キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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ミレニアム編
目覚めよ勇者


 

窓から見える風景が右から左に流れている。ビル群が立ち並ぶ風景は、シャーレ周囲と比べてもまた違って見えた。

 

 

"ここがミレニアムかぁ……なんだか最先端な雰囲気……"

 

 

学園内を走るモノレールに乗りながら語彙力の欠けた感想を溢す先生。現在彼女はシャーレからミレニアムサイエンススクールに向かっている最中。その中でもとある部活に用があって来た。

 

 

『ゲーム開発部……一体どんな部活なのでしょうか……』

 

 

勇者よ!どうか私たちを助けてください!と個性的な文脈で綴られた手紙には、端的に言えば廃部しそうなので助けてくださいと書かれていた。

 

 

"部活かぁ……懐かしいや。私は女子バスケ部に入ってたんだ"

 

 

『バスケ、好きだったんですか?』

 

 

"いや?運動不足にちょうど良いかなって。エンジョイ勢って奴だよ"

 

 

バスケ部は人気があったので廃部を経験するような事は無かった。しかし生徒会に廃部命令を突き付けられているようだが、もしかしてユウカに迷惑をかけたりするかも知れない。なので念の為連絡を入れておくことにした。

 

 

『"ユウカ、ちょっと良い?"』

 

 

『先生?どうしたんですか』

 

 

数分空けて既読が付いて返事が返ってくる。ユウカは基本的に返信が早い、見習わなくては。

 

 

『"ちょっと今からミレニアムに向かう予定があって、一声掛けておこうかなって"』

 

 

『今からですか?……遊びに来ただけでは無いですよね、一体なんの予定で?』

 

 

『"ゲーム開発部の子達に会いに行くんだ。そろそろモノレールを降りるから、見かけたら声をかけるよ"』

 

 

『……あの子達また面倒なことを持ち込んだわね……先生、少ししたら私も向かいます。良いですね?』

 

 

『"うん、先に行ってるね"』

 

 

そうして道なりにいた生徒に部室の場所を聞き、近くを通ると窓から賑やかな声が聞こえて来た。おそらく部員の子達の声だろう。

 

 

「うわぁぁぁ!!このボス勝てないって!!」

 

 

「葦名弦二郎は相手が攻撃を弾いた後に反撃が来ることを意識すれば……」

 

 

「見ても分かんないよぉ……あぁぁぁ!また死んだぁ!?うわぁぁぁぁ!!」

 

 

「お姉ちゃん待って!?流石にプライステーションはダメ……あ」

 

 

『先生!?避けてください!!』

 

 

目の前に飛んできたゲーム機によって、私の意識は途絶えた。

 

 


 

 

「ザオリル!ザオルラ!お願い〜……目を覚まして先生ー!」

 

 

"……はっ!?"

 

 

知らない天井を見上げて思わず飛び起きた。周りを見るとこちらを見つめる二人の生徒に、床に散乱したゲーム機達が視界を埋める。最後の記憶は唐突な頭の衝撃で終わっていた。

 

 

「うわぁ!?復活した!!……勇者先生よ、落ち着いて聞いてください。貴方は100年間もの間眠りについていました……」

 

 

「急に変な喋り方しないで、お姉ちゃん」

 

 

「ミドリ、こういうのは第一印象が大事で……」

 

 

「その喋り方でよくならないでしょ」

 

 

目の前で漫才を繰り広げる2人を見て、先程の声のメンバーだと把握する。でも確か3人ほど声がしたと思うが、今はいないのだろうか。

 

 

「大事にならなくて良かった……お姉ちゃんが窓の外に投げたプライステーションが先生の頭に偶然当たって、殺人事件の容疑者になるかと思いました」

 

 

「でもミドリだって第一声は「プライステーションは無事!?」だったじゃん」

 

 

「……とにかく!先生はあのシャーレから来たんですよね?」

 

 

そうだよ、と胸にかけた名前の札を2人に見せる。ぱぁっ!と顔が明るくなり、喜びを噛み締めていた。

 

 

「やったよミドリ!やっぱりあんな感じで手紙を書いて正解だったじゃん!」

 

 

"まぁ確かに目につく内容ではあったけどね……"

 

 

手書きで書かれた内容は熱意が込められており、アビドスの時と比べたら規模は小さいが緊急事態である事を熱心に説明していた。……字はもう少し綺麗にして欲しかったけど。

 

 

「あらためて、ゲーム開発部にようこそ!私はシナリオライターのモモイ!」

 

 

「私はミドリ。イラストレーター及び、ゲームのビジュアル全般を担当しています」

 

 

「今はここにいないけど、あとは企画周りを担当してるユズの3人の部活だよ!」

 

 

3人……クリエイターとしては随分と少数精鋭な気もするが、そもそも私は何の為に呼ばれたのだろうか。ゲーム作りを手伝って欲しいとかだったら厳しいけど……

 

 

「よし!じゃあ先生も来た事だし、さっそく廃墟に行こう!」

 

 

"待って?廃墟?"

 

 

ゲームを作る際にインスピレーションを得る為に海外に出かけたりするとは聞いたことがあるが、それと似たようなものなのだろうか?疑問符を浮かべているとモモイは一から説明するね!と話を切り出した。

 

 

「あれは今から数週間前の話……平和に16ビットゲームを作ってた私達に生徒会の魔の手が忍び寄って来て──」

 

 

「それに関しては、私から直接ご説明しましょうか?」

 

 

部室のドアを空けてそう答えたのはユウカだった。連絡通りに部室に来てくれたのだろう。

 

 

「うわっ!出たな生徒会四天王の一人、冷酷な算術使いのユウカ!」

 

 

「人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?」

 

 

中に入って来たユウカは先生に目線を向けると溜め息を付いた。

 

 

"やっほーユウカ!当番に来てくれた時以来だね"

 

 

「……先生とは話したいこともありますが……モモイ」

 

 

「えっと……何?」

 

 

「本当に諦めが悪いわね。まさか「シャーレ」を巻き込むなんて……でも無意味よ。ゲーム開発部の廃部はもう決まったこと、もう覆せないわ」

 

 

ユウカは何週間か前に定められた部活における規定の2つ、「部員が規定人数に達する」「部活としての成果を出す」を満たさない部活であるのが理由だと語った。

 

 

「前にも散々忠告したし、廃部になっても異議はないはずだけど?」

 

 

「異議あり!私達だって成果は出してる!」

 

 

「そうですよ!あのコンテストで受賞も……」

 

 

「あれは……まぁ、そうね。確かに受賞してたわ」

 

 

"あれって?"

 

 

「「テイルズ・サガ・クロニクル」この子達が作ったゲームで、この部活の唯一の成果です。ちなみに先生、そのコンテストの受賞名はなんだと思いますか?」

 

 

"……受賞したぐらいだし、アイデア賞とか?"

 

 

「『今年のクソゲーランキング』の1位です」

 

 

"1位……!逆にやってみたいかも…"

 

 

懐かしいなぁ、昔にやったヒーローの人形を台座に乗せて遊ぶゲームを思い出した。接続が悪くなったのか途中から読み込んでくれなくなってやめたけど。

 

 

「このまま活動を続けられても学校の名誉に傷が付くだけ。……優れた結果を証明出来ない以上、セミナーとしての裁定を行う必要があるわ」

 

 

「ぐっ……」

 

 

「結果……そうだよ!今回はその結果を証明する為に先生を呼んだんだから!」

 

 

「へぇ、何か当てがあるの?」

 

 

「先生を呼ばないと出来ない切り札を使って……今回のミレニアムプライスに私達のゲーム、「テイルズ・サガ・クロニクル2』を受賞させてみせる!」

 

 

「……本気?」

 

 

想像しなかった答えが飛び出したのか、冗談じゃないのか?とユウカはそう問いかけた。




キヴォトス豆知識
少し前にホラー映画を見てからというもの、ケイはコウと一緒に寝るようになっている。
初めは1度だけのつもりだったが、寝心地が良くて以降継続中。

原作と似た展開になる場合は巻きで行った方がいいか、それとも細かく描写したほうがいいかどっちにしましょう?

  • そこまで変わらないとこはダイジェストで!
  • 細かく書いちゃって!
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