投稿頻度が本格的に遅れてきましたね……多分これからも遅れるので腹を切って詫びます。
アル社長が。
"コウって、確かアビドスから来てるんだよね?"
「え?まぁ、そうですけど」
現在2人はシャーレにて書類仕事をしている。コウは正直お金に困っているわけでもなくここに来る必要はないのだが、あれから実験に行く事を禁止されているのでこれも収入源の一つである。実はそれ以外にも一つ理由はあったりする。
なお黒服とは今でもたまに連絡を取っている。最近ホシノにまた振られたらしい。腹いせにコウを実験に呼んでくるのがお決まりだ。*1
"最近色々な自治区の情報を集めてるんだけど……アビドスの事を調べてもそこまで良い情報ばかりじゃなくて"
「まぁそうなるか……あんな所だから目新しい情報もないし」
"色々と教えてくれない?地元の人の情報って貴重だからさ"
「そうですね……まず、ゲヘナとは違う意味で治安が悪いです。砂に埋もれた廃墟ばかりで整備されていない、そんな所には不良達が根城にしている事も多々あります」
"ふむふむ…"
「これでも昔よりは良くなったんですよ?ホシノがアビドスをパトロールしてくれてるんで、今いるのは軒並み団体様だけだし」
"ホシノって言うのは、アビドスの生徒の子?"
「そうですね。同じ3年生、俺の唯一の同級生で、全校生徒7人の貴重な1人です」
"ぜっ…全校生徒7人…!?過疎化してるとは聞いてたけど、そこまでなんて…"
「まぁあんな環境に好き好んでいる奴なんてほぼいないというか……俺もビナーを見つけたから残っただけだったしなぁ…」
コウにとってビナーは、アビドスに残る理由をくれた重要な存在である。初めて見た時は興奮して真正面から突っ込んでしまった。あの時浴びた熱戦を生涯忘れることはないだろう。
"ビナー?"
「アビドスにたまに出て来るデッカい蛇の機械ですよ。これです」
そう言って少し前に撮ったビナーの写真を先生に見せる。そうすると先生の目が明らかに輝き始めた。
"……わぁ……すっごい!!アビドスにはこんなのがいるの!?かっこいい…!!"
先生はロボットものが好きな人だったか。そういえば棚の上にロボットのフィギュアが置かれていたのを今更にしてコウは思い出す。思ったより話が合うのかもしれない。
「……これとかどうですか?カイテンジャーって言うヤバい奴らのロボットなんですけど」
"……このロボットさ、グッズとかないの?"
「…前それでユウカに怒られたって言ってなかったっけ?計画的な消費をって。それにコイツら見た目だけで行動は普通に犯罪者なんで、グッズとかはないです」
"そっか……残念だなぁ、カッコいいのに。……いや、そんなことよりもアビドスの事だよ、脱線してた"
「何の話だっけ……あぁ、過疎化してるって話か。まぁ原因はわかってると思うんですけど、砂嵐ですね」
"自然災害はどうしようも無いよね…"
「こればかりはねぇ…そのせいでちょっと前まで借金もあったんですよ。今は完済したけど」
"苦労してきたんだね……グスッ…私に何か出来ることはあるかな…?"
(生徒思いが凄すぎないか?感情豊かだなこの人。それにしても出来る事か……あっそうだ。)
「…それが最近、アビドス高校に頻繁に不良達が襲撃を仕掛けてくるようになってまして、物資を補充する暇もない有様なんです。その援助は出来ませんか?」
"それぐらいなら任せてよ、手配してみるね!…今まで連邦生徒会は何もしなかったのかな…?"
「まぁ荒廃一直線の学校だし、普通は支援しませんよ。周りから見ればそう見えるのも仕方ないですし」
"余裕が出て来たら色んな自治区に出張しようと思ってるんだけど、まずアビドスに行ってみようかな"
「いや、最初に行く所でアビドスはハードすぎません?地図もしばらく更新されてないし、下手したら遭難しますよ?」
"…その時は誰か迎えに来てもらったり出来ないかな……?"
「…1人いけそうな奴に心当たりあるんで、その時は連絡して下さい。こっちから頼んでおきます」
"ありがとう!助かるよ"
少し休憩しますね、と言ってコウは近くにあったチョコレートを食べつつスマホを見始めた。すると数分後、何か気になったものを見つけたのか目を細めだした。
"どうしたの?"
「いや……今SNSでシャーレ関連の話題見てたんですけど…」
そう言われて、シャーレを奪還した際にユウカに言われたことを先生は思い出す。一体どんな話題が飛び交っているのだろうと、コウのスマホを確認してみると…
一般生徒A『シャーレって、結局どんな事してるの?』
一般生徒B『さぁ‥?連邦生徒会長の後釜みたいだし、凄いことしてるんじゃない?』
一般生徒C『あの人の後釜なんて無理だと思うけど』
一般生徒F『シャーレの先生って、ちょっと撃たれただけで死んじゃうらしいよ。貧弱じゃん、何が出来るんだろうね』
一般生徒H『連邦生徒会の権限も、実質トップみたいなものらしいよ。そんな弱い人が偉い人だとすぐ狙われそう』
一般生徒L『でも人殺しにはなりたくないなぁ。私は遠慮しとく』
一般生徒N『連邦生徒会長もどこ行っちゃったんだろうね。仕事に疲れて逃げちゃったとか?』
一般生徒R『それで大人に丸投げってわけね……見損ないましたよ連邦生徒会長』
一般生徒X『次は先生が失踪するんですね、分かります』
"……えっと、これが?"
「シャーレの活動って、あまり認知されてないみたいですね。今の所大体の印象がなんか権限デカくて貧弱な人、ですよこれ」
"これはひどい…説明の機会作った方がいいかな?"
「動画投稿サイトとかでシャーレの宣伝アカウントでも作るのはどうですか?。手伝いますよ」
"…よし、やってみよう!!機材持ってくるね!!"
「流石大人の行動力というか……」
「ふぅ〜ん……」
「どうしたんですか?ホシノ先輩」
「……いやぁ?いつも通りゆっくりしてただけだよ?」
コウがシャーレに通うようになって数日後、アビドスの元には多数の補給物資が届いていた。
コウが連邦生徒会に向かったあの日、ホシノはコウからシャーレの先生に会った事、連邦生徒会に起きた事件の経緯を帰った後に聞いており、その際に先生がどんな人かを見極めて欲しいとコウに依頼を出していた。
(シャーレから物資が届いたって事は、コウがアビドスの事を話したって事……先生は信頼出来る人って事で良いのかな?)
支援が受理された事を喜ぶ後輩達を見ながら、ホシノは1人先生がどんな人なのかを考えていた。
「ん……コウ先輩には感謝しないと。これだけ物資があれば、しばらくは持たせれる」
「シャーレの先生がどんな人なのかよく分かっていませんが……少なくともこうして支援をしてくれただけでもありがたいですね」
「そうですね……近いうちにアビドスに来られるようなので、お出迎えの準備でもしておきましょうか」
「歓迎会ですね!飾り付けは任せてください☆」
セリカは何処かに出掛けており、ユメは自分の事務所にて勤務中。残りのメンバーは部室にて各自思い思いの行動をしていた。
「……?これは……」
「ケイ先輩?どうしましたか?」
「……シャーレに関する情報を集めていたのですが、どうやらシャーレ自ら動画投稿をしたようで、話題になっています」
「……ん、本当だね。『シャーレ及び先生の質問コーナー』だって」
「先生に関する事が分かるかもしれません、みんなで見てみましょう!」
アヤネのタブレット端末に動画を映し、総勢5名で机を囲んで動画を再生する。するとすぐに先生の声が聞こえて来た。
"キヴォトスの皆さーん!!こーんにーちわー!!"
『本当にそのノリで行くのか……』
"先生である私が所属する連邦捜査部シャーレについて、皆さんきっと気になる事がたくさんあると思います。そこで、今回はSNSに多く散乱する疑問を出来るだけ答えていく事にしました!!"
一瞬聞き間違えかと思ったが、シロコ達は聞き慣れた声を聞いてピクリと体を動かす。
「……今、コウ先輩の声がしなかった?」
「はい、確かに聞こえましたが……一緒にいるのでしょうか?」
"今回は初めてのシャーレ部員、第一号の石依コウくんに来てもらっています。自己紹介をどうぞ"
『どうも〜。アビドス高校3年生、守備力挑戦部の石依コウです。危険な事ばっかりしてるので部員は募集してません、よろしくお願いしまーす』
"それじゃあ早速、読み上げをお願いするね"
『了解……じゃあまずはこれから……』
「先生の手伝いをしてるみたいだね?」
ケイ以外は数日ぶりに見るコウの顔に安心感を覚えながらも、アビドスの面々は視聴を続けていった。
「……アコ、何かあったの?」
「ヒナ委員長……それが、シャーレの先生が質問コーナーと称して動画を投稿しているようでして、情報収集も兼ねて確認していました」
「…コウ?どうして先生と一緒に……」
数週間振りにコウの姿を見たが、何故先生の所に?とヒナは思った。
「……先を越されましたね。なるべく早く関係性を確保する予定でしたが、まさかアビドスとは……。トリニティではないだけマシですが」
『今後の主な活動内容がみんな気になってる見たいだな…。先生、今後の予定は何か決まってますか?』
"そうだね……私もここに来てまだ日が浅いから、色々な自治区と学校に挨拶回りでもしに行こうかな。アビドスとか……他のマンモス校とか……"
『アビドスも元マンモス校なんだけどなぁ……じゃあ次に……』
「今、言及してましたね。近いうちにこちらに来る予定があるようです。今出遅れてしまっているのも含めて、何としてもトリニティより早くコンタクトを取らないといけません」
「……一応言っておくけど、部隊を派遣して攫ったりはしないで。エデン条約前なのに、騒動は起こしたくない」
「……」
「アコ?」
「はい……」
「……」
「ナギちゃん?何見てるの?」
「ミカさん……貴方は謹慎中の身では……お仕事はもう終わったのですか?」
「それなら頑張って終わらせたよ!……ふぅ〜ん、シャーレの先生の質問コーナー…」
「えぇ……シャーレは連邦生徒会長失踪の後に、突如として現れた組織です。そのシャーレが自分から情報を発信したとなれば、これを見ない訳にはいきません」
"今の所は何でも屋みたいだから、これを見てる人たちも困ってる事があれば遠慮せずに相談してね"
『そんなに沢山来ても困るでしょ。程々にしてください』
"あはは……"
「……ねぇ、ナギちゃん。あの子の事だけど、先生に任せてみない?先生を呼べる理由にもなるし、一石二鳥じゃない?」
「ミカさん、元はと言えば貴方が持ち込んだ問題ですよ……。しかし…そうですね、考えてみましょう。どの道私達だけでは難しい問題ですから」
「やったぁ!!」
この動画を区切りに、水面下で様々な思惑が動き出していた。