透き通る世界の転生狐   作:ありがとうはなまる

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ゲヘナ編最後です。ヒナちゃん、強く生きて。


ゲヘナ編・後編

 

 

 

ゲヘナ学園、風紀委員会の執務室。

 

夕方になっても、机の上には明日の作戦に関する資料が積まれていた。

 

陸岡エースは椅子に座り、向かい側で資料を確認している空崎ヒナを眺めていた。

 

「……ヒナ、まだ終わらない?」

 

「もう少し」

 

「さっきもそう言ってなかった?」

 

「エース。暇なら、こっちの資料を確認して」

 

「はいはい」

 

エースは苦笑しながら、手元の資料に目を落とした。

 

今回の作戦は、ゲヘナの裏路地や廃倉庫を拠点として活動する不良生徒の集団を制圧するものだった。

 

彼女たちは一般生徒への恐喝や備品の強奪を繰り返しているだけでなく、取り締まりに来た風紀委員にも抵抗していた。

 

さらに厄介なのは、こちらが動くたびに拠点を変え、何度も逃走していることだった。

 

そこで風紀委員会は、相手が集まる廃倉庫を突き止め、明日、一斉に制圧することにしたのだ。

 

「明日は私たちが先行するんだよね?」

 

「そう。私が後方から援護、エースは前に出て敵の動きを止めて」

 

「了解。いつも通りだね」

 

「……無理はしないで」

 

「大丈夫だって。ヒナが後ろにいてくれるんだから」

 

エースが笑う。

 

ヒナは少しだけ視線を上げた。

 

「……そういう問題じゃない」

 

「え?」

 

「あなたは、時々無茶をする。自分が傷つくことを軽く考えすぎ」

 

「うーん……否定できないかも」

 

「自覚があるなら、直して」

 

「努力します!」

 

「……本当に?」

 

「ほんとほんと」

 

エースが両手を合わせて頼み込むような仕草をすると、ヒナは小さく息を吐いた。

 

「……もういい。明日に備えて、今日は早く休んで」

 

「ヒナもね」

 

「私は、これを片づけてから」

 

「それ、まだ時間かかるやつ?」

 

「……かかる」

 

「じゃあ、終わるまで付き合うよ」

 

「必要ない」

 

「私が付き合いたいの」

 

ヒナは返事をしなかった。

 

エースは資料を手に取り、隣の椅子へ移動する。

 

しばらくの間、二人は黙々と作業を続けた。

 

やがて、資料を片づけ終えたヒナが顔を上げる。

 

「……終わった」

 

「お疲れさま、ヒナ」

 

「エースも」

 

エースは立ち上がり、ヒナへ手を差し出した。

 

「明日もよろしくね、相棒」

 

ヒナは差し出された手を見つめ、少しだけ間を置いてから手を重ねた。

 

「……うん。よろしく」

 

その返事を聞いて、エースは満足そうに笑った。

 

明日も二人で戦う。

 

それが、当たり前の日常になると思っていた。

 

 

* * *

 

 

翌朝。

 

作戦開始の時刻が迫っても、エースは集合場所に現れなかった。

 

「……遅い」

 

ヒナは端末を確認した。

 

連絡を入れても、返事はない。

 

エースは多少寄り道をすることはあっても、大切な作戦の日に無断で遅刻するような生徒ではなかった。

 

「ヒナ委員、どうしますか?」

 

「作戦を一時待機。エースを探す」

 

「分かりました」

 

ヒナはすぐに動き出した。

 

エースが通るはずだった道を確認し、目撃情報を集める。

 

やがて、寮から集合場所へ向かう途中の路地で、見覚えのある部品を見つけた。

 

「……これは」

 

エースが持っていたレーダーバックルだった。

 

その近くには、争ったような痕跡が残っている。

 

さらに周辺の生徒から話を聞くと、複数の不良生徒が誰かを取り囲み、路地の奥へ連れていく姿が目撃されていた。

 

特徴はエースと一致している。

 

ヒナの表情が険しくなった。

 

「……そう」

 

短くつぶやくと、彼女は端末を操作した。

 

生徒たちから聞いた不良生徒たちの動き、出入りしていた場所、逃走経路。

 

それらを一つずつ照合していく。

 

やがて、一つの廃倉庫が浮かび上がった。

 

今回の取り締まり対象となっている集団の拠点だった。

 

「ヒナ委員、応援を――」

 

「外周を包囲して。逃走経路を塞いで」

 

「ヒナ委員は?」

 

「私が入る」

 

「一人でですか?」

 

「エースがいるかもしれない。時間をかけたくない」

 

ヒナはそれ以上、説明しなかった。

 

胸の奥に、不安が広がっている。

 

けれど、立ち止まっている時間はなかった。

 

ヒナは銃を携え、廃倉庫へ走り出した。

 

 

* * *

 

 

薄暗い廃倉庫の奥。

 

エースは柱のそばに座らされ、両腕を背後で拘束されていた。

 

変身ベルトは奪われ、手の届かない場所に置かれている。

 

制服は乱れ、顔には疲労が浮かんでいる。

 

何度も敵に攻撃され、体のあちこちが痛んでいた。

 

それでも、エースは顔を上げた。

 

「……ねえ。そろそろ、質問に答えるのにも飽きてきたんだけど」

 

「まだ口が利けるのか。随分と余裕だな」

 

目の前に立つのは、不良生徒たちを率いる少女だった。

 

彼女はエースの変身能力を把握しており、ベルトを奪うことで、その力を封じていた。

 

「お前が変身できなければ、ただの生徒だ。違うか?」

 

「さあ、どうだろうね」

 

「とぼけても無駄だ。お前と空崎ヒナの強さはこっちも調べている。お前とヒナの連携はたしかに脅威だ。だが、お前を押さえておけば、あいつの力は文字通り半減する」

 

「空崎ヒナさえ潰せば風紀委員なんてただの烏合の衆、私たちの敵じゃない」

 

「……ヒナは、そんなに簡単じゃないよ」

 

エースの声から、いつもの軽さが消えた。

 

「私がいなくても、ヒナは強い。お前らなんかに負けたりしない」

 

「はっ 大した信頼だ。流石『ゲヘナの最強コンビ』様だ」

 

少女が合図を送る。

 

不良生徒たちがエースを取り囲んだ。

 

エースは拘束を解こうとしたが、両腕は背後で固定されている。自由に動ける範囲も限られていた。

 

抵抗するたび、身体の痛みが増していく。

 

「……っ」

 

「もう痛い思いをしたくないだろう。そろそろコレの使い方を話したらどうだ」

 

「それは私にしか使えないって何度も言ってるでしょ」

 

「ならこれはどこから入手した。お前が作ったのか、それとも誰かから買ったのか?」

 

「神様からのプレゼント」

 

「⋯⋯」

 

「本当だよ」

 

少女は蹴りを放ち、拘束されたエースの顔を蹴る。

 

彼女の体が揺れる。

 

変身していない今のエースには、装甲も、ゾンビフォームの耐久力もない。

 

痛みをこらえ、彼女は歯を食いしばった。

 

「…っ!、はぁ…⋯」

 

「お前の根性は認めてやるが、私も暇じゃなくてな」

 

「『雷帝』を知っているか。ゲヘナで知らぬ者はいない最低最悪の暴君だ。皆が奴の存在を恐れ、奴の従順な奴隷に成り下がっている」

 

「だが私は違う。『雷帝』を倒すため、仲間を集め、武器を集めた。そして、お前の持っているあの力を手に入れれば、私たちの勝ちは揺るがない」

 

「あいにく、私はその話にまったく共感が出来ない。仮面ライダーは正義のヒーローだ、犯罪者に渡すなんて死んでもしない!」

 

「言ってろ。変身できないお前がいくら吠えても、何も変わらない」

 

「そこで見ているんだな。私たちが風紀委員会を潰し、空崎ヒナを倒す瞬間をな」

 

少女はそう言い残し、不良生徒たちを連れ、エースを残してその場から離れていった。

 

「……ヒナ」

 

エースは小さく名前を呼んだ。

 

「無茶だけはするなよ」

 

 

* * *

 

 

廃倉庫の裏手。

 

ヒナは建物の出入口を確認し、周囲の状況を把握していた。

 

中には複数の不良生徒がいる。エースが人質にされている可能性も高い。

 

正面から突入して相手を刺激すれば、エースが危険にさらされる。

 

ヒナは一度、深く息を吸った。

 

焦ってはいけない。

 

優先するのは、エースの救出だ。

 

外周に配置した風紀委員たちへ合図を送る。

 

逃走経路が塞がれたことを確認すると、ヒナは裏手の扉から倉庫へ踏み込んだ。

 

「動くな!」

 

見張りの不良生徒が振り返る。

 

「風紀委員……!」

 

「武器を捨てて。抵抗するなら制圧する」

 

相手が武器を構えようとした瞬間、ヒナは素早く対応した。

 

銃声が倉庫の入口に響く。

 

相手の武器が弾かれ、もう一人も体勢を崩す。

 

ヒナはその隙に距離を詰め、二人を制圧した。

 

しかし、倉庫の奥から次々と不良生徒が現れる。

 

「来たな、空崎ヒナ!」

 

敵の少女が叫んだ。

 

「わざわざ一人で来るとは、いい度胸じゃないか」

 

「エースを返して」

 

「返せと言われて、はいそうですかと渡すと思うか?あいつにはまだ利用価値がある」

 

「……そう」

 

ヒナは銃を構え直した。

 

「なら、全員まとめて制圧する」

 

不良生徒たちが一斉に動き出した。

 

ヒナは冷静に敵の動きを見極め、銃撃を避け、物陰で銃撃をやり過ごし、的確に敵を倒して進路を切り開いていく。

 

人数差はある。

 

それでも、ヒナの判断に迷いはなかった。

 

やがて、倉庫の奥に拘束されたエースの姿が見えた。

 

「エース!」

 

「……ヒナ!」

 

エースが顔を上げる。

 

ヒナは一瞬だけ、その姿に目を留めた。

 

傷ついた身体。乱れた制服。苦しそうな呼吸。

 

いつもなら、助けに来たヒナへ冗談の一つでも飛ばすエースが、今は立ち上がることすら難しそうだった。

 

「……遅くなった」

 

「ううん。来てくれて、ありがと」

 

「話は後。すぐに外す」

 

ヒナはエースの拘束を解き、近くの物陰までエースを運び不良生徒たちの猛攻を防ぐ。

 

自由になったエースは腕を前へ持ってきたが、痛みに顔をしかめた。

 

「……っ」

 

「動ける?」

 

「なんとか」

 

「なら、すぐにここから逃げて。退路は私が――」

 

「それはダメ」

 

エースはヒナを見た。

 

「ヒナ一人で、ここにいる全員を相手にするつもり?」

 

「……」

 

「私も戦うよ。二人なら、なんとかなるでしょ?」

 

ヒナはエースの様子を見つめた。

 

本当なら、戦わせたくなかった。

 

だが、敵はまだ残っている。一人で相手をしながら、エースを安全な場所へ運ぶのは難しい。

 

「……分かった。でも、無理だと思ったらすぐに下がって」

 

「了解!」

 

エースは痛む身体をかばいながら立ち上がった。

 

奪われていた変身ベルトは、少し離れた場所に置かれていた。

 

ヒナが物陰から援護射撃で不良生徒たちを牽制している間に、エースはそれを手に取り、腰に装着する。

 

エースは敵へ向き直り、ヒナも物陰から出てきてエースの隣に立つ。

 

「準備は?」

 

「オッケー!」

 

「……じゃあ、行くよ」

 

ヒナが先に動いた。

 

エースも、その隣へ踏み出した。

 

 

* * *

 

 

『SET』

 

エースはデザイアドライバーにゾンビバックルを装填し、レバーを操作する。

 

「変身!」

 

『ZOMBIE』

 

重厚な変身音が響き、紫を基調とした装甲が全身を包み込む。

 

『READY? FIGHT』

 

紫色の意匠を備えた仮面ライダーギーツ ゾンビフォームが、敵の前に立った。

 

「変身できたからって、調子に乗るな!」

 

敵の少女が叫ぶ。

 

不良生徒たちが二人へ襲いかかった。

 

「ヒナ、右!」

 

「分かってる!」

 

ヒナの射撃が敵を撃ち倒す。

 

その隙にエースが踏み込み、ゾンビブレイカーを振るった。

 

武器を両断し、渾身の蹴りを放ち敵を吹き飛ばす。続けて迫ってきた敵の銃撃をバーサークローで受け止め、別の相手へと向き直った。

 

ヒナは後方から援護し、エースが動きやすいように敵の進路を制限しつつ、敵を制圧していく。

 

互いの動きを熟知した二人だからこそ成立する連携だった。

 

「そこ!」

 

ヒナの射撃で敵が足を止める。

 

エースはその隙を逃さず、ゾンビブレイカーで武器を切り裂き、ゾンビブレイカーの頭部分で殴り、敵を気絶させていく。

 

だが、敵の数は多かった。

 

エースが前へ出ると、別の敵が側面から迫る。ヒナが援護しようとすれば、複数の不良生徒が彼女の射線を塞いだ。

 

さらに、敵の少女自身も相当な実力を持っていた。

 

少女はエースの動きを見極め、無闇に突っ込むことなく、負傷している部分を狙ってくる。

 

「そこだ!」

 

攻撃を受け止めたエースの身体が、大きく揺れた。

 

「……っ!」

 

変身していても、負傷そのものが消えたわけではない。

 

攻撃を受けるたび、身体の奥に鈍い痛みが走る。

 

「エース!」

 

「大丈夫だ!」

 

そう答えたものの、呼吸は荒くなっていた。

 

敵の少女は、その変化を見逃さなかった。

 

「やっぱり、万全じゃないな。そんな状態で、いつまで持つ?仮面ライダー」

 

少女が踏み込む。

 

エースはゾンビブレイカーで攻撃を受け止めたが、押し切られて後退した。

 

ヒナが援護射撃を放つ。

 

少女はすぐに距離を取り、射線から逃れた。

 

「……くっ、早い……」

 

ヒナの表情がわずかに険しくなる。

 

敵の連携は粗い。それでも、数の多さとエースの負傷が、二人を追い詰めていた。

 

このままでは押し切られる。

 

エースはデザイアドライバーに目を落とした。

 

もう一つのバックル。

 

ブーストバックル。

 

これを使えば、状況を覆せるかもしれない。

 

だが、今の状態でどこまで動けるか。

 

考えている余裕はなかった。

 

「おい、どうした!もう終わりか?」

 

敵の少女が迫る。

 

エースは顔を上げた。

 

「……ヒナ!」

 

「何?」

 

「ちょっと、派手にいくぞ!」

 

ヒナはエースの腰にあるバックルを見た。

 

「……分かった。合わせる」

 

エースはブーストバックルを手に取った。

 

 

* * *

 

 

『SET』

 

エースはデザイアドライバーへブーストバックルを装填した。

 

ゾンビバックルとブーストバックルが同時に作動する。

 

『DUAL ON ZOMBIE & BOOST』

 

 

変身音声が倉庫内に響き渡った。

 

黒紫のゾンビフォームの他に、赤いブーストの装甲が脚部に加わる。

 

仮面ライダーギーツ ゾンビブーストフォーム。

 

ゾンビの力とブーストの加速力を併せ持つ姿だった。

 

『READY? FIGHT』

 

「な……何だ、それは!」

 

敵の少女が思わず声を上げた。

 

エースはゾンビブレイカーを構える。

 

「……さて。ここからがハイライトだ」

 

声にはまだ疲労が残っている。

 

それでも、先ほどまでのような苦しげな呼吸はなかった。

 

「ヒナ、お願い!」

 

「分かった。私が敵を止める。あなたはリーダーを」

 

ヒナは銃を構え、迫ってくる不良生徒たちを牽制した。

 

相手が射線を警戒して足を止める。

 

その一瞬、エースが動いた。

 

ブーストの力による加速で、敵の間を一気に駆け抜ける。

 

進路を塞ごうとした不良生徒だったが、ブーストの加速についてこれず弾丸も空を切る。

 

エースはそのまま不良生徒たちのボスである少女へと近づく。

 

ヒナはエースを追おうとする敵を見逃さなかった。

 

「そっちは通さない」

 

射撃によって相手の動きを止め、エースの進路を確保する。

 

エースはその援護を信じて、敵の少女へと迫った。

 

「くそっ、止まれ!」

 

少女が銃を乱射する。

 

エースは身をひねってかわし、ブーストの威力を乗せた回し蹴りを叩き込んだ。

 

少女は銃を盾にして受け止めたものの、ブーストの勢いを完全には殺せず、数歩後退する。

 

「ぐっ……!」

 

それでも、彼女は倒れなかった。

 

体勢を立て直し、エースの動きを見極める。

 

不用意に攻撃すれば、また加速で懐へ入り込まれる。

 

少女は距離を取り、反撃の機会をうかがった。

 

エースもまた、無闇に突っ込むことはしなかった。

 

負傷した身体でブーストの力を使い続けるのは、決して楽ではない。

 

だからこそ、一度で決める必要があった。

 

「ヒナ!」

 

「……今!」

 

不良生徒たちの猛攻を躱しながら、間を縫ってヒナが射撃を放つ。

 

予期せぬ銃撃に、少女は反射的にヒナの射撃を避けた。

 

その隙を、エースは逃さなかった。

 

ブーストの力で一気に距離を詰める。

 

少女が体勢を直し、武器を構えるより早く、エースはゾンビブレイカーを振るい、その手から武器を弾き飛ばした。

 

「しまっ――!」

 

「これで、終わりだ!」

 

エースはゾンビブレイカーを放り投げると、デザイアドライバーのブーストバックルを捻り、力を解放した。

 

ブーストのエネルギーが脚部へと集まり、赤いエネルギーを纏う。

 

《ZOMBIE BOOST VICTORY》

 

強力な中段蹴りが、少女へと叩き込まれた。

 

少女は後方へ吹き飛ばされ、壁に激突。

 

衝撃が倉庫内に響き渡り、少女は床に倒れ込んだ。

 

しばらくしても、立ち上がる気配はなかった。

 

エースは蹴り上げた足を下ろすと、ライダーキックの反動で、負傷した身体に負担がかかり、片膝をついた。

 

「……っ、はぁ……」

 

「エース!」

 

ヒナが駆け寄ろうとする。

 

「大丈夫……。ちょっと、疲れただけ」

 

エースは立ち上がろうとした。

 

ヒナはその様子を見て、わずかに眉を寄せた。

 

「……無理しないで」

 

「分かってるよ」

 

エースは変身を解除した。

 

ゾンビブーストフォームの装甲が消え、元の姿に戻る。

 

戦いは終わった。

 

敵のボスである少女は戦闘不能となり、残っていた不良生徒たちも戦意を失っていた。

 

「武器を捨てて。抵抗はしないで」

 

ヒナが告げる。

 

不良生徒たちは、次々と武器を床に置いた。

 

倉庫の外からも風紀委員たちが突入し、残っていた敵を制圧していく。

 

ようやく、すべてが終わった。

 

 

* * *

 

 

敵の拘束と現場の確認が進み、倉庫の中には風紀委員会の生徒たちが残っていた。

 

ヒナは、エースの様子をもう一度確認した。

 

「歩ける?」

 

「うん。ちょっと痛いけど、何とか」

 

「医療班に診てもらうから。勝手に帰らないで」

 

「分かってるよ」

 

エースは少し困ったように笑った。

 

「……心配かけて、ごめんね」

 

ヒナは一瞬、返事に詰まった。

 

謝ってほしいわけではなかった。

 

無事でいてくれれば、それでよかった。

 

「もういいわ。こうして戻ってきたんだから」

 

「うん」

 

エースは頷いた。

 

「あの時、ヒナの援護があったからなんとか勝てた。ありがとう」

 

「こちらこそ、私だけじゃ、あの人数は止められなかった。あなたがいてくれて助かった」

 

ヒナは短く答えた。

 

エースは少し驚いたあと、嬉しそうに笑った。

 

「……えへへ。そう言ってもらえると、頑張った甲斐があるね」

 

「だからといって、調子に乗って突っ込まないでね」

 

「はいはい」

 

「……返事は一回」

 

「はーい」

 

ヒナは小さく息を吐いた。

 

いつものやり取りだった。

 

エースが無茶をして、ヒナが注意する。

 

そして、二人で力を合わせ、困難を乗り越える。

 

「……本当に、無事でよかった」

 

ヒナが小さくつぶやいた。

 

エースは彼女を見つめた。

 

「うん。ただいま、ヒナ」

 

「……おかえり」

 

ヒナはエースの顔を見ながらしばらく黙っていた。

 

ようやく、胸の奥に張りつめていたものが少しだけ緩んだ気がした。

 

エースが生きている。

 

目の前で笑っている。

 

それだけで、十分だった。

 

「ねえ、エース」

 

「何?」

 

「作戦のゴタゴタが終わって、あなたの怪我が治ったら、どこか遊びにでも行かない?」

 

「⋯驚いた。まさかヒナの方から遊びの誘いをしてくれるなんて」

 

「⋯悪い」

 

「いや、滅茶苦茶嬉しい」

 

「よーし!ならさっさと怪我を治さなきゃ!」

 

エースは笑いながら、右手を軽く持ち上げる。

 

「ほら、勝利のお約束、ハイタッチ!」

 

ヒナはその手を見た。

 

ほんの少しだけ、表情が柔らかくなる。

 

「……うん」

 

ヒナは、ゆっくりと手を持ち上げた。

 

二人の手が、触れようとする。

 

その瞬間だった。

 

倉庫の隅から、かすかな物音がした。

 

――パンッ!

 

ヒナが振り向くより早く、銃声が響いた。

 

乾いた音が、倉庫内に反響する。

 

エースの体が、わずかに揺れた。

 

そして、赤い液体が飛び散った。

 

「……え?」

 

ヒナの目が見開かれる。

 

エースの手が、力なく下がった。

 

膝が折れ、彼女の体が前へ傾く。

 

「エース!」

 

ヒナは咄嗟に抱きとめた。

 

エースの後ろでは、倒れていた不良生徒の一人が、銃を手にしたまま床に崩れ落ちていた。

 

先ほどの戦闘で倒された敵だった。

 

彼女は最後の力を振り絞り、エースを撃ったのだ。

 

不良生徒が持つ銃が床へ落ち、生徒も動かなくなった。

 

風紀委員たちが一斉に動き、発砲した生徒を取り押さえる。

 

だが、ヒナには、そんなことを確かめる余裕などなかった。

 

「エース! エース、しっかりして!」

 

腕の中のエースが、苦しそうに息を吐いた。

 

ヒナは彼女を床へ横たえ、傷を押さえた。

 

「誰か!医療班を呼んで!早く!」

 

声が裏返る。

 

近くにいた風紀委員たちが、慌てて駆け寄ってくる。

 

「ヒナ先輩!?」

 

「救急班を!今すぐ!」

 

「は、はい!」

 

エースの手が、かすかに動いた。

 

ヒナはその手を握りしめた。

 

「大丈夫だから……!すぐに手当てしてもらえるから……!」

 

自分でも、何を言っているのか分からなかった。

 

ただ、何かを言い続けなければ、エースが本当にいなくなってしまうような気がした。

 

左胸を撃たれたエースの体からは、夥しい量の血が流れ続けている。

 

「……ヒナ」

 

かすれた声が聞こえた。

 

「エース!ここにいるわ。私がいるから!」

 

エースは、ゆっくりと目を開けた。

 

いつもなら、ここで軽口の一つでも言うはずだった。

 

『ヒナ、そんな顔しないでよ』

 

『大丈夫だって』

 

『あとで一緒にご飯でも食べよう』

 

そんな言葉を、いつもと同じ調子で口にするはずだった。

 

けれど、今のエースは違った。

 

彼女はヒナを見つめ、かすかに笑った。

 

「……助けてもらったのに……こんな最後になって、ごめん」

 

「何を……言ってるの?」

 

ヒナの声が震えた。

 

「謝らなくていい。そんなこと、言わないで」

 

エースは苦しそうに息を吸った。

 

「私が……油断したんだ。最後まで、ちゃんと周りを見てれば……」

 

「違う!」

 

ヒナは思わず叫んだ。

 

「あなたのせいじゃない! あなたは十分に戦った! だから、もう喋らないで……!」

 

エースの手が、ヒナの手を弱々しく握り返した。

 

「……ヒナ」

 

「何? ここにいるから。ずっといるから……!」

 

「……一緒に戦えて、よかった」

 

ヒナの目から、涙がこぼれた。

 

「そんなこと、後でいくらでも聞くから……! だから……!」

 

エースは、何かを言おうとした。

 

けれど、その声はもう、ほとんど聞き取れなかった。

 

「……ありがと、ヒナ」

 

その手から、少しずつ力が抜けていく。

 

「エース……?」

 

返事はない。

 

「……エース?」

 

ヒナは彼女の顔を覗き込んだ。

 

いつもなら、呼べば返事があった。

 

どれだけ離れていても、どれだけ騒がしい場所でも、エースは自分の声に気づいてくれた。

 

それなのに。

 

「……エース」

 

もう一度、名前を呼んだ。

 

返事はなかった。

 

ヒナは彼女の肩を揺すった。

 

「ねえ、起きて。エース……お願いだから、起きてよ……」

 

周囲の生徒たちは、誰も動けなかった。

 

さっきまで、二人は笑っていた。

 

任務を終え、勝利を喜び、これから一緒に帰るはずだった。

 

それなのに。

 

「……嘘、でしょ」

 

ヒナの声が震える。

 

「……ねえ。エース……」

 

彼女は、もう一度エースを抱きしめた。

 

返事のない相棒を、離さないように。

 

 

* * *

 

 

医療班が到着した。

 

その場にいた生徒たちは、すぐにヒナの周囲へ集まった。

 

しかし、誰もが言葉を失っていた。

 

「……ヒナ先輩」

 

風紀委員の一人が、おそるおそる声をかける。

 

ヒナは答えなかった。

 

ただ、エースの手を握りしめていた。

 

「ヒナ先輩、もう……」

 

「……違う」

 

小さな声だった。

 

「……まだ、いるから」

 

誰に向けた言葉なのか、本人にも分からなかった。

 

エースの手は、もう握り返してくれない。

 

それでも、ヒナは手を離せなかった。

 

「……エース」

 

いつもなら、すぐ隣から返事が聞こえた。

 

『なに、ヒナ?』

 

『どうしたの?』

 

『また仕事? 少し休んだら?』

 

思い出すのは、そんな何気ない言葉ばかりだった。

 

昼食を一緒に食べたこと。

 

休日に買い物へ出かけたこと。

 

任務のあと、二人で反省点を話し合ったこと。

 

自分が疲れていると、エースは必ず気づいてくれた。

 

そして、いつも言った。

 

『無理しないでね、ヒナ』

 

今になって、その言葉が胸に突き刺さる。

 

自分は、あの子に何を返せただろう。

 

無茶をするなと注意した。

 

危険なことはするなと叱った。

 

自分を大切にしろと、何度も言った。

 

けれど。

 

「……私が、もっと早く……」

 

言葉が途切れた。

 

自分がもっと早く見つけていれば。

 

自分がもっと周囲を警戒していれば。

 

最後の一発を防げていれば。

 

考えても、答えは出なかった。

 

「ヒナ先輩……」

 

仲間の一人が、そっと肩に手を置いた。

 

その瞬間、ヒナは小さく震えた。

 

「……触らないで」

 

「……っ」

 

「お願い……今だけは……」

 

その声に、誰も何も言えなくなった。

 

ヒナは、エースの手を握ったまま、うつむいた。

 

肩が震える。

 

声を押し殺そうとしても、涙は止まらなかった。

 

大切な相棒が、目の前からいなくなった。

 

もう二度と、あの声を聞くことはできない。

 

もう二度と、あの笑顔を見ることはできない。

 

「……エース……!」

 

その叫びは、静まり返った倉庫の中に響いた。

 

けれど、返事はなかった。

 

 

* * *

 

 

その日の夜。

 

ヒナは一人、風紀委員会の執務室に戻っていた。

 

机の上には、途中まで書かれた報告書が残っている。

 

エースがまとめた襲撃事件の資料も、いつもの場所に置かれていた。

 

彼女が使っていた椅子。

 

彼女が置いていったペン。

 

彼女が、いつも何気なく座っていたソファ。

 

どれも、昨日までと変わらない。

 

変わってしまったのは、エースだけだった。

 

ヒナは、机の引き出しを開けた。

 

そこには、エースが以前、任務の合間に書いた小さなメモが残っていた。

 

『明日の巡回、例の倉庫街をもう一度確認してみよう。何か分かるかもしれない』

 

その下には、少し崩れた文字で、こう書かれていた。

 

『無理はしないこと。ヒナにも言われたので』

 

ヒナは、その紙を手に取った。

 

指先が震えた。

 

「……本当に、もう」

 

いつものように、呆れた声を出そうとした。

 

けれど、うまくいかなかった。

 

喉が詰まり、声にならない。

 

紙を握りしめ、ヒナは目を伏せた。

 

「……明日も、よろしくって……言ったじゃない」

 

返事はない。

 

「……一緒に帰ろうって……」

 

机の上に、涙が落ちた。

 

ヒナは、何度も何度もメモを読み返した。

 

あの子が、そこにいた証拠を確かめるように。

 

やがて、彼女は引き出しの奥に置かれたゾンビバックルに気づいた。

 

エースが変身に使っていたものだった。

 

エースと共に運ばれたゾンビバックルが何故ここに置かれているのか、ヒナには見当もつかなかったが、そんな疑問はすぐに消え、ヒナはそれを両手で包み込んだ。

 

冷たい。

 

あれほど激しい戦闘の中で、何度もエースの力を引き出したバックル。

 

これがあれば、彼女はまた変身して、いつものように前線へ出てくるのではないか。

 

そんなことを考えてしまう自分がいた。

 

「……エース」

 

名前を呼んでも、何も起こらない。

 

ヒナはバックルを胸元に抱き寄せた。

 

そして、声を殺して泣いた。

 

 

* * *

 

 

それから、しばらくの時間が過ぎた。

 

倉庫街での事件は、風紀委員会によって解決された。

 

関与した不良生徒たちは拘束され、奪われた物品も回収された。

 

事件の報告書には、空崎ヒナと陸岡エースの連携によって敵の拠点を制圧した、と記録された。

 

だが、その報告書に、エースがどれほど傷つきながら戦ったのか、どれほどヒナのことを信頼していたのか、すべてを書くことはできなかった。

 

彼女を知る者たちは、エースの死を悼んだ。

 

風紀委員会では、彼女の席がしばらく空けられたままになった。

 

誰も、そこに別の生徒を座らせようとはしなかった。

 

ヒナもまた、以前とは変わっていた。

 

任務には出る。

 

報告書も書く。

 

命令を出し、敵を制圧し、必要な仕事をこなす。

 

表面上は、以前と同じだった。

 

けれど、彼女の中では何かが決定的に変わっていた。

 

敵が武器を落としても、すぐには銃を下ろせなくなった。

 

相手が倒れても、再び立ち上がってこないか、何度も確認するようになった。

 

背後に気配を感じると、反射的に振り向く。

 

敵が降伏していても、隠し武器がないか、徹底的に調べずにはいられない。

 

それでも、時には不安を抑えきれず、必要以上に相手を追い詰めてしまうことがあった。

 

「空崎、もういい。相手は武器を捨てている」

 

仲間にそう言われても、ヒナはすぐには止まれなかった。

 

「……まだ終わっていないかもしれない」

 

「もう抵抗する気はない。こちらで拘束するから」

 

「……」

 

銃を握る手に、力がこもる。

 

脳裏に浮かぶのは、あの日の光景だった。

 

勝利したと思った。

 

すべてが終わったと思った。

 

だから、ほんの一瞬だけ、警戒を緩めてしまった。

 

そして、その一瞬で。

 

「……分かった」

 

ヒナは、ようやく銃を下ろした。

 

「後の処理をお願い」

 

その場を離れる彼女の背中を、仲間たちは心配そうに見送った。

 

誰もが知っていた。

 

ヒナは強くなった。

 

戦闘能力も、判断力も、以前より鋭くなっている。

 

やがて彼女は、ゲヘナでも屈指の実力者として知られるようになる。

 

そして、1年、2年と時は流れ、いつしか「ゲヘナ最強」と呼ばれるようになった。

 

けれど、その名を耳にするたび、ヒナの胸には苦いものが広がった。

 

最強。

 

その言葉を、かつて誰かと並んで笑っていた気がする。

 

「ゲヘナの最強コンビ」。

 

そんなふうに呼ばれて、エースと顔を見合わせたことがあった。

 

あの子は、少し困ったように笑っていた。

 

『私たち、そんなに強そうに見えるのかな?』

 

そう言っていた。

 

ヒナは、立ち止まった。

 

窓の外では、生徒たちが騒がしく行き交っている。

 

いつもと変わらないゲヘナの日常。

 

その中に、もうエースはいない。

 

「……私は、最強なんかじゃない」

 

誰にも聞こえない声で呟いた。

 

「……あなたが、いないのに」

 

答える者はいなかった。

 

 

* * *

 

 

夜。

 

誰もいなくなった執務室で、ヒナは机に向かっていた。

 

目の前には、エースが使っていたゾンビバックルが置かれている。

 

彼女はそれを、布で丁寧に拭いた。

 

傷ついた箇所を確かめ、汚れを落とし、壊れていないことを確認する。

 

そんなことをしても、エースが戻ってくるわけではない。

 

分かっている。

 

それでも、手を止められなかった。

 

やがて、ヒナはバックルを小さな箱へ収めた。

 

蓋を閉じる前に、もう一度だけ、その姿を見つめる。

 

「……エース」

 

いつものように名前を呼んだ。

 

「……私、ちゃんとやれてるかな」

 

返事はない。

 

「……あなたなら、何て言うんだろう」

 

きっと、あの子なら。

 

『ヒナは頑張ってるよ』

 

そう言って笑ったのだろう。

 

『でも、頑張りすぎないでね』

 

そう続けたかもしれない。

 

ヒナは目を閉じた。

 

「……分かってる」

 

自分に言い聞かせるように呟く。

 

「……分かってるから」

 

けれど、涙は止まらなかった。

 

あの日、差し出された手。

 

それに応えようとした、自分の手。

 

触れる直前に響いた銃声。

 

その光景は、何度も何度も脳裏に蘇る。

 

もし、あのとき。

 

もし、あと一秒でも早く気づいていれば。

 

そんな仮定に意味がないことは分かっている。

 

それでも、考えずにはいられなかった。

 

ヒナは箱の蓋を閉じ、引き出しの奥へしまった。

 

そして、エースが使っていた椅子を見つめた。

 

「……明日も、仕事があるから」

 

誰に言うでもなく、そう呟く。

 

「……ちゃんと、やらないと」

 

彼女は立ち上がり、部屋の明かりを消した。

 

扉を閉める直前、もう一度だけ振り返る。

 

そこに、相棒の姿はなかった。

 

「……おやすみ、エース」

 

静かな部屋に、声が消えていく。

 

返事は、最後まで聞こえなかった。

 

 

 

【ゲヘナ編・終】

 

 

 

* * *

 

 

ゲヘナで陸岡エースが死亡してから、1ヶ月後。

 

トリニティ総合学園のとある生徒の部屋に、執事服を着た一人の男子が姿を現していた。

 

 華やかな雰囲気を持つ少女は、椅子に腰掛け、こちらを興味深そうに眺めていた。

 

「えっと……あなたが、今日からあたしのお世話をしてくれる人?」

 

「はい。本日から貴方様の身の上のお世話をさせていただきます、神城エースと言います。以後お見知りおきを、聖園ミカ様」

 

輪廻は廻り続ける。あまねく奇跡に辿り着くその時まで。

 

 

【トリニティ編・スタート】

 

 

 ───────────────────────────

 

『A』─情報

エースの持つベルトやバックルは、エースが死亡した時点で転生したエースの元へ行くが、生前エースが愛用していたバックルだけは、生前エースと親しかった人間の元に残ることがある。(ホシノ、ヒナの元にバックルがあったのはそういう理由)

 

 

・陸岡エース(神城エース)

原作キャラと出会い、絆を深め、死んで傷を作る運命(さだめ)を持つ罪な男。原作時期になったら大変な目に会うことが確定してる。因果応報である。

 

・空崎ヒナ

無事ゲヘナシトシトシロモップに進化した。

エースにトラウマを植え付けられ、戦闘が終わっても安心することができず、必要以上に武力行使してしまうようになってしまった可哀想な子。よくゾンビバックルを見てはエースのことを思い出して泣きそうになっている(というかいつも泣いてる)

原作以上にゲヘナ生から恐れられる存在へとなっている。

 

・『雷帝』

エースの持つライダーシステムに興味を持ち、奪おうと画策していた今回の悪い人枠。

打倒雷帝を掲げる集団にわざとエースを襲わせ、エースの持つベルトとバックルを奪わせ、その後返り討ちにしてベルト等を回収する。動かなくてもベルトたちが勝手にやってきて、ついでに自分に反逆する集団を潰せる。まさに一石二鳥の作戦。

しかし、エースが死亡した時点でベルトやバックルは転生したエースの元へ行くため、物語の裏で回収したベルトとバックルがなくなったことに驚いたり、無くなった原因はエースのせいだと断定し怒りを露わにしていた。

 

・聖園ミカ

第三の被害者。執事が来ると伝えられて内心ワクワクしてる。

 

 

 

 

※下の後書きは完全に蛇足です。読まなくてもいいです。

────────────────────────────────

 

 

陸岡エースは、空崎ヒナにとって初めて、自分の背中を安心して預けられる相棒だった。

 

エースを失ったヒナは、強さを求め続ける。二度と同じ悲劇を繰り返さないために、敵の反撃を恐れ、必要以上に警戒し、時には過剰な制圧に走ってしまう。

 

やがてヒナは、ゲヘナ風紀委員会を率いる立場へと成長していく。

 

しかし、どれほど強くなっても、彼女の心に空いた穴が埋まることはなかった。

 

机の引き出しの奥には、今もゾンビバックルがしまわれ、懐には何の変哲もない普通の拳銃一丁が携帯されている。

 

それは、かつて二人が肩を並べて戦った証であり、ヒナが決して忘れることのできない相棒の形見だった。

 

 

────────────────────────────────

 

 

 

 




トリニティ編現在作成中、頑張ったら明日か明後日には出せるかも。
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