魔法少女と超能力者 作:エイブラハム
魔法少女。
特別な人間にのみ見えるキュゥべぇという白い小動物と契約し、願いを叶える対価に魔女と戦う運命を背負った者達。
魔女とは只人には見ることも存在を認識することすら不可能な異形。突然の失踪事件や行方不明、自殺や衝動的な殺人には魔女の影がある………人を殺し、或は狂わせる人類の敵。
対抗できるのは魔法少女のみ。歴史の影に埋もれながら、魔法少女は人類を守り続けてきた。だから魔法少女は特別なのだ。
「魔法少女は人より優れた存在である」。そんな戯言を提唱する小娘もいる。それに傾倒するのは、自分に自信がない者だろう。
特別だって言いたい。人と違うと叫びたい。認められる何かでありたい。そんな弱い心に付け込まれ、彼女達はより優れた魔法少女である3人の魔法少女を崇める。
魔女と戦えるから、人よりも強い力を持つから、魔法が使えるから。それを理由にやはり自分はすごいと安堵し、自分以上も魔法少女だから、自分も同じ筈だと安堵する。故に………前提が壊されれば彼女達の心は簡単に砕ける。
「………なんだお前等。邪魔しやがって」
黒いフードで顔を隠した少女達が倒れ伏すのは巨大な文房具が転がる異様な世界。魔女が隠れ潜む魔女結界、その中央…………。
本来魔法少女が狩るべき魔女を他の魔法少女から守っていた集団は、魔女を狩ろうとしていたその相手を止めようとして、しかし止まらず数の差という実力行使に挑もうとするも敗北した。
それが魔法少女相手であったなら、彼女達もまだ納得しただろう。だが…………
「な、なんで…………男がぁ………」
そこに立つのは男であった。年は二十になる程度か。まだ少年の面影も僅かに残す青年。縁日にでも買ったのか今年から始まったニチアサヒーローの仮面をつけた、変身した様子もない男だった。
「キュゥべぇ曰く、俺はお前等の上位種なんだとよ」
コキリと気怠げに首を鳴らす。敵意は感じない。警戒すらしていない。
「ところでお前等、少し尋ねたいことがあるんだけど」
と、倒れる少女の一人の前にしゃがみ込む男。
「■■■■って魔法少女いる?」
「…………………?」
「もしくは、お前等が飼ってる化け物共に食われてたなら」
その時は改めて殺しに行く。そう言い残すと男は死にかけの魔女を素手で引き千切る。魔女結界が消え、薄暗い路地裏に変わった。
男は地面に落ちた小さな装飾品のような、魔女の卵………グリーフシードを手にその場を後にした。
夜飯はお好み焼き。具材は豚肉に
今日も収穫はなし。
写真を取り出し、忘れぬようにその姿を目に焼き付け男は眠りについた。
■■
クズ親父にDVを受けて頭蓋が砕けたことがある。一時期病院入院していた。その後超能力に目覚め圧倒的な身体能力で父親を殺し、息子娘が何をされても何もしてなかった母親に通報され逮捕された。
しかし少年院とは名ばかりの現代の時女一族の前身になりかけていた未知のエネルギーを研究する研究施設に監禁。
キュゥべぇ曰く、インキュベーターの技術で加工しなければ使えないはずの感情エネルギーを使用する、いわば魔法少女のプロトタイプ。人類が持つ当然の機能を使っているだけなので、量産するも何も無いらしい。
最終的に研究所そのものの存在がなかったことになり解放。妹を探している。本人いわく、頭の中に悪魔が住んでいる。
感情エネルギーはキュゥべぇでも観測可能なので干渉し、回収機能に組み込めるので取引に使う。
妹。
故人。兄の存在が唯一の希望で、何度も面会に訪れていたが、院を移された後死んだと聞かされて深く絶望。自分をいじめた連中や、兄の死にかかわる連中を纏めて消し去る願いをした。
後に兄の代わりにすがった親友すらも失った。
研究所。
魔法少女の存在を認知する者達の研究施設。自分達に都合のいい願いを叶えさせる場所。魔法少女をヴァリアントと呼称。檣斗もヴァリアントの影響を受けた個体と認識していた。