Fate/Re-start-フェイト リスタート-【完結】 作:おるか人
まるで、着衣水泳でもさせられているかのような気分だった。『後悔』という水をたらふく吸った衣服は、鬱陶しい感触と共に身体のあちこちにまとわりついて、あらゆる動きを阻害する。
本来、大人の手にかかればヒョイと持ち上げられてしまうだろう体重が、今や二倍三倍の重さとなって、少女の足取りを重くしていた。膝を曲げるのが辛い。前を進むのが辛い。……歩きたくない。
新都。
電車の駅までもうすぐ、というところで―――ついに、遠坂凜は立ち止まってしまった。
「コトネ……」
これでいいのか、と自問する。
今もこの街のどこかで救いを求めている友達。遠坂凜にしか助けられない存在。それを―――自分は見捨てて逃げた。脅しに従った。力に屈した。
そんな様で、自分はこれからも誇り高い『魔術師』として、胸を張って生きてゆけるのか。
「う、っ―――」
凜の瞳から、大粒の涙がこぼれた。
「私、私は―――もう、お父様みたいに……なれない」
なんという無様。遠坂時臣の娘に産まれておきながら、なんという体たらく。なんという恥知らず。
だが、凜には勇気が出せなかった。
あの黒コートの魔術師……衛宮切嗣に逆らえなかった。
――― 早くお家に帰りなさい ―――
聖杯戦争の参加者たる証……令呪を示しながら投げかけられた台詞。笑顔の裏に隠された『逆らえば殺す』という絶対的な宣告に、遠坂凜は反論できなかった。どんな逆境であろうと、遠坂を継ぐ者として、凜は『嫌だ』と、断じなければならなかったのに。
なのに、なのに―――…!
「ぅ、ぁぁあああ」
とめどなく溢れる涙。滲む視界がなお、自分の情けなさを加速させていく。
「ちょ、ど!? どーしたの、お嬢ちゃん!?」
立ち止まった凜に気付いたのか、大河が慌てて駆け寄ってくる。少なからず人目がある事を意識して、必死に泣き声を抑えようとして……結局できなかった。
「あぁああああああああん、ぅぅぅうあア」
「突き飛ばしちゃった時に怪我でもしたの? それとも、夜の街に出てきた緊張の糸が切れちゃったのかな……あああどうしよう。ってか、これじゃ何だか、私が泣かした感じになっちゃってるぅー!?」
大河はしばらくワタワタと慌てていたが、やがて凜の小さな身体をそっと胸に抱き寄せた。
「よ、よしよーし。大丈夫……大丈夫だからねー? 痛くなーい、怖くないよー? ねっ?」
「う、うっ……ァあああう。あああああぁ……」
涙は止まらない。むしろ僅かに勢いを強めたようだった。
他者に慰めを受けた事で、彼女を責め苛む情けなさは一層増した。
そして、全身から伝わる柔らかな温もりが……凛に『母』を感じさせたから。
「おとうさま…ごめん、なさい……おかあさま、ごめん……さぃ…ぃ」
申し訳なくて、合わせる顔がなくて、凛は涙を止められない。
大河の胸の中でただひたすらに、遠い父と母に向かって繰り返した。
こんな娘でごめんなさい―――と。
* * * * *
そんな少女二人を路地裏から見つめる影があった。―――先ほど、衛宮切嗣に撃退されたキャスターである。
「ぐぅ、……治癒が……遅い」
何十と言う魂喰いを経て、キャスターの魔力は『見た目で不信感を抱かれない程度』には回復を果たした。だが、まだ宝具の使用など以ての外、たかが鉛玉から受けた傷の治療すら満足にこなせない。
サーヴァントは、魔力さえあれば現界できるというわけではない。元々この世のモノではない英霊は、この世のモノ―――つまりマスターを頸木とする事で、この世に留まる事を許されるのだ。魔力の不足だけでなく、マスターの不在という問題は、キャスターの予想をはるかに上回る速度で彼女を蝕んでいた。もしもキャスターが『単独行動』のスキルを持っていなければ、今まで生き延びる事すら叶わなかっただろう。
だからこそ……
そもそも、
遠坂凜を逃せば、もはやキャスターが新たなマスターを得る事は不可能。
マスターを得られなければ、聖杯戦争に勝つどころか、時間遡行が使用可能となる十日後まで生き残る事はできない。
それ即ち―――キャスターの、暁美ほむらの願いが永遠に叶わなくなるという事だ。
「それだけは……!」
それだけは駄目だ。
鹿目まどかを救わなければ、暁美ほむらは破綻する。
今となっては『鹿目まどかの救出』だけが、ほむらの全てだ。無限にも思える苦行の道程を耐えるための、たった一つの道しるべ。それを失えば、もはや暁美ほむらは
―――だから、早く。
「ぐっ!」
足元に突き刺さる凶刃。
―――早く、遠坂凜を捕まえないと。
「ああァ、ああ!」
頬を掠め、壁を砕く衝撃。
―――捕まえないと、いけないのに!
「邪魔をッ! しないで――――――ッッ!!!」
絶叫。
「―――そう邪険にするな」
暁美ほむらを遮る壁。
人の身にて、人知を超えた怪物と化した男が……宿命のように、遠坂凜への道筋を阻む。
「お前は私の目的を阻んだ……ならば、私もお前の目的を阻む。それだけの話だ」
地獄の業火を思わせるほむらの眼光を前に、漆黒の僧衣が夜風にはためく。
地獄の悪鬼を思わせる佇まいで、その男は、暁美ほむらに立ちはだかった。
「父の仇……討たせてもらうぞ」
「言峰綺礼ッッ―――――!!」
漆黒の
互いに、決して譲れない目的を賭けて。
* * * * *
斯くして、藤村大河・遠坂凜の両名は―――第四次聖杯戦争より、生きて脱出を果たした。
本人たちが事実をどのように受け止めようと、それが“奇跡”に匹敵する快挙だったのは間違いない―――。
* * * * *
「―――きゃあああああああああああああああああッッ!?」
無残に崩れ去ったホテルを認識し、ソラウは恐慌を叫んだ。
あの残骸の中には、ケイネスが―――彼女の婚約者が取り残されているのだ。
「ケイネス! ああ、ケイネスッ!!」
「駄目だよ、ソフィアリさんッッ!!」
ホテルだったものに駆け寄ろうとするソラウを、ランサーが止めた。
ソラウを護れ―――ケイネスの残した令呪が、彼にそうさせた。
「あそこはまだ危ない! 近寄らないでッ!」
「ッ―――――!!」
ソラウは召喚されてから初めて、憎しみを込めた目でランサーを見た。
「ランサー!! どうしてケイネスを見捨てたの!? 貴方ならできた筈! 貴方なら助けられた筈でしょう!? なのに、どうしてぇッ!?」
愛する者を喪った女の拳が、ランサーの胸を何度も打ち据える。
痛みは無い。サーヴァントの身に、人間の攻撃など効きはしない。だが、「どうして」……その一言は、拳よりなお強くランサーを打ちのめした。
彼にもまた、分からなかったからだ。
ソラウの言う通り、最速の英霊であるランサーならば―――あの状態からでもケイネスとソラウを救出できただろう。マスターであるケイネスにも、それは分かっていたはず……。
婚約者への愛がそうさせたのか。それとも――…。
「えっ……?」
そこで、ランサーは気付く。
「アーチボルトさんとの契約が……切れて、ない?」
「え?」
ポツリとこぼれた一言に、ソラウも目を丸くした。
それもそのはず。契約者が死ねば、従者との契約は失われる。それがまだ残っているという事は……当然。
「け、ケイネスは生きているの!? ランサー、どうなのっ!?」
「うん……契約は続いてる。アーチボルトさんは生きてるんだ!」
考えてみれば分かること。ホテルの倒壊に巻き込まれて生きている人間などいない。―――それは、被害者がただの人間であればの話。ケイネスは『魔術師』だ。それも、いっとう優秀な。
ここに、ケイネスの真意がある。
単純な話だ。ケイネスにはランサーの手を借りずに生き残る手段があった。だから自分よりも、愛する婚約者を護る事を重要視した。あの令呪にはそういう意図があったのだ。
「どこ!? ランサー、ケイネスはどこにいるのッ!?」
「ちょっと待ってて。えーっと……」
目を閉じ、集中することで契約の繋がりを手繰り寄せる。
「……いた! 近くに魔力の反応……が?」
一瞬、喜色が湧き出た表情が―――すぐに怪訝なものに変わった。
「どうしたの、ランサー? まさかケイネスの身になにか……!?」
「いや、そうじゃないよ。アーチボルトさんはたぶん無事……だけ、ど」
ランサーが感じた違和感。近くに……魔力の反応が、
「ッ―――ソフィアリさん、下がって!」
ランサーは叫んだ。
不覚だった。……今は聖杯戦争の真っ最中。これだけの騒ぎが起きて、敵に気付かれないわけがないのだ。
今まで堅牢な工房に護られていたランサー陣営が、その守護を失ったと知られたら……!
「え、ランサー?」
「アーチボルトさんの位置は、十時の方角に八十六メートル! 敵の足はオレが止める! ソフィアリさん、早く!」
「―――! 分かったわ、ランサー……ここは任せます!」
ランサーの意図をくみ取り、ソラウが背後で駆け出していく。
同時―――槍兵はその敏捷性を100%発揮し、近辺に潜む敵の許へと跳躍した。
「エネルギー、全・開!」
溢れ出す陽光色の
敵も迫り来る
奇襲は失敗。ならば、力づくで押し通る―――!
「サンライト―――――」
「“
片や陽光、片や暴風。
片や少年、片や少女。
片や槍兵、片や剣士。
「――――スラッシャーッッ!!」
「―――――――
一度は雌雄を決したそれらがいま、一方は『雪辱を雪がん』と、一方は『今度こそ確たる勝利を手にせん』と激突する。
キャスター VS 綺礼
セイバー VS ランサー
それは奇しくもほぼ同時刻。
四日目の戦いは、その戦端を開いた。
* * * * *
吹き荒れる魔力の嵐。
交錯する強い意思。
* * * * *
数時間前。言峰綺礼は、衛宮切嗣とは別口からキャスターを尾行していた。
冬木教会の生き残りから、キャスターが教会爆破の原因……即ち父である璃生を殺害した犯人であることを知っていたからだ。
同じ相手を尾行していながら、綺礼は切嗣に気付かず、切嗣は綺礼に気付かなかった。それは両者の隠密能力が高いがゆえに起こったすれ違い。
ただ、綺礼がキャスターの姿を完全に捕捉したのは、切嗣より遅い。綺礼が追っていたのは痕跡であって、キャスター本人ではない。
綺礼がキャスターを捕捉したのは、切嗣による狙撃の一件である。同時に、当面の目標である切嗣の居場所も判明したが、綺礼は『ある目的』から切嗣を見逃した。
綺礼にとっていま、優先されるべきはキャスターの方だったからだ。
そして、キャスターが先の一件と同じように遠坂凜を襲おうとしたタイミングで介入した。
切嗣の目があるであろう事は分かっていたが、一度ならず二度までも―――自身の『愉悦』を奪われるわけにはいかない。
当人たちにとってはいい迷惑、本人にとっては切実な事情の下に。
そして現在―――言峰綺礼は静かなる憤怒を以って、キャスターに黒鍵を振るう。いかに半死半生と言えど、相手はサーヴァント。その攻撃に一分たりと油断はない。
「ぬぅァッ!!」
同時に三本の投擲。
狙いは左胸、右肩、左足。―――どこか一本でも当たれば戦闘行動に支障が出る、準必殺の攻撃。
「ぐ、う―――!!」
キャスターは即座に左腕の盾から大口径の拳銃を二丁取り出し、それぞれ一発の弾丸を放った。右手の一発は足への黒鍵に。左手の一発は綺礼本人に。
恐るべきはサーヴァントの身体能力か。一見、何の変哲もない女子中学生にしか見えないキャスターが、その細腕で大型のハンドガンを苦も無く操り、あまつさえ銃弾もかくやという速度の黒鍵を、正確に撃ち落としてみせたのだ。
感嘆は一瞬。キャスターのハンドガンには、ロクに魔力が込められていない。代行者の身体能力と動体視力をもってすれば、僧衣に施された防弾加工と
「ハァ―――――アあッ!!」
綺礼は今度こそ「ほう」と唸った。
キャスターは、左腕の拳銃を発砲すると同時に重心をズラした。真半身の姿勢となって、右肩を黒鍵の軌道上から外したのだ。残る左胸への攻撃には、つい先ほど倉庫として利用した左腕の盾を使って対処してみせた。
盾に衝突した黒鍵が衝撃に耐え切れず粉砕し、左肩を狙った一撃は空しく空を切る。
秒を待たずしての
「流石はサーヴァント。半死人の動きとは思えんな」
銃弾を片腕で遮りつつ―――綺礼は皮肉と受け取れる賛辞を投げた。自身の攻撃を完璧に防がれたというのに、その顔には些かの動揺も伺えない。
それも当然。綺礼が今放った攻撃は準必殺。命中したところで必殺には届かぬと分かっていたものだからだ。
黒鍵の攻撃は全て、キャスターが躱すか防ぐかを前提とした攻撃だった。躱し、防がれたところでそれは想定の範囲内。むしろ命中した方が失笑ものだった。
綺礼にとっての必殺はここからだ。
「ッフ、―――――」
活歩。中国拳法に伝わる独特の歩法で、綺礼はキャスターとの間にあった数メートルの距離を瞬時に滑走し―――少女に肉薄する。
「な、」
盾の向こう側に覗く紫の瞳が、いっぱいに見開かれた。
殺人拳と化した拳法の達人に、
無意識か、反射か……黒鍵を苦も無く防ぎ切った盾が、目標へ向けて僅かに下降する。
無論、全ては手遅れであった。
接近までが一瞬だったなら、放たれる攻撃は刹那の代物。
狙うは腹部。胸・肩・足と上下バラバラに狙った事で、全くの無警戒となった部位。
轟、と耳をつんざく震脚の響きと共に、キャスターの脇腹に必殺の川掌が突き刺さった。
「ごぅ、ぉ………!!」
奇しくも今のキャスターと同じく、身体を水平にして放たれる『突き』の一撃。
まともな人間が相手なら、内臓をスクランブルエッグにできる衝撃。外的な破壊ではなく、内的な破壊。綺礼ほどの達人が放てば、人間を『く』の字に折り曲げ、打点と反対側の皮から引き千切るほどの一撃だった。
それは、仮初と言えど、この世の肉体を得たキャスターにとっても同じこと。
「――――――っは、」
ビクン! と電流を浴びせられたかのように何度か痙攣した後、キャスターは綺礼の腕に覆いかぶさるように倒れ込む。
その身体からは、一切の力が抜け落ちていた。
無理もない。元より耐久性には難があるサーヴァントなのである。半死半生の状態でこれほどの攻撃を受けては、生きていられる道理もない―――。
……だというのに、
「ぬっ!」
間断無くとどめを入れようとした綺礼が、寒気を感じて後退する。タッチの差で、綺礼の顎先を焼き焦がすような熱が通り過ぎた。
―――銃弾。
だらりと力なく垂らされたキャスターの右手が、いつの間にか先の拳銃を逆手に構え、引き金に指をかけている。
「……死んだふりか。私の目には、お前の
「ハァ、が! ……ゥぅうあ、ゲホッ! ゴホ、ォあ……ッ!」
ガクガクと震える足、繰り返される吐血。
……キャスターにとって今の攻撃は、間違いなく致命的だった。だというのに、痛みも反応も全て気力一つで呑み込んで、勝利に気を緩めた綺礼へのカウンターを仕掛けてきた。その双眸にもまだ『不屈』の二文字が、確かな形で宿っている。
必殺の一撃が、必殺足り得なかった。『仕留めた』という手応えがあったからこそ、その事実は綺礼の精神を僅かにさざなみ立たせる。
「あああぁ、ハァ……ぐ…!」
ゆるゆると持ち上がる銃口。その照準は、綺礼の胸に合わさったところでピタリと止まった。紛れもない、戦闘続行の意思表示だ。
何が彼女をそこまでさせるのか……。
「いいだろう。ならば次は―――その命、意思ごと微塵に砕くとしよう」
綺礼もまた、銃口を前に臆さず構えた。
「がぁッ!」
「ふッ――――!」
両者の銃声と足音は、全くの同時。
両者に宿る漆黒の意思が、新都の路地裏を染め上げていく―――。
* * * * *
兵器と肉体。相反する文明の結晶。
交錯する強い目的意識。
* * * * *
「セイ、バー――――――!!」
「ラン、サーァァァァアア!!」
ぶつかり合う剣と槍。
セイバーは困惑、ランサーは決死の思いで剣戟を繰り広げていく。
ランサーからすれば、セイバーは『工房を失い、丸裸になった自分たちを攻撃しに来た存在』である。ひょっとしたら『ホテルを崩した犯人ではないか?』という疑惑もある。
……が、実際のところ、セイバーはただの通りすがりである。何やら騒ぎが起きたから来てみれば、以前挑発のために立ち寄ったランサーの陣地が崩壊しており、また気付けばランサーに襲い掛かられている状況だ。
「だああああああああああッ!!」
「ハァアアアアアアアアアッ!!」
点の突き、線の横薙ぎ。周囲を覆い尽くすかのような、陽光の刃。鋭く繰り出される槍の怒涛を、セイバーは力強く弾き飛ばす。
―――誤解こそあれ、両者は戦闘を行う事に疑問はない。
ランサーはソラウがケイネスを見つけ出すまで時間を稼ぐ。
セイバーは聖杯を得るために、襲い掛かってきた敵を倒す。
それだけだ。
たった、それだけの事。
「貫けェェェエエエエエエ!!」
「させるかッ!!」
以前の戦闘とは違う、濁流のような激しさを前に―――セイバーは苦戦する。力量が変わったわけではない。だが、力の使い方は段違いだ。
例えるなら、
ランサーは一分一秒で己の全てを吐き出すような勢いを以って、途方もない実力差を埋めにきていた。
「エネルギー……もっと、もっとだ!」
「ぐ、うッ―――――!?」
槍から迸る閃光。……ランサーの必殺技である
前回は手加減をしていたのか? と勘繰るセイバーだが、そうではない。全てはセイバーの与り知らぬこと―――『ソラウを護れ』という令呪がそうさせる。『ソラウの許には行かせない』というランサーの意思が、令呪によって
ゆえにこれは、以前にセイバーが受け切った
「もっと! もっと!! もっと!!! もっと!!!!」
「ぐぐ、ぁぁぁぁあああああああああああああああッ!!」
一度は凌いだ攻撃、と―――心のどこかで油断があったのか。それとも、一時だけと言えど、ランサーの実力がセイバーのそれを上回ったのか。セイバーの剣はランサーの槍を凌ぎ切れず、まともに直撃を浴びた。
「もっと―――絞り出せぇぇええええええ!!」
「おお、おおおおおおおおおおおおおおッ!?」
二日の時を超えて、再びセイバーの鎧へと突き立てられる突撃槍。
しかし今度の勢いは、とても“
(やられる!?)
生死の狭間、セイバーは―――陽光にも負けぬ黄金の輝きを解放した。
解けていく“
(間に、合わない……!)
数秒の
「サンライト――――」
「“
それでも、セイバーは不完全な聖剣を放つ。
僅かでもいい。この突撃の矛先を逸らし、死中に活を見出してみせる! と。
「――――――スラッシャーッッ!!」
「――――――――
極光の衝突。
目も眩むような陽光と黄金の輝きが、夜の闇を染め上げていく―――。
* * * * *
闇と光。
二ヶ所の戦いをよく観察し、そして男は決断する。
冷徹に、冷酷に、平等に決断を下し―――引き金を
* * * * *
キャスター VS 綺礼
セイバー VS ランサー
それは奇しくもほぼ同時刻。
四日目の戦いは、その戦端を開いた。
開いて―――すぐに閉じた。
たった一発の銃声をきっかけに。
* * * * *
―――
セイバーは驚愕した。
ランサーは愕然とした。
ソラウは呆然とした。
キャスターは涙を流した。
綺礼は困惑した。
その場の誰も理解が追いつかないまま、四日目の戦いは加速していく。
TO BE CONTINUED・・・