キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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新たなる脅威

「うーん……」

 

 

"あっ起きた?"

 

 

「ふわぁ……何?どういう状況?」

 

 

目を覚ましたコウの目の前に飛んできたのは軽く破壊された荷台。それとどこからか来たのか、先生とケイを見上げる形になっている。

 

 

「コウ、動かないでください。引っ張ります」

 

 

「ケイか、助かる」

 

 

ケイの怪力により、足に付着したトリモチが剥がされていく。少し前にノノミと腕相撲をして勝っていただけはある。

 

 

「それで、状況は?」

 

 

"ホシノザウルス大暴れ……て感じかな。無敵キャンディーでも食べたみたいだったよ"

 

 

「ホシノ先輩から盾を預かりました。「ストレス発散してくる」だそうです」

 

 

うわぁ…と声を漏らすコウ。ヘルメット団達に同情する気はないが、ご愁傷様である。

 

 

「まぁとりあえず、援護に行くだけ行くか。向こうが全滅するのも時間の問題だろうけど」

 

 

なおカタカタヘルメット団達はその後、5分程度で全滅したのであった。

 

 


 

 

「みなさん、お疲れ様でした。お二人とも、怪我はありませんか?」

 

 

「うん、私は大丈夫。コウ先輩がいたから、ちょっと衝撃で飛ばされたぐらいだし」

 

 

「私も問題ありません。無傷とは言えませんが、この程度なら軽傷です」

 

 

コウ迫真のボディブロックの甲斐あってか、2人に特に大きな怪我は見られていない。そのボディブロックを披露した本人も無傷なのが可笑しい状況だ。

 

 

「怪我の有無を2人にしか聞かないあたり、アヤネも慣れてきたな……」

 

 

「あはは……コウ先輩なら無事でしょうから」

 

 

コウへの信頼の高さが災いした結果、心配の気持ちが薄れてきているようだ。こればっかりは体質のせいなので諦める以外ないが。

 

 

「おじさんも、久しぶりに頑張って疲れちゃったな〜。ノノミちゃ〜ん、いつものお願い」

 

 

「はいはい」

 

 

ホシノがノノミに膝枕をしてもらう。最近では部室でよく見る光景であり、まさしく実家のような安心感と言えるだろう。

 

 

「それにしても、3人が無事で良かったです。先生がいなかったら、大変なことになっていました」

 

 

「ただのストーカーじゃなかったってことだね」

 

 

"セントラルネットワークの件はリンちゃんの方でなんとかしてくれるみたい。始末書は免れた……"

 

 

「なんか一気に情け無く見えてきたな……」

 

 

大人ってみんなこんなもんなのかな……?と思うが、大将さんと黒服を思い出して考えを否定する。大人も人それぞれの世界ということだ。

 

 

「それにしても、今回のカタカタヘルメット団だけど…」

 

 

「はい、今までとは比べ物にならないほどの装備に練られた作戦……これは以前までのカタカタヘルメット団からはかけ離れています」

 

 

「あいつらが夜に仕掛けてくるなんて……」

 

 

「だよなぁ……今までは夜更かしはダメだから〜って理由で、夜中に奇襲を仕掛けて来る事もなかったぐらいなのにさ」

 

 

"そこは随分と健康志向なんだ……"

 

 

カタカタヘルメット団は確かに今までも他のチンピラ達と同じようにアビドスに攻めて来ていたが、何も考えない当たって砕けろ精神の塊のようだったはずだ。

 

 

「アヤネ」

 

 

不意にシロコがアヤネの名前を呼ぶ。その手には何か部品のようなものが握られていた。

 

 

「はい……ここに置いてください」

 

 

シロコの手元から机に置かれたのは、見慣れない部品。一体なんなのかと首を傾げていると、シロコが口を開いた。

 

 

「ん、あいつらが使ってた戦車の一部」

 

 

「こちらを確認したところ、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明しました。つまり、カタカタヘルメット団は自分達では入手できない武器まで保有しているようです」

 

 

自分達では入手出来ないものを持つ、それを現実にする方法など限られている。裏でヘルメット団達を支援している存在がいるという事だ。

 

 

「この部品の流通ルートを分析すれば、ヘルメット団の裏にいる存在を探し出せますね!」

 

 

ノノミもそう思っていたようで、声を上げている。でも探し出すと言うよりも…

 

 

「いやでも……正直心当たりしかないというか……」

 

 

「ですね」

 

 

「カイザー……なのかなぁ……?」

 

 

"カイザーっていうと、カイザーコーポレーションの?"

 

 

ホシノの呟きに先生が反応を示す。流石カイザーコーポレーション系列の企業なのか、先生の耳にも入った事があるらしい。

 

 

「そうそう、今のアビドスのほとんどの土地を持ってるのがそこの会社なんですよ」

 

 

まだ見ぬ財力を持った存在なのかも知れないが、正直今回ばかりは邪推せずにはいられない。アビドスは本音を言うと、誰が欲しがるんだと言える土地だ。砂漠化で砂まみれ、おまけにデカい蛇の機械がたまに蠢く魔境である。

 

 

「ヘルメット団を介して間接的に土地を奪いに来ている……と考えるのが自然ですね。まだ決まったわけではないですが」

 

 

「はい……ですが、もしそうなのだとしたら相手は大企業です」

 

 

アヤネがそう不安を溢す。もし本当に裏の存在がカイザーなのだとすれば、厳しい戦いになるだろう。

 

 

「違法機種を使ってるのがバレたらまずいし、違法なルートを使ってるのかな。例えば……ブラックマーケットとか」

 

 

「シロコ先輩、一応聞くけどよく行ってるとかじゃないよね?」

 

 

「ん……セリカ、それどう言う意味?」

 

 

「ふぅ……」

 

 

セリカの発言にコウは少し冷や汗をかいていた。誰にも言ってないが、実はつい最近も諸事情でブラックマーケットに行った事があったからだ。

 

 

「まぁ、じっくり考えていこうよ。結論を急いでもしょうがないからね」

 

 

「ホシノ先輩はじっくりしすぎなんじゃないの……?」

 

 

 


 

 

「……」

 

 

高層オフィスビルの一角、カイザー理事は悩んでいた。環境が劣悪であり、衰退を辿るアビドスに対して理事がかつて取った手段は長期戦。定期的にヘルメット団などのチンピラを支援してアビドスに送り、耐えられなくなるまで待つ姿勢だった。借金を返されたのは予想外だったが。

 

しかし最近は事情が変わり、待つ事ができなくなってしまった。そのためヘルメット団とは別の部隊をわざわざ用意し、多数の武装を持たせて作戦まで練らせた。

だが、結果は失敗だった。

 

 

「……格下のチンピラごときでは、あの程度が限界か。主力戦車まで送り出したと言うのに、このザマとは」

 

 

元々長期戦を見越した部隊として変えの効くヘルメット団を選んでいたのであって、決して上積みではなかったのは分かっていた。だがここまで支援しておいて、失敗するとは思わなかったのだ。

 

 

「ふむ……となると、目には目を、生徒には生徒を……か。専門家に依頼するとしよう」

 

 

あれ程の金を積んだ結果が失敗となれば、もうヘルメット団達にもはや用はない。量がダメなら質を上げるまでだ。だがヘルメット団以下の連中なら意味がない。

 

 

『はい、どんなことでも解決します。便利屋68です』

 

 

「仕事を頼みたい、便利屋」

 

 

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