制止は間に合わない。

 ゴクン、という音とともに、その呪物は虎杖の体内へと消えていく。

 虎杖悠仁の意識が表に出ていられたのは、そこまでだった。

 

 

 

(特級呪物だぞ!? 猛毒だ、確実に死ぬ!! だが万が一、万が一……!)

 

「おお゛お゛お゛」

 

 叫び声を上げながら突進してくる呪霊。虎杖は、その進行を見ることもなく顔を伏せる。

 

「虎杖!」

 

 一秒後の未来を想像し、伏黒が声を上げる。だが、その声に答えるものはなく、呪霊の体が虎杖を吹き飛ばす――その直前。

 ピタ、と。

 見えない壁に阻まれたかのように、呪霊の動きが停止する。

 

 何が起こったのかわからない様子の呪霊に向け、虎杖が気だるそうに目線を向ける。瞬間、絞った雑巾のように呪霊の体がねじれ、消滅した。

 

「な……!?」

 

 ゆっくりと顔を上げた虎杖。彼の外見は、瞬きの間に大きく変化していた。

 色が抜け落ちたような白い髪。透き通るように青く光る左目。

 

「この程度? これじゃ寝起きの運動にもなんねーよ」

 

 明らかに今までの虎杖と違う口調。見た目の変化。何より、その身に纏う圧倒的な呪力に、伏黒は確信する。

 

(最悪だ! 最悪の万が一が出た! 特級呪物が受肉しやがった!!)

 

「ほんとにこの時代なのかよ、平和ボケしすぎ。平安のほうがマシな気がすんだけど?」

 

 ペラペラと軽い言葉を紡ぐその男の正体は、伏黒も知っている。

 

(五条、悟……!)

 

 史上最強の術師にして、五条家を終わらせた術師。どう考えても、今の伏黒が勝てる相手ではない。仮に奥の手を使ったとしても、太刀打ちできるかは未知数。それほどの脅威。

 災害に等しい相手を前に、彼は思考をフル回転させていた。

 

(どうする……!? 先生もこっちに向かってる、受肉したとはいえ時間稼ぎぐらいなら……、いや、それでも今の状態じゃキツイか……!?)

 

「ん? ねえ君、術師でしょ。術式は……、へえ、十種じゃん! この時代にも禪院って残ってんだ、なんか感慨深いね」

 

「ッ!?」

 

 使用してすらいない自身の術式を見抜かれ、伏黒の思考が一瞬停止する。ただでさえ格上の相手、おまけに情報のアドバンテージもこれでほとんど消滅した。

 

(クソッ、これが五条家の六眼か。それに十種を知ってるってことは魔虚羅についても割れてる可能性が高い。伝わってる情報が本当なら、出した瞬間一蹴されてもおかしくねえぞ!)

 

「そんなに身構えないでよ、別に取って食おうってんじゃないんだからさ。いくつか質問したいだけ」

 

 ヘラヘラとした笑顔でそう告げる五条悟。信用などできるはずもないが、殺すつもりならもうとっくに殺されているだろう。

 伏黒は、彼の目的を探るため会話に乗ることを選択した。

 

「……何が聞きたい」

 

「簡単だよ。君の知ってる中で、一番強い術師って誰?」

 

 その質問が単純な好奇心からのものでないことは、その顔を見れば簡単にわかる。

 満面の笑みでありながら命の危険を感じさせる、戦闘意欲をむき出しにした表情。

 

「そんなこと知ってどうするんだ……、いや、聞くまでもないか」

 

「まあ、わかるよね。それ教えてもらったら君には何もしないよ。君にはね」

 

 つまり、五条の目的は強者との戦闘。

 伏黒を狙ってこないのは、今の彼ではたとえ魔虚羅を出したところで戦闘が成立しないことを理解しているからだ。

 

(ナメやがって、と言いたいとこだが、実際勝負にならないのは確かか。完全でないとはいえ、こいつは史上最強の術師だ)

 

 原子レベルの呪力操作を可能にする六眼と、最強の術式の一つである無下限呪術。過去、五条家はその相伝だけで御三家としての地位を築いていた。その事実から推し量れることは、術師として活動している者なら誰もが理解できるだろう。

 

「……現代最強の術師は、うちの教師だよ。今ここに向かってるはずだ」

 

「へえ、そりゃ都合がいい! そいつの名前……いや、いい。直接聞くよ」

 

 質問を中断したのは、突如現れた圧倒的な気配に反応したから。纏った雰囲気をさらに危険に変化させた最強は、一つ瞬きをする間に伏黒の視界から消え失せていた。

 

 

 

 何の変哲もない学校のグラウンド。どこにでもある普通の光景だが、そこに現れた二つの存在が、周りの空気を非現実へと変化させていた。

 

 一方は、白い髪に青い目の男。その表情は、おもちゃを買い与えられた子供のようでありながら、見るものすべての生存本能を刺激する。

 もう一方は、黒で身を包んだ男。着物のような服もそうだが、その顔も半分以上が黒い布で覆われている。まるで、その中にあるものを隠すように。

 

「君だよね? この時代で一番強い術師って」

 

「……受肉したのか。伏黒は何をやってる」

 

「伏黒ってさっきの彼? 禪院じゃないんだ」

 

 自身の生徒を知っているかのような口ぶりに、黒い男の声色が変わる。

 

「……何をした」

 

「……俺ってこっちでどんな伝わり方してんの? なんもしてないよ。弱い者イジメする気ないし」

 

 あきれたように肩をすくめる白い男。

 

「言うまでもないだろうけど、俺は五条悟。君は?」

 

「両面宿儺だ」

 

「なるほど、見たまんまだね。じゃ、やろうか宿儺」

 

 言葉への返答はない。次の瞬間、黒と白が衝突した。




原作との相違点
・現代に残されている呪物が指ではなく眼
・一度に取り込んだ魂の総量が多い分、虎杖が自分を取り戻すまでの時間が長くなっている

ストックは交流会前までなのでゆっくり進めていきます。

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