1月。冬休みが終わって少し経ったとある平日の昼下がり。佐天涙子は、白い息とマフラーを弾ませながら人混みの中を駆け抜けていた。一刻も早く、友人たちに報告したいことがあったからである。
カランカラン、カラン。
佐天が着いたのは、いつもの某ファミレスだった。今日は、ここでお茶会をしようという話になっている。窓際1番奥のボックス席に向かうと、既に他の3人が集まっていた。
「佐天さん、そんなに急いでどうしたんですか!?」
涙子と同じ柵川中学に通うクラスメートの初春飾利。
「だいぶ息が上がってるようですけど…大丈夫ですの?」
その初春飾利とジャッジメントでコンビを組んでいる白井黒子。
「と、とりあえず落ち着いてね佐天さん…お水飲む?」
白井黒子と同じ常盤中学に通う2年生で、レベル5の御坂美琴。
「だ、大丈夫です…!それよりも実は私!能力者になったんです!」
「えっ、えー!?」
3人の声がファミレス内に大きく響く。涙子は間髪入れず続けた。
「それがなんと…グランドスラムで年間3勝できる能力なんです!」
一瞬の静寂、そして…。
「す、凄いじゃないですか佐天さん!」
「よかったですわね、おめでとうございますの!」
「おめでとう佐天さん!」
「あ、ありがとうございます!」
ただのお茶会は、すぐさま祝賀会へと変貌した。
瞬く間に、テーブルにはポテトやらケーキといった料理が所狭しと並べられていく。
「はい、これ全部私の奢りだから!じゃんじゃん食べちゃって」
「あ、ありがとうございます御坂さん!こんなにたくさんも…!」
「御坂さん、太っ腹過ぎます!」
「あはは、そんな大した額じゃないから気にしないでって。あっ、他にも欲しい料理があったら何でも頼んじゃってね」
時間帯にしてはやや閑散としていたファミレスが、急に慌ただしくなっていた。
「でも、佐天さん。その能力ってかつてのレッカーやエドテリ、サンクラスのようにある特定のグランドスラムに勝てない、みたいな能力ですの?」
「それとも、単に1年の中でグランドスラムのどれかに勝てない、という能力なんでしょうかね?」
「特定のグランドスラムじゃない場合は最速2年で生涯グランドスラムを達成。6年後にはファレラー選手の男子記録を超えちゃいますね」
初春が端末を操作しながら応える。
「そして8年後にはあの伝説のモード夫人の記録に並ぶわけか。そう考えると凄い能力ね」
「いやぁ、その辺はまだよく分かってないんですよ。だから、この能力をもっと知る為にも今年のグランドスラムに挑戦しようと思ってるんです!」
「まぁ本当ですの!?」
「学園都市の方が働きかけてくれて、特別に出場の許可を貰っちゃったみたいなんです!」
「凄いじゃないですか佐天さん!絶対応援に行きましょう、白井さん!御坂さん!」
「もちろんですわ、ねえお姉さま?」
「当然よ!佐天さん、頑張ってね」
「はい、ありがとうございます!」
かくして、佐天涙子のグランドスラム挑戦が始まったのである。