幼馴染が一人暮らしする部屋に行く危険。もしくは満足。あるいは中毒。〜幼馴染にキスをされて一緒に寝た。もとの関係には戻れないかもしれない〜   作:冷泉七都

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第7話 性愛問答

「はぁー」

 

 真結が溜め息を吐いて、ベッドに仰向けで倒れ込む。

 俺はベッドに腰掛けながら、目線を真結の顔に向けた。

 

「どうしたんだ?」

「いやぁ、意外と暇だなって」

「確かに――。二人で何かするにしても、周りにバレないようにしなきゃだしな」

「そう、できることが限られてるのよ。でも、せっかく休んだんだから、何かはしたいし……」

 

 そして特に話をすることもなく、二分ほどが経過したとき、真結は足先で俺の背中をつついてきた。

 

「裕誠、一緒に寝よ」

「何かするんじゃなかったのか?」

「別に良いじゃん。寝るのサボりの醍醐味だよ」

「……まあ、いいか」

 

 真結の言っていることに納得した訳じゃないけど、暇だしちょうど良いかと俺もベッドに寝転んだ。

 真結と顔が合ってしまうのは嫌で、俺は真結の反対側に顔を向ける。

 

 その瞬間、俺の身体に温かくて細いものがまとわりついた。

 それだけでなく、背中にも程よく温かい圧力がかかった。

 料理中にも感じた、真結の身体と腕だ。

 しかし力は弱く、優しく抱きしめられているという感じ。

 

「真結――」

「裕誠はこんなことをしても、私から逃げないんだね」

「それは、どういう……」

「もしかしたら裕誠は忘れちゃってるのかも知れないから、もう一回言うよ」

「……?」

「私は裕誠のことが好き。付き合いたいって思ってる」

 

 なんでわざわざ……。

 俺の答えを知っているのに聞いて、辛くならないのかと疑問が浮かぶ。

 

「そんなの、覚えてるに決まってるだろ……」

「それならなおさら、私に抱きつかれたままでいるの?」

「……」

 

 喜怒哀楽のどれでもない、真結の核心をついた言葉が、俺の心には響いた。

 響いたからこそ、すべき返答が思いつかない。

 

「お昼ご飯を一緒に作ったときも、何の抵抗もしなかったよね――。なんで?」

「なんでって、……」

「私の純情を弄んでたってこと?」

「いやっ、それは違うっ」

 

 そのことだけは、絶対に違うと言い切れた。

 真結が俺のことを好きだからって、都合のいいことをしても良いなんて、そんなの思うわけがない。

 

「うそ、嘘だから――」

 

 微笑みから生まれる、真結の微かな「ふふっ」という声が聞こえる。

 

「だって、裕誠は私とえっちなことできるかも――って、期待してただけだもんね」

「それは、……それは」

 

 ここ一週間の真結によるスキンシップは、俺を誘惑するためだったなんて、考えれば分かった。

 いや、分からないふりをしていたんだ。

 告白を断ったのに、そういうことはしていたい――。

 そんな身勝手な思いを、飲み込みたくなかったんだ。

 だから、俺はできるのかもと期待して、受け身でいた。

 

「言わなくても分かってるから。あと、私はそんな裕誠も大好きだよ」

「……」

「胸を当てたら、しどろもどろ黙っちゃって。私のことをそういう目で見てきて」

「それは……、そうかもだけど」

「本当に可愛いな。裕誠は――」

 

 こんな状況で、一週間振りに真結とできるのか――と思ってしまうのは仕方ないだろう。

 

「んっ――」

 

 唐突に首筋の後ろ側に、ぬめりとした感触が伝わった。

 真結の舌だと理解するには、一秒もかからなかった。

 さっきの真結の言葉どおり、あなたの好きの気持ちには応えられないからと、拒絶する気にはならない。

 むしろして欲しいまである。

 

「私は裕誠が愛してくれなくても良い」

「……」

「私が裕誠を満たしてあげれるなら、それで――」

「……」

 

 真結の言葉は、どうしてもそういう考えに至ってしまう俺を認めてくれる。

 自己嫌悪に陥らないために、ずっと声を掛けてくれる。

 そして、もう一度首を舐められた。

 

「このままじゃ、制服、汚れちゃうね」

 

 そう言った真結は、俺のワイシャツのボタンを上から一つずつ外していく。

 依然、俺は真結とは逆の方向を向いたままだ。

 それが俺の感覚を敏感にさせるのだが――。

 

「じゃあ、脱がすよ」

 

 俺は身体を少し持ち上げて、真結がしやすいようにする。

 どうやら、肌着まで脱がせるつもりらしく、いよいよ俺の上半身には何もなくなった。

 

 それからは身体の色々な場所を焦ったく触られた。

 抑え切れなくなった俺がいざ真結の方を向くと、真結が何も身につけていなかったことだけは覚えている。

 その先は、深く考えないようにした。

 

   / / /

 

「「ふぅ……、はぁ……ぁ……」」

 

 私たちはベッドの上で並んで寝転び、同じあらい呼吸をしている。

 二人とも服を着ておらず、冬だというのに額に少しばかりの汗が見える。

 

「裕誠、好き」

「……」

 

 やっぱり、この言葉には反応してくれない。

 

「またしたくなったら、私の家に来て」

「……分かった。覚えとく」

 

 裕誠は自分からしようとしない。

 だから、この方法を思いついたのだが、どうやら名案だったらしい。

 これでもっと、裕誠と愛し合える――。

 いや、待てよ……。

 

「言い方変える。裕誠がこの部屋に来たら、やってもいいの合図だと思っとくから……」

「うん」

 

 裕誠の返答がパッとしないのは、好きでもない人としてしまった罪悪感のせいなのか、はたまたするのが嫌だったのか。

 裕誠の視線の先が私の胸に行っていることを考えれば、そんなのは一目瞭然だ。

 

「初めの方は、私が家に誘ってあげるからね――」

「初めってことは……」

「もちろん、そういうことだよ」

 

 私は、何回も二人で体を重ねて、この生活を当たり前にしたくなった。

 欲に逆らえない裕誠なら、すぐに手玉に取れるだろう。

 それが、真実の愛に辿り着くための、いちばん確実な方法だと信じている。




◇あとがき◇
 恐縮ですが、評価をお願いいたします。
 最後に、これからも続きますので、今後もご愛読のほど宜しくお願いします。
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