トリニティ総合学園。
数多くの生徒が通う、キヴォトスでも有数の大規模な学園である。
そんな学園の一室で、一人の男子生徒が固まっていた。
目の前には、華やかな雰囲気を持つ少女が座っている。
桃色の髪に、どこか人懐っこさを感じさせる笑顔。
聖園ミカ。
トリニティの生徒なら、その名を知らない者はほとんどいない。
そんな彼女を前にして、黒髪黒目の少年――神城エースは、内心で盛大に頭を抱えていた。
なぜなら。
彼は先ほど、自分の荷物から学生証を発見したばかりだったからだ。
そこに記載されていた名前は、神城エース。
そして、所属はトリニティ総合学園。
さらに、荷物の中には身分証明書や生活に必要な書類、住居の鍵まで揃っていた。
どうやら、この世界で暮らすための準備は一通り整っているらしい。
問題は、そこではなかった。
荷物の中にあった書類を確認した結果、彼は今日からある人物の専属執事として働くことになっていたのである。
しかも、その相手が目の前にいる少女だった。
――いや、待て。
ちょっと待ってくれ。
俺、さっきまで日本にいたよな?
車に轢かれて死んだはずだよな?
それで神様に会って、願いを叶えてもらって、別の世界に転生したんだよな?
ここまでは分かる。
いや、分かりたくはないが、ひとまず理解はできる。
しかし。
なんで転生初日から執事として働くことになっているんだ!?
しかも、相手は学園でも有名な人物らしい。
荷物の中にあった書類を確認した限りでは、住居も戸籍も用意されている。生活に困ることはなさそうだ。
神様、そこまでしてくれたのはありがたい。
ありがたいんだけど!
せめて、職業くらいは選ばせてくれませんかね!?
……いや、待てよ。
もしかすると、これも神様の配慮なのかもしれない。
見知らぬ世界に放り出された俺が、住む場所も身分もなく途方に暮れないように、あらかじめ生活基盤を整えてくれたのだろう。
うん。
そう考えれば、ありがたい話だ。
執事の仕事については……まあ、何とかなるだろう。
日本にいた頃だって、家事くらいは一通りできた。
料理も掃除も洗濯も、やろうと思えばできる。
問題は、執事という職業に必要な作法やら何やらを、俺がどれほど理解しているかという話だが。
……考えないでおこう。
今は目の前の少女に集中するべきだ。
エースは内心の動揺を押し隠し、姿勢を正した。
「えっと……あなたが、今日からあたしのお世話をしてくれる人?」
「はい。本日から貴方様のお世話をさせていただきます、神城エースと申します。以後、お見知りおきを。聖園ミカ様」
どうにか、それらしい挨拶を口にする。
すると、ミカはぱちぱちと瞬きをした。
「へえ~! 思ってたより、ちゃんとしてるんだね!」
「思っていたより、ですか?」
「あははっ! だって、いきなり執事が来るって聞いたからさ。どんな人が来るのかなーって、気になってたんだよね!」
ミカは椅子から身を乗り出し、エースの顔をじっと眺めた。
「それにしても、エース君っていうんだ! よろしくね、エース君!」
「はい。よろしくお願いいたします、ミカ様」
「うーん……」
ミカは何やら考え込むように唸った。
「……ミカ様?」
「ねえ、エース君。あたしのこと、ミカちゃんって呼んでよ!」
「……はい?」
思わず聞き返してしまった。
専属執事として雇われた相手に、いきなり愛称で呼んでほしいと言われたのである。
さすがに予想外だった。
「えっと……しかし、主人を愛称で呼ぶのは、いささか問題があるのでは?」
「えー? いいじゃん! あたしがいいって言ってるんだから!」
「ですが……」
「もしかして、嫌?」
「いえ、そういうわけでは……」
「じゃあ決まり! あたしはエース君って呼ぶから、エース君もミカちゃんって呼んでね!」
決まってしまった。
どうやら、このお嬢様はかなり自由奔放な性格らしい。
エースは内心でため息をつきながらも、笑顔を浮かべた。
「……承知しました。ミカ様」
「むー! そこはミカちゃんって呼ぶところでしょ!」
「善処いたします」
「絶対する気ないでしょ、それ!」
ミカが頬を膨らませる。
その様子を見て、エースは思わず苦笑した。
……まあ、悪い人ではなさそうだ。
少なくとも、今のところは。
そんなことを考えていた、そのとき。
コンコン。
扉を叩く音が響いた。
「ミカ、入ってもいいかしら?」
「あ、ナギちゃん! いいよー!」
扉が開き、一人の少女が姿を現した。
落ち着いた雰囲気の少女だった。
きちんと整えられた髪と制服。穏やかな表情の奥には、周囲をよく観察する知性が感じられる。
桐藤ナギサ。
ミカの幼馴染であり、トリニティの中でも重要な立場にある人物だ。
彼女はエースに視線を向けると、丁寧に会釈した。
「初めまして、神城エースさん。私は桐藤ナギサです」
「初めまして、ナギサ様。神城エースと申します」
「お話は伺っています。今日からミカのお世話をしてくださるそうですね」
「はい。至らぬ点もあるかと思いますが、精一杯務めさせていただきます」
「ふふっ。そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
ナギサは柔らかく微笑んだ。
「ミカは少々自由なところがありますが、悪意があって人を困らせるような子ではありません。困ったことがあれば、遠慮なく相談してください」
「ナギちゃん! あたし、そんなに自由じゃないよ!?」
「そうでしょうか?」
「そうだよ!」
「では、先ほどからエースさんに愛称で呼ぶようお願いしているのも、必要なことだったのですね?」
「うっ……そ、それは……!」
ミカが言葉に詰まった。
ナギサは微笑みを崩さない。
どうやら、この二人はかなり気心の知れた間柄らしい。
エースは二人のやり取りを見ながら、少しだけ肩の力を抜いた。
そして、ふと思った。
……あれ?
この二人、俺が来ることを最初から知っていたんだよな?
ナギサも、ミカも、俺が執事になることを当たり前のように受け入れている。
書類を確認した限り、俺の住居も戸籍も問題なく用意されている。
周囲の人間も、神城エースという人間が以前から存在していたかのように振る舞っている。
不自然といえば不自然だ。
しかし、エースはすぐに一つの結論へとたどり着いた。
――ああ、なるほど。
これも神様が何かしてくれたんだろう。
俺が困らないように、周囲の認識や必要な手続きを整えてくれたのかもしれない。
そう考えれば、説明がつく。
……つくよな?
まあ、深く考えても仕方がない。
せっかく与えられた二度目の人生だ。
今は目の前の仕事をこなしていこう。
エースは気持ちを切り替えた。
このときの彼は、まだ知らなかった。
自分が転生したことによって、この世界の事象そのものが、彼の存在に合わせて一部書き換えられていることを。
そして、トリニティでの彼の今世もまた、平穏とはほど遠いものになるということを。
* * *
それから数時間後。
エースはミカの部屋で、さっそく執事としての仕事に取り組んでいた。
……取り組んでいたのだが。
「エース君、紅茶おかわりー!」
「かしこまりました」
「あと、お菓子も!」
「承知しました」
「それと、今日のお昼は何にする?」
「……ミカ様。先ほど、お昼を召し上がったばかりでは?」
「えー? だって、お腹が空いちゃったんだもん!」
「……かしこまりました」
エースは笑顔を保ったまま、内心で頭を抱えた。
このお嬢様、自由すぎる!
いや、分かっている。
主人の要望に応えるのが執事の仕事だ。
だが、さっきから紅茶を淹れてはおかわりを頼まれ、お菓子を用意しては別のものを要求され、ようやく片づけたと思ったら次の注文が飛んでくる。
これでは、いつまで経っても仕事が終わらない。
しかも、ミカは悪気があってやっているわけではない。
純粋に、エースと話すのが楽しいらしい。
「ねえねえ、エース君!」
「はい、何でしょう?」
「エース君って、料理できる?」
「一通りは」
「じゃあ、今度あたしの好きなもの作ってよ!」
「好きなもの、ですか?」
「うん! あたし、甘いものも好きだし、お肉も好きだし、あと――」
ミカは楽しそうに好物を並べ始めた。
エースはそれを聞きながら、頭の中で献立を考えていく。
……まあ、いいか。
こうして笑っている分には、普通の女の子だ。
周囲から聞いた話だけでは分からないこともある。
実際に接してみれば、印象が変わることもあるのだろう。
そんなことを考えていると、ミカがふとエースの顔を覗き込んだ。
「……ねえ、エース君」
「はい?」
「さっきから、ずっと気になってたんだけどさ」
「何でしょう?」
「エース君って、ヘイローがないんだね?」
エースの手が止まった。
……ああ。
そういえば、そうだった。
キヴォトスの生徒には、頭上にヘイローが存在する。
しかし、エースにはそれがない。
そもそも、彼はこの世界の人間として生まれたわけではない。
神様の力で転生した存在なのだから、ヘイローがないのも当然なのかもしれない。
「はい。私にはヘイローがありません」
「ふーん……」
ミカは少し考え込んだ。
「珍しいね。あたし、ヘイローがない人なんて初めて見たかも」
「そうですね。私も、こちらに来てから同じような方にはお会いしていません」
「……こちらに来てから?」
「あっ」
しまった。
思わず余計なことを口にしてしまった。
エースは一瞬だけ言葉に詰まったが、すぐに笑顔を取り繕った。
「いえ、その……環境が変わったばかりですので」
「そっか!」
ミカは深く追及しなかった。
むしろ、興味深そうにエースの頭上を眺めている。
「でも、ヘイローがないからって、別に悪いことじゃないよね!」
「……え?」
「だって、エース君はエース君でしょ? ヘイローがあるかどうかで、その人のことが決まるわけじゃないもん!」
ミカはあっさりとそう言った。
あまりにも自然な口調だった。
エースは、ほんの少しだけ目を見開いた。
「……ありがとうございます、ミカ様」
「えへへ、どういたしまして!」
ミカは笑った。
その笑顔を見て、エースも自然と表情を緩めた。
――この人は、きっと大丈夫だ。
少なくとも、自分のヘイローがないことを理由に、エースを見下すような人ではない。
そう思えた。
* * *
しかし、世の中にはそう考えない人間もいる。
数日後。
エースはミカの用事を済ませるため、トリニティの校舎内を歩いていた。
手には、頼まれた書類と、買い物の帰りに受け取った荷物がある。
執事の仕事にも、少しずつ慣れてきた。
ミカは相変わらず自由奔放だったが、何を求めているのかは以前より分かるようになった。
ナギサも時折、仕事の進め方について助言してくれる。
おかげで、どうにか毎日を乗り切れていた。
……まあ、まだ数日しか経っていないのだが。
そんなことを考えていた、そのとき。
「ねえ、あなた」
背後から声をかけられた。
振り返ると、数人の女子生徒が立っていた。
全員、トリニティの制服を着ている。
しかし、その表情には友好的な雰囲気がなかった。
「……私に何か?」
「あなたが、聖園ミカ様の新しい執事ですか?」
「はい。神城エースと申します」
「ふーん……」
先頭にいた女子生徒が、エースの頭上を見た。
そこには、ヘイローがない。
彼女はそれを確認すると、口元を歪めた。
「本当にないのですね、ヘイロー」
「……はい」
「気味が悪いですね。トリニティに、こんなものが入り込んでくるなんて」
「ちょっと、やめておきなさい。相手はミカ様の執事よ?」
「だから何です。ミカ様の執事だからって、何をしても許されると思っているの?」
女子生徒たちは、エースを取り囲むように立った。
エースは周囲を見回した。
通路には、ほかの生徒たちもいる。
しかし、誰も積極的に関わろうとはしなかった。
見て見ぬふりをしている者もいれば、関わり合いになりたくないとばかりに立ち去る者もいる。
……なるほど。
どうやら、俺は歓迎されていないらしい。
まあ、ヘイローがない人間なんて、この世界では珍しいだろう。
怪しまれるのも、ある程度は仕方がないのかもしれない。
だが。
「申し訳ありませんが、通していただけますか? ミカ様から頼まれた用事がありますので」
「は? 何その態度?」
「いえ、態度というわけでは……」
「こっちは質問しての。あなた、何者なんです?」
「神城エースです」
「そういうことを聞いてるんじゃありません!」
女子生徒の一人が、エースの手から書類を取り上げた。
「あっ」
「へえ、ミカ様の用事ねえ。あなたみたいな得体の知れないものが、あのミカ様の側にいるなんて」
「……返していただけませんか?」
「嫌だと言ったら?」
エースは小さく息を吐いた。
正直なところ、面倒だった。
こちらには仕事がある。
このまま相手をしていても、時間を無駄にするだけだ。
しかし、相手は女子生徒である。
こちらから手を出すわけにもいかない。
それに、ここで騒ぎを起こせば、ミカやナギサに迷惑がかかるかもしれない。
ならば。
「……分かりました」
エースは、静かに頭を下げた。
「私の存在が気に障るのであれば、謝罪いたします。ですが、その書類はミカ様にお届けする必要があります。どうか、お返しいただけませんか」
「……は?」
女子生徒たちは、拍子抜けしたような顔をした。
反抗してくると思っていたのだろう。
エースは、それ以上何も言わなかった。
ただ、相手が書類を返してくれるのを待った。
「……つまらない」
やがて、先頭の女子生徒は書類を床へ放り投げた。
紙が散らばる。
エースはすぐにしゃがみ込み、散らばった書類を拾い集めた。
「ねえ、聞いてる?」
「……はい?」
「ミカ様の執事だからって、調子に乗らないことね。あなたみたいなものが、あの人の側にいること自体がおかしいの」
「……」
「ヘイローもないくせに」
女子生徒たちは、吐き捨てるように言い残し、立ち去っていった。
エースは、彼女たちの背中をしばらく見送った。
そして、拾い集めた書類の汚れを軽く払った。
「……やれやれ」
ため息が漏れる。
転生して早々、厄介なことになったものだ。
だが、これくらいならまだいい。
書類が少し汚れただけで済んだのだから。
そう考えながら立ち上がろうとした、そのとき。
「――エース君!」
聞き覚えのある声が響いた。
振り向くと、ミカがこちらへ走ってくるところだった。
その隣には、ナギサもいる。
「ミカ様?」
「ちょっと、今の何!?」
ミカは、立ち去っていく女子生徒たちを睨んだ。
「エース君に何かしたの!?」
「い、いえ……」
「いえじゃないでしょ! 書類、床に落ちてるじゃん!」
ミカは散らばった紙を見て、顔をしかめた。
エースが拾い集めていたため、床にはもう数枚しか残っていない。
それでも、何が起きたのかは十分に分かった。
「ちょっと、待ちなさい!」
ミカは女子生徒たちを呼び止めた。
彼女たちが振り返る。
「何ですか、ミカ様?」
「何ですか、じゃないよ! エース君に何をしたの?」
「別に、何もしていませんよ」
「嘘つかないで! 見てたんだからね!」
ミカの声が強くなる。
普段の明るい雰囲気とは違う、真剣な表情だった。
「ヘイローがないからって、エース君を馬鹿にしていい理由にはならないでしょ!」
「……っ」
「この子が何をしたの? 誰かに迷惑をかけた? 何か悪いことをした? してないよね?」
女子生徒たちは、何も言い返せなかった。
ミカは一歩前へ出た。
「それなのに、勝手に気味が悪いとか、トリニティにいるのがおかしいとか……そんなことを言うなんて、最低だよ!」
「ミカ様、私たちはただ……」
「ただ、何?」
「……」
「エース君は、あたしの大切な執事だよ。あたしが信頼して、一緒にいてもらってるの。それを、あなたたちが勝手に否定しないで!」
その言葉に、女子生徒たちの表情が変わった。
反省しているようには見えなかった。
むしろ、ミカに叱責されたことへの反感が、目に見えて強くなっていた。
「……分かりました」
先頭の女子生徒が、低い声で答えた。
「申し訳ありませんでした、ミカ様」
「……本当に反省してる?」
「はい」
そう言って、彼女たちは頭を下げた。
しかし、顔を上げたとき、先頭の女子生徒はエースを一瞥した。
その目には、明確な敵意が浮かんでいた。
――覚えてろよ。
声には出さなかったが、エースにはそう言っているように見えた。
女子生徒たちは、そのまま立ち去った。
「……まったく!」
ミカは頬を膨らませた。
「何なの、あの子たち! ヘイローがないからって、そんなの関係ないじゃん!」
「ミカ様。お気遣い、ありがとうございます」
「え? あ、ううん! 当然だよ!」
ミカは、すぐに笑顔へ戻った。
「だって、エース君は何も悪くないもん!」
「……そう言っていただけると、助かります」
「それより、怪我してない?」
「はい。問題ありません」
「本当に?」
「本当です」
「……なら、よかった」
ミカは、ほっとしたように息を吐いた。
その様子を見て、ナギサが静かに口を開いた。
「ミカ。エースさんが無事だったのは何よりですが、今後は少し気をつけた方がよさそうですね」
「……どういうこと?」
「彼女たちは、あなたに叱られたことを素直に受け止めているようには見えませんでした」
「……あー」
ミカは、先ほどの女子生徒たちを思い出した。
「確かに、そんな感じだったかも」
「エースさんを直接攻撃するだけでなく、あなたを困らせるために彼を利用する可能性もあります」
「……!」
ミカの表情が曇った。
「そんなこと、させないよ」
「ええ。ですから、こちらも注意しておきましょう」
ナギサはエースに向き直った。
「エースさん。もし何かあれば、すぐに私たちへ知らせてください。あなた一人で抱え込む必要はありません」
「ありがとうございます、ナギサ様」
エースは丁寧に頭を下げた。
そして、ミカへ視線を向ける。
「ミカ様も、あまり気にしないでください。私は大丈夫ですから」
「……でも」
「それに、せっかくミカ様が助けてくださったのです。これ以上、ご迷惑をおかけするわけにはいきません」
「……エース君」
ミカは、少しだけ困ったように笑った。
「そういうところ、あんまり無理しないでね?」
「……はい?」
「だって、エース君って、なんでも自分で何とかしようとするでしょ?」
「……そうでしょうか?」
「そうだよ!」
ミカは、びしっと指を差した。
「困ったことがあったら、あたしにもナギちゃんにも相談していいんだからね!」
「……承知しました」
エースは笑顔で答えた。
しかし、内心では少しだけ考えていた。
……相談、か。
確かに、そうした方がいいのかもしれない。
転生してから、まだ数日しか経っていない。
この世界の常識も、学園の事情も、分からないことだらけだ。
分からないことを一人で抱え込んでも、仕方がない。
エースはそう考え、二人に礼を言った。
このとき、彼は気づいていなかった。
自分を庇ったミカの行動が、先ほどの女子生徒たちの反感を、さらに強めてしまったことに。
* * *
その日の放課後。
人通りの少ない校舎裏に、数人の女子生徒が集まっていた。
「……あー、腹立つ!」
先頭の女子生徒が、壁を蹴った。
「何が『最低だよ』よ! こっちの話も聞かずに、一方的に怒鳴ってきて!」
「でも、相手はミカ様ですし……」
「だから何よ!」
女子生徒は、仲間を睨みつけた。
「こっちは別に、あの執事に何かしようとしたわけじゃない。少し話をしただけ。それなのに、あんなふうに大勢の前で恥をかかされたんですよ!」
「……まあ、確かに」
「それに、あいつも気に入らない」
女子生徒は、吐き捨てるように言った。
「ヘイローもない得体の知れないものが、ミカ様の側にいる。しかも、ミカ様はあいつを庇って、こっちを悪者扱いした」
「……どうするんだ?」
「決まってるでしょ」
女子生徒は、口元を歪めた。
「神城エースを利用して、ミカ様に恥をかかせてやる」
「……は?」
「仮にもミカ様の執事なんです。彼が何か問題を起こせば、当然ミカ様の責任も問われる。そうなれば、あの人だって困るでしょ?」
「でも、あの執事をどうやって利用するの?」
「簡単だよ」
女子生徒は、懐から一枚の紙を取り出した。
そこには、トリニティの備品管理に関する簡単な資料が記されていた。
「明日、旧校舎の倉庫に備品を運び込む予定がある。あそこには、今、管理の甘い物品がいくつも置かれているんだ」
「……まさか」
「そう。あいつに荷物運びを頼む。そして、運んだ物の中に、別の場所から持ち出した備品を混ぜておく」
「それが見つかったら……」
「ミカ様の執事が、備品の管理を怠ったことになる。場合によっては、盗難の疑いだってかけられるかもしれない」
女子生徒は、楽しそうに笑った。
「どうせ、執事になったばかりで、学園の事情なんてろくに知らないでしょうし」
「……でも、それがバレたらまずいんじゃない?」
「バレなきゃいいのよ」
女子生徒は紙を丸め、ポケットへしまった。
「それに、あの執事がどれだけミカ様に信頼されているのかも、見ものね。あいつが失敗したとき、ミカ様がどこまで庇うのか……確かめてあげる」
彼女たちは、互いに顔を見合わせた。
そして、誰からともなく笑い始めた。
その笑い声は、夕暮れの校舎裏に、いつまでも響いていた。
* * *
翌日。
「……というわけで、エース君。今日はこの荷物を旧校舎まで運んでほしいんだ!」
「かしこまりました、ミカ様」
ミカの部屋で、エースは頼まれた仕事を確認していた。
荷物はそれなりの量がある。
しかし、運搬そのものは難しくない。
台車も用意されているため、何度か往復すれば終わるだろう。
「旧校舎の倉庫に運べばいいんですね?」
「うん! あたしも一緒に行こうかなーって思ったんだけど、ナギちゃんに呼ばれちゃってさ」
「でしたら、私一人で問題ありません」
「本当? 重かったら無理しないでね!」
「ご心配なく」
エースは笑顔で答えた。
ミカは少し考え込んだあと、ぱっと顔を明るくした。
「じゃあ、終わったら一緒にお茶しよ!」
「承知しました」
「約束だからね!」
「はい」
エースは荷物を台車へ積み込み、旧校舎へ向かった。
道中、何人かの生徒とすれ違った。
その中には、昨日エースを取り囲んだ女子生徒たちの姿もあった。
「あ、神城君!」
先頭の女子生徒が、わざとらしく声をかけてきた。
「昨日はごめんなさい。少し言いすぎました」
「……いえ。お気になさらず」
「今日は荷物運びですか?」
「はい。ミカ様から頼まれまして」
「へえ。大変ですね、執事ってのも」
女子生徒は、台車の荷物をちらりと見た。
「それ、旧校舎に運ぶのでしょ? あそこ、ちょっと分かりにくいから案内して差し上げましょうか?」
「いえ、場所は聞いていますので」
「遠慮することないでしょう。こっちも昨日の詫びがしたいんです」
彼女は笑顔を浮かべていた。
昨日とは打って変わった態度だ。
エースは少しだけ警戒したものの、相手が謝罪しようとしているのなら、無下にするのもどうかと思った。
「……それでは、お願いいたします」
「はい、任せてください!」
女子生徒は仲間たちと目配せを交わし、旧校舎へ向かって歩き出した。
エースは台車を押しながら、その後ろをついていく。
しばらくして、彼女たちは旧校舎の裏手へと回った。
「……あれ? こちらで合っているのでしょうか?」
「ん? ええ、こっちから入った方が近いんです」
「そうなのですか」
エースは、特に疑うことなくついていった。
やがて、倉庫の扉が見えてきた。
「ここです。どうぞ荷物を置いていってください」
「ありがとうございます」
エースは台車を押し、倉庫の中へ入った。
そこには、さまざまな備品が置かれていた。
机や椅子、段ボール箱、古い機材。
確かに、荷物を置く場所としては問題なさそうだ。
エースは運んできた荷物を指定された場所へ並べ、台車を戻そうとした。
そのとき。
「――あれ?」
倉庫の奥で、何かが倒れる音がした。
続いて、慌ただしい足音。
「おい、早くしないとあいつに見つかっちゃう!」
「分かってる!」
聞き覚えのない声だった。
エースは眉をひそめた。
どうやら、誰かが別の作業をしているらしい。
しかし、こんな場所で何をしているのだろう。
「……失礼します。どなたかいらっしゃいますか?」
声をかけながら、倉庫の奥へ進む。
すると、そこには数人の生徒がいた。
彼女たちは、棚から取り出した備品を箱へ詰め込んでいるところだった。
そのうちの一人が、エースに気づいて顔を強張らせた。
「……誰よ、あなた!」
「神城エースと申します。こちらへ荷物を運ぶよう頼まれたのですが……」
「ちっ、見られましたか!」
生徒の一人が箱を抱え、出口へ走ろうとした。
「待ってください!」
エースが呼び止める。
しかし、彼女たちは止まらなかった。
むしろ、出口を塞ぐように立ち塞がった。
「見られた以上、帰すわけにはいきません」
「……何をするつもりですか?」
「何って、決まってるでしょ!」
生徒の一人が、エースの胸元を押した。
エースは数歩後退し、壁際に置かれていた棚へ手をついた。
「余計なことをせずに、荷物だけ置いてさっさと帰れば、何も起きなかったのにね!」
「……なるほど」
エースは、ようやく状況を理解した。
どうやら、彼女たちは備品を盗み出そうとしていたらしい。
そして、現場を目撃した自分を逃がすつもりはない、と。
……はあ。
転生してまだ間もないというのに、どうしてこうも面倒事に巻き込まれるのだろう。
もっとも、ここで見逃すわけにもいかない。
「今なら、まだ間に合います。備品を戻して、先生か風紀委員に報告してください」
「……は?」
「これ以上、事態を悪化させない方がいいと思います」
「ふざけるな!」
生徒がエースの胸ぐらを掴んだ。
「あなた、今置かれてる状況を理解して説教してるの!?」
「……説教ではありません。忠告です」
「うるさい!」
拳が飛んできた。
エースは咄嗟に顔をそらし、肩で受け流す。
そのまま相手の手首をつかみ、力を込めずに押し返した。
「……やめましょう。私は、あなたたちと争うつもりはありません」
「なら、大人しくやられない!」
別の生徒が、棚の上にあった棒状の備品を手に取った。
それを見て、エースは小さく息を吐いた。
……話し合いで解決するのは、難しそうだ。
しかも、ここで騒ぎを起こせば、ミカ様に迷惑がかかる。
できるだけ早く制圧し、事態を収める必要がある。
エースは周囲を確認した。
倉庫の外には人影がない。
出入口も、今は相手の生徒たちに塞がれている。
幸い、ミカもナギサもここにはいない。
ならば。
「……申し訳ありませんが、少しだけ眠っていてください」
「はあ?」
エースは、腰に装着していたデザイアドライバーへ手を伸ばした。
生徒たちが、その動きに気づく。
「な、何、それ?」
「おい、変なものを取り出したぞ!」
エースは、ファンタジーバックルを手に取った。
そして、迷いなくドライバーへ装填する。
『SET』
「変身」
レバーを操作する。
『FANTASY』
幻想的な音声が倉庫内に響き渡った。
魔法陣を思わせる光が展開し、青と金を基調とした装甲がエースの身体を包み込む。
『READY? FIGHT』
そこに立っていたのは、仮面ライダーギーツ・ファンタジーフォーム。
生徒たちは、目の前の光景に言葉を失っていた。
「……な、何だよ、それ!?」
「ば、化け物……!?」
「失礼ですね。私は人間ですよ」
エースは、いつもの調子で答えた。
もっとも、今の姿で言っても、説得力があるかどうかは分からないが。
「とにかく、抵抗しないでください。大人しくしてくれるなら、こちらも手荒な真似はしません」
「ちょ、調子に乗るじゃない!」
生徒たちが一斉に襲いかかってきた。
エースは、肩部拡張装備を広げた。
ローブコンダクターとマニフェスリーブから、淡い光を放つサークルフィールドが展開される。
その中心から、盾の形をしたファンタジーエフェクトが具現化した。
飛びかかってきた生徒の攻撃を、盾で受け止める。
衝撃が響いた。
しかし、エースの身体は揺るがない。
「なっ!?」
「すみません」
エースは盾を傾け、相手の勢いを横へ流した。
生徒の身体がよろめく。
そこへ一歩踏み込み、手加減した拳を腹部へ叩き込んだ。
「ぐっ……!」
相手は息を詰まらせ、その場に崩れ落ちた。
続けて、棒を振り下ろしてきた生徒へ向き直る。
エースは腕を動かし、ファンタジーエフェクトを爪状へ変化させた。
武器を横から弾き飛ばす。
棒が床を転がった。
「な、何なのよ、あなた!」
「だから、ただの執事です」
「そんなわけないでしょ!」
別の生徒は、重火器を取り出し、後ろから銃撃を仕掛けてきた。
エースは振り返らず、サークルフィールドを足元へ展開する。
具現化した光の障壁が相手の進路を塞ぎ、その動きを止めた。
その隙にエースは振り向き、相手の腕をつかんで体勢を崩す。
床へ倒れ込んだ生徒の手足を、光の輪が拘束した。
「暴れないでください。怪我をしますよ」
「くそっ、離せ!」
「大人しくしてくれれば、すぐに解放します」
エースは、残った生徒たちを見回した。
彼女たちは、明らかに怯えていた。
当然だろう。
目の前にいるのは、見たこともない装甲を身にまとい、光の武器や障壁を自在に操る存在なのだから。
「……まだ続けますか?」
「……っ」
誰も動かなかった。
エースは、ほっと息を吐いた。
「では、救護騎士団か正義実行委員を呼びます。皆さんは、そのまま動かないでください」
そう言って、彼は倉庫の外へ出ようとした。
しかし、その直前。
「……待ちなさい」
背後から声がした。
振り返ると、先ほどまで床に倒れていた生徒の一人が、ふらつきながら立ち上がっていた。
彼女は、落ちていた銃を拾い上げる。
「お前さえ……お前さえいなければ……!」
そして、エースへ向かって発砲した。
「……まったく」
エースは肩を落とした。
仕方がない。
彼は銃弾の動きを見極め、半歩だけ横へずれた。
銃弾が空を切る。
そのまま相手に近づき、手首を押さえ、足を払った。
生徒の身体が床へ倒れる。
さらに、エースはファンタジーエフェクトを変形させ、光の輪で相手の腕と胴体を拘束した。
「今度こそ、終わりです」
生徒は抵抗を続けたが、拘束は解けなかった。
エースは変身を解除した。
装甲が光となって消え、元の執事服姿へ戻る。
彼は小さく息を吐き、端末を取り出した。
……さて。
こういう場合、どこへ連絡すればいいのだろう。
ミカ様に報告するべきか。
いや、まずは正義実行委員か、備品管理の担当者だろう。
エースは端末を操作し、学園の連絡先を確認した。
その後、必要な連絡を済ませ、現場に来た教職員へ事情を説明した。
盗み出されようとしていた備品も、無事に回収された。
これで一件落着。
……のはずだった。
しかし、エースはまだ知らなかった。
今回の騒動が、彼を利用してミカを困らせようとした生徒たちの計画の一部だったことを。
そして、その計画が失敗したことで、彼女たちがさらに厄介な行動へ出ようとしていることを。
* * *
その日の夕方。
ミカの部屋。
「……えっ?」
ミカは、エースから報告を受けて目を丸くした。
「旧校舎で盗難騒ぎがあったの!?」
「はい。幸い、備品はすべて回収されました。関係者も教職員の方々へ引き渡しております」
「そ、そうなんだ……」
ミカは少し考え込んだ。
「……でも、エース君は大丈夫だった?」
「はい。問題ありません」
「本当に?」
「本当です」
「……そっか。よかったぁ」
ミカは、ほっと胸を撫で下ろした。
その様子を見て、エースは少しだけ微笑んだ。
「ご心配をおかけして申し訳ありません」
「ううん。エース君が悪いわけじゃないもん」
ミカは、ふと首を傾げた。
「でも、どうやって解決したの? エース君、戦えたっけ?」
「……ええと」
エースは一瞬だけ言葉に詰まった。
まさか、仮面ライダーに変身して制圧しました、などと言えるはずもない。
少なくとも、今は。
「……相手の方々が、途中で抵抗をやめてくださいましたので」
「ふーん?」
ミカは、少しだけ不思議そうな顔をした。
しかし、深く追及することはなかった。
「まあ、無事ならいっか!」
「……ありがとうございます」
「それより、約束覚えてる?」
「……約束、ですか?」
「お茶! 事件が終わったら、一緒にお茶しようって言ったでしょ!」
「ああ……はい。もちろんです」
「えへへっ! じゃあ、今日は特別なお菓子も用意しちゃおうかな!」
ミカは、楽しそうに笑った。
エースはその様子を見ながら、内心で胸を撫で下ろした。
どうやら、仮面ライダーのことは知られずに済んだらしい。
今のところは、それでいい。
彼は、この世界でどのような存在として生きていくべきなのか、まだ分かっていない。
自分が持つ力のことも。
転生についても。
そして、自分が何度も死んでいることも。
何も知らない。
ただ一つ分かっているのは、目の前の人が困っているのなら、できるだけ助けたいということだった。
それは、前の人生でも変わらなかった。
そして、これからも変わらないだろう。
……もっとも。
そのお人好しな性格が、今後どれほどの騒動を招くことになるのか。
エース本人は、まだ知る由もなかった。
* * *
夜。
ミカの部屋を出たエースは、与えられた自室へ戻っていた。
執事服を脱ぎ、机の上へ学生証を置く。
そこには、神城エースという名前が記されている。
この世界での自分の名前。
この世界での自分の身分。
そして、この世界での自分の居場所。
「……神城エース、か」
エースは学生証を手に取り、しばらく眺めた。
前の人生では、日本で暮らしていた。
この世界へ来る前に、神様と会ったこと。
願いを叶えてもらい、転生したこと。
そして、仮面ライダーの力を授かったこと。
「……まあ、考えても仕方ないか」
エースは学生証を机へ戻した。
この世界には、ミカがいる。
ナギサもいる。
そして、自分には執事としての仕事がある。
まずは、それをしっかりこなしていこう。
いつか、自分が何者なのか分かる日が来るかもしれない。
そのときまでは、目の前のことに全力で取り組めばいい。
「……よし!」
エースは気合いを入れ直した。
明日も、きっと忙しいだろう。
ミカの世話をして、頼まれた仕事をこなして、何かあれば助けに行く。
いつも通りの一日になるはずだ。
……少なくとも、本人はそう思っていた。
* * *
同じ頃。
トリニティの別の場所では、数人の女子生徒が集まっていた。
「……失敗した?」
「はい。備品を盗み出そうとしたところを、神城エースに見つかりました」
「それで?」
「教職員に引き渡されました。盗難の件も、すべて明らかになっています」
「……チッ」
先頭の女子生徒が舌打ちした。
「使えない方々……」
彼女は机を叩いた。
「それで、あの執事はどうやって彼女たちを制圧したの?」
「それが……詳しいことは分かりません。ただ、抵抗していた生徒たちが、次々と動けなくなったそうです」
「……何よ、それは」
「本人は、相手が抵抗をやめたと言っているようですが……」
「ふざけないで!」
女子生徒は声を荒らげた。
「そんな簡単に終わるわけがないでしょ!」
彼女は、しばらく考え込んだ。
そして、ゆっくりと口元を歪める。
「……いいでしょう。なら、別の方法を考えるまでです」
「……次は、どうするんですか?」
「決まっています」
女子生徒は、窓の外を見た。
夕暮れのトリニティ。
そこでは、何事もなかったかのように、生徒たちが行き交っている。
「神城エースを利用して、ミカ様を困らせる。それだけです」
彼女は、冷たい声で言った。
「今度は、絶対に失敗しない」
その瞳には、強い敵意が宿っていた。
* * *
その夜。
誰もいない部屋で、エースはデザイアドライバーを手に取っていた。
腰に装着するためのベルト。
仮面ライダーへ変身するための道具。
そして、その力を引き出すバックル。
ファンタジー。
ブースト。
シールド。
ウォーター。
レーダー。
アロー。
今の自分が持っているのは、この六つだ。
エースはファンタジーバックルを手に取り、表面を指でなぞった。
「……本当に、不思議な力だよな」
今日の戦闘を思い返す。
光の盾を生み出し、爪のような武器を作り、敵の動きを拘束した。
自分の想像に応じて、力の形が変化する。
まるで、物語の中に出てくる魔法のようだった。
もっとも、エースにとっては、すでに見慣れた力でもある。
神様から与えられた、仮面ライダーの力。
これがあれば、困っている人を助けられる。
今日のように、誰かが危険な目に遭っているときも。
そう考えると、自然と口元が緩んだ。
「……せっかくもらった力だ。誰かの役に立てないとな」
エースはバックルを元の場所へ戻した。
まだ、この力のことを誰かに話すつもりはない。
少なくとも、ミカには。
彼女には、できるだけ普通の執事として接していたい。
仮面ライダーのことを知れば、きっと心配するだろう。
それに、彼女の周囲には、すでに多くの問題がある。
余計な心配を増やす必要はない。
エースはそう考え、部屋の明かりを消した。
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『A』─情報
エースが転生後、世界の事象が「そうアレ」と一部を書き換え、エースの戸籍、住居、持ち物が自動的に用意されることがある。(用意されないときもある。※アビドス編)
そのため、エースが住宅に住んでいようと、学園に転入しようと、居ることに、誰も疑問に思わない、思うことも無い。
(なお、その現象について、エースは神様が何かをしたのだろう。転生した時に自分が困らないようにしてくれたのだろうと。プラス思考で考えている模様。)