キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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水着セイア190連でセーフでした。
アロナお前ほんとハラハラさせるなオイ


反撃の狼煙

「電話はしてみました?」

 

 

「……はい。でも数時間前から、電源が入ってないみたいで……」

 

 

時刻はもうすぐ深夜に差し掛かる頃、アビドス生徒会の面々は部室に集まっていた。事の発端は少し前、今日のセリカを不憫に思ったアヤネがセリカに連絡をしたのだが、何一つ反応しない。

 

バイトはとっくに終わっているはずだし、電話をかけてみても反応なし。心配になったアヤネがセリカ宅に行ってみると、セリカは今だに家に帰っていなかったのだ。

 

 

「大将さんに連絡してみましたが、今日は定時にお店を出たそうです。……こんな遅くまで帰らないなんてこと、これまでなかったですよね…?」

 

 

「はい……それに、コウ先輩とケイ先輩も連絡がありませんし、一体何が……」

 

 

「みんな、ただいま」

 

 

「シロコちゃん、どうでしたか?」

 

 

「ん、ダメだった。コウ先輩とケイも帰ってきてない」

 

 

「そんな……」

 

 

「コウ先輩だけならまだ納得出来るけど、ケイもいないのはおかしい。……まさか、ヘルメット団の連中?」

 

 

「えっ!?ヘルメット団がセリカちゃん達を……!?」

 

 

「……とりあえず待とう。ホシノ先輩と先生が調べてるから」

 

 

「はい……」

 

 

そして数分後、ゆっくりと部室のドアが開かれた。

 

 

「みんな、お待たせー」

 

 

「ホシノ先輩!先生!」

 

 

"ごめんね、ちょっと時間がかかっちゃった"

 

 

「どうだった?ホシノ先輩?」

 

 

「先生が持ってる権限を使って、連邦生徒会が管理してるセントラルネットワークにアクセスしてもらったよ」

 

 

「セントラルネットワークに……先生、そんな権限までお待ちなんですね……」

 

 

言ってしまえば個人情報を自由に覗くことが出来るような、そんな規格外な権限を持つ先生を見て、アヤネは改めて先生の立場を再認識していた。

 

 

「うへ〜、もちろんこっそりだけどね。バレたら始末書らしいよ?」

 

 

「えぇっ!?だ、大丈夫なんですか、先生?」

 

 

"こんな状況だからね。セリカ達のためだし、始末書ぐらいなら安い代償だよ"

 

 

「先生……」

 

 

"……だから、書くことになったら助けてね?"

 

 

「うへ、今ので台無しだよ?先生」

 

 

"……コホン、連絡が途絶える直前のセリカ達の端末の場所を調べたよ。ここみたい"

 

 

そう言って、先生が取り出した地図に示された場所を確認する。ここにいるのはみんな地元愛が強いアビドス生徒、そこがどの辺りなのかはすぐに見当がついた。

 

 

「ここは……砂漠化が進んでいる市街地の端の方ですね?」

 

 

砂漠化の影響によって住民がいなくなり、廃墟になってしまったエリア。アビドスからしてみれば珍しくは無い状況ではあるが、特質した要素が一つあった。

 

 

「このエリア…以前危険要素の分析をした際に、カタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です」

 

 

「……なるほどねー。バイト帰りのセリカちゃんと、お出掛け帰りの2人を拉致して自分達のアジトに連れて行ったってことかー」

 

 

「人質を取って、脅迫するつもりなのかな」

 

 

「考えても仕方がありません!急いで3人を助けに行きましょう!」

 

 

「うん、もちろん」

 

 

「あいつらには、ちょっとお仕置きしないとね」

 

 

"わぁ……ホシノ、なんだか雰囲気変わったね?"

 

 

「流石にこんな状況だからね。今だけは、おじさんも真面目モードって奴だよ」

 

 

 

 


 

 

「う、う〜ん……」

 

 

「っ……いたた……!?」

 

 

振動で少し体が打ち付けられ、セリカは目を覚ました。光源の一つも無い中、暗闇が辺りを覆っている。外から聞こえてくるだろう移動音が、ここが車内であることを表していた。

 

 

「ここ……トラックの荷台…?……うぅ、頭が……」

 

 

「安静にしてください、セリカ。直撃していないとはいえFlak41改を撃たれて無傷なのは、コウぐらいです」

 

 

「っケイ先輩…?」

 

 

暗闇の中で段々と夜目が効いてきたのか、ケイの姿が映る。コウはどうやら別の荷台に乗せられているようだ。

 

 

「私達……攫われたのね……」

 

 

「そうですね……セリカ、少し外の様子を確認出来ますか?そこの扉から光が漏れています」

 

 

「あっほんとだ……えっと、砂漠……線路……ってここは!?」

 

 

「砂漠に線路……ということは、アビドス郊外の砂漠…」

 

 

「だとしたら……おそらく、少し前にアヤネが言っていたカタカタヘルメット団の主力が集まっている場所が目的地でしょう」

 

 

「……そ、そんな。ここからじゃ、どこにも連絡が取れない!もし脱出できたとしても、生徒会のみんなにどうやって知らせれば……」

 

 

セリカの奥底に絶望か染み込んでいく。そんな状況でも、ケイは落ち着いていた。

 

 

「セリカ、落ち着いてください」

 

 

「どうしよう、みんな心配してるだろうな…… このままどこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように…」

 

 

「セリカ」

 

 

「連絡も途絶えて……私も他の子たちみたいに、街を去ったって思われるんだろうな……」

 

 

「セリカ!」

 

 

「っ……何で、ケイ先輩はそんなに、落ち着いてるのよ…グスッ」

 

 

「……」

 

 

「……?」

 

 

泣きべそをかくセリカを抱きしめ、ケイはセリカに冷静に言葉を紡ぎ出した。

 

 

「セリカ、生徒会のみんなは絶対にそのようなことは思っていませんよ」

 

 

「……なんでそんなこと」

 

 

「セリカの頑張りを、みんな知っているからです。先程もバイトに明け暮れて、私達の問題に熱心に取り組んでいたじゃありませんか」

 

 

「アビドスの事を大切に思う気持ちは、十分私達に伝わっていますよ」

 

 

「ケイ、せんぱい、」

 

 

「……それに」

 

 

「……?」

 

 

「そろそろ迎えも来たみたいですし、身構えてください。」

 

 

「う、うわぁぁぁっ!?」

 

 


 

 

気がつくと、身体中の拘束は消え失せ、隠されてあったはずの視界と口元も自由になっている。辺りは暗くなっているが、自分の現在地はとても高所にいることがわかる。そして、現在進行形で景色が移動している。

 

 

コウは、夜になったアビドス砂漠にてビナーの頭上に座っていた。こんな状況だが、ビナーは何も言わずにゆっくりと砂漠を闊歩している。コウはそんな状況に疑問を持つこともなかった。

 

 

「やれやれ、久しぶりに君を見つけて夢に出て見れば、こんな景色を見ることになるとはね」

 

 

「……ん?」

 

 

背後から声をかけられ振り向いて見れば、見知らぬ生徒が立っている。服装から見るにトリニティの生徒だろうか、どこかで見たことがあるような気がする。

 

 

「隣、いいかい?」

 

 

「えっと……どうぞ?」

 

 

「君には感謝したいことがあってね。私の事は覚えていないだろうけど、それでも助けられた事を忘れる恩知らずでも無い」

 

 

そう言ってコウの隣に座った。この状況にもあまり突っ込まない事から、奇想天外には慣れているのだろうか。

 

 

「自己紹介から始めよう、私の名前は百合園セイア。もう一度言うが、君には感謝を伝えに来た」

 

 

「身に覚えのない感謝を伝えられても困るんだが……俺はセイアに何をしたんだよ?」

 

 

「いや、少し意見をもらっただけだよ。君からのアドバイスのおかげで私の見た未来とは、随分と様変わりしているからね。もちろん、良い方向だとも」

 

 

どうやら彼女は未来が見えるようだ。コウ自身は何を言ったのか覚えていないが、まぁ良い方向ならいいかと考えを終わらせる。

 

 

「未来とは変えられないものであり、変えたとしても多大な影響を及ぼすものだと私は確信していた。……君と話すまではね」

 

 

「違ったのか?」

 

 

「数多に分かれた未来一つ一つに運命が定められ、変える事はできない。それは間違いない。だが、私達は未来を選ぶ事が出来る」

 

 

「というと?」

 

 

「未来に至るまでの様々な選択の数々……それによって運命は変化しているわけではなく、既に決められた数多の道筋を選んでいる事に過ぎなかったというわけさ」

 

 

「……?」

 

 

さっぱりわからないと言うように首を傾げるコウを見て、少しため息を吐くセイア。まぁ無理もないだろう。セイアの話は小難しい言い回しが多く、聞くのに忍耐を要するのだ。

 

 

「…要するに未来は変えられないが、違う未来を選ぶ事は出来ると言う事だよ。分かったかい?」

 

 

「……なるほど」

 

 

ノベルゲームで例えるなら、エンドの内容をプレイヤーは変える事は出来ないが、どのエンドに行くかを選ぶ事は出来ると言う感じだろう。

 

 

「破滅的な未来に怯え行動する事を恐れていた私は、君のおかげで前に進む事ができた。おかげで体調も良くなった、プラシーボ効果というのも馬鹿にはできないものだよ?」

 

 

「俺ずっと元気だから、実感湧かないな」

 

 

「羨ましいな」

 

 

いつのまにか2人は砂の上に立っている。ビナーはどこに行ったのかと思っていると、セイアがコウの後方を見上げているのが目に入った。

 

 

「…そろそろ私は帰るとしよう。今回の夢もそろそろ終わりそうだ」

 

 

「次は現実で会えるといいな」

 

 

「それはもう少し先になるだろうね……それじゃあ、また会おう」

 

 

そう言うとセイアは消えてしまった。そういえばセイアは何を見ていたのかと思い、後方を確認する。

 

 

──キィィィィィン──

 

 

ビナーが口内に光を溜めていた。

 

 

「……刺激的な目覚め方になるなぁ」

 

 

放たれた熱線に飲まれながら、視界が真っ白に染まっていった。




コウの秘密
実は死のうと思えば死ねると思っている(窒息死・衰弱死)けど純粋に不快だし死にたくないのでやるつもりはない。
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