現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦   作:ソル  

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懐玉ー壱ー

 

 入学から1年。

 夏油が特級術師に認定されたり、2人の後輩が入学したりなど環境の変化もありつつ、学生としての生活を送っていた宿儺。

 

 そんな彼は現在、夏油と2人で教室に正座させられていた。

 

「硝子も含めて酒盛りしていたそうだな……それも教室で」

 

「……忘れたな」

 

「覚えてません」

 

 目を逸らす。

 誘ったのは家入だが、それに乗ったのは宿儺と夏油の選択だった。基本的には真面目に生徒をやっている宿儺だが、たまにこういった問題を起こすこともあった。

 

 ちなみに、元凶の家入は面倒ごとの気配を察して教室から逃げ出している。

 癖の強い特級2人と付き合えている女は、普段の立ち回りが上手かった。

 

「全く……。重要な任務だというのに、お前らに任せていいのか不安になるな」

 

「もったいぶらず本題に移れ」

 

「話の長い男は嫌われますよ」

 

「お前ら戻ってきたら覚えていろ」

 

 話が進まないためいったん説教を切り上げる夜蛾。しかし額に青筋を立てたままなので、任務が終わった後にはひどいことになるだろう。

 

「天元様のご指名だ。依頼は二つ」

 

 天元。その名前が出た瞬間、二人の背筋が伸びる。

 現状の日本呪術界そのものを支える柱ともいえる存在が、直々に命じる任務。その内容は……。

 

「”星漿体” 天元様との適合者。その少女の護衛と、抹消だ」

 

 

 天元とは、遥か平安の時代から呪術界を支えている、不死の術式を持った存在である。

 高専各校などの呪術界の拠点となる結界、補助監督の用いる『帳』などの結界術。それらの強度はすべて天元によって底上げされている。

 

 しかし、天元は不死であって不老ではない。一定以上の老化を終えてしまうと、それに適応しようとする不死の術式が自動的に肉体を創り変えようとするのだ。

 もしそれが起これば、天元はそれ以前とは全く違うものに変化する。それまでの天元とは違う存在になった彼女が、人類の敵となってしまう可能性すらある。

 

 それを防ぐために必要なのが”星漿体”と呼ばれる存在。

 天元と適合する存在である星漿体が天元と同化し、肉体の情報を書き換えることによって、術式による肉体の進化を防ぐことができるのだ。

 

 そして、その同化が行われるのが二日後の満月。

 同化の対象となったのが、星漿体である少女、天内理子だった。

 天内の所在が漏れてしまったことで、大きく分けて二つの勢力が彼女を狙っている。

 

 天元の暴走によって呪術界の転覆を目論む、呪詛師集団『Q』。

星漿体を不純物とみなし、信仰対象である天元との同化を阻もうとする宗教団体、盤星教『時の器の会』。

 

 今回二人に任されたのは、天内を護衛し、同化を行う二日後に天元のもとへと送り届ける任務だった。

 

「しかし、随分と贅沢な任務だな。俺とオマエで特級を二人も使うとは」

 

「宿儺。前から言おうと思っていたんだが……いや、何でもない。早く行こうか」

 

 一人称「俺」はやめた方がいいという言葉は、口から出ることはなかった。

 宿儺が普通の家庭に生まれ、ちゃんとした教育を受けていた人間だったなら、夏油が言葉を止めることはなかった。

 親から捨てられ、山中で獣のように生き延び、人間社会に入ってからも、ただ呪霊を狩り続けるだけの日々。そんな人生で誰かに敬意を示そうなどと思う機会はないだろう。

 彼と比べ恵まれた環境で育つことのできた自分が、上から目線で指摘していいことではないと、そう思ってしまったのだ。

 

「……」

 

 夏油が自分の態度に関して何かを言おうとしていたことくらい、宿儺とて察している。だが、それを追求しようとするほど二人の仲は深いわけではない。

 夏油の憐憫からくる優しさと、宿儺の無関心が、彼らの関係をクラスメイトより先に進めていなかった。

 

 二人の間に気まずい空気が流れたのも一瞬。護衛対象との合流地点であるホテルで起きた爆発に、2人の視線が集中する。

 

「夏油!」

 

 宿儺の四眼がとらえたのは、建物から落下する少女の姿。気を失っているのか、身じろぎ一つせず真っ逆さまに地面へ落ちていく。

 

「危ない危ない」

 

 彼女が真っ赤なシミと化す寸前。

 空中を浮遊する呪霊に乗った夏油が、その体をキャッチした。

 

 単純な身体能力であれば宿儺の方が圧倒的に上だが、夏油にはそれを補うだけの手数がある。先ほどのような空中の移動手段もその一つ。

 宿儺が少女を助けようとすれば、建物の下から跳躍し、墜落ギリギリで救助するなどの方法になっただろう。だが、そのやり方では落下の勢いまでは殺せない。命に別状はなくても、多少の怪我を負ってしまう可能性もある。

 反転術式という回復手段はあるが、そもそも怪我をしないならそれが一番いいだろう。人を救うことに関する適正は、宿儺よりも夏油の方が高い。

 

「間に合ったか」

 

 夏油が少女を救うのを確認した宿儺。その視線の方向が変わる。

 その瞬間、金属同士がぶつかり合うような硬質な音が辺りに響く。

 突如自分に向かって投げられた複数のナイフを、宿儺が斬撃によって迎撃したのだ。叩き落とされたナイフはそのすべてが真ん中で両断されている。

 

 宿儺の視線の先には、軍隊のような服を着た一人の男の姿。

 ナイフの下手人と思わしきその呪詛師は、拍手をしながら宿儺に近づいていく。

 

「君両面宿儺だろ、有め」

 

 肉を切り裂く音によって、呪詛師の言葉が中断された。

 袈裟斬りにされた体から大量の血が吹き出し、正面にいた宿儺に降りかかる。

 

 何か言おうとしていたようだが、宿儺からすればわざわざ会話するほどの価値もない。

 そのまま放っておけば失血死していたであろう呪詛師を反転術式で治癒し、顔に巻いていた布を使って後ろ手に拘束した。

 

 敵を生かしておく理由は二つ。

 一つは敵組織の内部情報を聞き出すため。

 呪術を利用していたことから、目の前の相手は呪詛師集団のQであると当たりをつけた。組織である以上1人を殺したところでそこまで痛手にはならない可能性もある。

 この程度の実力であれば大した情報は持っていないだろうが、それでもないよりはマシだろう。護衛任務を全うするためにも、敵の情報は多い方がいい。

 

 そしてもう一つ。

 

「白昼堂々殺すと夜蛾がうるさいんでな」

 

 任務とはあまり関係がないし、特筆して守らなければならないということでもない。

 いつも注意されているというだけだ。

 

 

 

「あれ? 顔の布取れてるよ宿儺。もしかして苦戦した?」

 

「バカ言うな。返り血が鬱陶しかったから外しただけだ」

 

 拘束した術師を補助監督に引き渡し、夏油達と合流した宿儺。

 ホテルを襲った呪詛師の方も夏油によって倒されており、あとは天内の目が覚めるのを待つだけという状況だった。

 

「お」

 

「起きたか」

 

「……うわー! 怪物!? 呪霊!?」

 

「……君、」

 

「夏油」

 

 宿儺の外見に悲鳴を上げた天内に対し、険悪な視線を向けた夏油。しかし、当の本人がそれを咎める。

 人間の社会に出ておよそ15年、こういう言葉を投げかけられるのにも慣れた。高専に入学してからは呪力を抑えるようになったとはいえ、自分の見た目が人から外れていることには自覚がある。

 何より、目の前の少女は先ほど殺されかけていたのだ。目覚めた直後に自分の顔を見れば、悲鳴を上げるぐらいはするだろう。

 

「……」 

 

「ぐぇっ! 何をする!?」

 

 まあ、それでも夏油が納得できるかは別の話で。

 怪我をしない程度にだが、多少雑に、抱えていた天内を周りにあった椅子へ投げ捨てた。

 

「お嬢様、その方たちは味方です」

 

「黒井! ……何に乗っておるのだ?」

 

 天内に対して声をかけたのは、星漿体世話係、黒井美里。先ほどの襲撃で気絶していた彼女は、夏油が操る呪霊の背に乗せられてここまで運ばれていた。

 

「問題はなさそうだな。とっとと高専に戻るぞ」

 

「高専……そうだ、学校! 黒井、今何時じゃ!?」

 

「まだ昼前です。ですがやはり学校は……」

 

「うるさい! 行くったら行くのじゃ!」

 

「……面倒なことになりそうな気配がするな」

 

 ◆

 

「あれが両面宿儺か。実物見るのは初めてだが、噂以上にバケモンだなありゃ」

 

 そんな彼らの様子を、二人の男が展望台から眺めていた。

 

「で、どうする禪院。星漿体暗殺、一枚噛まないか?」

 

「もう禪院じゃねえ。婿に入ったんでな、今は伏黒だ」

 

 口の端の傷痕が目立つその男は、笑みを浮かべながらこう答えた。

 

「いいぜ、その話受けてやる」




夏油傑の親友になれるのは五条悟だけだし、五条悟の親友になれるのも夏油傑だけだと考えています
宿儺と夏油の関係がどう帰結していくかはこの先で

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TS要素裏梅しかないんですが必要ですかね…?

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