キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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そろそろアビドス編も終わりそう


集結

「どうするの……どうするのよこの状況!!?」

 

 

「セリカ、その…一旦落ち着いて」

 

 

「落ち着けるわけないでしょ!?シロコ先輩が冷静過ぎるだけだから!!」

 

 

衝撃の連絡を受けて集まった部室は騒然としている。突如ここにいる全員に全く同じ文章が一斉に送信され、何が起きているのかを一方的に知らされたのでそれも仕方ない。

 

 

「セリカの次は先生狙いですか。奴らも本気ですね」

 

 

「またカイザーですか……」

 

 

「ご丁寧に連絡に書いてました。私達は先生が来てから状況が特に好転してきています。その要因の先生を狙うのも当然でしょう」

 

 

「ホシノ先輩とコウ先輩の連絡もありませんし、2人にも何かあったのかもしれません」

 

 

頼りになる年長組が軒並み居なくなっている今の状況は特に悪い。問題のカイザーの居場所も掴めていない以上、八方塞がりだった。

 

 

「どうすれば……え、あ、あれは!?」

 

 

その時、砂塵を引き裂くようにして光線が空に向けて迸った。この辺りであんな光線を発するのは一つしかない。

 

 

「……私達には分かりやすい目印がありましたね」

 

 

「みんな、早速行こう」

 

 

「はい!」

 

 

 


 

 

 

「うぉっ!!?ちょっ!?やば、ホシノぉ!!なんとかしてぇ!!」

 

 

「そのまま引き付けてて!!」

 

 

「アババババ!!!???」

 

 

突如襲いかかって来た雷を纏った謎の生き物。ホシノに攻撃を任せたコウは、雷に何度も打たれながら逃げ回っていた。

 

 

「とにかく説明しバババ……だぁ!黒服!アイツは何!?」

 

 

『名称は『セトの憤怒』詳細は省きますが、暁のホルス…もといホシノさんの神秘の活性化を感知し、顕現した存在です』

 

 

「お前この無線機対電仕様にしてるなら知ってたよな!?こいつ来るって!!それとなんでこいつ攻撃してくるんだよ!」

 

 

『事前に伝えてしまったら、2人とも私の所には来なかったでしょう。それとセトの憤怒は貴方にも分かるように説明するなら、ホシノさんアンチです』

 

 

うん、そりゃ攻撃してくるか。アンチなら仕方ないか。と半ば思考停止にしながらコウはセトの電撃を受ける。周りに吹き付ける砂塵と風がキツく、正直立っていられるのもやっとだった。

 

 

「ホシノ!!なんとかならない!?」

 

 

先程から何故かショットガンの攻撃に爆発が付属するようになったホシノにそう叫ぶ。黒服曰く、神秘の活性化による威力の向上の結果らしい。

 

 

「やってるけど……火力が足りないかも!私だけじゃ足りない!!」

 

 

「火力……火力ねぇ……!?」

 

 

この辺りに使える武装が落ちてるなんて、ゲームのような展開は無い。何処かに強い火力がないか……

 

 

──カァァァァァァ──

 

 

「……あれだ」

 

 

「コウ?」

 

 

「黒服!!今すぐビナーの所に俺達を案内出来るか!?確かカイザーと争ってるんだろ!」

 

 

『……なるほど、つまり』

 

 

「俺たちのマスコットに頼む!!」

 

 


 

 

目の前には機械の体の大柄な姿が見える。アビドスを取り巻く問題の先導者の登場だ。

 

 

"貴方は……"

 

 

「私はカイザーコーポレーション、カイザーローン、カイザーコンストラクションの理事であり、カイザーPMCの代表取締役も務めている者だ」

 

 

"……アビドス砂漠の基地に私を連れて来て、一体何が目的?"

 

 

シッテムの箱は手元に無い。背後からは銃を突きつけられ、タブレットは理事の手元にある。

 

 

「シッテムの箱……もとい連邦生徒会長が残したオーパーツ。現代科学では到底再現できない代物……」

 

 

「我々は今、オーパーツに対する研究を進めている。そして、シッテムの箱に興味が向いた」

 

 

「しかし、その持ち主は吹けば飛ぶような儚い存在。……フハハハ!黒服にアビドスの生徒会長を引きつけさせ、貴様を捕えることは簡単なことだった」

 

 

"私を攫った理由は分かった。じゃあなんでアビドスの土地を……学校を狙ってるの?"

 

 

今だに理由が判明していなかった、カイザーがアビドスに固執する理由に関する問いかけをした。

 

 

「前者はこの地に眠る宝物を見つける為。後者は軍事学校を建てる為だ」

 

 

"宝物って……随分と夢見た行動だね。学校はもうアビドスがあるのに"

 

 

「このキヴォトスの地では、学園が政治的な権力を持つ。それは衰退したアビドス高校でも同じこと。吸収合併という形で我が社が学校を作れば……実質的な権限の取得に繋がる。そうだろう?」

 

 

学校というものを権力の一部としか見ていない。アビドスに通う生徒達を嘲笑するかのように紡がれたその言葉に、怒りを覚えた。

 

 

「さて、無駄な話はここまでとしよう。先生にはこのシッテムの箱を起動させるために協力してもらう」

 

 

"私が頷くと思う?"

 

 

まさに一触即発という雰囲気。背後に突き付けられた銃口に力が加わり、理事が何かを言おうとしたその時、着信音が鳴った。

 

 

「……なんだ、何かあったか」

 

 

『理事!!早くそこから避難してください!!ビナーが基地に向かって来ます!!』

 

 

「……なに?対デカグラマトン大隊はどうした、対処出来るだけの部隊は集めたはずだぞ」

 

 

「それが……ゲヘナ風紀委員会の勢力に妨害を受けていまして…」

 

 

「風紀委員会だと……なっ!?」

 

 

「理事!?ぐぁ!!?」

 

 

突如壁が爆発し、その衝撃によってシッテムの箱が理事の手元から落ちる。後方にいた兵は倒れた理事の元に咄嗟に走ったが、誰かに制圧されていた。

 

 

「先生ー?大丈夫ー?」

 

 

"この声……ムツキ!?"

 

 

「アル様、いつでもいけます」

 

 

「……うん、特に傷は見当たらない。早めにここを出るよ、巨大な奴が来てる」

 

 

「便利屋68!?貴様ら、裏切ったのか!?」

 

 

崩壊した壁から現れたのは便利屋68の面々。話を聞くと、意識が回復したユメが便利屋に救出を依頼したらしい。

 

 

「フフ……勘違いしないでちょうだい、貴方達との契約はあの時点で終わっていたわ。今の私の依頼人はユメさんよ」

 

 

"……よし、アロナ"

 

 

『はい!先生!』

 

 

"全力でここから逃げるよ。最短ルートをお願い"

 

 

『分かりました!目の前の扉を出てすぐ左に曲がってください!』

 

 

「待……待て……!……!!」

 

 

天井が爆発して崩落に埋もれていく理事を背後に、先生達は全力逃走を開始した。

 

 

──ガァァァァァァァ!!──

 

 

外から聞こえてくる、ビナーの咆哮を聞きながら。

 

 




キヴォトス小話 「アビドスはおかしい」

「今日の訓練はこのくらいにしとこっか」

「そうね……みんなは倒れてるけど」

「みんなだらしないね〜?おじさんの後輩達は、これぐらいじゃへこたれないよ?」

「いやあの……普段そっちの人達は何をしてるんですか……」

「普通だよ?軽く200kmサイクリングしてたり……100kgの物を軽く持ち上げてたり……」

「いや待って?」
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