キヴォトス最硬の神秘   作:たらこ饅頭

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ミレニアム編はこんな感じで適度にゲームネタを仕込んでます。


お試し特異現象

 

「戻ったよ」

 

 

「お疲れ様です、エイミ」

 

 

途中から付けられたアイマスクが外され、視界が開かれる。サイバー的な機械が立ち並び、窓一つない風景は秘密基地を連想させた。……壁際に沢山並べられたビナー人形達が無ければの話だが。

 

 

「おぉ、ビナー人形買ってくれてるんだ」

 

 

「これはリオから資料として渡された物で……それよりエイミ、早々に冷房のスイッチを押さないでください。風邪を引いてしまいます」

 

 

「でも暑くない?」

 

 

「私はむしろもう少し温度を上げても良いぐらい……いえ、これ以上はやめておきましょう」

 

 

言い合いを止めてこちらの方に向き直る。周りではあまり見ないタイプの清楚さを感じさせる趣は珍しく感じた。

 

 

「申し遅れました。私の名前はヒマリ、ミレニアムにいれば一度くらい噂に聞いたことがあると思います」

 

 

「ヒマリ……あ、モモイがそんな事言ってたっけ……」

 

 

「あの子は私の事を何と?」

 

 

「凄く頼りになる先輩だ〜とか……あの人に聞けば間違いないとか……」

 

 

「そうでしたか……ふふっ…今度会った時はお菓子を差し上げましょうか。ふふふ……」

 

 

……それから話が本題に入ったのは数分経ってからだった。

 

 

「──つまり、デカグラマトン……ビナーの仲間達関連の情報が欲しくて俺と接触したと」

 

 

「はい。本来なら先生を呼ぶ予定だったのですが、どうやら先客がいたようで。あの子達も一大事ですから、割り込むわけにはいきません」

 

 

「それに情報だけで言えば、コウさんからは充分貰ってるから」

 

 

「……初対面だよな?俺が何かした──」

 

 

『やるなぁ!ビナーくぅぅん!!前よりも威力上がってきてる気がするぞぉ!その調子で来いぃぃぃ!!』

 

 

モニターの一つに、少し前にビナーと戯れていた映像が映し出された。……流石にこれを見られてたと思うと、コウは恥じらいを感じた。

 

 

「いつから?」

 

 

「この記録はざっと1年分ありますね。毎回記録していた訳ではありませんが、ビナーに関する情報はこれでバッチリでした」

 

 

「見るたびに思ってたけど、これ痛くないの?」

 

 

「……俺は頑丈なんだよ」

 

 

ビナーの話は置いておいて、次に先程の地帯で出会った未知の存在についての話題になった。

 

 

「……なるほど。何かを守るように一定の範囲を移動して、ですか。それは興味深いですね」

 

 

「そこに何かあるって事なのかな?」

 

 

「早速調査を開始して……あら?」

 

 

突如モニターが赤い警告画面を映し出した。それは一つだけだったが、伝播するようにどんどん増えていく。

 

 

「そんな……ファイアウォールが全て突破されて…!?」

 

 

「部長、下がって」

 

 

素早くエイミが破壊を試みた。関連する機器は瞬く間に破壊されて限界をとどめていないのだが……

 

 

『……ごきげんよう、ハッカーの少女』

 

 

「デカグラマトン……そちらから接触しに来ましたか、手間が省けましたね」

 

 

スピーカーから音声が聞こえてくる、デカグラマトンはどうやら意思疎通が可能みたいだ。……ビナーももしかしたら会話出来たのか?

 

 

『私の存在証明は誰の許可も必要とせず、私の許可の元でこうして存在する』

 

 

『既に私の居場所を把握しているその手腕は賞賛に値する。これは餞別であり、警告である』

 

 

そう伝えると、音声はプツリと消えてしまった。侵入ログも消滅してしまっている。

 

 

「居場所はこれから調査する予定だったのですが……それに餞別?……まさか何か仕掛けて──おや?」

 

 

何か違和感を感じたのか、液晶ウィンドウを覗き込みヒマリが指を動かす。すると誰かに連絡が繋がった。

 

 

「チーちゃん、何かありましたか?」

 

 

『ヒマリ、もう知ってると思うけど地下数千メートルから急速にハブが浮上してきた。消息不明だったはずだけど、どこから来たのかは特定出来ないと思う』

 

 

「えぇ、浮上予測地点に誰かいるなら避難を呼びかけてもらえますか?」

 

 

「分かった……いや、ダメかも」

 

 

電話に出た生徒、各務チヒロは溜め息と一緒に否定的な意見を出した。何故?と問いかけたところ、帰って来た返事は納得がいく理由だった。

 

 

「……正直に言うけど、ミレニアムの生徒達が暴走する機械を前にして大人しく引き下がってくれると思う?」

 

 

「……」

 

 

 

 

 


 

 

"待って待ってモモイ!!ストップストップ!!"

 

 

「何言ってるの先生!こんな面白そうなイベントを逃すなんて、絶対に損するよ!」

 

 

モモイの提案でアリスを部員に迎え入れる事になり言語習得を兼ねて様々なゲームをプレイさせていた時、突如大きな地響きと共に巨大な機械が浮かび上がってきた。

 

驚きつつも部室を出ると周りの生徒達も興味津々に見つめていて、中には飛び出してしまいそうな生徒が羽交締めされていたりもしていた。

 

 

「あ、あれは……!?」

 

 

「お姉ちゃん知ってるの!?」

 

 

「え、知らないけど?」

 

 

「……紛らわしい事しないで!」

 

 

外の景色がよく見える広場に生徒が集結し始める。中でも目立ったのは大きな物を台車に乗せて運んでいた3人だ。確かあの子達はエンジニア部だったか。

 

 

「あっ!ウタハ先輩!」

 

 

「やぁみんな、久しぶりだね。……よし、ここからなら充分狙えそうだ」

 

 

"何をする気なの?"

 

 

「初めまして、先生。先生はあれが何か知っているかい?」

 

 

"知らないけど……"

 

 

「それならこの私、豊見コトリが説明しましょう!あれはHUB(ハブ)と言って、ミレニアムサイエンススクールの地下で各施設を繋げ、補修する役割を担っている学園創設当初から存在する歴史あるユニットです!」

 

「ハブの頭には超高性能の演算装置が搭載されていまして、地下でのケーブル作業を容易にするために掘削装置と接続端末を取り付けたアームが無数に装着されたその姿は巨大なタコのようだと言われています!」

 

 

"……なるほど"

 

 

「コトリちゃんは相変わらずだね……」

 

 

コトリのお陰でとにかくミレニアムで重要なものだと言う事は伝わったけど、それなら何で今暴れてしまっているのか。その事を聞くと、ウタハは首を横に振った。

 

 

「……それが分からないんだ。セミナーかヴェリタスなら何か知ってるかもしれないけど、とにかく今はあれを止めるのが最優先だろう」

 

 

「そこで活躍するのがこの子って訳だね」

 

 

隣に立っていたヒビキがポンポンと機械を優しく叩いた。結構な大きさを誇るそれは、まるで大砲のような見た目をしていた。

 

 

「……これは?」

 

 

「モモイ、この子はどうしたんだい?」

 

 

「えっと……うちの新メンバーだよ!」

 

 

じーっとアリスは大砲を見つめている。その眼差しは真剣であり、興味津々と言った様子だ。

 

 

「ふふふ、これはですね……エンジニア部の下半期の予算70%近くをかけて制作された、「宇宙戦艦搭載用レールガン」です!」

 

 

"レールガン!?"

 

 

コトリが語るにエンジニア部は現在宇宙戦艦の開発を目標としているらしく、これは戦艦の主戦力となりえる実弾兵器であるらしい。宇宙戦艦という響きに思わずワクワクが止まらない。

 

 

「ですが、先程も言った通りこのレールガンだけでも下半期の予算70%近くがかかりました。宇宙戦艦全体を作るのには何千倍の予算が必要なのやら……」

 

 

「……そんなの計画段階で分かることじゃん!どうして完成まで持っていっちゃったのさ!?」

 

 

"……まぁ、ビーム砲はロマンだからね。私も気持ちは分かるよ"

 

 

「ふむ、どうやら先生とは気が合いそうだ。どうだい?この後私達がこれまで作り上げた子達を紹介しよう」

 

 

"いいの?やったぁ!"

 

 

「目を覚まして先生!私達への的確な指揮はどこいっちゃったの!?」

 

 

「……さて話を戻そう。あの暴走したハブを止めるには機械的なアプローチでは難しい。この場に必要なのは物理的に止める火力だ」

 

 

荷台に乗せられた大砲がキラリと輝く。器具で固定された大砲の照準を合わせるべく、発射角度を調整していく。

 

 

「この『光の剣:スーパーノヴァ』はきっとあれを止めてくれるはずだ。むしろこの子を活躍させる為にハブが暴走したのかもしれない」

 

 

「ねぇコトリちゃん、これってそんなに重いの?」

 

 

「いい質問ですね、ミドリ。基本重量だけで140kg以上、さらに光学照準器とバッテリーを足した上で砲撃を行うと、瞬間的な反動は200kgを超えます!……ですので個人の使用は物理的に不可能になっています」

 

 

……ノノミならもしかしたら出来るだろうか?そう思っていると、アリスが大砲に近づいて手を添えた。

 

 

「光の剣……アリスにその資格はあるでしょうか……」

 

 

「アリス?もしかしてこれ使ってみたいの?」

 

 

モモイの言葉にアリスはこくりと頷く。先程の解説を聞くならこれは個人が持てる範疇を超えている代物だ。小柄なアリスでは流石に厳しいと思ったのか、ウタハ達がフォローを入れた。

 

 

「気持ちは嬉しいけど、人力でこの重量を持ち運ぶのは厳しいだろう。本当はもっと活躍させたい所だけど、銃のような取り回しの良さはない。この子を使いこなせる存在がいれば……なんて思ってしまうね」

 

 

「…!!……汝、その言葉に一点の曇りもないと誓えるか?」

 

 

「おや、喋り方が変わった……?」

 

 

「あっ、やばっ……さっき教えたゲームの汎用性が高い語録集が……」

 

 

「えっと……多分、それは本当ですか?って聞いてるんだと思います!」

 

 

「特に嘘は言ってないが……まさかそれを持ち上げる気かい?」

 

 

アリスが光の剣を抱える形で掴む。その様子を固唾を飲んで見守っていた。

 

 

「腰を痛めるから、無理はしないほうがいい……クレーンでも使わないと持ち上がら──」

 

 

「ん……んんんっっ!!」

 

 

「……まさか」

 

 

ズズズ‥‥と擦る音が聞こえ、少しずつ100kgを超える物体が持ち上がっていく。やがてそれはアリスに抱えられる形で収まった。

 

 

「ふぅ……持ち上がりました!」

 

 

「ええええ!?そんな……」

 

 

「信じられない……」

 

 

「操作方法を教えてもらえますか?」

 

 

「あっ、えっと……ここのボタンでチャージ開始で、ここのボタンが発射で……」

 

 

「なるほど……アリス、操作方法を理解しました!これよりチュートリアルボスの撃破に移ります!」

 

 

100kg以上の物体を持っているとは思えない程軽やかに光の剣を動かし、その照準をハブに向ける。そのままボタンを押してチャージを開始した。

 

 

「EMLモジュール全点接続、エネルギータービン全開。出力80…90…」

 

 

「そんな機能は搭載していないはずですが……?」

 

 

「緊急弁全閉鎖、リミッター解除…!!100…110…115…出力臨界点突破!!」

 

 

"アリス、いっけー!!"

 

 

「いいよアリス、かっこよく決めちゃって!!」

 

 

「外しはしません……光よ!!

 

 

極大の閃光が放たれハブを覆い尽くす。とてつもない威力を秘めた一撃は容易く装甲を貫き、ハブは撃墜されて地下深くへと落下していった。




なお普通の一般生徒の癖しておそらくこれを扱えるショッピングさんがアビドスにいるんですよね。
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