Fate/Re-start-フェイト リスタート-【完結】   作:おるか人

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獲得の第三十五話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早朝5時に目を覚まし、軽い柔軟体操・ジョギング・発声練習。

 少しの休憩を挟んで腕立て伏せ・腹筋・背筋・スクワットを30回×3セット。

 家に帰ったら軽くシャワーを浴びて汗を流す。

 身体と髪からしっかり水気を落としたら朝食の時間。なるべく消化が良く、高タンパク低カロリーのものをいただく。デザートはヨーグルトとバナナが定番になった。

 食事が終われば、胃が落ち着くまでミルクティーを片手にテレビや新聞や雑誌に目を通すなどして、一般常識に見識を深める。

 

 ―――早朝の予定はここまで。

 

 本来なら午前の九時前には余裕を持って家を出て、アルバイトへと向かうのだが……今日は大事な用事があるので、丸一日の休みをとった。

 

「…………よし。行こう」

 

 最近購入した藍色のカーディガンを羽織り、玄関を開く。すると、うららかな日和と涼風がウェイバー・ベルベットの頬を優しく撫でた。

 

 季節は春。

 第四次聖杯戦争終結より、四ヶ月後―――。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 英国はロンドン、魔術師最高学府・時計塔。

 コンコンコン、とノックを三回。入りたまえ、という尊大な返事を合図に、少年は決死の覚悟で研究室の扉を開く。

 

「し、―――失礼します。アーチボルト先生」

 

 100キロくらいはあるんじゃないか、と錯覚するほど重い扉。緊張で震える手のひら、震える足を押さえつけて、ウェイバーはケイネス・エルメロイ・アーチボルトと対面した。

 

「フン。よく私の前に顔を出せたものだな、ウェイバー・ベルベット。……いや、コソ泥ネズミ君?」

「…………………ひっ」

 

 私、不機嫌です! という感情を遠慮なくぶつけてくる時計塔の天才。十歳以上年下の少年に対し、実に大人げない行為であるが―――両者の事情を鑑みれば、ウェイバーに非があるので仕方がない。

 ウェイバー自身、それは自覚しているので……怯えつつもしっかりと気を持ち直した。

 怖がるのはいい。怯えてもいい。それらを踏み越えて―――前へ進むと決めたのだ。

 

「それで、話とは何だ? 私はこの後大事な予定が入ってる。下らん用向きなら今度にしてほしいのだがね」

「あっ、アーチボルト先生が退院したと聞き……その、先生に渡したい物……いえ、()()()()()()()があって、お邪魔しました」

 

 そう言って、ウェイバーは鞄から木箱を一つ取り出した。

 重要なのはその箱ではなく中身である。厳重な封を解き、蓋を開き―――内から現れたのは、赤い布の切れ端。

 

 これこそ、かのアレキサンダー大王が身に着けていたというマントの断片。

 ケイネスが聖杯戦争のためにマケドニアから取り寄せ、ウェイバーが配送の手違いをきっかけに横取りした聖遺物。英霊イスカンダルの召喚に使われた触媒である。

 

「…………他人の成果を盗んだ事。謝罪が今日まで遅れた事。深くお詫びします。本当に、申し訳ありませんでした」

 

 真摯に頭を下げるウェイバー。

 その姿は、自身の論文を破り捨てられ「アイツはボクの才能に嫉妬したんだ!」と喚き立てていた頃のウェイバーからは想像もできないものだった。

 

「それだけかね?」

 

 ただ、もちろんそんな事は被害者側には関係がない。

 いかに丁寧な謝罪をされようと、盗んだ代物をそのまま返却しようと、既にその聖遺物は役目を終えている。ケイネスが必要とした時に手元になかったのだから……今更帰ってきたところで、何の意味もないのだ。

 それだけか、とは―――つまり、ケイネスは謝罪以上の何をウェイバーに求めているのだろうか。

 

 なんでもしますから許してください、と泣き喚けばいいのか。

 それとも、ウェイバー・ベルベットはケイネス・エルメロイ・アーチボルトの奴隷になりますとでも契約を結べばいいのか。

 

 ―――否。

 

 ケイネスの瞳は冷徹ではあっても、ウェイバーに服従を強いるようなものではなかった。ひとまず謝罪を受け取った上で、本当に『それで用は終わりか?』と疑問を抱いているだけだ。

 そして実際、ウェイバーの『用事』とは聖遺物の返還と謝罪だけではない。むしろそれらは前準備。これからが本番であるとさえ言えるのだ。

 

「いいえ」

 

 フルフルと首を横に振ったあと、ウェイバーは再び頭を下げた。

 今度の所作は謝罪ではなく、

 

「ありがとうございます」

 

 感謝……であった。

 全く唐突なそれに、ケイネスが眉を顰める。

 

「……それは、何に対してだ?」

「ボクをライダーと……英霊イスカンダルと出会わせてくれた事を、です」

 

 その感謝の念には欠片の他意も感じられない……が、要は『聖遺物を盗ませてくれてありがとう』と言っているのだから、受け取り様よっては侮辱の一言だ。

 ウェイバーの感謝をどう解釈したのか。ケイネスはフンと鼻を鳴らし「続けたまえ」と口にした。

 

「最初は……自分の論文を馬鹿にされた意趣返しでした。せっかく手に入れたモノを、馬鹿にしてた奴に奪われて、ざまあみろ、って。……それに『聖杯戦争で手柄を立てれば、誰だってボクの事を認めざるをえないだろう』とも考えてました」

 

 それが、ウェイバーの戦いの始まりだった。

 

「聖杯戦争に参加して……イスカンダルを召喚して……ボクの人生は、ボクの想像とは全然違う形で、丸ごとひっくり返されました。自分が今までどんな小さな世界で生きてきたか。自分がどんなに矮小な存在だったかを、これでもかってくらい思い知らされたんです」

 

 イスカンダルと共に駆け抜けた戦場の数々。

 怖くて、辛くて、惨めで……しかし、魂を燃やす熱い風が吹いていた。

 あの風が。あの疾走が―――ウェイバー・ベルベットを、少年から一人の男へと変えてくれた。

 

 ウェイバーにとって、イスカンダルの聖遺物は、盗難品であると同時に……唯一、この世に残った朋友の形見だ。本心を言えば、倫理観に背くとも手放したくなかった。生涯を通して肌身離さず持ち歩きたいくらいの拘泥たる想いがあるのは間違いない。

 だが。これからも“イスカンダルの朋友”という誉れを抱いて生きていこうと思うなら。過去の自分が残した、後ろ暗い後悔を放置するわけにはいかなかったのだ。

 朋友は言った。“闇に紛れて逃げ去るのなら匹夫の夜盗。凱歌と共に立ち去るならば、それは征服王の略奪だ”―――と。

 この価値観に沿うならば、あの日のウェイバーは一体、()()()だったのか。

 

「ボクにとって、ライダーと共に在ったあの五日間は……例え七度生まれ変わっても得られないほどの幸せでした。きっかけをくれたアーチボルト先生には、心から感謝しています。だから―――」

「分かった」

 

 短い一言が、ウェイバーの話を両断する。

 

「謝罪は確かに受け取った。その感謝も貰っておこう。ああ、聖遺物の盗難に関しては不問だ。私に、君を罰するつもりはない。……これで満足かね?」

「―――――――――え?」

 

 ケイネスがさらりと口にした言葉は、とても信じられない内容だった。

 あのケイネスが。自分以外のありとあらゆるものを見下し、蔑む、あの鼻持ちならない男が。

 三流魔術師であるウェイバーを。盗難の罪を。不問? 罰する気がない―――だと? そんな馬鹿な。

 

「ど、どうして?」

 

 思わず、疑問の声が漏れる。

 許すと言われたのだから、気が変わる前に逃げればいいものを―――とは思うが。それもやむなし。ウェイバーは最悪、この場で殺される事さえ覚悟の上だったのだ。決死の想いが肩透かしを食わされたら、そんな反応もしたくなる。

 

「どうしても殺されたいというのなら、殺してやってもいいが」

「い、いえ…………」

「フン。確かに盗まれた当初は、どんな方法で貴様をなぶり殺しにしてやろうかと考えていたものだがな……今となっては、どうでもいい事だ」

「……………………………………、」

「……………………………………、」

 

 話は終わりだとばかり、黙り込むケイネス。

 未だにケイネスの温情を信じられず、呆然とするウェイバー。

 チッ、―――と。

 舌打ちの一つを合図に、ケイネスが折れた。

 

「貴様と同じだ、ウェイバー・ベルベット。業腹だが―――貴様が征服王の聖遺物を()()()()()()()()で、私は最高のサーヴァントに巡り合えた。彼がいてくれなければ、今の私はなかっただろう。その点に関しては、私も君に感謝している」

 

 そう言うケイネスは、どこか穏やかな表情であった。

 

「―――――――――――――、」

 

 ……ウェイバーは遅ればせながら気付いた。

 いま自分の目の前にいるのは、以前までのケイネスではない。

 上手く言葉には出来ないが……自信に溢れた雰囲気や、その身に脈々と流れる血の歴史に対する誇りはそのままに―――何か、決定的な差異が生まれている。

 

 何が変わったのかは分からない。

 しかし、()()変わったのかは分かる。

 人は余程の事がないと変われない。……ならば。きっと、彼にも()()()()があったのだろう。

 

「これで満足か? では、そろそろ出て行きたまえ」

 

 席を立ち、外行きの上着を羽織るケイネス。その横顔は『もう貴様と話すことなどない』と語っている。

 

「…………………………はい」

 

 促されるまま部屋を出る。

 ガチャリ、と。入る時はあれだけ重かった扉が、やけに軽く―――

 

「待て」

 

 背後からかかる声。

 

「はい――――――、っ!?」

 

 振り返ると、何かがウェイバーの目と鼻の先に突きつけられていた。

 桐の木箱。……それはたった今ケイネスに返却されたはずの、イスカンダルの聖遺物。

 

「持って帰れ。いかな貴重品だろうと、三流魔術師の()()()()など、このロード・エルメロイには無用だ」

 

「な、えっ。ちょっ………………!?」

 

 混乱するウェイバーを部屋から押し出し、ケイネス自身もまた後を追うように外へ出る。部屋に鍵をかけ、上着を翻して去っていくその姿には―――一分の迷いもない。

 

「ま―――待ってください、アーチボルト先生!」

「待たん。大事な用事があると言っただろう。これ以上、貴様などにかかずらっている暇はない」

 

 にべもなく。カツ、カツ、カツ―――と小気味良い足音だけを残して、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは廊下の彼方へと消えていく。

 

 その背に向かって中途半端に伸ばされたウェイバーの手が、行き場を失くしてフラフラと彷徨い……、

 

「…………はぁっ」

 

 やがて、ため息と共にダラリと落ちる。

 ……本気で呼び止めようと思うならできたはずだ。それをしなかったのは……やはり、己の中にハッキリとした未練があったからだろう。実に現金でみみっちい性根である。

 

「カッコ悪い。参ったな……こんな姿、もしもアイツに見られたら……」

 

 情けないのう、と呆れられるか。

 シャキっとせい、とデコピンをくらうか。

 とにかく……失望されるのは間違いあるまい。

 

「やっぱり、たかだか数日で急に別人になれるはずがない……か」

 

 故事に“喉元過ぎれば熱さを忘れる”という言葉があるように。この胸に、イスカンダルが残した熱が残るうちに努力を続けなければ……ウェイバーはやはり、弱いウェイバーのままで終わるのだろう。

 

 しかし、それは当然の事。

 一朝一夕で適当に建てた城と、数十年をかけて組み上げた城。どちらが()()かなんて―――比べるまでもない。

 

 だからウェイバーは、以前の決意に従って身体を鍛え始めた。

 戦いが終わってから四ヶ月。

 英国に帰ってきてすぐに始めたトレーニング。最初は苦しい思いもしたが、今となっては身体を動かすのが気持ちよくなってきた。寝つきも寝起きも良くなったし、心なしか頭の回転も早くなった気がする。

 それは僅かな変化だけれど、同時に確かな変化でもある。少しずつ、ウェイバー・ベルベットという人間が生まれ変わってきているという事だ。

 

 なら、精神も一歩一歩、着実に生まれ変わらせていこう。

 いつの日か。かつての自分と見比べて―――『成長した』と。胸を張れる自分で在れるように。

 

 ウェイバーは木箱から聖遺物を取り出し、胸に押し当てる。

 一度は手放し、また手元に戻ってきた朋友の一欠片。

 嗚呼。目を瞑れば―――熱く乾いた風を感じる。

 

「見てろよ、イスカンダル……ボクはもう諦めないぞ」

 

 血が浅い?

 それが何だ。

 

 才能がない?

 だからどうした。

 

 我は革新者。旧態然とした現代の常識を蹂躙し、新たなる法を敷く者なり。

 笑いたいやつは好きに笑え。夢を抱き、現実を踏みしめていけば、辿り着けない場所は無い。“新世紀に問う魔導の道”……いずれ、己が掲げる御旗を前に、全ての魔術師を平伏させてみせる。

 

「……よしっ」

 

 目を開く。

 一歩を踏み出す。

 肩で風を切っていく。

 目指すは遥か。果てなき先。夢の終着点。

 

「“彼方にこそ栄えあり(ト・フィロティモ)”―――いざ征かん! ……なんてな」

 

 そう。それこそが彼にとっての栄えある彼方。

 かの死闘(たたかい)で、朋友との絆に見出した解答(こたえ)

 他の誰でもない。ウェイバーだけの“最果ての海(オケアノス)”なのだから―――――――。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 時計塔を後にして、英国の街道を行く。

 

「………………………………、」

 

 周囲の人々が自然と道を譲ってくる。

 ケイネスは軽い威圧感を発する程度に難しい顔をして歩いていた。

 

(何故、許した……?)

 

 考えるのは、先ほどの出来事。

 かつてのケイネスなら、迷わずウェイバーを八つ裂きにしていたはずだ。魔術師の風上にもおけぬ薄汚い盗人。仮にも弟子でありながら、師の所有物に手を出した不届き者。罰する理由は山ほどあっても、許す理由などありはしない……はず、なのに。

 三流魔術師のお下がりなど不要……というのは紛れもない本心だが、ならば棄ててしまえばいいではないか。罪人を許し、罪人にくれてやるなど、全く余分な行為だった。

 先ほどの自分はどうかしていたとしか思えない。

 

(……いや。事実、どうかしていたのだろうな)

 

 頭がおかしくなっていた。

 心が乱れていた。

 だから、普段しないような事をしてしまった。

 

 ――― ありがとう! 嬉しかった……ッ!! ―――

 

 あの時の彼が、あんまり嬉しそうだったから。

 きっと……()()()()()しまったのだろう。

 

「さて」

 

 気を取り直す。

 それで、ウェイバーの事など頭から消え去った。

 これからの事を思えば、あんな小僧一人に気を取られるわけにはいかない。

 帰国より四ヶ月。

 昨夜ようやく、キャスターにやられた身体が完治した。

 途中で核金の治癒を切り上げたためか、多少の火傷や傷跡が残ったが……迅速な治療が功を奏してか、魔術回路に不調は無い。魔術師としてのケイネスは、ここに完全復活を遂げたのだ。

 第四次聖杯戦争での敗走は英国でも話題になっており、ロード・エルメロイの名声に傷がついたのは痛いが……あの戦いは、ケイネスにそれ以上のものを与えてくれた。

 

 ――― 無理をしては駄目よ? 今はゆっくり身体を休めなさい ―――

 

 ベッドに横たわる自分に、心からの献身で応じてくれた婚約者。

 愛する者がいるのは幸せだ。だが、愛されることがこんなにも幸せだとは……知らなかった。

 それに気付かせてくれる友に出会えたこと。それだけで―――ケイネスにとって、冬木の戦場は価値あるものであった。

 

「ソラウ……。フ、フフフッ」

 

 思わず顔がニヤけてしまう。

 今日は、身体が治った事を婚約者に感謝する日。

 舞台は、夜景が美しいと評判のレストラン。彼女が以前、それとなく気にかけていた場所だ。

 愛する女と会う時間。語り合う時間。想いを通わせる時間。嗚呼、それに比べれば―――この世の全てが些末事だ。

 

 先ほどの不機嫌さなど忘れて、ケイネスは揚々と歩き出す。

 周囲の人々は一瞬だけ怪訝な表情をして……それから、微笑ましげな視線を向けた。

 

「おやまあ、幸せそうだねえ?」

 

 通りすがりの老婆の一言。

 言葉にはせずとも、その意見には誰もが同意したという。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

■ウェイバー・ベルベット

 

 第四次聖杯戦争から生還。

 

 戦争後は持論である“術に対するより深い理解と、より手際の良い魔力の運用は、伝統や血を覆す”―――を証明するために本格的な活動を開始する。

 

 その生涯を通し、魔術師として評価される事は無かったが……彼の残した魔術理論を元に、孫のウェイバーⅡ世が“ロード”の称号を獲得し、僅か五代(実質三代)で卓越した魔術師一族として、ベルベットの家名を協会に轟かせる事となる。

 

 また、ウェイバーⅠ世が世界周遊の中で残した数々の武勇伝も相まって、後の世でウェイバーという名は“革新者”と同義語に扱われ、彼のトレードマークである赤いマントと共に『勇気のある子に育つように』と願う親に好まれたという。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

■ケイネス・エルメロイ・アーチボルト

 

 第四次聖杯戦争から生還。

 

 聖杯戦争の敗者となった事で『ロード・エルメロイの時代は終わった』と嘲る者も多かったが、帰国後の彼はまさに破竹の勢いで次々と功績を上げ、あっという間に悪評が霞むほどの名声を得るに至った。

 

 彼の躍進には、最愛の妻であるソラウ・ヌァザレ・ソフィアリの影響が大きいとされ、魔術師の間で『恋愛結婚をすると出世できる』という噂が広まった事で、協会に第一次結婚ブームが訪れる。

 

 ブームの中で数多くの夫婦が生まれたが、ケイネスとソラウを知る者たちは揃って『あの二人以上の夫婦はいなかった』と異口同音に語ったという。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、時は流れる。

 続いて語られるお話は、戦争より三年後。

 平凡で穏やかな…………とある日常の風景。

 

 

 

 

 

TO BE CONTINUED・・・

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