現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦 作:ソル
「この状況で学校だと? 正気か?」
どう考えても即座に高専に戻った方が安全だし、手間もかからない。
学校のセキュリティなどせいぜい不審者ぐらいしか想定されていないのだ。呪詛師が襲撃に来れば対応できるはずがない。
それに、周りに一般人がいる状況では宿儺も姿を晒しにくい。先ほどの天内の反応を見れば分かる通り、大半の人間は宿儺を見ればパニックを起こすだろう。
その混乱に乗じて隙をつかれれば、いかに特級2人といえども完全に天内を守り切れるかはわからない。
宿儺としては気絶させてでも高専へ連れて帰りたいところだったが、それをできなかった理由はほかでもない天元の指示によるものだった。
『星漿体の意向にはすべて答えろ』
「俺はともかく、夏油は目の届く位置に置いておきたいんだがな」
年上の異性をそばに置くことを天内が嫌がったため、現在彼らは天内から少し離れた位置にいた。
「しょうがないさ。同化が終われば今の友達や家族とは二度と会えなくなる。好きにさせてやろう、それも私たちの任務だ」
「……知らんぞ、どうなっても」
「ま、私と君なら大丈夫だろう……宿儺。敵だ。二体祓われた」
「言ったそばから……。黒井、天内は今どこだ」
「今の時間だと音楽室か礼拝堂のはずです」
「敵は俺がやる」
「私が礼拝堂へ行きます。黒井さんは音楽室へ」
◆
「わざわざ懸賞金なんてかけた意味あんのか?」
「あんなナリしたやつ前例がねえからな。まずはバカどもぶつけて、奴の出来る出来ないをはっきりさせる」
「随分と悠長だな」
「慎重って言えよ、失敗したら元も子もねえ。それと、例の準備は整ってんだろうな」
「ああ。盤星教の奴らに協力させてる。お前が持ってくればそれで準備完了だ……けどマジでやんのか? お前が懸賞金かけられる側になってもおかしくないぞ」
「しょうがねえだろ、それが1番成功率高そうなんだから。金受け取ったら国外に高跳びでもするさ」
◆
「お前か。白昼堂々襲ってきた阿呆は」
「その容姿……両面宿儺か!? 3000万じゃ割に合わんぞ」
「3000万……?」
老齢の呪詛師が口にした言葉を問いただすも、向こうに答える気はないらしい。
手にした札から2体の式神を呼び出し、油断なく宿儺を見据えている。
(式神使い……。 この年齢まで捕まってないのを考えても呪詛師としてはそこそこ、俺を知りつつ戦闘に映るのは逃げられないと悟ったからか? それなりに頭も回るらしい)
「……まあ、だからなんだという話だが」
「なっ、がっ!?」
2体の式神が突如として消滅すると同時、風のような速度で接近した宿儺が呪詛師の顔面を殴りつけた。
何の工夫も小細工もない。
式神に向かって飛ばした斬撃と同じ速度で地面を駆け、本体を同時に襲っただけだ。
純粋な肉体性能の暴力は、それゆえに対処が難しい。
「う、ご」
「さて、お前はどこの所属だ? あまり時間はないんだ、さっさと吐け」
◆
「そっちはどうなった?」
「呪詛師が1人襲ってきたけど問題ないよ。拘束して補助監督に引き渡してある」
紙袋を被った呪詛師は、夏油の操る呪霊の軍団によって飲み込まれて気を失った。
自分の分身を作る術式だったようだが、夏油を相手に真正面から数の戦いを挑んだのは作戦ミスとしか言いようがない。
二人の呪詛師を捕らえたことで、敵の狙いも見えてきた。
呪詛師御用達の裏サイト。そこで天内に対して3000万円の懸賞金がかけられていたのだ。
恐らく盤星教の仕業だろうが、かなり面倒なことになっている。敵が組織立って動いているなら、『Q』のように捕縛した者から情報を搾り取って行けば壊滅までもっていくのは難しくない。しかし、金目当ての野良の呪詛師となると一人二人を倒したところで終わりが見えない。
トラブルはさらに舞い込んでくる。
突然なりだした携帯。その持ち主である天内の目に映ったのは、
「どうしよう、黒井が!」
拘束された黒井の写真だった。
◆
「くそ、まさか黒井さんの方を狙ってくるとは。別れるべきじゃなかった」
これは宿儺と夏油両方のミスだ。天内に気を取られすぎて、黒井の方を狙ってくる可能性を頭に入れていなかった。
「とりあえずいったん高専に戻るぞ。天内の安全は確保しておくべきだ」
「っ、待て! 妾は黒井の無事を確認してからでないといかんぞ!」
「……なぜだ?」
わざわざ生かして捕らえた以上、敵は黒井を人質として使うつもりだろう。
だが、どう考えても黒井の命より天内の命の方が重い。相手がどんな要求をしてこようと、それが天内の命を脅かすものであれば宿儺は従うつもりがなかった。たとえそれでどんな結果になったとしても。
だが、天内の方も生半可な気持ちではない。
涙でにじんだ眼と、スカートを握りしめる手が、彼女の本気を表している。
「血はつながってないけど、家族なんだよ……。せめて、ちゃんとお別れしてから」
家族。宿儺には縁のない言葉。
それがどういうものなのかは知っているが、しかしそれを自分が持ったことはない。
横目で夏油を見る。
悩んでいる。愛のある家庭で育った夏油には、より深く先ほどの言葉が刺さったのだろう。だが、それで天内の身の危険が大きくなることも理解している。
感情をとるか身の安全をとるかで葛藤しているのだ。
「……しょうがない、連れていく。ただし俺たちの指示に逆らうな、それが条件だ」
「! うん。わかった!」
「……いいのか、宿儺?」
「もうすでに面倒なことになってるんだ、今更だろう」
それと、と言葉を続ける。
「私と君がいれば大丈夫、そう言ったのはお前だぞ」
「……ははっ、そうだった」
◆
翌日、13:00。
「……本当に大丈夫だったな」
「怖いぐらいにね」
青い海、白い砂浜、晴れ渡る青空。
黒井を含めた4人は、沖縄の海を眺めていた。
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TS要素裏梅しかないんですが必要ですかね…?
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