Fate/Re-start-フェイト リスタート-【完結】   作:おるか人

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迷子の第十八話

 ―――初めて出会った時から、ソラウにとっての『彼』は異質な存在だった。

 

「えーっと、アーチボルトさんの婚約者さんだよね? 初めまして。オレ、武藤カズキ! ランサーのクラスで召喚されたんだ。ヨロシクお願いします!」

「え、ええ。ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリよ。よろしくお願いするわ……」

 

 ―――『霊長の守護者』としての威厳が欠片も感じられない佇まい。

 

「ねえ、ソフィアリさんも『魔術師』なんだよね?」

「それが何かしら?」

「じゃあ、手から炎を出したり、魔方陣からビーム撃ったりできる!?」

「……はあ?」

 

 ―――当たり前の常識に対して、子供のようにキラキラと輝く瞳。

 

「スゲェ! 割れた窓ガラスが元通りに!?」

「この程度、魔術を齧った程度の見習いでもできる事よ」

「ホントに!? 魔術スゲェ! ほ、他にも見せてもらっても良いですか!?」

「ハァ……」

 

 ―――何一つ包み隠さない『生』の感情。

 

「うわーっ、豪華な料理。あむ……んん! 味も良いし……やっぱり貴族(偉い人)って、食べてるものから違うんだなあ……」

「……何をしているの、ランサー?」

「わっ、ソフィアリさん!?」

「霊体のサーヴァントに、食事による栄養摂取は必要ないはずじゃ……?」

「えーっと、これはその……」

「言いなさい」

「……これは元々、アーチボルトさんに出されるはずの朝食だったんだけど……今朝は急用があったみたいで」

「それで?」

「こ、コックさんから『残飯は始末される』って聞いて。……オレ、生前は平凡な一般家庭の出身で……その、セレブな食事に興味が……」

「……前から思っていたけれど……貴方、礼儀正しいようでわりと無礼なところがあるわよね……」

「あ、アーチボルトさんにはナイショに……なんてわけには」

「さあ、どうしようかしら?」

「ソフィアリさんっ~~~!」

 

 ―――それは貴族として生き、人形としての生き方を強要されてきた彼女には全く未体験のもので。

 

「ランサー、貴方はまた何をしているの?」

「うぇぇっ!? そ、ソフィアリさん!?」

 

 ―――彼の『ケイネスに対する秘密』が増えるにつれて……ソラウは自然と、笑顔を浮かべるようになっていた。

 そして、ある日のこと。

 

「おい、ランサー!」

「うわっ! あ、アーチボルトさん!?」

 

 婚約者の書斎から、何やら怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「……何かしら、こんな時間に?」

 

 盗み聞きなどするつもりはなかったが、ケイネスのヒステリックな大声と、彼の通りの良い声は、開け放しのドアを通じてソラウの耳に届いた。

 

「急に大声出さないでよ……それで、どうしたの、そんなに慌てて?」

「どうしたもこうしたもない! 貴様、ソラウに何をした!?」

「……私?」

 

 ついに従者の恥が表に出たかと思っていただけに、その発言は意外だった。

 

(何かあったかしら……?)

 

 ソラウはつい気になって、はしたないと分かってはいたが聞き耳を立てた。

 

「え、ソフィアリさん? ソフィアリさんに何かあった?」

「何かあったんですか、だと? よくもいけしゃあしゃあと! 貴様、ソラウに魅了(チャーム)の魔術をかけたな!?」

「え、魅了(チャーム)? 魅了(チャーム)って確か……惚れ薬の魔術版? かけてません……っていうか、そんなの無理。オレが魔術使えないのはアーチボルトさんだって知ってるでしょ?」

「隠し持っていたのだろう!?」

「持ってないってば! ……というか、どこからそんな話が出てきたの!?」

「まだとぼけるか!? フン、このケイネス・エルメロイを見くびるな! 今日の昼頃だ!」

「今日の昼って……ソフィアリさんに紅茶をご馳走してもらってた時かな。あれ、アーチボルトさんはあの時、礼装の最終調整がどうのって、工房に籠ってなかったっけ?」

「そうだ! 予想より早く済んだので、婚約者の顔を見に行ってみれば……貴様とソラウが、え、笑顔で茶を、茶をおおおおぉおぉぉおお!」

「何の事だか―――ってギャアア水銀が! 水銀が掠ったぁ!? アーチボルトさん、落ち着いて!」

「これが落ち着いていられるか!? 私はソラウのあんな笑顔を見たことがない……婚約者の私にすら見せない顔を、き、ききき貴様のようなサーヴァント風情がッ!」

「へえっ? そ、そりゃ笑うでしょ。お茶菓子も美味しかったし……」

「……ソリャ、笑ウ、デショ、ダト?」

「ナニそのカタコト? あれっ、なんか水銀がいつの間にかオレに巻き付」

「羨まぁぁぁぁあああああアアアアアアアアアアアアア誅罰ッッ!!!」

「えっちょ待ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」

 

 

 

 

 

「……ふふ」

 

 どごーん! とか。

 どかーん! とか。

 壁一枚隔てて聞こえてくる効果音は、まるでスラップスティック・コメディ。

 

「ふふ、あはは! ふふっあっははは! あははははははははははははははっ……!」

 

 何の事はない。アレはただのヤキモチだ。八つ当たりだ。それも―――とんだ見当外れの。

 傲岸不遜を体現するかのようなあの男が、なんとまあ器の小さい事。

 周囲に天才と持て囃されているはずの婚約者の滑稽さが、あまりにも理不尽な運命に泣き叫ぶその従者が可笑しくって、ソラウは笑った。

 それはもう、二十年来ロクに働かなかった表情筋が悲鳴を上げるほどに、ひたすら笑い転げた。

 

 それからどのような経緯を辿ったのか。

 後日―――ケイネスはソラウの私室を訪れた。

 

「大事な用事って何かしら、ケイネス?」

「う、うむ。その……だな」

 

 ケイネスは普段の不遜さがウソのように台詞をどもらせつつ……一つのアクセサリーをソラウへと手渡した。

 

「君に、これを受け取ってほしい」

「……これは?」

「私にもてる技術(まじゅつ)の粋を重ねて作り上げたものだ。こ、この世に一つしかない……私にしか作れない代物だろうなっ」

 

 ―――それは、小さな銀細工。

 

    満開の花弁を咲き誇らせる、一輪の薔薇の花―――

 

「……私の気持ちだ。……君への……ケイネス・エルメロイ・アーチボルトから、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリへの、偽りない気持ちの結晶だ」

「ケイネス……」

「私は、君を愛している。この世界の誰よりも」

 

 ……この男に愛を囁かれた事はあった。

 ……贈り物をされた事もあった。

 けれど、

 

「……ありがとう。とっても嬉しいわ」

 

 けれど、こんなにも満たされた気持ちになったのは……初めてだった。

 溶けた心に流れ込む、陽だまりのような暖かさ。

 この気持ちが嬉しくて。嬉しくて。

 ふと、視界の端―――扉の向こうでジッとこちらの様子を窺っている学生服の少年の姿を見つけて、ソラウはまた笑ってしまった。

 

「そ、ソラウ?」

「アハハ、ハハハハハ……!」

 

 溢れ出す感情。

 困惑する婚約者の姿も、従者のヘタな隠形も、おかしくってたまらない。

 

 ―――ああ。

 

    自分の中にこんな感情があるだなんて、知らなかった―――

 

 

* * * * *

 

 

「………………………?」

 

 目を開けると、そこには瓦礫の山が広がっていた。

 無数のコンクリート片、飛び出した鉄筋……それが倒壊したホテルの末路だと気付くのに、数秒を要した。

 

「ゥ……う」

 

 いつの間にか、うつ伏せで寝転がるような姿勢をとっていることに驚く。ゴツゴツと無骨に尖った残骸たちが、ソラウの胸や腹を圧迫している。

 少しでも楽になろうと、腕立て伏せでもするかのように身体を持ち上げる。―――持ち上げようとして、力が上手く入らなかった。

 

(私、どうして……)

 

 必死に身体を起こしてみると、ソラウの胸元から何かが零れ落ちた。

 

「ぁ…………?」

 

 それは、一輪の薔薇だった。

 愛する男が、自身に愛を誓った時の品。この世にたった一つの宝物―――。

 けれど、おかしい。あれは眩しいくらいに輝く白銀色だったはずなのに……どうして真っ赤なのだろう。これではまるで本物。生花のようだ。

 

「ッ、ごぼっ――っは」

 

 せり上がる嘔吐感に堪え切れず、吐瀉物で辺りを染め上げる。

 その色も何故か、薔薇と同じくらいに―――赤、朱、アカ。

 イノチのイロ。

 

「ぁ、……そうだわ。ケイネス。ケイネスを探さないと……」

 

 ソラウはケイネスを探す。

 アカ色を引き摺り這っていく。

 愛する男は何処にありやと、真っ赤な瓦礫を一つ一つかき分けていく。

 

「まだ、私から……気持ちを伝えてない。やっと分かったの。今なら貴方に言える……そうよ、私たちはこれからなんだわ。まだ始まってもいなかった……」

 

 音もなく、その無防備な背中に照準が合わせられる。

 狙いは左胸。背筋を穿ち、肋骨を抜けたその向こう。

 

「言わせて頂戴。ケイネス……私も貴方を、あぃ―――

 

 彼方より飛来した二発目の凶弾が、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリの心臓を貫いた。

 女が抱いた初めての気持ちは、男に届くことなく冥府へと消えていった――――。

 

 

* * * * *

 

 

「……え?」

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)”の刀身がランサーの身体を貫いた時、一番驚いたのは誰あろうセイバー本人であった。

 ランサーの放った突撃(チャージ)の破壊力は、あの時セイバーに『敗北』を感じさせた。

 聖剣による迎撃は明らかにランサーより一歩……いや、二歩は確実に遅かった。間に合うはずがなかったのだ。

 

 なのに……何故。

 何故―――陽光は、セイバーを貫く寸前になってその輝きを翳らせたのか。

 

 セイバーは知らない。

 ソラウを護れ。……ランサーに託された令呪(ねがい)も、それが今、もはや()()()()()()()()()()と見做され―――消失した事も。

 それにより生死の交錯する土壇場で、両者の力関係が元の鞘……あるべき形に立ち戻ってしまった事も。

 

「ぁぁ、ぁぁぁぁぁあああ……!!」

 

 聖剣に胸を貫かれながら、ランサーは血涙を流さんばかりの形相でセイバーを睨んでいた。

 怒り。憎しみ。悲しみ。嘆き。絶望。―――負の感情を煮詰めたような呪詛の声。

 

「そこまで勝ちたいか?」

 

 その貌には少年らしいあどけなさなど、もうどこにも見当たらない。

 

「関係ない人たちを巻き込んで、傷つけなくてもいい人を傷つけて! そうまでして勝ちたいのかよ!! 自分さえよければ、他はどうだっていいのかよッ!?」

「――――――――ッ!!」

 

 関係ない人たち……傷つけなくてもいい人……そうまでして。

 ランサーの口にした言葉が、セイバーの心に突き刺さる。己が聖剣によって灰燼と化した深山の街並みが浮かんでくる。

 

 ―――どうして殺した?

 ―――何で巻き込んだ?

 ―――絶対に許さない。

 

 黒く淀んだ憎悪と怨念が、贖罪を求めてセイバーの心を締め付ける。

 

 償え。

 償え。

 償え。

 償え。

 償え。

 償え―――。

 

()()()()()、ランサー……!」

 

 それでも、セイバーは怯まなかった。

 気迫を萎えさせず、眼光を殺すことなく―――正面からランサーに相対する。

 

「私は聖杯を手に入れる! 誰に罵られようと、誰に恨まれようと、誰に呪われようと、これだけは譲れん!! 私にはッ……!」

 

 何故なら彼女(アルトリア)には―――…

 

「私には、何よりも先に! 償わねばならぬ『罪』があるのだ……ッッ!!」

 

 それはブリテン王としての責務。

 かの日の少女が己へ課した、運命の道筋―――。

 

「―――そっか。なら、もういいよ」

 

 瞬間―――ランサーの身体から漆黒の魔力が溢れ出す。

 武藤カズキが『決して使うまい』と戒め続けてきた切り札の封印が、いま解かれる。

 

「う、っ!?」

 

 セイバーの身体に、かつてない悪寒が駆け抜けた。

 マズい。何かは分からないが、何かが起ころうとしている。決して起きてはならない何かが。

 

「オレはさ……どうしても聖杯で叶えたい願いがあったんだ。けど、オレはもう死んだ人間だから……これはオレのワガママだから……()()に迷惑かけてまで叶えようとは思わなかった。同じような事情の人たちだけで正々堂々戦って、勝ち取れればいいって思ってた」

 

 そう……そもそも、何故ランサーは生きている?

 セイバーの剣は確かにランサーを貫いているというのに。

 

「でも、そんな甘いコトを考えてたのはオレだけだった。キャスターも、オマエも……他のマスターだってきっと一緒だ。魔術師は人格破綻者……やっぱり、アーチボルトさんやソフィアリさんがおかしかったんだな」

 

 成す術なく散っていくはずの命が……むしろ、()()なっている。

 命が散る……どころか、命がランサーに集まっているような。

 

「そっちがその気なら、こっちもその気で行くよ。オマエらを放っておいたら犠牲ばっかり大きくなる。なら、こっちから行って、()()()()()()()()()()()()()―――――!!」

 

 純日本人然とした髪の色、肌の色が変わっていく。

 黒髪が―――蛍火色に。

 肌色が―――赤銅色に。

 武藤カズキが―――武藤カズキでなくなっていく。

 

「な、ランサー……貴方は、まさかっ!?」

 

 セイバーは異変の正体に気付き、即座に回避を試みたが―――もう、遅い。

 既にこの場は射程圏内。怪物の胃袋の中……!!

 

「ぁぁぁぁぁああああああアアアアアアアアア……!!」

 

 

 

 

 

 ――― ゴメン、()()()さん ―――

 

 

 

 

 

「ガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――――ッッ!!」

 

 ここにいない誰かへの独白が最後。

 ランサーのサーヴァント、武藤カズキは……人間ではなくなった。

 

 

* * * * *

 

 

 同時刻、近辺の路地裏。

 

「ぬぐ……!?」

「がァウあ!?」

 

 まさに最後の攻防を行おうとしていた綺礼とキャスターが、揃って動揺を示した。

 

「何だ? 身体から……魔力……いや、力そのものが……抜けていくような……?」

 

 不可解な事象を前に、戦闘を中断する綺礼。もしやキャスターの奥の手かと思い、一端距離を取るが……見れば、苦しんでいるのはキャスターも一緒であった。

 いや、第四次聖杯戦争における全陣営の情報を持っているキャスターは、綺礼よりも正確に事態を把握していた。

 

(ランサーの生命吸収(エナジードレイン)……!? 何で、よりにもよってこんなタイミングでッ……!!)

 

 ―――生命吸収(エナジードレイン)

 

 それは数十回前の世界にて、まだ情報力に乏しかったキャスターに苦渋を舐めさせた最凶の能力。

 能力の効果範囲内にいる生物を問答無用で『捕食』するランサーの『生態』……。

 体力・魔力・精神力含め、生物の根源たる『生命力』をほぼ無条件で吸収するという、あまりにも馬鹿げた力。

 

(まず、い……魔力が……!)

 

 綺礼とキャスターの戦場となったこの路地裏も、ランサーが行う生命吸収(エナジードレイン)の効果範囲内。ただでさえ魔力に困窮している時に切嗣・綺礼の奇襲を立て続けに受け、ダメ押しにコレでは……とてもじゃないが耐えられない。

 

 ―――消える。

 ―――魔力が、消えていく。

 

「ガ、ァ……ァア、あうウあ」

 

 ―――消えたら聖杯が手に入らない。

 ―――やり直すこともできない。

 ―――まどかを救えない……!

 

「そう、よ。……まど……マ、ど」

 

 繰り返す。

 

「まど、ど――か ど」

 

 自分の目的。

 自分の根源。

 

「ま、……か……どか……」

 

 ……だが、その執念もここまでだった。

 秒を経るごとに生命吸収(エナジードレイン)は勢いを増し、現界に必要な最低限の魔力さえキャスターから根こそぎ奪い去っていく。

 腕も、足も、身体も、顔も……キャスターの全身が急速に存在感を失い、ボロボロに崩れていく。

 いまこの瞬間、キャスターの死は確定したのだ。

 

「どか―――ま、か―――ま、…まど―――か」

 

 囁くような声。……綺礼に向けられたものではない。

 もはや、意識すら定かではないのか。

 そんな状態でもまだ、見失わないほどに強い願いを抱いているのか。

 

「……『まどか』……? それがお前の願いか、キャスター?」

 

 綺礼が声をかけると、キャスターの目に僅かばかり力が戻った。

 右手に握られたグリップを持ち上げ……ハンドガンの銃口を綺礼へと向ける。

 

「まどか――まど―――か まど か、ま――どか、……まどか」

 

 残る全ての魔力を集中したのか、右手だけが強い存在感を放ち、あとは希薄。

 ただ一回引き金を引けば、あとは崩れ落ちるだけの……何の意味もない行動。

 

 それでも―――暁美ほむらは銃を構えた。

 希望が見えないからと全てを手放すことをせず、一秒先の未来に賭けて―――最後の最後まで足掻く。

 

 綺礼はその姿に目を細めた。

 

 きっと、この女は持っているのだ。

 己の全てを指し出してでも守りたい何か。

 情熱を燃やせる何かを持っている―――。

 

「キャスター……お前には、衛宮切嗣の拠点を教えてもらった借りがある。おかげで私は知りたいことを知れた。この戦いに、より強い意義を見出せた。父の件さえなければ、契約通り……お前に聖杯を譲ってもよかった。残念だよ」

 

 本心からそう言って、綺礼は僧衣を翻した。

 銃口に背を向け……路地裏から去っていく。

 

「さらばだ」

「まど、―――――――かァぁあ!!」

 

 何処かへ消えんとする背中に、殺意の銃声が響く。

 暁美ほむら、正真正銘の最後の一撃。

 文字通り全てを込めた銃弾は、―――()()()()()()()()()()()

 

「…………ぁ、……………………、」

 

 いつの間にか、ほむらの銃は逆手に持ち返えられていた。

 銃口は自分の額に向けられていた。

 そんな状態で引き金を引けば、()()なるのは自明の理。

 

 その不可解を成したのは、またいつの間にかほむらと綺礼の間に現れていた影。

 夜闇になお蘭と輝く、一対の閃光。

 黄金にたばしるアサシンの瞳―――。

 

 

* * * * *

 

 

 綺礼が消え、アサシンが消え、ただ血と夜だけが満ちる空間となった路地裏。

 からっぽになった少女……暁美ほむらの肉体は、誰に知られることもなく、静かに消滅していった。

 

 

 

 

 

TO BE CONTINUED・・・




【作中捕捉】

■カズキの隠しスキル(ステータスには存在しない)
コミュ力:EX
 どんな人間に対してもまっすぐぶつかっていく力。楽しい時は大口を開けて笑い、許せないときは拳を握りしめて怒り、悲しい時には大粒の涙を流す。そんなカズキのまっすぐな喜怒哀楽は、相対する人間の本音を心の底から引きずり出す事だろう。

効果:武藤カズキと触れ合った人物は、少なからず彼に感化される。カリスマとはまた違う、彼自身の人間的魅力を表すスキルである。
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