ゆっくりじっくり魔王を殺していく。勇者達が 作:ねるね
ここ暫く忙しかったが、漸く台風一家が去った。さぁて、今日も元気に死んでいこうかね!お死事、お死事。
今日も朝から血気盛んで血の気の多い冒険者達が俺が出てくるのを今か今かと待ち受けている。気分だけは、パパラッチに追われてるハリウッドスターだな。
そして、今日もいつも通り分身体が死んでいくのを眺めている。
可哀想……分身体。冒険者さんっていつもそうですよね!魔物の命をなんだと思ってるんですか?
久々の解説パートと行こうか。
今回は、今話題に出た分身体と俺の違いについて掘っていこうと思う。まず、分身体と俺の違い。外見は、同じだな。って言われているが俺の方が若干キュートで愛嬌がある顔をしてると思う。ほら、ここら辺。
……外見はほぼ同じって事で、はい。
違いは、まず分身体が死んでも何も落とさないと言う事。つまり、分身体を殺しても旨みは無い。あっちは疲れて、こっちは殺されて。どちらにも良い事は無い。
それが俺との違い。後は、喋らない。分身体とは言っても完全なコピーでは無く、どっちかと言うと劣化版みたいな物だ。俺とは全然違う。自意識も無いし、な。
だから、良くあるクローンが今までこき使われてきた恨みでオリジナルに復讐をするなんて事は無い。良かった良かった。
《……誰だ?》
ずっと視線を感じていた。俺が一匹になるのを待っていたように気配は消しながら、まとわりつく様な視線が。
《バレていましたか。流石、アメの先輩ですね》
茂みから、サッと出てきた火の粉は瞬きの間に人ぐらいまで大きくなった。
《ご挨拶が遅れました。四天王候補生の、フレイムです。これからよろしくお願いします先輩!》
人懐っこそうな笑顔で炎が笑った。
変な表現かもしれないが、俺の語彙力ではそうとしか表現が出来ない。まさか、異世界に来て現代文の大切さを学ぶ事になるとは。やっぱり、勉強は大事だな。
《ああ、よろしく。噂は聞いてるよ。期待してる、俺なんかすぐに抜けるよ》
《いやいや、そんな事無いですって。先輩にはまだまだ叶わないっすよ。やだなー》
こう言う感じで懐に入って先輩でも関係無く、ノリでツッコミとか入れる人凄いよなぁ。そう言うタイプか。と言うか、あちぃし痛えしバンバン叩くの辞めろ。死ぬぞ。俺の死は経費で落ちるから良いけど。
《ところでアメの先輩ってどういう事だ?》
初めて聞いたぞそんな渾名。最近、知らない渾名がどんどん増えてる気がする。
《あー、周りの先輩が言ってたんですよ。先輩は冒険者にわざと殺されてる。甘いアメみたいだって》
あーこの世界にも飴はあるんだっけか。まぁ、べっこう飴みたいな奴で前世の飴知ってる俺はあんまりだけど。
《そう言えば先輩聞きたい事があるんすけど》
《何だ?何でも言ってくれ》
《本当っすか?流石〜先輩。永遠のヒラなだけある〜》
褒めてねえよな?それ。お前のトラウマ探ってやろうか。
《獣の女、知りません?》
……。おっとぉ?
《シラナイヨ》
シラナイヨ。