機動戦士ガンダム 赤GのAnne   作:プリエ・エトワール

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 繰り返すけれど、良い子は読んじゃいけないよ。


機動戦士ガンダム 赤GのAnne

 push1 拠点探索・強襲計画フィッツジェラルド 前編

 

 

 地球圏を行き交う宇宙船舶が、人類の故郷である地球を目指す航路の一つで、突如、光の華が花開いた。

 

 漆黒の空間に咲くが故に、その光の華は神々しいほどに美しかった…ただし、遠目に見れば…であるが。

 

 光の華の実態は醜悪なものであった。

 

 そう。

 

 穢れた土壌ほど、美しい華を咲かすかのように。

 

 宇宙空間を真一文字に切り裂いたメガ粒子が標的へと着弾。悪意を持って撃ち放たれたその一撃を喰らった食料輸送用船舶…に艤装した連邦軍の輸送艦…の外部装甲板表面が、一瞬にして沸騰し、分解されていく。

 

 続いて融解した物質が、メガ粒子の飛沫と共に宇宙空間へと飛び散っていった。

 

 その光景が、遠目に光の華が咲いたように見えた…と、いう訳だ。

 

 おお…コワイコワイ!

 

 その光景と前後し、ステルス技術を駆使して身を潜めていたモビルスーツ隊が姿を現す。ジオン残党モドキのMS隊と、地球連邦軍のMS隊だ。

 

 すぐさま接敵する攻撃側と迎撃側の機体、多数。

 

 少数のモビルアーマーも含め、それぞれの命を奪い合おうと、巨大兵器群による近接戦闘が開始された。

 

 ビームライフルとビームマシンガンによる砲火が虚空を飛び交い、ビームコーティングされたシールドがそれらの着弾を防ぐ。

 

 敵弾への反応が遅れ、緊急回避やシールド防御が遅れた機体から脱落し、閃光と共に命を散らしていく。

 

 そんな無慈悲な殺し合いは、時間経過と共により苛烈なものへとエスカレートしていった。

 

 

 時に宇宙世紀0116

 

 

 この年代になっても、ジオン残党モドキたちによる反地球連邦テロは続いていた。

 

 ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブル行方不明後も、それは変わってはいなかった。

 

 なぜか?

 

 ジオン公国軍残党モドキの台頭だ。

 

 そう。

 

 モドキなのだ。偽物なのである。

 

 求心力を失ったジオン残党による活動は年々縮小化されていき、大規模な活動はすでに不可能。そんなジオン残党の実態と、地球連邦政府によるプロパガンダによって、それぞれのサイドは表向き平静を保っていた。

 

 しかし、実情はまったく違った。

 

 ジオン公国滅亡以前から、強化兵士、強化人間たちなどに無理矢理施されていた洗脳技術が、シャアの反乱後、地球圏各地に潜むテロリストたちの下へ流出していた。

 

 結果、地球圏の闘争は新たな段階を迎え、テロ活動の内情はより邪悪さと醜悪さを増していく。

 

 拉致され、偽の記憶を植え付けられ、自分本来の意思を失った操り人形たちによるテロル。

 

 

 旧世紀になされていた思考誘導とは邪悪さのレベルが違う。

 

 

 一般市民たちによる、その意味も解らぬままの戦争容認や、多額の税金の海外流出。

 

 自分たちの国家の資産である税金や資源が、勝手に政府側によって正義のための戦争とやらに使われてしまう状況。

 

 敵対勢力側を悪の陣営と思わせる虚偽情報。

 

 闇に消える多額の難民援助や復興資金。

 

 それら、可愛らしいプロパガンダによる人々の状況の無理解、容認ではなく、直接的な人体改造によるマインドコントロール。

 

 物理的に拉致し、頭蓋を開き、脳に直接インプラントされる洗脳装置。

 

 脳へと直接伝えられる偽情報。

 

 何の落ち度もないはずの自分たちは、特権階級に支配された地球連邦政府によって不当に弾圧され、両親も兄弟たちも、子供も、恋人も友人たちも失った。

 

 存在しない偽の記憶。

 

 失われたありもしないコロニー。連邦軍の暴虐のために失われたという虚偽の故郷。何の落ち度もないままに、殺害されていった多数の罪のない人々。

 

 そりゃ、現実には存在しないのだから、落ち度もなにもあるのもか。

 

 だが、それらの虚偽情報は、洗脳された者たちにとっては真実なのだ。

 

 

 復讐だ! 復讐する以外に道はない!

 

 

 怒りの果てに行き付く結論。

 

 殺される前に…殺せ!

 

 

 それは、実質的な無害な一般市民の終。

 

 アンハッピー! バッドエンド!

 

 その代わりに誕生する革命闘志。

 

 ハッピーバースデー! ソルジャー!

 

 

 そんな操り人形とされた疑似テロリストたちと、地球連邦軍特殊部隊アンチ・マインドコントロール・カウンターフォースの戦いは、今も形を変え続行されていた。

 

 

 「ほんとヤダ!ほんとヤダ!ほんとヤダ! みぃちゃん馬鹿な一般スペースノイドじゃないもん! 芸術家や革命家、ニュータイプ気質なんだよ! 連邦のイヌ如きが! 宇宙に選ばれた存在であるみぃちゃんの邪魔をするなあ!」

 

 苦しい宇宙生活に耐えられるスペックに乏しく、特権的に地球上で生活することを許された人々…いわゆる、障碍者であったが故にアースノイドとなれた人々…の身から、拉致監禁、洗脳改造を経て、革命闘士となった少女。

 

 そんな少女がいまや洗脳兵と成り果て、ザク系のモビルスーツのコックピットで見当違いな金切り声を上げていた。

 

 あまりに歪なウォークライを。

 

 そんな、自称ニュータイプ少女みぃちゃんによって操られる機械の巨体は、その片手で操るビームマシンガンの砲口から多数のメガ粒子の弾幕を放ち、地球連邦軍特殊部隊のMSを一方向へと誘導していく。

 

 マブ(相棒)の駆るモビルアーマー、その重火力射線上へと敵機を追いやっているのだ。

 

 

 許せない!許せない!許せない!

 

 みぃちゃんを障碍者のバカ呼ばわりしたあの子のように殺してやる!

 

 死ね! 邪悪な連邦のイヌ共!

 

 あの子のように!

 

 アハハハハハハハッ!!

 

 

 みぃちゃんは、むぅちゃんという同じ障碍者であった少女を、初陣前にその手で殺害していた。殺人童貞卒業のために。

 

 むぅちゃんは障碍者であったが、元々、優しい気質で兵士向きではなかった。そのため、新たな革命闘士誕生の通過儀礼として、新人洗脳兵による初殺害対象とされた。

 

 誘拐をしたはいいが人質としての価値もなく…連邦特殊部隊は人質をすでに死んだものとして扱い、テロリスト側と交渉などしない…利用価値もない。そんな障碍者たちのただ一つの利用方法。

 

 人間の一般人にも善良な人物と邪悪な人物がいるように、障碍者たちにも善良な気質の人物と邪悪な気質の人物が存在する。

 

 無論、みぃちゃんが元々、それほど邪悪な気質であった訳ではない。せいぜい、嫉妬深く利己的で他罰的であったぐらいである。

 

 人間は誰もが邪悪な一面を持っている。

 

 むぅちゃんは、その邪悪な一面をよりみぃちゃんから引き出すための犠牲となった。

 

 革命闘士としてみぃちゃんが、より他者に対して無慈悲で残酷になるように。

 

 なぜなら、他者に対して無慈悲に引き金を引けなければ、それは兵士として失格なのだから。

 

 悪意。敵愾心。復讐心。

 

 それらが精神に満ち満ちていればいるほど、人は容易く他者を殺害できる。そうして、より多くの人々を苦しめることができるのだから。

 

 とはいえ、地球圏の闇に紛れて生きるテロリスト集団だ。

 

 連邦政府の支配打破のためには、力も金も物資も人員も足りない。

 

 新たな仲間が必要。どう集める?

 

 よい素材がいる。

 

 弱者であるが故に、地球で生活する権利を得た特権階級の障碍者たち。

 

 彼等を攫い、改造して利用しよう。

 

 アースノイドになるために、各サイドの福祉施設から地球上へと移送されていく障碍児たちの移送艦…食料輸送船へと艤装されている…を襲おう。

 

 大丈夫。

 

 頭部への装置取り付けによって知的障碍者たちの思考能力は上昇する。

 

 知能を高めて兵士とし、人並みに扱ってやるのだ。

 

 彼らは喜んで我々に協力し、革命のための必要な犠牲になってくれるだろう。

 

 笑え。

 

 それはとてもとても素晴らしいことなのだから。

 

 

 今回、アンチ・マインドコントロール・カウンターフォースは、そんなジオン残党モドキの傀儡となった洗脳兵たちの行動心理をプロファイリングし、釣り出し、殲滅する計画を準備。

 

 自分たち自身が、元々は同じ障碍者の立場だったとは知らぬ洗脳兵たちは、かならず餌に食いついてくる。

 

 

 笑え。

 

 連中は今や邪悪の傀儡となり、善良なスペースノイドたちを拉致する最悪の加害者たちだ。

 

 その命を消し去ってやることこそ、彼等の魂の救済。

 

 大丈夫。

 

 自ら罪を背負う決断を下した君たちを、誰も責めやしない。

 

 

 こうして、彼等、連邦特殊部隊は見事に敵一群を釣り出し、交戦状態へと突入した次第。

 

 だが、何事もそうそう上手くいかないものだ。

 

 ジオン残党モドキの洗脳兵たちの成長スピードは異常だった。

 

 これまで障碍者として遅々として進まなかった諸々の成長が、洗脳兵となって一気に花開いたからだ。

 取り付けられた洗脳装置が、これまで彼等を押し留めていたデハブを取り払っていた。

 

 みぃちゃんもモビルスーツを駆るパイロットとして急成長していて、その強さは連邦軍特殊部隊員の技量にすら追い付かんとしていた。

 

 「ちっ!」

 

 (こいつら! 冗談抜きでどんどん強くなっていやがる! 本部による分析は正しいかもな! 連中の洗脳装置は集積型の教育型コンピューターとリンクしており、実戦を通して学習し、より強くなっていく!)

 

 (不味いな…こいつは早晩、ニュータイプの味方でもいないことには、対応できなくなるかもしれん!)

 

 次第に追い込まれていく先行試作型ジェムズガンのパイロット、ギルバート・ブライト。

 

 だが、ここで弱音を吐いている余裕はない。今は一心不乱に反撃の機会を探れ!

 

 (焦るな! 下手に反撃を試みてスピードを落とせば撃墜される! 今は回避行動に集中だ!)

 

 とはいえ、回避行動を取るだけでは、一方的に攻撃され続ける。勝ち筋はない。何かしらの対抗策が必要だ。

 

 (ならば…アレを使ってみるか!)

 

 盤面を引っ繰り返す手段なくば勝利はない。その程度の理屈、ギルバートも解っている。

 

 それ故に、ギルバートは試作装備を使った賭けに出る。

 

 (追い縋ってくるザクは無視! このまま待ち構えている敵モビルアーマーに吶喊する!)

 

 そう覚悟を決め、ギルバートは試験的に導入されていた大型ビームシールドの準備を開始した。

 

 なお、残党モドキとの戦闘が開始されてこれまで、ギルバートがその手札を切らずにいた訳は、単純に信頼の問題だった。

 

 この時代のビームシールドは、メガ粒子のビーム兵器を無効化する一方、クレイバズーカや、ヴェスパーめいた強力な物理攻撃を防ぐ性能までには達していない。

 

 残党モドキのMSは、ザクマシンガンやシュツルムファウストなど、実体弾系の武装も持っている。

 

 そういった武装を敵機が使用する可能性がある限り、ビームシールドよりも、長年連邦軍で利用されてきた対物理攻撃用シールドの方が信頼できる。

 

 だが、そのことを含めた上で、これよりギルバートが敵MAに対して実行する策は成功率が高かった。

 

 先程の艤装輸送艦への狙撃には、メガ粒子砲が使用されていた。

 

 何者がその一撃を撃ち放ったかといえば、これより自分が吶喊するMAであろう。

 

 MA以外、今のところ大口径メガ粒子砲装備の敵艦は周囲に見当たらない。

 

 ならば、接近するこちらに対し如何様な迎撃を敢行してくるかといえば、その攻撃方法はメガ粒子砲であろう。

 

 先の威力ならば、ルナチタニウムやガンダニュウムγ製のシールドごとMSを撃破できるからだ。

 

 大型ビームシールド…まだ小型化が不十分のため試作兵装…でメガ粒子砲を無効化。その勢いで接近戦を挑み、撃破と同時に機体を回頭。

 

 ザク系MSへと反撃開始。

 

 この方法ならば、ギルバートが駆るジェムズガンでも互角以上に戦える…はずだ。

 

 「ナムサン!」

 

 ギルバートは、同僚のパイロットたちが突撃時に使う叫び声…意味はよく知らない…を上げ、一気に賭けに出る。

 

 「みいちゃんを無視した!? ほんとヤダ!ほんとヤダ!ほんとヤダ! 死ね! 死ねぇ!」

 

 一方、ザク系MSを操縦するみぃちゃんは自分が無視されたのだと感じ取り、より苛烈にギルバートの駆るジェムズガンを追いかけ、弾幕を張った。

 

 その行動が、逆にギルバートを助ける結果となった。

 

 ジャムルフィンめいた機体構造を持つMAのパイロットに、ギルバートがみぃちゃんによって追い詰められ、他の退路を断たれ、仕方なくこちらの射線上に侵入してきた…そう誤認させたからだ。

 

 「こちらD1ダイアナ。M1(みぃちゃんのこと)よくやった! 役目御苦労!」

 

 (上手い! 星ひとつゲット!)

 

 そうコックピットで満足げな声を上げると、MAパイロット、ダイアナはみいちゃん機に向け、後退せよとの発光信号での支持を出した。

 

 マニュアル通りの行動。ミノフスキー粒子濃度が高く電波通信を阻害する空間では、電波よりも発光信号での通信の方が有効だ。

 

 ダイアナ機のメガ粒子砲発射準備は万全。

 

 みいちゃん機が後退し、ただ1機、こちらの射線上へとジェムズガンが侵入してきた時点で、狙撃し撃破するつもりだった。

 

 だが。

 

 !?

 

 「なっ!? M1! なぜ後退しない!」

 

 自分を無視するように回避行動を取り続け、ダイアナの駆るMA方向へと向かうギルバート機に対し、みぃちゃんは怒り狂っていた。

 

 そのため僚機からの指示にも従わず、当初の作戦行動も無視し、ギルバート機に続き、自機の近代化改修済みザクを、ダイアナ機の射線上へと侵入させていた。

 

 こういった感情の抑制が効かない兵士として中途半端な点が、みぃちゃんのような障害持ちから改造洗脳したオーバードーズ・トルーパーの欠点であった。

 

 (所詮は欠陥品! 結局、欠陥品はどこまでいっても欠陥品か………まあ代用品はまた捕まえて増やせばどうとでもなる。連邦のイヌの道連れになりなさい!)

 

 僚機が射線上にいるからと攻撃を躊躇するほどダイアナは甘い手合いではなかった………そのようにプログラムはされていないからだ。

 

 烏羽(からすば)色の髪と瞳を持つダイアナも、またジオン残党モドキたちに誘拐、拉致され、強化兵士へと洗脳、強化された身の上であった。

 

 今のダイアナは何も知らない。

 

 自分が北米ブロックのある島から攫われ、親友だった赤い髪の少女とも引き離され、本来の記憶も何もかも失い、偽の記憶を植え付けられた身であることも。

 

 今のダイアナの記憶では、自分はサイド3マツナガ家出身者の子孫で、洗脳兵たちを消耗品として使い潰す立場であったからだ。

 

 そのため、ダイアナは二重の意味で無慈悲となれた。

 

 「私のために犠牲となれ! M1! それは光栄なことなのよ!」

 

 そんなダイアナの叫び声と共に、メガ粒子砲(広域モード)での引き金が引かれた。

 

 砲身内で精製され、密閉され閉じ込められていた大量のメガ粒子が枷を外され、一気に放射される。目標はもちろんギルバート駆るジェムズガンだ。

 

 その後方には、丁度みぃちゃんの駆るザクが位置するタイミングであった。

 

 「ここ!」

 

 鍛え抜かれた兵士の勘は、絶妙なタイミングで働いた。

 

 複数の修羅場を切り抜けてきたギルバートの野生めいた嗅覚は、どれほどの位置まで達すればメガ粒子砲が放たれるかの?

 

 その相対距離を確実に見向いていた。

 

 復元、複製されたジャムルフィンがメガ粒子砲を撃ち放つ。その直前のタイミングで、ギルバートは実体シールドを切り離し、その奥の左腕に装備されていた大型ビームシールドを発動させていた。

 

 メガ粒子砲はレーザーではない。

 

 発射から一瞬で相手に届くものではなく、若干のタイムラグを発生させる。そのため、発射後の一瞬であるならば、ニュータイプならずとも対応可能な攻撃であった。

 

 かくしてギルバートは生き残った。

 

 本来求められたビームシールドは、MSの半身を覆うのみで全身を覆いつくす範囲には展開しない。

 

 今回使われた、この本来のスペックを満たさない大型の防御兵装は、MSの全身を覆い隠すほど展開してしまい、余計なエネルギーを消費させてしまう。

 

 それは、機体のビーム砲や推力を確保する上では致命的だ。供給源を同じにしているのだから。

 

 その点、ギルバートは熟知していて、機体バランスが低下する挙動はこれまで控えていた。

 

 そのことが、機体の推力を低下させぬままの大型ビームシールド展開を可能としたいた。

 

 ついに高火力メガ粒子砲が自機の首元まで迫っても、大型ビームシールドがその灼熱を防ぎきる。ギルバート機とコックピット中のパイロットは無傷だった。

 

 そして、次にギルバートのジェムズガンが披露する武装は、エネルギーCAP技術を用いた、低出力で発現できるビームサーベルであった。

 

 「ああああああああっ!」

 

 ギルバート機の後方。胴体部を除き、四肢を燃焼、爆散させていくみぃちゃんの近代化改修ザク。

 

 ジェムズガンの大型ビームシールドと、後方へと投棄した実体シールドの影に隠れ、コックピット含む胴体部のみは、燃焼・爆散を免れたのである。

 

 一方、前方の大型ビームシールドでジャムルフィンが放ったメガ粒子砲を耐え抜いたギルバート機は、背部にマウントされていたビームサーベルを抜き放っていた。

 

 少しでも早く敵機に到達しようと、背部バーニアを最大限にこれでもかと吹かし、推力を増す。

 このまま加速し、復元ジャムルフィンへと接近様に脇を抜け斬り裂かんと、右下段にサーベルを構えていた。

 

 「おおおおおおおっ!」

 

 勝利を確信し、ギルバートはMAスレイヤーにならんと咆哮を上げた。

 

 (そんな!! 無傷?! しまった!)

 

 ついにジャムルフィンの直近まで急接近したジェムズガンが、ビームサーベル刀身を敵機体へと突き刺し、最大まで加速していた推力を活かし、そのままの真一文字に切り裂いていく。

 

 だが、それでもダイアナは死亡していなかった。

 

 ダイアナの駆るジャムルフィンのコックピット部分は、コアブロックシステムとして脱出可能な改良が施されていた。

  

 ダイアナが重要人物という偽の情報に説得力を持たし、じつは、ただの洗脳強化兵であるという真実を覆い隠すための手段の一つ。

 

 そんな偽装が、ダイアナの生命を守り、その精神の尊厳を貶め続けた。

 

 「くっ! 一時撤退する!」

 

 「了解です。ダイアナ様、大破したザクのM1回収は如何致しましょう?」

 

 「自死信号を。それよりも残存する味方への連絡を優先しろ。連邦の追撃を潰して後退します」

 

 ギルバート機が、急遽、大型ビームシールドを使用したためパワーダウンしていると見切ったダイアナは迂闊に追撃はせず、コアブロックから変形し宇宙艇モードへとなった自機から、そう指示を出した。

 

 実際、ギルバート機はこれ以上の戦闘が可能な状態とはいえず、連邦軍の他の機体もまた、これ以上の戦闘は不可能な状況だった………1機を除外して。

 

 連邦軍アンチ・マインドコントロール・カウンターフォースによる囮を使った釣り出し作戦は、こうして目的を達成できぬままに終わった………表向きには。 

 

 

   

 

 (お見事ね、ギルバート…でも、まだ私が姿を現すタイミングじゃない。連中が一応の目的を果し、撤退していったその後が私の出番)

 

 (連中の生き残りの思念波は覚えたわ。その後を追って連中の拠点の位置を暴く)

 

 (やっと…やっとよ…ダイアナ。あなたを私から奪った奴らにやっとお礼参りできるわ)

 

 (もう少しだけ島の墓地で待っていて………死体はなくっても、あなたの魂はまだ私たちの故郷に残っていると思うから)

 

 

 カウンターフォースの特殊機体ゼクアハト1号機リトル・ジョイスのコックピットで、赤毛の少女アンシャーリー・スカーレットは涙を流していた。

 

 機体制御用のAIダイアナと共に、外部の戦闘を注意深く見守り続けて。

 

 目標の脳波を感知し、追いかけることのできるニュータイプとして。

 

 あまりに変わり果てたダイアナの意識を、本人のものとは知らぬままに。

 

 

 push2 拠点探索・強襲計画フィッツジェラルド 中編 に続く

 

 

 次回予告

 

 

 かつての親友が存命しており、別人となっていることを知らぬアンシャーリー。

 

 かつての親友二人は、如何にして邂逅し、如何にして殺し合うのか?

 

 洗脳者の正体とは一体?

 

 何者なのか?

 

 見事、ジャムルフィンを撃破したギルバートのその後は?

 

 全身大やけどを負っても、強化されたが故に生き伸びていた、みぃちゃんは?

 

 むぅちゃんの魂は?

 

 哀しき人々の慟哭が宇宙を満たす!

 

 

 エンディングソング

 

 Seek Future 求める未来

 

 

 伝わらない想い 大気なき宇宙(ソラ)では 声も届かない

 

 バラバラな想いに それぞれ突き動かされ 殺し合う

 

 上も下もない場所で 互いに逆さまになって 

 

 孤独なままに 消え去っていく命

 

 果たすと誓った願い 虚しく拡散し

 

 Dead End

 

 

 前に進むため 砕いていった数多の命 

 

 突き抜けて進んだ その先は?

 

 

 今日は深紅に染まって

 

 Crimson Blood

 

 

 いまだ透明なままの 未来願って

 

 光のように眩い 笑顔に満ちた世界探して

 

 

 Seek Light

 

 

 Seek Light

 

 

 seek Future

 

 

 

 

 透き通るような歌声 空間を超え 聞こえる次元振動

 

 微かに残る残響 願い託した 

 

 時として人の想いは 奇跡を起こし 時を超える

 

 血塗られた過去の記憶

 

 教訓となり 今を生きる者たちへと 道を示す

 

 そちらはいけない

 

 違う可能性を模索しろ…と

 

 

 それでも意地をつらぬく人々

 

 我が身が罪に咎に どれほど塗れようと

 

 どれほど多くの命が 無残に消え去ろうと

 

 再び世界を 血に染めて

 

 Dead End

 

 

 今日もまた深紅に染まって

 

 All Blood

 

  

 それでもまだ透明な未来を求め 探し続ける

 

 笑顔溢れた場所へ 辿り着こうと藻掻き続ける

 

 

 Seek Light

 

 

 Seek Light

 

 

 Seek Future 

 

 

 

 

 

 

 

 設定

 

 本作はパラレルである。

 

 そのため、新型モビルスーツの登場も早い。ベーシックな設定よりも軍への配備が決定、実現している。

 

 本作オリジナルモビルスーツも複数登場する。

 

 主人公機のゼクアハトや、まだ登場しない赤いガンダムタイプも同様だ。

 

 ジェムズガンも、120年代より早く軍に正式採用され配備されている。

 

 

 メモ色々

 

 クリムゾン 英国の旗の色に使用されている 勇気 暴力 苦痛 を表す色

 

 ブラッド  血

 

 クリムゾン ブラッド 造語

 

 

 元ネタ作品

 

 機動戦士ガンダム 赤毛のアン 東方project みぃちゃんと山田さん 

 

 それと、現実

 

  

 Anti Mind Coltrol Counter Force

 

 アンチ マインドコントロール・カウンターフォースの正式なspell

 

 頭文字にすると A M C C F

 

 

 

 

  




 本作の作者は誤字脱字が多いです。

 投下の後、数時間後に見直した作者が所々修正しています。そのため、作中内容が少なからず変化していることがあります。

 その点、ご勘弁ください。

 正直スマン!
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