こんな作品に高評価を付けてくれる方々が居てくれてすっごい嬉しいです。マイペースに更新していきます。
「ここがブラックマーケット……」
"想像よりも賑わってるんだね……ん、コウ?"
初めて訪れたブラックマーケットの規模の大きさに圧倒されていると、コウからモモトークの通知が来ていた。
『俺の知り合いに案内を頼んでみたから。入り口で合流するはずだぞ〜』
「おぉ〜、用意周到だね?助かるー」
「この場所をよく知っている知り合いって……大丈夫なんですか?それ」
「……あの、すみません」
"あっ、はい。──え?"
すると、誰かが背後から声を掛けてきた。振り向くとそこには、二つ穴が空いた紙袋を被った人が立っていた。
『ふ…ふふ…』
「──ん、不審者」
「え!?……あ、すみません。これ被ったままでした」
そう言うと紙袋が外されて、可愛らしい顔立ちをした生徒が現れた。紙袋の衝撃で見えなかったが、確かトリニティの制服がこんな見た目だったような……
『──あれ、その制服……!思い出しました、キヴォトスいちのマンモス校の一つ、トリニティ総合学園のものです!』
「はい!私はコウさんから案内を頼まれました、トリニティ総合学園2年生の阿慈谷ヒフミです。よろしくお願いします!」
「……ねぇ、トリニティの子なんでしょ。こんなところにいていいの?」
そうセリカが苦言を溢す。特に他の人は見当たらないし、基本は1人でここに来ているようだった。中々に行動力がある子だ。
「あはは……コウさんの頼みですし、それに私も欲しいものがあってきたので」
「欲しいもの?」
「はい!こちらなのですが……」
そう言うとヒフミはスマホから画像を一つ見せてくる。そこには先生もお世話になったことがあるファストフード店の店員の服を着た、なんだかよく分からない生物がいた。
「……何ですか、これは?」
「有名ファストフード店とコラボした、アルバイトペロロ様です!大人気商品ですぐに売り切れてしまったのですが、ここならあるのではと思いまして……」
「わぁ☆モモフレンズですね!私も大好きなんです!ペロロちゃん可愛いですよね、私はミスターニコライが好きなんです!」
「分かります!ニコライさんも哲学的なところがカッコよくて──」
「……いや〜、おじさんにはさっぱりだな〜」
モモフレンズトークに花を咲かせている2人を見て、ホシノはそんな感想を言う。概ね賛成ではあるが……まぁよく見たら可愛くも見える気もする。
「私はもうこの辺りには行き慣れてるので……ところで、アビドスのみなさんはなぜこちらへ?コウさんからは特に聞いてなかったのですが」
「少し聞き込み調査といったところです。ここ最近のヘルメット団達の動きについてですが、何か知っていますか?」
「ヘルメット団ですか……あまり近づかない方達なので、私はあまり知りませんね……」
"まぁ、こんな感じで行ってみよっか。こう…品物の取引をしてるところに案内してくれる?"
「分かりました!」
「ユメパイセン、今なんて言いました?」
「だ〜か〜ら〜、アルちゃんっていう子に最近出来た空き家に住んでもらおうと思ってるんだって〜」
少し時間は遡り、偶然ユメと遭遇したコウはなんだか機嫌がいつもよりいいユメに何があったのかを聞いた。
ユメはアビドス地区のスーパーに買い出しに行っていた所、同じく出掛けていたアルに遭遇。少ない手持ちと睨み合いながら吟味していたアルに話しかけた所、凄く仲良くなったらしい。
「私と一緒で起業してて、最近失敗続きで引っ越すことになりそうって聞いたから、じゃあ私が空き家を紹介してあげる!!……て約束したの」
「えぇ……?」
「アルちゃん本当にいい子なんだからさ〜、一度会ってみたらコウくんもきっと分かるよ!」
「いやまぁ……知ってますけどね、その人」
「えっ、知り合いなの!?」
「まぁ最近ちょっと……」
その人に襲撃されました、なんて言えない雰囲気だったのでその辺りは黙っておいた。
「少し後に事務所に来てもらって、色々説明するの。そこまで遠くないから、内見にも行く予定かな」
「へぇ……まぁ頑張ってくださいね」
「うん!」
コウは先生達を見送った後に念の為現場を見に来たのだが、入り口で待っていたユメに話しかけられてしまった。
「奇遇だね!アルちゃん達はもうすぐ来る予定なんだけど……」
「それなら俺はお邪魔にならないように帰って──」
「「「「あっ」」」」
「あっ」
……前方から便利屋御一行が向かってきており、鉢合わせしてしまった。
「今日は来てくれてありがとう!この子は私の後輩のコウくん。みんなはコウくんとは知り合いなんだよね?折角だしコウくんもどうぞ、遠慮なく上がっていってね!」
ユメはそう言うと、軽やかなステップで事務所の中へと消えていってしまった。
「……あの人、俺の先輩」
「向かう前から嫌な予感はしてたけど、まさかこうなるなんて……」
「アル様、始末しましょうか?」
「アルちゃん、大丈夫?」
「え……えぇ……」
「ここがこうなってて──」
「中々良いわね!」
「……むしろ良すぎるぐらいだけど。社長、どうする?」
ついこの前襲撃した人達の関係者にこうして住む場所を紹介してもらっている状況は、中々に気まずいものがある。
……と思っていたのだがそう思っているのはこの中では少数派らしく、カヨコを除いた人達は楽しそうに資料を見ていた。
「新しく人が来てくれることなんてあまりないから……つい嬉しくなっちゃった」
「ここ最近は人なんて減っていく一方だったしな……新顔が見れただけでも結構嬉しいというか」
「呑気というか……何というか……」
平和ボケした発言をする2人に呆れるカヨコ。ユメに関しては襲撃云々を知らされていないため仕方がないので、多めに見て欲しいところである。
「──感動したわ!ユメさん!」
「ふぇ!?」
「どんな状況でも夢を諦めずに貫けるその姿勢、私の思うアウトローそのものよ!」
「え、えっと……ありがとう?」
微妙に状況を理解出来ていないユメを尻目に、興奮が冷めないアルは言葉を続ける。
「……決めたわ、ユメさん。住居の件、お願いできるかしら」
「え!本当に良いの!?」
「ええ。その代わり私達便利屋68は、ユメさんの活動を支援するわ」
「──待って、社長。それって……」
カヨコが何か焦っているように見えたが、残念ながらこの場にそれを止める者はいない。ムツキは相変わらず笑みを浮かべてアルの言葉を聞いているし、ハルカは相変わらず視線をアルに向けている。
「夢を追い続ける起業者として、お互い助け合って行きましょう!」
「アルちゃん……うん!よろしくね!」
「……はぁ」
「ねぇねぇアルちゃん、ああ言っちゃったけど大丈夫?」
「何かしら?」
コウと一緒に嬉しそうにしているユメを置いて、ムツキはそう問いかけた。素っ頓狂な表情をしているアルに答え合わせをする。
「さっきクライアントから連絡が来たばっかりだったじゃん。次が本番だ〜……ってさ」
「……あっ」
「あれ、先生から……は?転売ヤーを襲撃した?」
「えへへ……ホシノちゃん……私頑張ってるよ〜……」
先生のメモ
ケイは見た目の割に力がかなり強いみたい。ノノミもそうだけどあの見た目の何処からあのパワーを出しているのか。ヘイローって名前らしい天使の輪からだろうか。