現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦   作:ソル  

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姉妹校交流会
開戦


「来たぜ」

 

「あらお出迎え? 気色悪い」

 

「久しぶりだな兄弟!!」

 

「東堂!久し……久しぶりってほどか? それにしても……」

 

 先日顔を合わせた二人以外に、京都校の生徒は4人。

 水色の長髪で、刀を携えた少女。

 箒を持ち、髪を二つにまとめた少女。

 古風な雰囲気を持つ糸目の男。

 男か女かもわからないようなロボット。

 

 引率としてついてきた教師も、顔に傷のある巫女服の女性に、顎髭を胸あたりまで伸ばしている老人と個性が強い面子がそろっている。

 

「……何つーか、全員キャラ濃すぎない?」

 

「……特級呪物の器に言われたくないと思うわよ」

 

 ごもっともな言葉にぐうの音も出ない虎杖。

 そんな彼を値踏みするように見つめる視線が二つ。

 

 一つは京都校の学長、楽巌寺。

 写真や報告から姿は知っていたものの、実際に対面するのはこれが初めてである。

 

「あれが五条悟の器か」

 

「いいのですか学長、奴を野放しにしていても。規定にのっとればすぐに処刑すべきですが」

 

 そう問いかけるのはもう一つの視線の主人、加茂憲紀。

 御三家の一つ、加茂家の次期当主として規定や掟を守ることにこだわる彼からすれば、特級呪物の器となった虎杖は今すぐ殺しておくべき存在である。

 

「以前にも説明したが、六眼が戻ってくるのはこちら側にとってのメリットが大きい。何か問題が起きれば別だが、宿儺の奴がいる以上そこまで問題はないだろう」

 

 噂をすれば、といった具合に、宿儺が姿をあらわした。

 

「揃ったか」

 

「一番最後に来たやつがいうことじゃないでしょそれ……」

 

 京都校の担任、庵歌姫が苦言を呈すも、宿儺はそれを無視して話を進める。

 先輩への敬意が全く感じられないその態度に青筋を立てる歌姫。

 学生時代から2人の関係はこんな感じであった。

 

「では団体戦のルールの説明に入る」

 

 

 一日目、生徒全員で行う団体戦の内容は呪霊討伐レース。指定された区画内に放たれた二級呪霊を先に払ったチームの勝利というシンプルなルール。もし日没まで決着がつかなかった場合は、三級以下の呪霊の討伐数で勝敗を競うことになる。

 

 単純な力量の勝負ではない以上、事前の戦略が勝負のカギを握る。特に、東堂や裏梅といった一級とぶつかれば、何もできないまま脱落する者もいるだろう。

 だからこそ、この勝負においては互いの一級術師をどう対処するか、という点が重要になってくる。

 

「じゃあ、東堂を抑えんのは悠仁ってことで」

 

「押忍。 ……けどそう都合よく出くわすかな」

 

「問題ない、あいつなら絶対一直線にこっち来る」

 

 それもそうかと納得する虎杖。東堂と会ったのは今日で二度目だが、それでも小細工や回り道を好むタイプでないことはわかる。

 前回の戦闘は中途半端に終わったが、今回はそうはいかないだろう。強敵との激突の予感に、体が震えるのを感じた。

 

 

 一方、京都校は。

 

「人数差もだが、一番厄介なのはやはり氷見だな」

 

「私たちより年下なのに一級だもんね。……顔もカワイイし」

 

 一級はまともな術師の中での最高位。京都校の最高戦力である東堂がそうであるように、その実力は準一級以下とは大きな隔たりがある。高専入学前の段階からそこに位置する裏梅は、間違いなく天才といえる。

 

 だからこそ、彼女には同じ一級をあてるのが一番だったのだが……。

 

「前にも言ったが俺は今回兄弟以外に興味はない。お前らでなんとかしろ」

 

 肝心の本人は協調性というものとは無縁。自分の意志にしか従わないマイペースな人格は、こういった事前の作戦とはとことん相性が悪い。

 

「……あの通りだ。きついとは思うが、予定通りメカ丸に時間を稼いでもらう」

 

「どこまで持つかはわからんがナ。やれるだけはやろウ」

 

 

 

 各校の作戦会議も終わり、生徒たちが配置につく。

 

『準備はいい?じゃあ、スタート!』

 

 スピーカーから開始の合図が響き、両校の生徒たちが一斉に行動を開始する。

 

 東京校は、伏黒の出した玉犬を先頭に区域の中心を目指す。

 向こう側とかち合う可能性の高い中心付近に、本命の二級呪霊がいるであろうという考えからだ。

 

「先輩、来ます!」

 

 それを最初にとらえたのは玉犬の嗅覚。

 木々をなぎ倒しながら、すさまじい勢いでこちらへ向かう影が一つ。

 

「ホントに来た!」

 

「よし、やるぞ兄弟!!」

 

 予想を外れず、一直線に突っ込んできた東堂。

 その目には虎杖以外映っておらず、周りの動きに気を止める様子もない。

 

「皆! 頼んだ!」

 

 虎杖が東堂とぶつかり合った瞬間、東京校の生徒たちも動き出す。事前に決めていたチームに分かれ、勝負に勝つため行動を開始した。

 

 

 

 

 呪霊捜索のため、東京校の生徒たちが散会してから数分後。

 一人木々の間を歩く裏梅が、おもむろに口を開く。

 

「……来ないのか?」

 

「大祓砲!」

 

 その声に応えるように、メカ丸が攻撃を開始する。放たれたレーザーのような呪力が、裏梅へと一直線に飛んでいく。

 木々の間をすり抜けるようにして向かっていった光線は、足元から生えるように出現した氷壁に遮られ、はじかれるように消滅した。

 

「そっちか」

 

 敵の大まかな方角を見切ると同時に、裏梅も反撃を開始する。

 先ほど防御に使われた氷壁が、攻撃が飛んできた方向へとすさまじい速さで伸びていく。並の術師や呪霊では、躱すこともできず氷漬けになるだろう速度。

 

(捉えた……いや)

 

「ダミーか、面倒だな」

 

 裏梅の攻撃が標的に届いた直後、まったく別の方向から先ほどと同じ攻撃が飛んで来る。

 

(凍らせた手ごたえ自体はあった。だが、体積が小さすぎる。おそらく固定砲台のようなものをいくつかあたりに配置してあるのだろう)

 

 天与呪縛によって広大な術式範囲と身の丈以上の呪力出力をもつメカ丸にとって、団体戦の舞台となる区画内に複数の呪骸を仕込むことなど造作もない。一つを壊してもまた次の一つが裏梅を狙い攻撃を放つ。

 

 本体として動かしている究極メカ丸に比べれば出力は劣るものの、相手の気を散らすには十分すぎる。

 デコイが残っているうちに接近し奇襲を仕掛けるというのが、彼の作戦だった。

 

 きりがないと判断した裏梅は、デコイの密集している地点から離れようと地を蹴る。

 

(ちっ、鬱陶し……何だ?)

 

 着地しようとした地面に違和感を覚えた時にはもう遅かった。

 足が土に触れたと同時、カチ、という音が鳴り足元の地面が爆発する。

 

「っ、地雷か!?」

 

 火薬の代わりに呪力を込めたメカ丸式の地雷。裏梅相手に有効打を与えられるほどではないが、彼女の体勢を崩したうえで、土煙によって視界を奪うことに成功している。

 初めて生まれた明確な隙。確実にダメージを与えるため、メカ丸本体がゼロ距離まで接近する。

 

(獲った!)

 

 そして――

 

「……やりすぎだ、阿呆」

 

 モニター越しに見える風景に、宿儺が呆れた声をだす。

 裏梅のいた地点からの周囲40メートルほどが、巨大な氷壁で覆われていた。

 

 裏梅は、奇襲に対して無理やりに全範囲を凍結させたのだ。凍らせたダミーの位置から、相手の射程距離を把握。有効射程と思われる40mほどの範囲を360度攻撃した。

 舞台の全てを凍らせることこそしなかったものの、交流会の範囲では明らかに過剰な攻撃である。

 

 究極メカ丸本体を完全に破壊されたわけではない。しかし、全身を凍結させられている以上これ以上は動けない。残機ももうここにはなく、彼はここでリタイアである。

 

「すまん。少しやり過ぎた」

 

「……生身の人間だったら危なかったゾ。少しは加減しロ」

 

 

 

 同時刻。

 裏梅たちから少し離れた位置でも、ひとつの戦闘が始まろうとしていた。

 

 

「相手してもらいますよ、加茂先輩」

 

「伏黒君か……。聞いているぞ、少し前領域展開に成功したと」

 

「……どっから情報拾ってきたんですか」

 

 加茂は自身と境遇の似た伏黒にシンパシーを感じているため、その動向には他のものより注意を払っている。

 そうでなくても、五条家の地位が失墜した今、御三家の相伝を受け継いだ術師の成果は耳に入ってきやすいのだ。

 

「その……領域のコツなどがあれば聞かせてもらいたいのだが……」

 

「……それ今聞きます?」

 

 加茂の天然発言に微妙な空気が流れる中、突如轟音が響く。

 

「「!?」」

 

 両者が視線をその方角へと向ける。

 彼らの視界に移ったのは、巨大な氷壁。氷の術式に莫大な出力、交流会に参戦している術師の中であれをやれる該当者は一人しかいない。

 

(氷見の術式か! メカ丸はどうなった!?)

 

 仲間の安否が気にかかるものの、目の前の相手から目を離すわけにもいかない。

 自身と同じ、御三家の相伝を受け継いだ術師。実力で劣るつもりはないが、領域を展開可能である以上センスでは向こうの方が上かもしれない。

 

「全く……そっちの一年は有望すぎるな」

 

 

 

 優勢に勝負を進める東京校。しかし、一つの戦闘では東京校側の生徒が苦戦を強いられていた。

 

「どうした兄弟、キレが悪いぞ!」

 

「くっそ……!」

 

(兄弟……。そんなものではないはずだ、お前の可能性は!)

 

 親友としての思い出が告げる。虎杖悠仁はこんなところで終わる人間ではないと。そんな東堂の思いとは裏腹に、虎杖は何処か調子を上げきれずにいた。

 実力は確かに上がっている。階段を一段ごとに上っているような感覚は確かにある。

 だが、それでも何かが不足している。

 

 強くなりたいという思いはある。だが、そこに乗せるべき理由が足りていない。

 

 自分の弱さを思い知るような出来事。

 絶対に倒さなければならない目標。

 身近な誰かの理不尽な死。

 

 自分の価値観を変えるような体験がない今の彼には、壁を壊すような大幅な進化は望めなかった。

 

 

 

 

 各所で戦いが進んでいく交流会。

 多少の想定外はありつつも、このまま何事もなく決着がつく……かに見えた。

 

 突如、虎杖たちの頭上に黒い幕が下りる。

 前触れもなく現れた帳に驚く暇もなく、二人はその場を飛びのいた。

 

「「!?」」

 

 身の丈を軽く超すほどの太さの大木が、二人を分断するようにして出現したのだ。

 交流会に参加している術師の中にこんな芸当ができる者はいない。つまりこれは、第三者による奇襲。

 

 攻撃をうけたのは、虎杖と東堂だけではない。

 

 

 

 

 裏梅の前には、火山のような頭をした一つ目の呪霊が。

 

「なぜここに特級が……」

 

「相手をしてもらうぞ、術師」

 

 

 

 

 東堂の前には、目の位置に木が生えた巨漢の呪霊が。

 

「さっきの大木はお前だな? 俺とブラザーとの蜜月を邪魔するとは、余程祓われたいらしい」

 

『何を言っているのですかこの男は』

 

 

 

 

 そして、邂逅はもう一つ。

 

(何だこの木、京都の方の術式か!? いや、東堂にも当たりそうだったし多分違う……あっちは大丈夫か!?)

 

 人影が現れる。

 邪悪な気配を漂わせたそれは、虎杖を見ると興味深そうに笑う。

 

「あれ?君かな、五条悟の器って」

 

「……!」

 

 一目見た瞬間理解した。目の前に立つ呪霊が、絶対に相いれない天敵であることを。




原作との相違点
・虎杖暗殺計画が実行されない
・裏梅が参加してるので原作とは違う戦闘が発生
・全 員 参 戦 



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TS要素裏梅しかないんですが必要ですかね…?

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