キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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話を全て3人称にし、少し構成を変えた修正版です。合計6話を修正していきたいと思っています。


原作開始前
プロローグ 


アビドス砂漠。かつて発展を遂げていたアビドス学園が突如発生した砂塵により埋もれてしまった成れの果てである。

そんなアビドスに2つの影が動いていた。一つは機械の体を持ちとても強大、頭上には天使の光輪のようなものが浮かび上がっていた。

 

もう一つは男子生徒であり、見た目は普通。こちらも頭上には天使の光輪のようなものが浮かび上がっている。

そんな2つは毎日死闘を繰り広げていた。

 

ヘビのような図体の口内から光が漏れ出ている。アツィルトの光と呼ばれるその攻撃は岩をも溶かす熱光線を発射する大技である。

何処ぞの対策委員長じゃないとまともに受け止められないようなその攻撃が、少年に浴びせられようとしていた。

 

 

「ビナーくん…お前の全力を見せてみろ!!!」

 

 

大の字に広がった生徒に容赦なく熱戦が広がっていくが、それを涼しい顔で受け止めている。

彼の名前は石依コウ。アビドス高校にて守備力挑戦部と言う部活を勝手に開いて好き勝手に楽しんでいるある意味の問題児であり、その活動はアビドスに留まらず多方面に迷惑をかけている。

 

 

「……ふぅ、今日も良い熱戦だねビナーくん。その調子で俺に痛いを痛感させてくれよ?」

 

 

高熱の光をその身に受けながら言葉を溢すその見た目は狂人としか言いようがないだろう。

 

 

 

 


 

 

 

 

「……まぁこんなところにしようぜ、ビナーくん。今日も沢山楽しめた、終わり!!」

 

 

コウの言葉が聞こえたのか、ビナーは動きを止めたかと思えば、少し離れた地点を見つめ続けている。

 

 

「段々威力が上がってきてる気がするな……やれば出来るじゃん、見直したわ」

 

 

声を掛けられはするが特にビナーは何も答えない。その場で遠くの一点を見つめている。

 

 

(……様子がおかしいな、何か見つけたのか?)

 

 

気になったので、コウはビナーによじ登って同じ方向を向いて見る。此処までしても抵抗しないビナーは、友情か何かは芽生えてると言って良いだろう。この勝負も何度目か忘れたくらいだ。

 

 

「あれ……誰か……倒れてる?」

 

 

砂漠の中心近くで、誰かがうつ伏せになって倒れているのが見えた。こんな砂漠で寝転んでいると死ぬしかないのは明白だが、少なくとも緊急事態だ。

それにしても何でビナーはずっとあの人を見ているのだろうか。久しぶりに痛いを痛感してそうな人を見かけて感慨に耽っているのかもしれない。

 

 

「っとそんな場合じゃない……一応助けに行かないと、後で絶対夢に出て来るぞ」

 

 

夢の中であの人大丈夫だったかな?と思うと眠れなくなってしまう。寝付きの良さが取り柄のコウとしては死活問題である。

 

 

「じゃあな、ビナー!!」

 

 

コウに興味を無くしたのか、ビナーは砂の中に潜っていった。その姿に手を振りながら、コウは倒れている人の方向に向かって行った。

 

 

 

 

 

(……あれ、待って?ユメパイセンじゃね?)

 

 

「うぅ……ホシノちゃん……ごめんね……」

 

 

「ユメパイセンじゃないっすか。何してるんですか?こんな所で倒れちゃって、死んじゃいますよ?」

 

 

「声が聞こえる……もうお迎えが来たの……?」

 

 

「ダメだこりゃ」

 

 

とりあえず水を飲ませて様子を見てみる。この感じだと脱水症状だろう、地元民だと言うのに、一体何をしているのだろうか。

 

 

「…ンク…コク……フー……」

 

 

呼吸が安定してきた。どうやら重症になりすぎないタイミングで見つけられたらしい。随分と悪運が強い人だ。

とりあえず病院に行って検査をしてもらおう、そう思ってユメを背中に背負う。こう言う場合は専門家に見てもらうのが一番である。それに、万が一何かあれば唯一の同級生であるホシノに顔向けが出来ない。

 

……それにしてもこの程度の環境でこんな極限状態に陥るのか。そうコウは思うが、普通に考えればこの砂漠で長期間耐えられるのはそうそう居ないのが現実である。

しばらくして、コウはユメを病院に連れて行った。すぐに治療室に運ばれて行ったユメを尻目に、携帯を取り出して電話をかけた。

 

 

……応答が無い。何処かに出かけているのだろうか。

 

 

繰り返して電話をかける。3回目になった時にようやく電話に出た。

 

 

『何なんですか一体!!何度も電話してきてこっちはそれどころじゃないんです!!』

 

 

「うるっさ」

 

 

電話して早々に罵声を浴びせられてしまい、思わず悪態を吐く。しかしホシノがこれだけ焦る理由に心当たりがあった。

 

 

「……そのそれどころって用事、もしかしてユメパイセンと関係ある感じであってる?」

 

 

『は?……どうしてそれを……』

 

 

「そりゃ見つけたからな。ユメパイセン、砂漠で倒れてたぞ?今は近くの病院に運んで治療してもらってるとこ。多分そこまで重症じゃないと思うぞ」

 

 

……本当ですか?

 

 

ホシノの少し震えた声が聞こえている。よっぽど心配していたのだろうか、お騒がせな先輩を持つと苦労するなぁ…と他人事のようにコウは思う。

 

 

「マジマジ。嘘なんか付かないって」

 

 

良かった……ありがとうございます……

 

 

「また後で連絡するから、それじゃまたなー」

 

 

『グス……はい……』

 

 

連絡が済んで一安心するコウ。十数分後に診察室に呼ばれたので向かっていった。

 

 

「どうですか?ユメパイセンの具合は」

 

 

「手遅れになる前に発見出来たのが幸いでした。少し脱水症状に陥ってはいますが、後遺症も出ない範囲で数日後には目が覚めるでしょう」

 

 

「そりゃよかった。また目覚めたら連絡してくれませんか?連絡先は伝えておくので」

 

 

「はい、分かりました。そのようにします。……それにしても、何があったらこんな状態になるんですか?まさか砂漠で遭難とか……」

 

 

「そのまさかなんですよね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま病院に出た際に、コウは足を止めた。何故なら見知った顔があったからだ。

 

 

「貴方のことを見ていると、飽きませんね……」

 

 

「黒服?どしたん?」

 

 

黒服、彼はビナーと何回か対決した後に話しかけて来た謎の人物である。黒服と言うのも本名では無いらしい。まだビナーの名前も知らずに機械蛇と呼んでいた頃、横から突然話しかけてきてビナーに関する詳細を教えてくれた。

 

 

「相変わらず貴方の頑丈さは指折りですね……外傷だけではなく病気などに対しても強いとなると、その屈強さはヘイローのそれを逸脱しています。それに加えて貴方のテクストは不変であり絶対……以前どれだけ実験しても反転の兆しも表れなかったことを思い出すと泣きたくなります」

 

 

コウは何度か黒服の実験を受けたことがあるが、何をされようとも、何を打ち込まれようとも何の反応も示さなかったので、コウからすれば報酬金が貰えただけだった。なので良い人判定している。

 

 

「今回もビナーと戦ってた時、多分見てたよな、どうだった?なんか変化あった?」

 

 

「貴方の予想通り、ビナーの熱線の出力は上昇しています。……少し不可解な行動を取っていたのも気になりますね。かの存在も貴方に当てられて、何か新しい考えを証明し出したのかもしれません。……今後とも貴方のことは観察させてもらいます」

 

 

「おう、のんびり観察しときな」

 

 

「えぇ……よろしくお願いしますよ、暁のホルスに並ぶ存在である貴方には期待していますからね」

 

 

「なぁ、その暁のホルスって誰の事なんだよ、良い加減に教えて?」

 

 

「貴方の知っている人ですよ」

 

 

「えぇ……?誰ぇ……?」

 

 

「クックックッ……」




この話のビナーはマスコットです。可愛いね。
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