キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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修正3話目です。修正前を消して再投稿という形をとっているので、前までの感想は消えてしまっていると思いますが、ちゃんと読んで励みにしているので遠慮なく下さい。


ゲヘナシロモップとの一日 

ユメ遭難事件から数週間が経った頃、コウはホシノと距離がちょっと縮まった……ような気がするし、会う頻度も増えていた。

ユメは退院して、ホシノと改めて高校生活を過ごしている。あんな事があったんだから、もう衝突するような事はないだろう。

 

……事あるごとにユメはコウの様子を見にくるのだが、コウからすればあまり来て欲しくはない。彼の部活動は普通の人には危険だからだ。

 

 

そんなコウは、今日ゲヘナに来ている。というのもコウはゲヘナにはよくお世話になっていて、見かける奴がみんな喧嘩っ早く、すぐに銃を撃ってくる輩が他の自治区より200%増しで多い。

 

だからこそ、守備力挑戦部の活動の場としてうってつけになっている。おそらくそろそろ誰かしらが喧嘩をふっかけに来る頃だろう。

 

 

「石依コウ!今日こそお前を叩きのめしてやるからな!」

 

 

「先に忠告しとくけど、多分弾の無駄になるから程々にしといたほうがいいぞ」

 

 

「好き勝手言いやがって……撃てー!!」

 

 

全員で数は十数人だろうか、コウを狙って多数の銃声が響く。反撃をする術がないコウからしたら、相手の弾とスタミナ切れを待つのがいつもの戦法である。

四方八方から撃たれながらしばらくすると、後方から轟音が響いてきた。

 

 

「「「ぐわーー!!??」」」

 

 

紫色の弾幕が後方から放たれて、綺麗にコウを撃っていた人を薙ぎ払ってしまった。もちろんコウの背中にも普通に当たっているが、事前に踏ん張っていたので特に問題はない。

 

 

「……久しぶりね、コウ」

 

 

「ヒナ!久しぶりじゃん」

 

 

この白いもふもふの髪が目立つ生徒は空崎ヒナ。1年生でありながら戦闘能力に長けており、今の所コウの知る限りでは負けてる姿を見た事がない。前も似たような流れで助けてもらい、知り合いになっていた。

 

 

「ここ暫くゲヘナには来てないと思ってたけど、何かあったの?」

 

 

「まぁちょっと地元のアビドスでいざこざが……それが解決したからまた部活動に勤しむために、こっちに来たってわけ」

 

 

「アビドス……一つ聞きたいのだけど、小鳥遊ホシノの事は知ってるかしら」

 

 

「ホシノ?そりゃ同級生だし……クソ強いし、最近は後輩の面倒よく見てるし、多分ヒナとも気が合うと思うけど」

 

 

2人とも小さくて強いという共通点があるし、もしかしたら仲良くなれるかもしれない。

 

 

「そう……私も頑張らないと」

 

 

「ヒナはもう十分頑張ってるだろ……と言うかその服私服じゃん。実は今日非番だった?」

 

 

「問題ないわ……あまりする事が無いのよ。先輩から休むように言われて休む事になったけど、私以外は活動をしてると思うと申し訳ないのよね……」

 

 

1年生でありながら典型的な社会人気質になっているヒナを見て、絶句するコウ。何かできる事はないかと考えを巡らせていると、何か思いついたのか笑みを浮かべる。

 

 

「……よし、ちょうど俺も暇だったし、今日は一緒に出掛けるか」

 

 

「……気持ちは嬉しいけど、私は」

 

 

「良いから良いから、退屈にはさせないからさ」

 

 

「……分かったわ」

 

 

「おっし、じゃ行くぞ〜」

 

 

 

 

 

 


 

 

ヒナがコウと初めて会ったのは、情報部の活動の一環として見回りを行っていた時だった。前方から十数人に蜂の巣にされており、いくらキヴォトス人でも集中砲火を喰らえば怪我をしてしまう。そう危惧したヒナは愛銃を構えて叫んだ。

 

 

「屈んで!!」

 

 

「え?あぁ……」

 

 

声を確かに聞いたのを確認して、その場を逃さずにトリガーを引いた。放たれる紫色の弾幕は不良達を一瞬の内に削り取っていく。が、問題なのは襲われていた彼もそのまま棒立ちで銃撃を受けていた事だった。

数秒のうちに気絶した人の山が出来上がり、不良達を尻目に声を掛けに行った。

 

 

「大丈夫?えっと……今どう見ても当たったわよね?」

 

 

「……すっげぇ威力……あっ、ありがとな」

 

 

「……怪我はないみたい、随分と頑丈ね」

 

 

「まぁ撃たれても効かないから。さっきも別に屈まなくても良かったしな」

 

 

不良達と同じく撃たれたはずなのに、普通にピンピンしているコウを見て驚くヒナ。こんな光景は初めてだった。

 

 

「それにしても、風紀委員だっけ?…ゲヘナを取り締まるなんてほぼ不可能だろ、よくやるなぁ」

 

 

「それが私達の仕事だから……そろそろ活動に戻らないと。貴方も銃が効かないとは言え、あまり無茶はしないことよ」

 

 

「えぇ、でもなぁ……まぁ良いか。今日はありがとな、俺は守備力挑戦部の石依コウ。そっちは?

 

 

「私は空崎ヒナ、風紀委員会情報部で仕事をしているわ。また機会があったら、会いましょう」

 

 

「おう、またな〜」

 

 

 

 

 

 

そうやって別れて数週間後また会う事になったが、まさか非番の日に会う事になるとは思っていなかった。

とりあえずコウに着いて行くヒナ。もし彼が悪人だったとしても、その時は倒してしまえば解決する。

 

 

「まずはその休むのが申し訳ないって考え方を変えないとな……」

 

 

「考え方?」

 

 

「そう、考え方。さっき他の人が頑張ってる最中に休むのが申し訳ない、って言ってたじゃん」

 

 

「えぇ」

 

 

「確かに誰かが休んだら、他の人が尻拭いをするのはそうだけど。……ヒナは俺から見たら優秀だから、もっと威勢よく考えないと」

 

 

「……例えばどんな風に?」

 

 

「自分が仕事を全部やるよりも、その仕事の方法をみんなに教えるとかさ」

 

 

「仕事をみんなに……」

 

 

1年生だからか、あまりそのような視点に立った覚えはなかったのでヒナは考えを巡らせる。実際最近は周りから頼られる事も増えていた。

 

 

「少なくとも戦闘面なら、ヒナは他よりも抜きん出てると思う。組織ってみんなが強くならないとあんまり意味がないし、ヒナだけが強くなっても周りは弱いまま、そんなだとこの先面倒な事になると思う」

 

 

「私に出来ることがあるなら全部やってれば、周りも喜ぶと思うけど……」

 

 

「喜びはするだろうけど、みんなヒナに頼ってばかりになるじゃん。自分しか出来ない仕事ってのは減らしたほうがいい。ヒナがいないなら余裕だって不良達にも舐められるかもだし」

 

 

それを言われてヒナは少し心当たりがあった。自分がいる時かいない時で不良生徒の撃破数が大きく異なるとして、最近先輩から褒められたことだった。

 

 

「これからは、周りで苦戦してる人をアドバイスすればいいんじゃない?それなら周りも対処できることが増えて強くなるし、ヒナに回ってくる仕事も減る。今ヒナにしか出来ないようなことも、出来るようになる子がいてくれた方がいいじゃん?」

 

 

自分にしか出来ない事を周りも出来るようにする。一見すれば自分の存在価値を下げに行っている行為だが、逆に言えば自分1人に対するハードルと責任の重みを周りと分担出来るということでもある。

 

 

「それに、自分が居なくても大丈夫だって思えるのは、ある種の信頼じゃない?」

 

 

挑戦の機会を与えるのも大事な事。確かにコウの言いたいことは理解できるが、ヒナはまだ一年生だ。

 

 

「私は風紀委員だけど、情報部所属の一年生よ。まだそこまで大きい考えを持とうとは思えないけど…」

 

 

「いや、このままだとヒナは絶対に色んな人から頼られる。多分委員長にでもなると思う。それまでに俺が言った言葉を覚えてて、実践してくれたら絶対状況は良くなる。断言する」

 

 

「そ、そう……」

 

 

……実際彼が言ったことも的外れでは無いのだから、来年に後輩が出来たら実践してみようかな?とヒナは考えを改めた。

 

 

本音を言うとヒナレベルがもっと増えて欲しいってのが理由だけども…………コホンッ!さてとっ着いたぞ〜ヒナ、今日は此処で遊ぼう!」

 

 

視線を向けると、そこにはゲームセンターがあった。よく見るとここはゲヘナじゃない店舗の店だ。

 

 

「……いつの間にゲヘナから出ていたの?」

 

 

「ゲヘナ方面にある、アビドスのゲーセンだぞ。……まぁ数ヶ月後には潰れるらしいから、次からはミレニアムの方にしないとな……」

 

 

「あ、そういや、ヒナってゲーセンとか行く感じ?」

 

 

「……あまり行かないわね。誰かがゲームセンターで癇癪を起こして出動する……のはあったけど」

 

 

「じゃあ俺の方が先輩って事か……ヒナに勝てるチャンスが来たな」

 

 

「だからって、負けるつもりはないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……明らかにこの技だけ強いわね。これだけ使ってても勝てそう」

 

 

「ちょっ……待っ、嘘だろ……初めてだよな?」

 

 

どうやらヒナは戦闘だけでなく、ゲームも上手いようだった。2人は対戦ゲームをしてみたのだが、ヒナがどう見てもキャラクターの技の強さを途中で理解している。

 

 

「戦いの中で成長してやがる……!?」

 

 

「……ここね」

 

 

「あぁー!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

パン!

 

 

「やっぱダメだ、全然当たらん」

 

 

射的ゲームをしてみたが、相変わらず全く掠りもしないコウ。見当違いの方向ばかり飛んでいき、そこには穴の一つもない紙があった。映像ゲームの射撃は普通に当たるので、不思議な話である。

 

 

「撃ち方の姿勢が悪いわけでもないのに……不思議ね」

 

 

ヒナから見てもおかしい所は見当たらない。当たっていないのが不思議なくらいだった。

 

 

「それでヒナはめっちゃ当ててるし……どうなってんの?」

 

 

「色々な武装を使いこなすことも必要だから……」

 

 

 

 

 

 

 

「だっはぁぁぁぁ!!全然取れん!!」

 

 

「どうしたのコウ?……あぁ、これね」

 

 

コウの目の前にあるのはUFOキャッチャー。モモフレンズのぬいぐるみを取ろうと四苦八苦していた所を見かけたので、ヒナは声をかけた。

 

 

「これが欲しいの?」

 

 

「いや……ヒナになんかあげようかなって……上手く取れないけど」

 

 

「気持ちだけでも嬉しいわ」

 

 

「あと一回……お?……お、キタァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

気づけば夕方になっていて、そろそろ2人とも帰る時間になった。

 

 

「今日は楽しかったわ、ありがとう」

 

 

「おう、こっちも楽しかった。暇な時に連絡して?また遊ぶから」

 

 

先程の合間にモモトークを交換しておいたので、次からは2人とも連絡を取り合う事ができる。新しく増えた連絡先を見ると、少し心が軽くなるようだった。

 

 

「何から何まで今日はありがとう……ぬいぐるみも貰ったし、私からは何もあげられてないと思うけど……」

 

 

「いやいや、今日すっごい楽しかったぞ?1人でゲーセンに行くよりかはずっといいし」

 

 

「それでもやっぱり……その、私に何かして欲しいこととかある?」

 

 

「して欲しいこと?……強いて言うなら、髪触ってもいい?初めて見た時からふわふわしてそうで、触ってみたくて」

 

 

なんだそんなことかとヒナは思い、くるりと回って背中をコウに向ける。

 

 

「それくらいなら良いわよ、どうぞ」

 

 

「失礼しま〜す」

 

 

モフッ

 

 

「わぁ…すっごいふわふわ………なんか良い匂い……」

 

 

「……も、もうそろそろ良い?」

 

 

「ん……もう充分、ありがとヒナ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、またな〜ヒナ!」

 

 

「えぇコウ、また会いましょう」

 

 

これを機に2人は関わる事が増えていった。色々と問題を呼び込むこともあるのだが、それはまた別の話である。




背中を打たれた時、事前に全力を出して構えていなかったら情け無く吹っ飛んでいます。
衝撃は殺せないって奴だね。ハイパー無敵かな?
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