2つに分けてたのを合体したらなんか長くなりました。
(当たり前体操)
「おはよー、先生」
"おはよう、2人とも。随分とリラックスしてるね"
「先生、おはようございます。今日は早いですね」
色々あった次の日、朝早く部室に入るとホシノがノノミの膝枕で横になっていた。
"昨日は色々合ったね……まさかヒフミがあそこまでやるタイプだったなんて…"
「人は見かけによらないってよく分かったね先生?おじさんも実は寝てるだけじゃないんだよ……ふわぁ…」
本当に昨日は色々あった。ブラックマーケットにてヘルメット団数人や、ヒフミがお世話になっている売買人に情報を集めていると、ペロログッズの転売をしている現場を目撃。
それだけならまだ良かったが、転売人からペロロ自体を貶すような発言が飛び出してヒフミが修羅に。ノータイムで殲滅を実施した結果、マーケットガードに追われる羽目になった。
騒動の最中にいつの間にホシノが決めていたのか、ヒフミのあだ名がファウストになっていたのは置いておこう。
「羨ましい?……でもここは私の場所だから、先生はそっちの触り心地が悪そうな椅子に座っててね〜」
"えー……じゃあ私も……"
ホシノの体勢を起こし、隣に座った。そして太ももの上にホシノを座らせる。
"……おぉ、これは中々……抱きやすいというか……"
「ちょっとー?先生?おじさんはぬいぐるみじゃないんだけどー?」
「良いアイデアですね……後で私にもやらせてください☆」
"ちなみにどっち側が良い?"
「え?……えっと……///」
「先生?うちの子を口説かないで貰えるかな」
"ぬいぐるみは喋らないんだよ"
「ふわぁ……みんな朝早くから元気だなぁ……」
腕の中で微睡むホシノがそう溢す。みんな元気と言うので、そのみんなは何をしているのかと思っていると、その様子に気づいたノノミが答え出した。
「のんびりできるのは久しぶりですから……今はみんな、やりたいことをやっているんでしょうね」
「シロコちゃんはきっとトレーニングでしょうし、アヤネちゃんは多分勉強しに図書館でしょうか……」
「セリカちゃんは買い出しに行ってて、コウとケイちゃんは……またビナーの所にでも会いに行ってるのかな?」
「2人は少し遠くまで行ってるようで、少し遅れてくるそうです」
"気軽に会いに行って良いものでもないと思うけどね……?"
空いた時間を利用してビナーを実際に一度見たことがあったが、あれをマスコット扱いするのは少し難しい気がした。カッコよくて少し可愛げがあるのは確かだが、それ以上に脅威度が高すぎる。
「私も最近なんだか可愛く見えて来たんですよ?この前からコウ先輩がディスプレイで何かの映像を見せていて……攻撃しつつも大人しく見ていましたし……」
あの存在にも心があるのだとしたら、いつか会話出来るようになる日が来るのだろうか。
「ん〜……それじゃあ、おじさんはこの辺りでドロンするよ。みんなももう少ししたら来ると思うし」
"何か用事でもあるの?ホシノ"
「今日おじさんはオフなんだ。適当にサボってるから何かあったら連絡ちょーだい、ノノミちゃん」
そう言うとホシノはささっと部室から出ていった。
「ホシノ先輩……またお昼寝しに行くみたいですね」
"ホシノがいなくても大丈夫?"
「うーん……まぁ良いんじゃないでしょうか。会議はアヤネちゃんがしっかり進めてくれますから」
"いつもこんな感じなんだね……"
「あはは……それでも、以前と比べてだいぶ変わったんですよ?初めて出会った頃のホシノ先輩はいつも何かに追われているようでしたから」
「今はユメ先輩のような感じで……きっとユメ先輩の親しみやすさを参考にしたのかもしれません」
ホシノの性格は昔と比べて完全に変わっている訳ではないだろう。なんだかこう……ホシノには、常に様子見を続けているかのような雰囲気を感じることがあるし。
"……あ、そうだ。ノノミの膝空いたから……膝枕してもらって良い?"
「……みんなが来るまでなら良いですよ」
そうやって、みんなが来るまでノノミの膝枕を堪能した。
「……」
「これはこれは……お待ちしておりましたよ、暁のホル……いや、ホシノさんでしたね。貴方はこちらで呼ばれるのがお嫌いでしたから」
「……黒服の人、今度は何のようなのさ」
「貴方に手伝ってもらいたい研究がありまして。とある方の協力で順調に進んだので、その成果をホシノさんで証明しようかと」
「ふざけないで。お前なんかの提案には絶対に乗らないから。……それにそのとある方って、コウの事でしょ?」
「おや、これはご聡明で」
「この辺りで怪しい高額な治験バイトを募集してるなんて、黒服ぐらいしか見当つかなかったから。──コウは無事なんだよね?」
銃口を向け、脅しのような形で話の続きを促す。それでもなお黒服は平然としていた。
「双方合意の上での実験です。彼も頑丈ですので、色々とお世話になりました」
「あなたが私の事を信用出来ないのは当然です。……今回もし協力して頂ける際には、契約を一つ結びましょう」
「契約……?」
目の前の大人はそう言って書類を見せ、契約内容を語る。それはホシノからしてみれば都合の良すぎるものだった。
「本当にこれで全部?こっちに都合が良すぎる。……何を企んでるんだ」
「私としては1人の研究者として、結果を証明したいが為に過ぎません。……良い返事を期待していますよ」
世の中には悪意で満ち溢れている。こんな大人と知り合いであるコウの気がしれなかった。
「どう、ケイ?手応えあったと思わない?」
「確かに段々と見る時間が長くなっていましたが……」
「静観の理解者って言われてるぐらいはあるな」
ケイに作ってもらったモニターを使って、ビナーにとある映像を見せるようにしてから数日。ビナーは観察するかのようにあの映像を見てくれる時間が段々と長くなっていた。
これなら水面下で実行していたビナー強化計画が成功する日も近いかもしれない。
「少し遅れると伝えていたので問題はないですが、そろそろ学校に戻りましょう」
「了解……どうした?ケイ」
柴関ラーメン前を通りかかった時、ケイが急に立ち止まった。不思議に思って何なのかを聞く。
「いや……それが、柴関の周りに多数の爆発物を確認しました」
「爆発物?」
少し周りを調べてみると、確かに爆弾が結構な数見つかった。何でこんなところにあるのか。
「大将って恨みを買うような性格でもないけどな……?まぁせっかくだし貰っとこうぜ」
「いつ爆発するかも分からないこれをですか?」
「俺が持つから大丈夫だろ」
そうして何故か柴関に仕掛けられていた爆弾を残さず回収する。服のポケットも総動員して爆弾を両手に抱えることになった。そのまま歩いて暫くしてから、ケイが10数m離れて後ろを歩いているのに気づいた。
「──ケイー!そんなに離れなくてもよくない?」
「なんだか嫌な予感がするんですよね……」
「いやいや、まさかそんな急に爆発するわけな」
その瞬間、コウの持つ全ての爆弾が爆ぜた。多数の爆弾を一点に集中させた爆撃は、とてつもない破壊力を産んだ。
「ブッ!?ゲッ!?ゴバァ!!??!?」
「……だから嫌な予感がしたと言ったんですよ」
「大将〜……今日はチャーハンの気分……」
「あいよ。何だか元気がねぇな?」
「珍しくアビドスで拾い物ができたと思ったのになぁ」
「こっちも、さっき随分と物騒な会話を聞いたばっかりだ」
"まぁ、そう言う時もあるよ"
柴関に入って悲しみを癒しているコウ。爆発を知ってやって来た先生達と軽く会話をした後、店内にいた便利屋68はカヨコが何かをアルに伝えると顔を青くして、素早く何処かに行ってしまった。
おそらく拠点に帰ったのだろう。ここ数日はユメと一緒に引越しの作業をしているらしい。
「いきなり爆発をアヤネちゃんが察知した時は驚いたけど……コウ先輩なら心配ないわね」
「コウ先輩なら……まぁそうですね」
「コウなら問題ないですね」
「酷くない?」
事実ではあるが、もう少し心配してくれてもよかったのではないのだろうか。一応これでも先輩なのだが。
「それにしても、何で爆弾がここに仕掛けられてたんでしょうか?」
「大将、何か恨みでも買ってた?」
「そんな覚えはねぇが……キヴォトスにいるなら爆発の一つや二つなんの前触れもなく起きるもんだ……お、いらっしゃい!」
「確かに」
「──危なかった……今つい接客に行きそうになった……」
「セリカは今日シフト入ってないんだろ」
「つい癖で……」
新しく入って来た人の様子をチラリとみると、どこか見慣れた見た目をしていた。ふわふわの髪に背が小さめ、大きな角が目立つその姿は……
「……ヒナ?」
「……コウもいたのね」
「あれは……ゲヘナの風紀委員長!?」
「「「「!?」」」」
"……確かチナツの所の部隊だよね?"
突然の大物の登場にどよめく各々。しかし特に気にしていないのか、ヒナは大将に一声かけてこちらに近づいてくる。
「こんにちわ、先生。私はゲヘナ風紀委員会、風紀委員長の空崎ヒナよ」
"よろしくね、ヒナ。チナツにはお世話になったよ……それはそうと、アビドスに何の用があって来たの?"
「少し調べたい事があって……それと先生、少し共有しておきたい情報があるから、少し2人にさせてもらってもいいかしら?」
"良いよ。ちょっと行ってくるね"
「りょ〜かい」
奥の席に向かっていった2人を尻目に、運ばれて来たチャーハンを口にするコウ。先生を1人にするのは良くないのだが、まぁヒナだから大丈夫だろう。
「それにしても、久しぶりですね?」
「ですね〜☆一年前に訓練をした時以来でしょうか?」
「……あんまり変わってないわね」
「セリカ、そう言うことはあまり言わない方が身の為ですよ」
「どしたんケイ。自分も成長してないこと気にシッ!!??」
「黙ってて下さい」
"それで、ヒナは私に何のようなの?"
「直接伝えておきたい事があるの。……カイザーコーポレーションのこと、知ってる?」
そう彼女から切り出された内容は、こちらからすればとてもタイムリーなものだった。アビドス砂漠で、カイザーコーポレーションが何かを企んでいる可能性があるという事。そして便利屋68についてのお詫びの言葉を伝えられた。
"アル達なら心配いらないよ。ユメと仲良くなったみたいで、アビドスに協力してくれるんだって"
「そう、大きな対立に発展しなかったのは幸いね。これでアコも満足すると良いけど……」
そう言って少し遠くを見つめるヒナはよくわからないが、随分と苦労しているみたいだった。また今度菓子折りでも持って行こうかな?
"風紀委員会はいつも忙しいって聞いたけど、ヒナは今日大丈夫なの?"
「えぇ。イオリにあの子達が付いてるし、余程のことがなければ心配いらないわ」
フラグ……ではないだろう。ヒナの様子を見るに、実際に任せられる実績はあるようだった。
「ふわぁ……ぁ?」
『これ、何か分かる?』
数日経った夜、寝る前に軽くスマホを見ているとホシノから連絡がきた。前述の一言と共に、写真が一つ添付されていた。
「……これあれじゃん、黒服の奴か」
少しピンクに光る液体が容器に密閉されている。使われている物も何もかも、少し前に黒服から実験で飲まされた液体と酷似していた。
「ホシノがこれ持ってるなら……黒服になんか言われたのか。というかこれ俺以外飲んだらダメじゃ……いや、改良していくって言ってたな」
どんな物なのかを手短に説明した文を送る。既読が付くと、ホシノはお礼を言ってそれ以降返信は来なくなった。よく分からなかったが、解決したのなら幸いだと眠りに着く。
「まぁいっか……ケイ、おやすみ……」
「ん……はい」
腕で包んだケイの感触が暖かくて、すぐに意識は落ちていくのだった。
キヴォトス小話「とある日の連邦生徒会」
「……あれ、システム障害?」
「何かありましたか?」
「あ、リン先輩。……それが少しエラー吐いてるみたいで」
「それなら……こうして下さい。」
ガンッ!!ガンッ!!
「!?」
「連邦生徒会長から受け継いだ直し方です。やはりこの手に限りますね」
「えぇ……?」