シュポガキ2人が1天井以内でゲット出来てバンザイ。
全力でアロナを褒めちぎりました。
「……」
目の前には、多分トリニティのどこかの景色。こんなところに来た覚えはないけど、不思議な事に何故自分がここにいるのか、ここは何処なのかという疑問を何も感じなかった。
「……?」
辺りは暗くなって、星が夜空に輝いている。見慣れない建物が建ち並んでおり、この景色は確かトリニティだったか。テレビで観た気がする。
ふわふわとした意識の最中、背後に気配を感じて振り返った。
「……初めまして、と言うべきかな」
「……お…ん??」
「君は随分と冷静だね。夢の中に初対面の相手がいても驚かないのかい?」
「……まぁ、変な事には慣れてるから。それよりえっと……ここ夢の中なのか?」
おそらくトリニティの制服だろう、上品さを感じる服を着た狐耳の少女がそこにいた。なんだか最近トリニティとよく縁がある気がする。
「そうとも、ここは夢の中。現実の君はスヤスヤと眠りについているから、安心してくれ。……今回は私が夢を見せているからね」
「私の名前は百合園セイア。色々あって人との交流に飢えていてね、ここは一つ私と話をしてくれないかい?私との会話内容を、君は目覚めた頃には忘れているだろうが」
「まぁじゃあ……」
目の前の椅子に座ることを促されたので座っていく。夢の中と言われてもピンと来てないが、こんな経験は初めてなので少しワクワクしている。
「そうだね……まずは君の事を教えてほしい」
「…俺の名前は石依コウ。アビドス高校の2年生で、守備力挑戦部って奴を1人でやってる」
「その部活はどんな活動をしているのかな?」
「俺は守りだけ凄いから、危ないところに行きまくる活動かな」
「……君は行動力があるんだね。知り合いに似た人がいたのを思い出すよ」
「褒め言葉として受け取っとくぞ」
思った事をストレートに伝えてくるタイプなのか、真っ向から面倒な性格と言われてしまった。その割には話し方がやけに知的に思えてくるし、さては結構愉快な性格してるなコイツ。
「それにしても、何で俺の夢の中に来たんだ?」
「知り合いから君の事を聞いてね。少し気になったから、こうして誘ってみたというわけだ。……直接会ってもみたかったのだが、あいにく私は体が弱くて寝たきりになっている。それもとある予知夢のせいではあるのだが……」
「予知夢?そりゃすげぇ、『フフフッ、お前の行動は全部見えているぞ!!』って出来る奴じゃん」
「残念だが、良い点ばかりがあるわけでもない。……一つ具体例を出そうか、私が未来を見て宝くじの当選番号を書くとしよう。当然その番号は当たる、未来で決まっているからね」
未来予知が出来たらやりたい事ランキング1位を言い当てられてしまった。……いやここで出るならやっちゃダメな理由があるのか?
「だが、未来において本来当たるはずのなかった宝くじが当たる。これはとても大きい影響を産むだろう。……君はバタフライエフェクトという言葉を知っているかい?」
「確か…蝶の羽ばたき一つの小さな変化で、とてつもない災害が起きる事がある……て感じだっけ」
「概ねその認識で合っている。私の行動一つで未来が変わり、様々な影響が生まれてしまう、良くも悪くもね。そもそも未来というものは不確定であるべきものだ、無闇矢鱈に見るものじゃない」
「じゃあ見なきゃ良いんじゃないの?」
「そうともいかない。恥ずかしい事だが、私はこの力を制御出来ているわけではない。睡眠を取り、夢を見た拍子に見たくなくとも予知夢を見てしまう事も多いからね」
世の中そう都合よくいかないもんなんだなぁ……。未来予知とか欲しい能力第3位ぐらいに入ってるだろうに、そんなデメリットがあったのか。俺の欲しい特殊能力ランキングが変化していくのを感じる。
「……」
「……どうした?」
「……あぁ、いや、最近物騒な夢を見てね。少し気が滅入っているんだ」
「物騒な夢ねぇ……どんな夢?気になる〜」
「それは……まぁ良いか。簡単に言えば、私は来年に襲撃を受けるらしい」
「襲撃?ほんとに物騒じゃん」
「……私を襲撃した生徒は、何か迷いがあったように見えた。その日が来たら、私は彼女に交渉を持ちかけてみようと思っている」
「……その後はどうすんの?」
「その後かい?……まだその未来は見えていないのだが、私なら一度自分を死んだ事にして事態の好調を図るだろう。襲撃したなら、私がいない方が都合が良いことがあるということだからね」
死んだ事にするって、そんな簡単に出来たっけ?……いやもしかして。
「あのさ、もしかして結構凄い地位になってる人だったりする?」
「まぁ……そうだね、トリニティにおける生徒会の次期代表といったところかな」
さっき知り合いから聞いたって言ってたけど、そんな凄い地位の知り合いが俺にいたっけ?と思ったが、一旦頭の端に置いて置く。
「すげぇや……さっきの話って、表では死んだ事にするって事だよな?実は生きてるって他の誰かには伝えないのか?」
「誰が襲撃を企てたのか、現時点ではわかっていない。その状況で無闇に情報を漏らす事は自殺行為と同意義だろう。私の事を診てくれる彼女は例外だろうが……」
「……?いやまてよ…トリニティって確か3つの派閥が生徒会してるって聞いたけど、他の2つの派閥にはなんか言わないの?生徒会の代表が1人機能停止って、絶対面倒な事になると思うけど」
「その必要は、いや待った。……あぁ……うん、やっぱり伝えておいた方がいいかもしれない」
そう言うとセイアは薄ら笑いを浮かべ、天を仰ぎ出した。
「私以外の2人の次期代表……あの2人は困った性格でね。感情が先走って、1人で行動を起こしてしまうところがあるんだ。私が死んだと聞いて、面倒な方向に舵を切る2人の姿が見えた気がするよ」
「じゃあ尚更言っておいた方がいいじゃん。3人で連携取ってこその生徒会じゃないの?」
ヒナといいセイアといい、実力があったり地位が高い人は何故1人で全部こなそうとしてしまうのか。俺を見習って多方面に迷惑をかけて欲しいものだ。……まぁやりすぎは良くないけど。
「ぐうの音も出ないね……うん、彼女達2人だけには伝えておく事にしよう。私も少しは周りを頼る事を覚えた方がいいのかもしれない」
「……ん?……えっ何これ」
だんだんと景色が薄くなっていく、なんか天に召されそうになってない?
「……そろそろお目覚めの時間みたいだね。君のおかげでこれからの行動が決まりそうだ、ありがとう」
「実は明日トリニティに行く予定だったんだけどさ、会えると思う?」
「行っただろう?私は最近寝たきりが続いていると。私は部屋にいるが、他校の生徒である君は安易に校内には入れない。諦めて観光か何かに専念すると良い」
「ざぁんねん。まぁそうするか」
次の瞬間、目の前が真っ白になった。
「……いつまで寝てるんですか、そろそろ起きてください」
体が揺らされている感覚がして、段々と意識が回復してくる。ぼんやりとした視界の中、目の前にはケイがいた。
「……んぁ……けい……?」
「何を寝ぼけているんですか、貴方は今日トリニティに行くと行っていたはずです。早くしないと遅れてしまいますよ」
「あぁそっか……いや、なんか変な夢、見たなぁ……」
「夢?」
「おう……確か狐耳のトリニティ生徒だっけか……とお話ししてた気がする。……何話したっけ……ダメだ思い出せねぇ」
「くだらない夢の事なんて置いて、支度をしたらどうですか?」
「そうする……ケイも準備しとけよな〜」
「……私もですか?」
「許可は取ってるから、安心しとけ」
「そういう問題では……はぁ、分かりました」
「こうしてみると、本当に賑やかだなぁ。流石トリニティ」
「アビドスと違って自然災害が無く、ゲヘナよりも治安が良い……。キヴォトス三大自治区では、ミレニアムの次にオススメされるのも頷けます」
「……ケイ、俺より詳しくなってない?」
「旅先を事前に調べるのは当たり前の事です。むしろ事前知識なしで来るコウがおかしいんですよ?少しは調べてから来てください」
「さーせん」
ここ最近、ケイの俺の扱いが雑になってきたように感じる。それだけ俺といる事に慣れたことでもあるから喜びたいのだが、尻に敷かれているような感覚だ。
「それじゃあケイ、何かオススメはある?」
「少しは自分で調べようとはしないのですか……そうですね、ここのカフェはロールケーキの評価が高いそうです。行ってみますか?」
いつの間に調べたのか、ネットの記事を俺のスマホに飛ばしたケイが、カフェを一つ選択する。拒否する理由もないので、とりあえず肯定した。
「それじゃ、道案内は頼んだ。ルート構築は得意だろ?」
「当たり前です。超高性能AIを舐めないで下さい」
ケイの道案内を頼りに進んでいく。移動の合間に周りの建物の名称や解説をしてくれるので、驚くほど快適な歩き旅になった。
「あそこは……どうみても学校か。お嬢様生徒が、キラキラした学園生活を過ごしてるんだろうなぁ」
「残念ながら、そうとも限らないみたいですね。トリニティは良くも悪くも、家系や地位を重んじる校風です。一部の過激派などのいじめも問題になっているようで、私としてはあまり好ましくはありませんね」
「えぇ……まじかぁ」
お嬢様達のいじめってアニメだけの話だと思ってたけど、存在して欲しくない部分が存在してても嬉しくないわぁ……。
「……そろそろ見えてきましたね。あの建物です」
「午前中に来たからか知らないけど、そんなに並んでないんだな」
「ここはそれほど有名ではないからでしょう。私は評価というものは、量より質を重視するべきだと思っています。このお店の評価は丁寧で、確かな熱意を感じました」
「超高性能AIってすごいなぁ……」
お店自体そんなに大きくもなく、目立った場所に建っているわけでもない。人通りが余りないのも頷けるが、むしろアビドスと似ているようで親近感が湧いた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「2人でお願いします」
「ご自由の席にどうぞ」
落ち着いた色合いがメインの内装に、あまり飾りすぎないように添えられた植物。ここまで豪華な建物ばかり見て来たからか、逆に目立って見えた。
見える範囲で自分達以外のお客さんは1人、穴場スポットの様なものなのだろうか。テーブル席に座って、メニュー表を眺める。
「このロールケーキが絶品だそうです。この方はロールケーキが大好きで、むしろ何故客足が無いのかと嘆いていました」
試しに記事のレビュー内容を見てみたが、思ったより長文で批評コメントが書かれていた。その割に批判はあまりしておらず改善点を挙げていたりと、確かに熱意と愛を感じる内容だった。
「じゃあそれ2つ頼んどくか。すみません、このロールケーキと、ミルクティーを2つお願いします」
「かしこまりました」
「それにしても……俺って何も知らないんだなぁ。ケイが詳しすぎるだけかもしれないけど」
「コウは今ぐらいが丁度良いと思います。一緒に過ごして気付きましたが、貴方は何も考えていない時の方が周りに都合が良い事が起こります。変な事を考えられるぐらいなら、普段から頭を空っぽにしておいてください」
「酷くね?」
そんな会話をしばらくしていると、ロールケーキとミルクティーが運ばれてくる。店員にお礼を言って、そのままロールケーキを一口サイズに切って口に入れる。
「ん〜!!」
「美味しいですね。ミルクティーとも良く合います」
「オススメされてただけはあるなぁ。なんでこんなに人が少ないんだろ」
「むしろ今だけかもしれませんよ。いつ何が流行るか、私にもよく分かりませんから」
「ケイにも分からないか……いやそりゃそうか」
流行りなんて気付いたら変わってるぐらいだし、そりゃAIでも予測は難しいか。
「そもそもここの店主さんは、そこまで人気になりすぎなくても良いのかも」
「……?何故そう思うのですか?」
「立地・内装・景観全部だけど、トリニティにはあんまり無い感じだったじゃん。店員さんもマスター1人みたいだし、好きな人達には愛されてるって感じの小規模なカフェを運営したいんじゃない?」
「……利益より優先するものがあるわけですか」
「俺の予想に過ぎないけど、人って雰囲気を大事にしたりとかもするからさ。人が多くて賑やかななのも良いけど、少ない人がゆったり過ごしてくれる空間も心地良いって事じゃない?」
「少ない人がゆったりと……まるでアビドスのようですね」
微笑みを浮かべ、ケイがそう言葉を溢す。
「おぉ確かに、結構分かってきたじゃん」
その後、食べ終わって会計を済ませた後に店を出る。今度はアビドスのみんなも連れてくるか……。そう思っていると、少し遠くの方から賑やかな音が聞こえてきた。
「……ん?銃声?」
「ヘルメット団でも出て来たのでしょうか」
「行ってみない?」
「あまり旅先で問題を起こしたくは無いのですが……」
「正直なところ、刺激が少なくてだな……先行っとくぞ〜」
「待って下さい、1人で行ってどうするのですか。貴方だけでは迷子になってしまいますよ」
「ぐうの音もでねぇや」
ちょくちょく文章を書き直してたりしてますが、許して下さい。