現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦   作:ソル  

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呪眼戴天

「あれ?今日裏梅はいないんだ」

 

「あいつ一級だからな。人手不足もあってなかなか任務が一緒になることないんだよ」

 

「はーん」

 

(いつか皆で任務に出れる日も来るのかね)

 

 当たり前に未来のことを考える虎杖。呪術師という存在にとって明日がどれだけ不確かなものなのか、彼はこれから思い知ることになる。

 

 

 

 

 

 任務の場所は少年院。特級クラスの呪霊、その幼体の出現を確認、領域内に取り残された人間の救出のため一年を派遣。

 

 取り残された人間、三名の死体を確認。

 脱出しようとした三人だったが、突如現れた特級の襲撃により窮地に立たされていた。

 

 

 伏黒が索敵用に出していた玉犬は気づけば首だけになっており、誰より早く呪霊に対して反応した虎杖は、屠坐魔とともに自身の左手を落とされた。

 今の自分たちではとても太刀打ちできないような怪物を前に、虎杖悠仁は決断を迫られる。

 

「おい五条、聞こえてるか!俺が死んだらお前も死ぬんだろ、それが嫌なら協力しろ!」

 

 自身の中にいる怪物をぶつけるという選択肢。まとめて呪霊にやられてしまうよりは、少しでも全員が生き残れる確率の高いほうを選ぶ。

 そんな必死の思いで五条へと交渉を持ちかけたが、肝心の当人はやる気のなさそうな声でそれに答える。

 

『……えー、宿儺の次にあの程度の雑魚とやんなきゃなんないの?高級フレンチ食べた後に星2ぐらいの微妙な飯屋に連れてかれる気分なんだけど』

 

「言ってる場合か!……ていうかなんでフレンチとか知ってんだよ!?」

 

『俺も悠仁の記憶は見れるからね。いやーこの時代は娯楽が多くて羨ましい。あ、あと頭ん中で思うだけでも伝わるからそんな声張り上げなくてもいいよ』

 

 数秒後には虎杖ごと自分の命が消えるかもしれない状況でこの余裕。現状を把握していないわけではない。ただ、死ぬことを全く恐れていないだけだ。

 一度死んだことがあるからなのか、それとも元からこうだったのか。それは虎杖の知り得ないことだが、ともかくその思考には追いつけないということだけがわかる。

 

 とはいえ、ここで五条の力を借りられなければ伏黒、釘崎も巻き込んで全滅する。何とかして協力を得なければならないのだが――。

 

『やってもいいけど、条件つきね』

 

(条件……。くそっ、どうする?コイツの思考回路は普通の人間と全然違う、大量虐殺とかするようなタイプではなさそうだけど、それ以外は全くわかんねえ!)

 

 呪物として後世に残ろうとするほど頭のねじが外れた男。どんな要求をしてくるかと虎杖は身構える。

 ただ、五条が突きつけた条件は、彼にとって拍子抜けするほど簡単なものだった。

 

『ま、そんな大したもんじゃないよ。大体三分ってとこかな? そんぐらいの時間体を使ってあいつを倒す代わりに、今度一分ぐらい体を貸してもらうだけ。あ、もちろんその一分間は暴れたり戦ったりしないって縛りでね』

 

(……それだけ?ていうかそんな短い時間で何するつもりだよ)

 

『ま、こっちにもいろいろあってね。あ、あとこの条件を他に伝えないことも縛りに含めておく。俺が出れるってばれたら上がうるさいでしょ多分』

 

 五条が何を考えているのかは、虎杖にはわからない。ただ、何をするつもりかという質問に対し回答をぼかしている以上、ろくなことにはならないだろう。

 だが、迷っている時間はない。伏黒と釘崎を助けたいのなら、この甘言にも乗るしかない。数秒の思考の後、虎杖は腹を決めた。

 

(……分かった。必ず守れよ、その縛り)

 

『取引成立だ』

 

 変化は一瞬。虎杖の髪から色が抜け落ち、左目が青く塗りつぶされる。落とされた左手が完全に形を取り戻すとともに、そこには白い男が立っていた。

 

「いた……いや、五条悟か!?」

 

 現れたのは、学校で一度覚えた『最強』の気配。釘崎より一瞬早く、伏黒がその変化に気づく。

 虎杖の事情を知っている釘崎も、伏黒の言葉によって何が起きたかを把握した。

 

「アイツ何やってんのよ!? 敵増やしてどうする!」

 

 絶対に味方とは言えない第三勢力の登場。特級呪霊よりも厄介な相手がいきなりあらわれた事実に、釘崎が叫び声を上げる。

 

「安心しなよ、とりあえずあれを殺すのが先だから」

 

 そう言いながら、五条は特級呪霊へと目を向ける。

 

「……ヒ」

 

 目が合った。たったそれだけで、特級呪霊の動きが止まる。避けようのない、絶対的な死のイメージ。蛇に睨まれた蛙のように、自分が捕食される側だという確信が全ての行動を阻害する。

 

 呪霊にとっての不幸は、中途半端に知性を備えていたこと。

 知能が足りなければ彼我の実力差を理解できず、知性が足りていればすぐにその場から離れるという判断ができただろう。……逃れることができるかは、別として。

 

 逃げ出すことすらできずに固まった呪霊が消滅するのに、五秒もかからなかった。

 

 

 

 

「……マジかよ」

 

 あれだけの猛威を振るっていた特級が、指一本動かすことができないまま一蹴された。その事実に、二人は彼我の間にある距離を再確認することになった。

 

「はいこれ」

 

 余裕の表情で伏黒たちの方へ振り向いた五条は、そのまま彼に向けて何かを投げ渡してきた。

 

「何を……呪物!?」

 

 それも、相当の力を感じる物。特級まで行くかはわからないが、呪物としてのランクはかなり高い方になるだろう。

 

(これどこから……さっきの呪霊か? これを取り込んでいたことであそこまでの力を? いや、そもそもなんでこんなもんがここに……)

 

 違和感に気づき始めた伏黒だが、依然最大の危険である男が口を開き、その思考が中断される。

 

「さて、悠仁と変わってられる時間はあと2分半ってとこかな。その間何するか考えてたけど……」

 

 腕を組みながら余裕の態度で考える五条。何を言い出す気かと身構える二人。数秒の静寂ののち、再び五条が口を開く。

 

「うん。やっぱりちょっと戦っとこうか」

 

「は?」

 

「悠仁もそうだけど、君たちポテンシャルの割には弱すぎるんだよね。現代の教育方針の問題かなー、命の危険への慣れが足りない。折角だし、少しレベリングってやつをやってあげるよ」

 

「……レベリング?」

 

「ルールは簡単。悠仁と俺が変わる前に、俺に一発入れられたらそっちの勝ち。できなかったら、悠仁が出てくる直前にこの辺一帯吹き飛ばす」

 

 満面の笑みで告げる五条。その言葉がハッタリでないことは、その言葉の端端から伝わってくる。ここは住宅地が近い、こんなところで特級が暴れれば被害者が出ることは避けられないだろう。

 

(……クソッタレ! 無下限で身を守ってる相手に一発入れる手段とかこっちにはないんだよ! 今回先生はこっちに来てない、どうすりゃいい!?)

 

 どうにか戦闘を回避する方法はないのかと思考を巡らせる伏黒より先に、釘崎が戦闘体制をとる。

 

「やるしかないってわけね」

 

「判断速いね。術師向きだよ野薔薇」

 

「……ていうか、なんで名前呼びなのよ」

 

「いや、特に理由とかはない……おっと、あと2分。そろそろ始めようか」

 

 空気が変わる。身構えた伏黒と釘崎の額に、一筋冷汗が流れた。

 

「じゃ、スタート」

 

 軽い言葉。ただし、死刑宣告にも等しいそれとともに、絶望的な戦いが幕を開けた。




レディー、ファイッ

原作との相違点
・呪霊が一体しかいないので釘崎ははぐれていない
・五条は宿儺より協力的なので虎杖が特級の足止めをすることはない
・とはいえ五条と戦闘自体は発生

誤字報告ありがとうございます
感想、評価よろしくお願いいたします

追記
縛りの内容を「口外しない」から「他に伝えない」に変更しました。

TS要素裏梅しかないんですが必要ですかね…?

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