現代最強の術師・両面宿儺と史上最強の術師・五条悟による呪術廻戦   作:ソル  

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蠢動

「特級呪霊、更には五条悟を相手に誰も死なず、一撃入れたか」

 

 生還した一年三人の報告を聞いた宿儺は、表情にこそ出さないもののかなりの驚きを見せていた。

 

「想像以上の成果だな。まあ相手が極限まで手抜きしていたのもあるだろうが」

 

 彼らの実力差は誇張抜きに天と地ほどに大きい。負傷自体も反転術式により完全に治癒されていた。五条本人にとっては虫に指を噛まれた程度のものだろう。

 

 それでも、最強の術師と相対したというのはかなり大きな経験になる。

 

「釘崎は黒閃、伏黒は未完成とはいえ領域を発動。虎杖の体にもさらに五条悟の経験が蓄積したはず」

 

 特級と遭遇した上で全員が生還、さらにこれ以上ないほどの成果を上げ術師としてレベルアップを果たした。

 不幸中の幸い、というにはいささか幸が大きすぎる。

 

 少年院での一件をある程度総括したところで、宿儺の歩みが止まる。目的の部屋へと到着したからだ。

 

「待たせたな」

 

「年寄りの時間は高いぞ宿儺。で、話とはなんだ」

 

 そこにいたのは、呪術高専京都校の学長、楽巌寺。呪術界の重鎮であり、高い実力を備えた術師でもある。

 立場としては宿儺より上の人間だが、彼はそんなこと知ったことか言わんばかりに言葉をかける。

 

「今回の件だが……貴様は関わっていないだろう、楽巌寺」

 

 すでに返答を理解しているような宿儺の物言いに、楽巌寺が逆に質問を返す。

 

「何故そう思う? 虎杖悠仁という爆弾を早めに処理しておきたいと考えているのは確かだが?」

 

「貴様がやったにしては動きが雑すぎる。そもそも呪霊の活発化で一番割を食っているのは保守派でもあるだろう」

 

「フン。まあ、その通りだの。ある程度であればともかく、ここ最近は異常だ。パワーバランスが崩れすぎている」

 

 宿儺という最強のジョーカーが存在している以上、並の脅威では呪術界を脅かすことはできない。呪霊の活発化、五条家の失墜、これがどちらかであればそこまで大きな問題にはならなかっただろう。

 

 ただ、これらが同時に発生したのがまずかった。強力な呪霊が大量に発生したことにより術師の被害が増え、個々のアベレージが高い禪院や加茂といった名家にのみ戦力が集中していく。

 

 楽巌寺をはじめとした保守派としても、これ以上均衡が崩れてしまえば自分たちの地位、引いては呪術界の存続そのものが危なくなってくる。五条家の力を取り戻し、ある程度でもバランスを戻す方が彼らにとっても利益が大きい。

 

「簡単に調査してみたが、禪院や加茂は関わっていないようだ。つまり器を狙ったのは……」

 

「ああ。かなり上の方に、あの呪物を作った呪詛師と通じている者がいると考えていいだろう」

 

 

 

 

 そこは、どこにでもある普通のマンション。

 五条袈裟を来た男が扉を開け、その一室に入ると、そこには南国の砂浜に近い世界が広がっていた。

 

 中にいるのは、4体の呪霊。

 一つ目で、火山のような頭をした呪霊。

 顔面から木を生やし、左手を布で覆っている呪霊。

 タコを人型にしたような外見の呪霊。

 そして、1番人間的な見た目をした、ツギハギだらけの呪霊。

 

「お帰りー夏油。どうだったの、例の実験」

 

「おおむね成功、と言っていいかな。まだまだ改善点も多いけどね」

 

 袈裟の男、夏油が行っていたのは、負の感情を一ヶ所に誘導することで強力な呪霊を生み出す実験。

 

 あの少年院には、人を殺して収監されていた者がそれなりに存在していた。それを利用し、恐れや嫌悪を広める形で少年院の噂を流布し、負の感情を集約したのだ。

 そして、夏油自身が作り出した呪物を呪霊の核として少年院に設置、最強の呪物である五条悟の六眼の影響を受けるようにして特級を孵らせる。

 

 この方法の恐ろしいところは、条件さえ整えば特級呪霊をいくらでも生み出すことができること。人工的に作り出されたとはいえ、特級は特級。最低でも一級術師クラスの力がなければ戦いにはならないだろう。

 

 知能の低さなどの問題もあるが、夏油の持つ呪霊操術があればある程度はカバーできる。術師側がギリギリで保っているバランスを崩すには十分すぎるほどの手札だ。

 しかし、それを聞いている火山頭の呪霊は不機嫌そうな顔を隠そうともしていなかった。

 

「……」

 

「やっぱ気に食わない? 漏瑚」

 

「……粗製乱造で生み出されたものを呪霊であると認めたくはない」

 

 漏瑚にとって呪霊とは、偽りのない負の感情から生まれる真に純粋な本物の”人間”である。

 偽物を消すために動いている彼からすれば、謀略によって生み出されたものを同種と認めることは難しい。

 

「まーまーいいじゃない。色々と役立ちそうなのは確かなんだしさ」

 

 ツギハギの呪霊が軽い口調で漏瑚を諌める。面白くなさそうな表情を変えないままだが、それ以上の不満を口にすることはなくなった。

 

「それで、次は何するんだっけ? 死滅回游……だったよね。それを成功させるのが目的でしょ」

 

「必要なのは両面宿儺を封印すること。回游が開始できたとしても、彼が残っていればそのまま全てひっくり返される」

 

 そのためにも、と笑みを浮かべながら言葉を続ける。

 

「ある程度の力を持った即戦力がほしい。前の方法で生み出せるのはあくまで特級の中の雑魚、宿儺と相対させるには不十分だろう。時間もかかるしね」

 

 その頭に浮かぶのは、自らの手で作った呪物。呪霊と人間の血を混ぜた、特級クラスの力を持つ呪い。

 

「次は高専の交流会で動いてもらう。それまであんまり目立たないようにね」

 




原作との相違点
・楽巌寺がそこそこ協力的
・自然呪霊が死滅回遊を知っている

幼魚と逆罰はカットになります
七海と順平の出番自体はある予定なのでお楽しみに


大分間が開くと思いますがエタったりはしないのでお待ちいただければ嬉しいです


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TS要素裏梅しかないんですが必要ですかね…?

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