キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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勘違いがないように言っておくと、別にアリスはいます。


不思議な力

「それで?話ってなんだよ、ケイ」

 

 

定例会議が終わり、打ち上げを柴関にてしようという話をしていた際、ケイから話したい事があると言われてコウは自宅に戻っていた。

 

 

「急だったからあんまり材料はないけど……おっ、うどんがあった」

 

 

「急いでいるわけではないので、昼食の後にしましょう」

 

 

「食べながらで良いだろ」

 

 

うどんを鍋の熱湯で温め、白だしにあとは適当にネギやらハムやらを乗せて即席うどんを作る。やっぱりこれが簡単で上手い。

 

 

「いただきます」

「いただきま〜す」

 

 

2人でうどんを食べだして、少ししてケイが口を開きだした。

 

 

「…ンク……それで、本題なのですが」

 

 

ん〜、んんんん〜(お〜、なんだよ〜)

 

 

「……返事は飲み込んでからにしてください。攫われる前に取ったデータを覚えていますか?」

 

 

「……ング…あ〜あれか」

 

 

攫われる直前にミレニアムの廃墟で取ったあとデータ。騒動の際にタブレットが無傷だったのが幸いして、特に問題はなかったはずだ。

 

 

「もしかして、実はどっか壊れてたとか?」

 

 

「いえ、元々損傷が酷くてこれ以上は無いようなものだったので……話が逸れましたね。問題は修復したデータについてです」

 

 

「修復は出来たのか……流石ケイだな。それで?やばいデータでもあった?」

 

 

時間をかければ修復できるとケイが言ったので、あれからデータはケイに任せていたのだが、まさか本当に出来るとは。

 

 

「記憶データはまだ時間がかかりそうですが、個人的に気になるデータがあります。これです。」

 

 

「……?」

 

 

『プロトコルATRAHASIS』

 

 

そこにはよく分からない文字の羅列。残念だが、コウはこの手の機械分野には詳しくは無い。

 

 

「えっと……なにこれ?……ズルズル…」

 

 

「プロトコル、主にコンピュータに使われる手順や約束事を意味します。……チュルチュル……ンク…そして、私の喪失した機能の一つにプロトコルを使ったものがありました」

 

 

「つまり?」

 

 

「この言葉をトリガーに、私は何か秘められた力があるという事です」

 

 

「……お……おおお!!秘められた力!!」

 

 

男の子は潜在能力という言葉に弱い。キヴォトス唯一の男子生徒であるコウには、効果抜群だった。

 

 

「早く見たい!!」

 

 

「急かさないでください……その為にコウを呼んだんですよ?」

 

 

「んじゃあ早速やってみて……ん?」

 

 

「それでは……プロトコル……」

 

 

その時、コウの中に一つの疑念が蘇る。それはかつてケイを拾った時に黒服と交わした言葉だった。

 

 

『えぇまぁ、ですが私からは特に言及はしませんよ。一つ教えるなら貴方の行動により脅威が遠ざかった、と言っておきましょう』

 

 

『やっぱり厄ネタだったかぁ……まぁ拾っちゃったからには面倒見るよ』

 

 

……これもしかして、まずいことしてる?

 

 

「……ATRAHASIS」

 

 

「……?」

 

 

何も起きない。いや、正確に言えばケイが目を瞑って静かになった以外に変化がない。

 

 

「……リソースを確認……リソース領域を拡大……なるほど……」

 

 

小声でケイが何かを言っているが、よく分からない。なんとなく賢そうな意味なのは分かる。

 

 

「……はい、分かりました」

 

 

「なんか思ったより地味だったな」

 

 

ビナーみたいにデカいビームでも撃てるようになるのを想像したのだが、期待しすぎだったかと肩を落とすコウ。

 

 

「私の喪失した力……これは、周囲のデータを収集して分解、再構築し、任意の物体を作り出す。というものです」

 

 

「……えっと」

 

 

「……ようは錬金術のようなものです」

 

 

「……おぉ!凄いじゃん!」

 

 

「本当に分かってますか?」

 

 


 

 

「へぇ……ようはなんでも作れる凄い力ってことか」

 

 

「もうそれでいいです」

 

 

随分と凄い力を持ってしまったなぁ、とコウは何処か達観とした気持ちでいた。それじゃあさぁ、とコウは一つ期待を膨らませる。

 

 

「ビームライフルとか作れる?」

 

 

「あのロボットアニメのですか?……無理ですね。絶対にリソースが足りません」

 

 

ここは砂漠に溢れたアビドスの地。碌な機械や設備もない状況でビームライフルを作るに値する素材がないのだとコウはケイから伝えられた。

 

 

「……なんだぁ、アビドスだとそんなに活用出来なさそうだなぁ」

 

 

「……そうでもありません……たとえば……」

 

 

「んお?」

 

 

すると、ケイの目の前には少し小さなガラスのキューブが突如出現した。よく分からない現象にまじまじと見つめていると、ケイがそのキューブを拾い上げる。

 

 

「今、この家の周りに点在する砂をリソースとしてこれを作りました。ガラスの原材料は砂です。これならリソースとしても少なく済みます」

 

 

「えめっちゃ便利」

 

 

「記憶が無いので定かではありませんが……絶対にこんな使い方ではなかったと思います」

 

 

「まぁ良いじゃん、便利だし」

 

 

特殊能力の芽生えにワクワクするコウ。この後もケイが出来る範囲で能力を使うのだが、数時間後にアヤネから連絡がありお開きになった。

 

 

「アヤネ?どうした?」

 

 

「校舎に傭兵が襲撃を仕掛けてきました!!すぐに来てくれますか!?」

 

 

最近は忙しい事が立て続けに起こるなぁ。とコウは呑気にそう思いながら、ケイと学校に向かった。




何故ケイが使えるのかに関しては、少し後に設定解説でもしようと思っています。
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