現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦   作:ソル  

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親友

 話は、数分前に遡る。

 京都校との交流会に向け、禪院真希、狗巻棘、そしてパンダとの訓練を重ねていた虎杖たちは、楽巌寺とともに東京に来ていた京都校の生徒、東堂葵と禪院真依と遭遇していた。

 

「あら、あなたね。特級呪物を取り込んだっていうの。よく普通に生きてられるわね」

 

「……まあいいか。虎杖悠仁。よろしく」

 

 見下すような言い方にカチンときてはいるものの、今後術師として一緒にやっていく仕事仲間である。こちらだけでも仲良くしようと友好的な態度をとる。

 しかし真依の横に立つ大男、東堂は友好などかけらも考えていないらしい。虎杖の言葉を遮るように、自分の言いたい言葉だけをぶつける。

 

「御託はいい。俺はお前らに乙骨の代わりが務まるかを知りに来たんだ。……虎杖と、伏黒だったか。お前ら、どんな女がタイプだ?」

 

 突如として女の好みを聞かれ、二人の頭に?が浮かぶ。

 

「なんで今そんなこと聞くんだよ」

 

「性癖にはソイツのすべてが反映される。女の趣味が詰まらん奴はソイツ自身もつまらん、俺はつまらん男が大嫌いだ。最後の交流会で退屈なんてさせられたら何をしでかすかわからん、今なら半殺しで済む」

 

 これは自分なりの優しさだ、と身勝手に告げる東堂。ここで期待に添わない回答をすれば、彼は容赦なく襲い掛かってくるだろう。後輩を半殺しにすることで、東京校の2、3年を引っ張り出すために。

 

「答えろ、どんな女がタイプだ」

 

「……別に好みとかありませんよ。その人に揺るがない人間性があれば、それ以上は何も求めません」

 

 普通の人間が聞いていたら、好感を抱く完璧な回答といえただろう。

 実際、真依はあらあらと言うように顔を赤らめ、虎杖はまじめな回答に感心している。

 

 だが、それは普通の人間の話。東堂葵という狂人からしてみれば、それは涙を流すほどに退屈なものだった。

 

 禪院家の相伝を持ち、二級術師として高専に入学した天才である伏黒。今回東堂が東京に来た理由は、その一年に期待が持てるかを見ておくことでもあった。

 

 だが、結果は大外れ。優等生のようなつまらない回答に、東堂の心は冷え切っている。

 

(やはりこんなものか……。虎杖のほうにも期待はできんな。数か月前までは単なる一般人だったと聞くし、殺さないよう手加減はしよう)

 

 とはいえ、質問をしたのは自分。一応虎杖の答えも聞いておくため、彼のほうを向く。

 

「おい、オマエの方はどうだ」

 

「え、俺? うーん、尻と身長のデカい女の子、かなあ」

 

 ――瞬間、東堂の脳内にあふれ出した存在しない記憶。

 同じ中学で過ごした日常――。

 高田ちゃんへの告白――。

 振られた東堂を慰めるようにラーメンを奢る虎杖――。

 

「地元じゃ負け知らず……か」

 

 3年間の青い春を一瞬にして想像した東堂は、涙を流しながら虎杖へ向き直る。

 

「どうやら俺たちは……親友のようだな」

 

「えっなに急に」

 

 数分前に出会い、一言交わしただけのほぼ他人。しかもここまではかなり険悪なムードだった男から突然の親友認定。

 虎杖が困惑するのも無理はなかった。

 

「アンタ東堂先輩になにしたの!?」

 

「なんもしてないよ!」

 

「……」

 

 いつにもまして様子がおかしくなっている東堂に、呪いでもかけられたのかと虎杖を問い詰める真依。

 とんでもない冤罪に声を張り上げる虎杖。

 意味の分からない状況に絶句する伏黒。

 

 控えめに言ってカオスだった。

 

「虎杖!」

 

「うおっ何!?」

 

 そんな周りの状況を徹底的に無視し、虎杖の名を叫ぶ東堂。

 驚く虎杖は、今までのわけのわからない雰囲気が一変したことを悟った。

 

「交流会前の小手調べだ……実力を見せてもらうぞ!」

 

「!!」

 

 まずい、と考える前に体が動いていた。

 何の小細工もない原始的な暴力が、防御した腕ごと虎杖の体を吹き飛ばす。

 

「あ゛っ……」

 

 ガードした腕自体がなくなったかと思うほどの一撃。

 ビリビリと痺れたままの両腕を気にする間もなく、次の攻撃が飛んでくる。

 

 俗に言うケンカキック。顔面を踏みつけるように放たれたそれをまともに食らい、虎杖の顔が赤く染まる。

 

「どうした?その程度ではないだろう!」

 

 激励とも挑発ともとれるような言葉。

 それに応えるようにして、虎杖はゆっくりと起き上がる。

 

「……いきなり襲い掛かってきやがって。上等だ、やってやるよ」

 

「その意気だ!」

 

 拳と拳のぶつかり合う音があたりに響く。

 

「ぐっ……!」

 

「むっ!」

 

 その力はほぼ互角。肉体的な膂力では圧倒的に虎杖の方が上だが、東堂は呪力強化の精度によってそれに対抗している。

 

 だが、より大きくはじかれたのは東堂の拳。インパクトの瞬間、その拳には二重の衝撃が走っていた。

 虎杖の呪力が彼自身の瞬発力に追い付かないことから生まれる二度目の衝撃。

 

(逕庭拳!)

 

 やろうと思ってできる技ではない、虎杖だけのオンリーワン。

 並の相手であれば対応しきれず、威力自体も十二分にある。

 だが、

 

「ちっがーう!」

 

 突如大声で否定の言葉を叫ぶ東堂。

 何だこの人急に……と困惑する虎杖に、畳みかけるように告げる。

 

「その時間差でぶつかる呪力……それはオマエの悪癖だな? ソレで満足している限り、オマエは俺に勝てん!!

 そのレベルで満足していると、俺とオマエは親友ではなくなってしまう……」

 

 悲しそうにため息をつく東堂。

 虎杖からすればそれは別にどうでもいいが、東堂が続けた問いかけに表情を変える。

 

「弱いままでいいのか?」

 

「よくねぇよ!!」

 

 即答。

 自分の弱さは少年院で自覚した。これからもあのままでいるわけにはいかない。

 

「そうだろう、親友!!」

 

 そして、再び戦いが始まる。

 さらに強くなるため、親友を高みに導くため。

 一級レベルの格闘戦が、あたりに激しい戦闘音を響かせた。

 

 

 

 

 

「虎杖!無事か!?」

 

「何やってんのー!」

 

「おかか!」

 

 戦闘が再開してから30秒程で、吹き飛ばされた虎杖を追ってきた伏黒と、様子を見に来たパンダと狗巻がその場にたどり着いた。

 

「大丈、夫!」

 

 東堂と闘いながらもその声に応える余裕を持つ虎杖。その実力は、1分前と比べ確実に上がっている。

 一級術師相手の本気の戦闘は、確実な経験となって彼のレベルを上げていた。

 

「邪魔が入ってしまったか……。個握の時間もある、名残惜しいがここまでだな」

 

 このまま虎杖を鍛えたい思いはあるが、この状況で続けようとしてもうまくはいかないだろう。伏黒やパンダ、狗巻の目には東堂への敵意がみなぎっている。

 それに、東京に来たもう一つの目的、長身アイドル高田ちゃんとの個別握手会。その時間も迫っている。

 

「交流会での逢瀬、楽しみにしているぞ超親友!」

 

「OK。楽しみにしてるぜ、ベストフレンド!」

 

「虎杖? お前ほんとにどうした!?」

 

 この続きは交流会で。負傷と雰囲気に流されておかしなテンションになっている虎杖は、東堂に合わせた返事をする。

 当然、周りはそれに困惑するわけで。

 状況を理解できないままの伏黒の声が響き、京都校とのファーストコンタクトは幕を閉じた。

 

 

 




原作との相違点
・交流会前に東堂と邂逅

明日も更新あります



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TS要素裏梅しかないんですが必要ですかね…?

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