現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦   作:ソル  

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懐玉ー参ー

 相手の指定した取引場所が沖縄ということもあり、到着したのは今日の朝だが、黒井の救出と拉致犯たちの対処自体はそれこそ一瞬で終わった。

 呪術界に関連がある団体とはいえ、そのほとんどは非術師の集まり。上澄みの術師でも勝負にならない強さの二人を相手にできるはずもなく、姿を見せた瞬間に切られ、殴られ、捕縛されている。

 

「飛行機で来たんですね、襲撃とか大丈夫だったんですか?」

 

「機内に呪詛師がいないかは事前に調べましたし、飛行機の中ぐらいなら呪いの気配があればわかります」

 

 呪術に関わらない物理的な爆弾などの可能性も考えてはいたが、そもそもそんなものがあるなら通常の荷物検査ではじかれるだろう。

 万が一に備えて夏油が呪霊で外を見張っていたこともあり、下手な陸路よりも安全な移動だったといえる。

 

 不気味なのは、取引場所を沖縄に指定していたこと。

 拉致犯達から尋問で得た情報によると、取引場所を沖縄にしたのは上からの指示だったらしい。

 

「何を考えている……?」

 

 ろくなことでないのは確かだが、それにしたって相手の狙いが読めない。

 空港の占拠によって移動を潰す、なども考えられなくはないが、それも後輩二人に対処させている。

 そもそも、空中を移動できる夏油がいる以上離島であろうと本州への移動は可能だ。

 大きな問題が見えないというのが逆に恐ろしい。完全な死角から不意打ちを喰らえば対処できなくなる可能性もある。

 

 そのため、高専側に警察と提携して同じ飛行機に乗る乗客の個人情報を収集させている。

 呪術界にかかわりがある人間や、盤星教とかかわりのある人間を特定できれば警戒もしやすい。

 しかし、今日の便では間に合うかどうかがわからないようだ。

 

「夏油、やはり滞在時間を延ばすぞ。今すぐ帰りたいのもやまやまだが、乗客が白かを調べるのに時間がかかるらしい」

 

「え!」

 

「……観光をする気はないぞ、天内」

 

「まあまあ、いいじゃないか。せっかくの沖縄だ、時間はあるんだしいろいろと見て回ろう」

 

 

 ◆

 

 カヌーに乗り、ソーキそばを食べ、沖縄での観光を楽しむ一行。

 次の目的地である水族館へ向かう途中、天内が宿儺に声をかける。

 

「暑くないのか? その格好」

 

「術式反転で血管を冷やしている。任務に支障はきたさない」

 

(暑くはあるんだ)

 

 三人はアロハシャツといった涼しげな服装だが、宿儺はいつも通りの暑苦しい格好のままだ。まあ一般人もいる中で姿をさらすわけにもいかないので仕方ないのだが。

 

「……すまなかったの」

 

「何についてだ?」

 

 心当たりはそこそこある。

 

 学校に行った結果、呪詛師に狙われる隙を作ったこと。

 黒井が誘拐されたとき、沖縄まで同行してきたこと。

 

 ざっと思いついたのはこの二つだった。あくまでこれは護衛任務だ。天内の意向を聞くことも任務の内とはいえ、それで危険を増やしていたら元も子もない。

 

 だが、謝罪の理由は宿儺の予想とは違うものだった。

 

「いろいろ迷惑かけたこともじゃが、初対面の時に化け物って言ったこと」

 

「……それか。気にするな、言われるまで忘れていたぐらいだ」

 

「それでも、謝っておきたくてな。やり残しは少しでも減らしておきたいから」

 

「……そうか」

 

 明日、天内理子という人間は同化によって消え去る。

 天内個人の意識は天元の中で残るらしいが、普通の人間として生きることは二度とできないだろう。

 

「宿儺は、その体のこと嫌だって思ったことはある?」

 

 天内の頭に浮かぶのは、今朝からのこと。水着を着て海ではしゃぐ天内や夏油と対照的に、黒い服に身を包んだ宿儺。観光中も、宿儺だけは天内たちから一歩離れ、常に人目に付きにくい位置にいた。

 本人は呪詛師の警戒のためだと述べていたが、それだけではない。

 黒い服に全身を包んだ姿では、いつも奇異の視線にさらされる。夏の沖縄という薄着が基本の場所ではなおさらだ。天内たちから距離をとっていたのも、その目線を少しでも離しておこうという宿儺なりの配慮だった。

 

「……」

 

 宿儺が自身の体を見る。赤子のころから慣れ親しんだ、呪いに呪われた体。

 この体でなければ、もう少しまともに生きていける道もあったかもしれない。

 

 そのうえで言う。

 

「無いな。この体も含めて俺だ」

 

「……そっか。強いんだね」

 

「……」

 

 寂しそうな笑顔を浮かべる天内。それを見た宿儺は、任務の前に夏油と交わした会話を思い出していた。

 

 

『星漿体が同化を拒んだら?』

 

『ああ。宿儺はどうする?』

 

『逆に聞くが、お前はどうする気だ?』

 

『私は、彼女が同化を拒むのならその意思を尊重したいと思う』

 

『……リスクが高すぎるな。天元が暴走すれば大半の国民が死ぬかもしれん』

 

『……そうだね』

 

『ただ……星漿体の要望にはすべて答えろ、というのも任務だ。結局はソイツ次第だな』

 

『……ははっ。意外と融通効くよね、宿儺』

 

『やかましい』

 

 

 翌日。

 

 空港でのチェックインを済ませた宿儺たちは、飛行機の中にいた。

 事前の調査では乗客の中に敵と思われるものはいないが、それでも確認は必要になる。

 

「頼むよ宿儺」

 

 次の瞬間、飛行機の中にいた全員が得体の知れない悪寒に襲われる。

 飛行機の中心にいた宿儺が、普段は押さえている自らの呪力を4割ほど解放したのだ。

 

 体調には影響が出ないものの、一般人でも違和感を覚えるほどの呪力。呪術を扱うものであれば、極寒の中体を震わせるように、反射的に呪力で身を守ってしまうだろう。

 

「乗客は問題ないようだな。貨物室は?」

 

 索敵のため貨物室に放っているのは、一定以上の呪力に反応する呪霊。

 宿儺や夏油の呪力には反応しないよう躾けているため、何か反応があればそれは呪詛師が存在することの証明になる。

 

「反応はないね。こっちも大丈夫そうだ」

 

「飛行機の中は問題ないか。運行中の外の警戒を頼む」

 

「ああ、任された」

 

 ◆

 

 離陸から2時間ほどが経ち、到着前のアナウンスが流れ始めたころ。

 

「何!?」

 

「馬鹿な……!」

 

 異変が起きたのは2人の足元。

 小さいが、確かに認識できる程度の呪力が突如として発生したのだ。

 

「お? 流石気づくのが早えな、だがもう遅い!」

 

 貨物室の中に潜んでいたその男が、呪霊から取り出した呪具を目にもとまらぬ速度で振るう。

 

 呪具『万里の鎖』。持ち手側を観測されなければ無限に伸び続ける特徴を備えたそれは、先端に取り付けられた刃物によって飛行機に内側から穴をあけた。

 

 人など簡単に吹き飛ばされるほどの空気圧が飛行機内を襲い、位置が悪かった乗客が機外へと吸い出されていく。

 阿鼻叫喚の地獄と化した空中で、伏黒甚爾は笑みを浮かべる。

 

「さあ、始めるか」




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TS要素裏梅しかないんですが必要ですかね…?

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