キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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大乱闘!?ミラクル5000争奪戦!!

「ぁ……うわぁ……」

 

 

「……一体何が……」

 

 

銃声が鳴り響き、罵詈雑言が飛び交う、果てには爆弾が舞うそんな光景。俺たちはいつの間にゲヘナに来てしまったのか。平和の基準が緩いキヴォトスからすればこの程度の事は慣れた事なのだが、トリニティ自治区とは思えない状況になっていた。

 

 

「トリニティっていつもこんな感じなのか?もう少し平和だと思ってたけど……」

 

 

「そんなことはないと願いたいですが、むしろキヴォトスで銃声も爆発音もしない方がおかしくないですか?」

 

 

なんてことだ、これ以上ない正論を言われてしまった。銃声と爆発音を抜きにした平和だったか、確かにそう言われればマシな気がして来た。

 

 

「一体何が原因なんだこれ……」

 

 

「……お困りのようだね、お二人さん」

 

 

うわびっくりした。現地の人かな?

 

 

「今回の騒動の発端はね、ミラクル5000だよ」

 

 

「ミラクル5000……あぁ、あのスイーツですか」

 

 

「ミラクル5000?ケイ知ってんの?」

 

 

「えぇ、ミラクル5000はトリニティの外れで売っている限定ケーキです。トリニティでも屈指の人気スイーツであり、よく紹介されていました。問題はその人気すぎる所です」

 

 

「そんなに人気なの?」

 

 

「観光客どころか、地元のトリニティの生徒達も買い求める食品です。酷い生徒は理性を無くすかのように暴れ回り、ミラクル5000を求めたと言われています」

 

 

「……じゃあこの状況はまさにそれの最中ってこと?」

 

 

「おそらくは、ですが」

 

 

「この戦いの果てには、いったい何があるのか……」

 

 

「ミラクル5000だろ」

 

 

ウッソだろお嬢様学園。ケーキ一つで理性失うとか、ゲヘナの事悪く言えないじゃねーか。そう思いつつ現場の方へ向かっていくと、ケイに服を摘まれる。

 

 

「何処にいくつもりですか。まさかあの場に行こうとでも思ってないですよね?」

 

 

「逆に行かないとでも思ったか?俺がこんな面白そうな出来事に」

 

 

「……はぁ。分かりましたから、せめて1人で歩き回らないでください。コウが一人でいると迷子になりますよ」

 

 

「おぅ……否定出来ない」

 

 

喧騒の地へ向かっていると、言い争っている声が聞こえて来た。

 

 

「こっち来るんじゃねぇー!!私たちはこれからこいつを売ってボロ儲けするんだぁ!!」

 

 

「ふざけないでよヘルメット団!!あんた達昨日の夜からずっと並んでて、一番乗りかと思ったらミラクル5000を10個ずつ注文って頭おかしいんじゃないの!?」

 

 

「そーだそーだ!!食べないならアタシ達に寄越せ!!」

 

 

トリニティ生徒、ヘルメット団、スケバンがグチャグチャになって争っているカオスな状況。多分さっきのセリフが大体の原因なのだろう。

 

 

「……確かミラクル5000は、1日200個限定販売でしたね」

 

 

「……それでヘルメット団が買い占めようとして、それに怒ったトリニティの生徒とスケバンとで大喧嘩って感じか」

 

 

「何故あれほどヘルメット団はミラクル5000を買おうとしているのですか?」

 

 

「1日200個限定販売を買い占めた後に、高値で売ろうとしてるんだろうな。買える場所がそこしかないんだったら、多少高くても買うしかないってわけ」

 

 

「……あまり褒められた行為ではありませんね」

 

 

ケイの教育に悪いのでやめて欲しいが、生憎この場を収められるほど力が強いわけでもない。さてどうしたものかと頭を悩ませていると……

 

 

「朝早くから銃声が聞こえて駆けつけてみれば……これは事件ですね!!」

 

 

「!?」

 

 

ギョッとして隣を見ると、個性的な髪色をした子が立っていた。年齢は正直ホシノの例もあるから断定はできない。

 

 

「えっと……ここは危ないから離れた方が…」

 

 

「ご安心ください、私はこの場を収めに来ました!!みんなのスーパーアイドル、宇沢レイサ!!ここに登場です!!」

 

 

「……スーパーアイドル?」

 

 

「うっわめんどくさい奴来た!?」

 

 

色んなところから色んな反応が出て来る。どうやらスケバン達からは知られているようで、この場を収めに来たと言っていることから腕っ節も期待できそうだ。

 

 

「そう言うなら、戦えるって思っていいんだな?」

 

 

「はい!!この場の鎮圧は任せて下さい!!」

 

 

「そんじゃっ任せるわ。ケイ、離れとけ」

 

 

「終わったら呼んでください。近くの公園にいるので」

 

 

「了解」

 

 

ケイを見送り、レイサの隣に立つ。協力プレイはあまりしたことがないが、多分なんとかなるだろう。

 

 

「俺のことは、超高級な鉄壁だと思っていいぞ。寧ろ壁になるぐらいしか取り柄ないから」

 

 

「分かりました!!それでは……とりゃー!!!!」

 

 

「ギャッ!!こっちくんな!?カズサの奴ならここには居ないって!」

 

 

「美味しいケーキはみんなに食べる権利があるものです!!それを独占しようとする人達に、この宇沢レイサは手加減しません!!」

 

 

おぉ〜やってるやってる、口だけじゃないみたいだな。銃撃戦に真正面から突っ込みながら俺も参戦する。

 

 

「えっはっ当たったよな?少しは反応して欲しいんだけど?」

 

 

「すまん痛くないんだわ、諦めてくれ。お前らも手伝え〜!!こいつらから定価で巻き上げるぞ〜!!」

 

 

「聞いたか!?アイツらからぶん取るぞ!!」

 

 

「これがミラクル5000の恨みッ!!」

 

 

食い物の恨みは激しい。普通は共闘するはずのないスケバンとトリニティが一致団結してヘルメット団をボコボコにしていく姿を見て、そう実感するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいどうぞ」

 

 

「かんしゃぁ!」

 

 

「うぅ……次は食い物以外の物にするか……」

 

 

「なんで辞めるって選択肢がないんだよ」

 

 

欲しい人を列に並ばせて、定価の値段で交換していく。俺も丁度お土産が欲しかったから、6個買っておいた。全員に配り終えたところで無くなったのか、そのままトボトボとヘルメット団は帰って行った。

 

 

「……どうやら本当に杏山カズサは居なかったようですね。スケバン達がいたのでもしかしたらと思ったのですが、せっかく勝負を仕掛けようとしていたのに…!!」

 

 

「……お前っていっつも杏山さんに勝負挑んでるよな。私達だったらあんなおっかない人に勝負なんて嫌だよ」

 

 

「当然です!!杏山カズサは私の宿敵であり、決着を付けなければいけない相手ですから!!」

 

 

そしてしばらくすると皆散り散りになり、先程の騒乱が嘘のように静かになってしまった。

……ケーキ買っちゃったし、3時までにアビドスに戻るか。そう思って公園で待つケイを回収しに行った。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

 

「おかえり〜コウ、ケイちゃん。トリニティは楽しかった?」

 

 

帰ってきて早々にホシノに迎えられる。ノノミとシロコもいるようだけど、ユメパイセンは見当たらない。今日は来てない日なのかな?

 

 

「はい。景観が素晴らしく、見ていて飽きない時間でした」

 

 

「はいこれお土産。なんか向こうで有名なケーキらしい」

 

 

「わぁ!!ありがとうございます!!早速みんなで食べましょうか〜☆」

 

 

「……ん、一つ多くない?」

 

 

「それユメパイセンの分だから、…今は居ないか?」

 

 

「みんなぁ〜!!遊びに来たよ〜!!」

 

 

「グッドタイミングですね☆」

 

 

噂をすれば何とやら、ユメパイセンが生徒会室にやってきた。その胸元には懐中時計のようなものを首から下げている。

……よしよし、ちゃんと身につけてくれてるな。

 

 

「ん、ユメ先輩それどうしたの?」

 

 

「あっこれ?エヘヘ〜、コウくんがプレゼントしてくれたんだ♪」

 

 

「コウがプレゼント?どう言う風の吹き回しなの〜?」

 

 

ホシノに探るような目線を向けられ、ノノミからは見直しました!!と言わんばかりの視線を投げかけられ、少し困惑する。俺の事今までどんな奴だと思ってたんだよ。

 

 

「この前ミレニアムに行って作ってもらったんだよ。そこ開けたら時計が表示されて、このボタンを押したらコンパスの画面に変わる機能が付いてるぞ」

 

 

「ふぅん……確かにこれだとユメ先輩もコンパスを忘れちゃうことはなくなるかな。コウ、ナイスアイデア」

 

 

「ふぇ…ホシノちゃん、流石に私も懲りたからよしてよぉ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだホシノ、今日は午前中になんかあったりした?」

 

 

ケーキを摘みながらそんな話をする。アビドスだからあまり面白い話は期待出来ないが、念の為聞いておきたかった。

 

 

「うへ……特に無かったかな……いや、パトロール中にアビドスの中学生の子がスケバン達に絡まれてたから、助けてあげたぐらいかな」

 

 

「まだそんな若い子がこの辺りにいたんだな〜……もしかしたらここに入学してきたりしないかな」

 

 

「どうだろ……アビドスはこんな惨状だし、強い地元愛がある子じゃないと厳しいんじゃないかなぁ」

 

 

「まぁそっかぁ……また色々アビドスの魅力を伝える活動しとかないとなぁ」

 

 

「だねぇ」

 

 

そんな会話をしながら今日もまったり過ごしていく。なおこの数週間後にその2人組が尋ねてくるのであるが、そんなこと知る由もなかったのだった。

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