ゆっくりじっくり魔王を殺していく。勇者達が 作:ねるね
あれから三日が経った。
たった数週間だけ来ていただけでほんの少し前の日常に戻っただけなのに、少しだけ寂しくなる。
としんみりしていたかった。
そう、していたかった。
『久々の再会に感謝します。我が主よ』
俺の目の前には病的に白い肌と他人の目を惹く身体や声を持った聖女と呼ばれる女と。
「「「お初にお目にかかります!御神体様!!」」」
信者達がそこへ集合して俺に元気良く挨拶をしてくれた。
呼んでも無いのに来やがった。一昨日来やがれコンチクショー!と叫びたかったのだが。
《初めましてさようなら》
魔物だから、人類に敵意を向けるのは間違ってないと思う。例え、教祖だと勝手に崇められていてこちら側には敵意を向けられていなくてもだ。
時間が空いて少し落ち着いた。うーんと、何処から話せば良いのか。ちょっと待って欲しい。えっとだな。
まず、宗教の話からしようか。
……いやこの始まり方は不味いか。
……少し前の話になる。食いしん坊ちゃんが最初に来た時よりも、前の話だ。前世でもあった事だが、育児放棄と言う物はどの世界でも共通で。
今は聖女と呼ばれるこの少女もまた、その多く生まれる例えの中の一人だった。前世と圧倒的に違う場所は、此処には魔物が存在すると言う事。そこに子供を放置すれば、何が起きるかは子供でも分かるだろう。
困った人間全てを助ける事は出来ないが、目に見えた汚れは綺麗にしないと行けない主義の俺はこな少女に俺の命と引き換えにプレゼントを送った。辛い世の中を一人で生きていける様にサポートをするつもりで。
それが、間違いだったんだろう。でも、一つだけ言わせて欲しい。俺は悪く無いと。
彼女は転生者だった。俺と同じ様に。しかも、彼女は俗に言う元男のTS転生者とか言う奴で、俺の記憶をプレゼントしたのがきっかけで前世の事を思い出したのだった。
だったじゃないよ。ざけんなよ、知らねえよそんなの。
で、コイツは俺の記憶をプレゼントした事で俺の事を知ってしまった。つまり、俺が魔王を殺したいと言う事を知っている。だから、協力してくれる良い奴なんだけどウザい。
この神様設定も、変な宗教を作ったのも俺の為とか言ってるけど。多分言葉足らずで、俺の(嫌がらせの)為だと思う。そう言う奴だから。コイツの内心を見たから間違い無い。
《ふむ、御苦労。今日は何の様だ?》
神様ムーブをすると、聖女は頭を下げて屈む。それを真似して、後ろの信者達も同様の動きをした。いや、待て。コイツ笑ってるわ。
(ふむwwwwwwジジイじゃんwwwww)
めっちゃ草生やしてる。塩でもばら撒いてやろうかな。ムカつくし。
『すでに主のお耳にも入っているとは思いますが、最近近くの狩場で新しい魔物が見えたと噂になっております』
《ああ、知っている》
『ずばり、その魔物は私達モンスター教の敵でしょうか?それとも親愛なる隣人なのでしょうか。今日は主にその意見をお聞きしたく参上致しました』
……どうしよう。何とも言えないなぁ。実際に会ってないし、会ったら凄く良い人かもしれないしな。待ちかな。
あ、でも食いしん坊ちゃんが突撃してるのか。いや、でも肉焼いて貰いに行っただけだしバトルにはなってない筈。きっと。
《成程、それはすぐに分かる事では無い。ゆっくりじっくりと時間を掛けて理解していく物である。様子見をして、相手が動けば動くのだ》
肉が焼けたか焼けないかで決める事にしよう。焼かしてくれたら優しい魔物。焼かせてくれなかったらケチで悪い魔物って事で。なんか面接の前の心理テストみたいだな。